監督:デヴィッド=リーン
出演:ジェーン=ハドソン(キャサリン=ヘプバーン)、レナート(ロッサノ=ブラッツィ)、フィオリーニ夫人(イザ=ミランダ)、マーロ(ガイタノ=アルディエロ)、ほか
原作:アーサー=ローレンツ
見たところ:シネプレックス平塚
アメリカ・イギリス、1955年
「
戦場にかける橋」「
ドクトル・ジバゴ」「アラビアのロレンス」(レビューは書いてないけど一応観た)のデヴィッド=リーン監督がアカデミー賞4回を受賞した名女優キャサリン=ヘプバーンさんを主演に撮った大人のためのラブロマンスです。ノミネートの最多はメリル=ストリープの19回やて。
オハイオから憧れのヴェネツィアにやってきたオールドミスのジェーン。泊まっているペンションの女主人フィオリーニにロマンスへの憧れを語るが「待っているだけでは駄目、積極的に行動しなくちゃ」と諭される。宿無しのような少年マーロの案内でヴェネツィアを観光するジェーンは、ある日、ヴェネチアン・グラスを扱う店の主人レナートと知り合い、激しく惹かれ合うが…。
最初に観た時からわしが歳を取って、気がついたらジェーンより年増になっておりまして、何か身につまされました。むむむ…
キャサリン=ヘプバーンさんは「
オレゴン魂」とか「
黄昏」で拝見してますが、そういや、若い頃の出演作はほとんど観てなくて、なぜか年寄りばっかだよ。この「旅情」のジェーンがもっと突き詰めちゃった鋼鉄の淑女ユーラを演じた「オレゴン魂」なんか好きですね。ベテラン同士の丁々発止の掛け合いがすごくおもしろかったです。
ハリウッドの数いる女優さんのなかでも知的で都会的でしかも自立していて品がある女という、なかなか得難い雰囲気をお持ちですが、この映画では行き遅れちゃったジェーンを最初肩肘突っ張った感が可愛く、レナートと相思相愛になってからはまた可愛く、でも、ずるずるとイタリアに残ったりしないで去っていくという大人な感じが、この映画を名作に押し上げているんだと思いました。
ジェーンの案内役の浮浪少年マーロが可愛くて、ラスト、ヴェネツィアを発つジェーンを見送りにくるあたりなんかはもらい泣きさせられましたわい。こんな相棒がいたら旅行も楽しいよね。
そしてジェーンの相手役レナートのロッサノ=ブラッツィさんはなんと「
若草物語」に出演してて(ジョーの結婚相手)、キャサリン=ヘプバーンさんも若かりし頃に「若草物語」に出演してて、しかもジョー役とは何か因縁感じますわ。道理で「ロッサノ=ブラッツィ」と変換できたわけだわいAtok。
レナートはジェーンに「僕は若くもないしハンサムでもない」と言ってますけど、どうしてどうして大人の雰囲気あふれる美男子ぶりで、いい男でしたよ。それだけにラスト、レナートを振り切ってアメリカに帰るジェーンは凄いよな。「帰る時がわかったの」とか言っちゃって。まぁ、そのままイタリアに残ったら「旅情」ってタイトルじゃなくなっちゃんですけど。
原作は「カッコウ鳥の頃」という舞台だそうです。
午前十時の映画祭のコピーが「女心はままならぬ」と書いてあって、センスのなさが致命的に痛いなと思ったのはここだけの話です。そういう話じゃねーだろ。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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