丸木俊著。朝日選書。
「原爆の図」「水俣の図」などなどを描かれた丸木俊さんの自伝。
北海道のお寺に生まれ、絵の勉強がしたくて東京へ。画家になることを断念して小学校教師を4年、外交官の家庭教師としてモスクワに行くこと2度、一時は南洋に渡り、ゴーギャンのような暮らしを願うも、丸木位里氏との出逢いにより、結婚。その間、十五年戦争が始まっており、やがて8月6日に広島に核爆弾が落とされる。
なんか波瀾万丈の人生だなぁ。お二人のあいだに子どもがなかったのは、被爆直後の広島で受けた放射能のためもあると思う。でも、俊さんは子どもがとても好きで、小学校教師の仕事も好きでたまらなかったと書いてあった。だけど、絵を描くこととは両立できず、教師を断念したわけである。
位里さんも俊さんも言ってるのだが、やはり一連の「原爆の図」等の大作はこの二人が夫婦でなかったら生まれなかったと思った。人物画を描いているのは俊さんで、位里さんは墨を流し、という分業ではあるけれど、個々の画家だったならば、あの絵は描けなかったろう。
先日、たんぽこ通信に丸木スマさんの事件で検索に来た人がいたので何のことかと思っていたら、手伝いに来ていた若者に殺されたんだそうである。ショック…スマさんが絵を描いていたのは8年間、ということは知っていたけど、まさか殺されて終わっていたとは思わなんだ。
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