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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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砂の器

松本清張著。カッパノベルズ刊。

やっと読みましたよ、「砂の器」! 一回、映画で見ているので筋は知っているのですが、緻密な構成にうなってしまいます。こういうのは映画だとわからないし、たぶん、前半の今西刑事の徒労に終わってしまうような捜査とかははしょられたと思うのですが、1つ1つの事実を丁寧に積み上げていく仕事が、やがて事件の全容を明らかにする過程は、やはり小説ならではの読み応えがありました。

逆に映画で高く評価された、業病の父親と息子のさすらいのシーンなんて、小説だとわずか数行たらずだもんね。逆にあのシーンを小説で延々と描かれても大した効果はないでしょうし、そこら辺の取捨選択をした映画も、あれはまた凄いものだったんだなぁと改めて思いました。

たきがは、和賀役が加藤剛さんだってことだけ記憶しとったものですから、和賀が登場するたびに加藤さんのお顔がちらつきましたよ。また映画も見たいなぁ。

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張込み

松本清張著。新潮文庫刊。

短編集。標題の「張込み」ほか、7編を収録。

短編のがおもしろかったです。ま、「砂の器」とか「点と線」とか読んでないのばかりなんで、ここはひとつ、清張さん、どんどん読んでみっか。

「張込み」タイトルにもなってるだけに、これがいちばんおもしろかったです。特に事件らしい事件も起きないんですが、逃亡した容疑者がかつての愛人のところに逃げてくるだろうと推測して張り込む刑事の視線が味わいがあります。全然若くないんだけど、大滝秀治さんに刑事の役をやってもらったら、格別な気がしました。ずる…

「顔」愛人を殺した男が、彼女と一緒のところを目撃された男性を殺そうとする話なんですが、実は目撃者は男の顔なんか覚えていなかったのに、男が呼び出そうとした手紙がきっかけで、俳優として成功しようとしている男の顔を映画館で見て、「あっ!」という落ちが秀逸でした。うまい!って手をたたく感じ。

「鬼畜」は緒形拳さん主演で映画になった記憶が。気の弱い男が愛人の子どもを引き取る羽目になって、妻の命じるままに1人ずつ殺していく、その身勝手さが怖い。

といったところが印象的な話でした。

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けものみち

松本清張著。新潮文庫刊。

去年はあんまり本を読まなかったんで、反省して、今年は本を読もうと思い、ついでに全然読んだことのなかった松本清張とかどうだと思って、この「けものみち」と「張込み」を借りたのに、結局、そんなに読んでないという話。

脳軟化症で寝たきりになった夫の寛次を置いて、住み込みで働きに出る成沢民子は、次第に夫の存在を疎ましいものに思うようになり、放火して殺してしまう。その事件を嗅ぎつけた刑事の久垣は、民子を追ううちに疑惑と欲望に憑かれ…。

一応、民子が主人公なんだろうと思います。前にドラマ化した時に名取裕子さんが演じてたような記憶がありますが、見た覚えはないので、単なる、こういう役柄をやりそうというイメージかもしれません。
ただ、では民子に感情移入できるかというと、これがちと難しく、最初のうちはいいんですよ。脳軟化症で寝たきりになった夫を置いて、住み込みで働いてるあたりは。その寛次が、民子を独占したいという嫉妬心から妄想を働かせ、とうとう民子の下着とか身につけちゃって、「俺は電波を受けている」とか言い出すと、もうこいつダメダメな空気が漂ってきまして、でも死にそうにないのでついに放火して殺してしまうという辺りは、まぁ、よくありそうな話ではありますが、民子にも同情の余地はあると思うんです。しかし、小滝にかくまわれ、自称弁護士の秦野と知り合い、政財界の黒幕・鬼頭の家に連れていかれた以降は、民子の小物っぷりが鼻についてかないませんでした。
なんちゅうの、夫殺しという人の道から外れたことをしてしまった民子は、けものみちに踏み込んでしまったわけなんだけど、鬼頭の情婦になって、いいように弄ばれていても、もしも鬼頭が死んだら料亭の1つももらいたいという願望を持っているわけなんですよね。で、再三、鬼頭にも秦野にも念押しをするんだけど、相手が道路公団だかの総裁の首を簡単にすげ替えられる大物なのに、何、このささやかな夢は??って感じがつまらんわけです。まぁ、料亭なんて、わしら庶民が持とうと思ったら、そうそう持てるものではないんですけど、なんていうの、もっと大きなことをおねだりしてもかないそうな相手なのに、料亭風情で満足して、何か自分がすごい人物になったような勘違いしてそうな民子に全然魅力がないわけでした。

じゃあ、もう1人の主人公ともいえる久垣刑事はどうかというと、これが小悪党を絵に描いたような人物で、民子を執拗に追いかけるのも正義感とか、職業柄というより、情欲ときてるもんで、これがまた読んでて高揚感がありません。そのくせ、平の刑事なもんで、上から簡単に抑えつけられて、本人、反発してるつもりなんだろうけど、結局、同じ穴の狢じゃんって小物ぶりがつまらん。

しかも、基本、この2人の視線で話が進むもんですから、大物の鬼頭とか、何かちっぽけに見えて、民子にかかると鬼頭も単なるエロジジイとなりますと、なかなか正体を見せないという不気味さ、鬼頭の言葉1つで、久垣の首なんか簡単に飛ばせるという大物ぶりを匂わせはしますが、突っ込みが物足りない感じです。

で、最後は鬼頭も秦野も死んじゃって、これまた小物というか、のらりくらりと世間を渡っていきそうな小滝が最後に残るというのも、なんかすっきりしないといいますか… どうでもいいけど、小滝を演じるのは草刈正雄氏が似合うと思った。

まぁ、政財界の黒い部分を描くというのが主題であるようなので、すっきりと解決というわけにはいかんのだろうなぁと思うのですが、民子と久垣の小物っぷりはいまいちでした。

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カブールの燕たち

ヤスミナ=カドラ著。香川由利子訳。早川書房刊。

昨年はあんまり本を読まなかったので反省し、買い物に出かけたついでの移動図書館で本を借りました。たきがは、大学の卒論でアフガニスタン史をやったので、アフガニスタンには興味があるのですが、行動にまで移らないのがにんともかんともですな。

作者はアルジェリアの男性で、ヤスミナというのは女性名だそうです。イスラム原理主義に批判的な小説を書いていたので、アルジェリアにいられなくなったフランスに亡命したそうな。でも、イスラム原理主義に批判的というのは欧米では受けが良さそうですな。いや、どっちが悪いとも申しませんが。

カブールで臨時の看守をやるアティクとムサラト夫婦、一見、それとは無関係そうなモフセンとズナイラ夫婦について描く。

上で「イスラム原理主義に批判的」と書きましたが、アフガニスタンではその代表的な存在がタリバンですね。
でも、たきがは、タリバンって、例の911事件以降、すっかり世界的な悪役になっているんだけど、そもそもの出発点って、ソ連軍が撤退後のアフガンで、各ムジャヒディン・グループが勢力争いを始めたわけですよ。で、主にパキスタンに亡命していたアフガン難民の神学生の中から、現状に批判的な人たちが立ち上げたのがタリバンだって認識があるんですよね。イスラム原理主義に走って、多少なりとも解放の進んだ女性たちを抑圧し、悪いイメージしかないんだけど、でも、原点はそうではなかったはずで。ソ連軍がやっと撤退したというのに、もともとが多民族のアフガニスタンという国で権力争いを始めた既存のグループに我慢がならず、まぁ、それを言ったら、何でも最初は純粋なものだったのかもしれませんが、タリバンもそういう純粋さを持っていたはずではなかったのかと。
だから、アフガニスタンという国を外からしか見たことがなく、ソ連との代理戦争さえさせていた西欧諸国が、単純にタリバンを批判するのはどうかと思ったりするのでした。

だから、小説の中で描かれているのはタリバン支配下のカブールで、地獄のような生活なのですが、西欧風の押しつけ的な地獄にも見えたのです。

あと、いくつかの章仕立てになってるんだけど、その1つの章の中で視線がアティクになったり、モフセンになったり、ついさっきまで同じ節の中でモフセンの視線だったのに、いきなりズナイラの視線になっちゃうのがすごく読みにくかったです。

無関係に見えたアティクとズナイラが、ズナイラが死刑を宣告されたことでいきなり関係を持ち始めてから、なんか先が予測できて、予想どおりの展開になりました。でも、いくら女性がチャドリを身につけてるからって、女性の民兵までいるのに、中を確認しないとか、あり得ないよな〜とか。タリバンが馬鹿だって言いたいのかとか。

別にいまさら、タリバンの弁護をするつもりはありませんが、この著者がアフガニスタンに行ったことがないのは紛れもない事実ではないかと思えるぐらい、なんか、西洋人の好む、イスラム=悪いという構図が見えるようでした。

あおり文句に「世界的に評価が急上昇」とあるのだけど、その世界というのは西欧世界のみで、そういう偏った世界観というのは危険だと思った。

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自来也小町

泡坂妻夫著。文春文庫刊。

やなみきさんの好きな泡坂妻夫氏。どんなものかと思って読んでみました。ほら、そうでなくても、去年は本をあんまり読まなかったんで、もっと読まねば!と反省したのでした。

吉祥画ばかりを狙う自来也小町。迎えうつは宝引の辰親分。遠くて近い江戸を舞台に、辰の推理が冴える。

某国営放送とかでやったら似合いそうな短編です。

毎回、語り手が違って、辰親分が脇役みたいに登場する趣向が凝ってます。ちょっとした一言から犯人を当てる辰親分が痛快な、捕者帳でありました。

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