大宅壮一著。文春文庫刊。
これも読みたい本のリストに入っていたのですが、川口慧海にも似た日本人最高〜!な視点と、中国を始終シナと呼ぶ東アジア蔑視の視点に辟易して文庫で300ページくらいだったのに、1週間もかかってしまいました。
サブタイトルは「明治と昭和の谷間」で、幕末から始まるんですけど、まぁ、たとえがいちいち下品というかお下劣なのも好きになれなければ、上述したような東アジアを蔑視する記述も嫌いだし、何かというと自分は世界中を見てまわったんだという自負も鼻につくし、そのうちに一人称の「わたくし」も気取ってて嫌いでした。いやいや。
だいたい、「大東亜戦争」とか、いちいちかっこ(原文はダブルコーテーション)つけなければ使えないような言い方をして、敗戦のことを終戦とか言ってごまかしてる時点でこいつダメだな感が漂い始めたので、あとはもう、はいはい、そうですか、またご自慢かよけっ、って感じで読んでたんで、くっそつまらなかったです。
あと、この著書のことを歴史ルポルタージュとか言ってましたけど、むしろ、これは年寄りの自慢話だろくそ野郎とか思いました。それぐらい視点が歪みまくってて、大宅壮一って初めて読んだんだけど、二度と読まねぇです。
そもそも、何で大宅壮一なんかに手を出したのかといえば、朝鮮について書かれていたのがこれだったらしく、それで例によってタイトルだけメモしていたんだと思うんですが、ことあるごとに現在の分断された朝鮮半島の姿を100年前からそうなる運命だったのだの、植民地化した日本の責任を棚に上げて何をほざいとんのやおっさんてな感想しか抱かなかったので、読まなくてもいいだろうと思います。
あと、沖縄戦で、沖縄の人たちが勇猛果敢に米軍と戦ったことを教育の賜物と自画自賛してましたけど、くそたわけが、がちがちに縛りつけて、方言話しただけでスパイと決めつけて、何が教育だくそ野郎と思います。琉球史についても色眼鏡かけまくって、自分に都合のいいところだけ見て、あちこち脱線するのも俺って博識なんだよね〜というのをひけらかしたがってるだけだろうって感じがまたいやでした。
さらに言えば、太平洋戦争で日本が負けて、アジアで植民地だった国々が独立したことをさも日本の手柄のように言うのはネトウヨがよく持ち出す話ですが、大宅壮一も同じレベルでした。ていうか、元はこいつか? インドのチャンドラ=ボースだって、日本がさも独立させてあげようみたいに担ぎ出したけど、ビルマから攻めていって、例のインパール作戦で大失敗やらかして、インドなんかかすりもしなかったんで見捨てられたことは無視ですかね。
そして、わし的にいちばん関心があった(はずの)朝鮮については紹介するのも酷いだろうなレベルの話ばかりで、くそったわけが、という感想しか出てきません。
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