崔碩義編訳注。平凡社東洋文庫刊。
19世紀に活躍した朝鮮の放浪詩人・金笠の詩集です。本名は金炳淵(キム=ビョンヨン)ですが、いつも笠をかぶって全国津々浦々を放浪していたので、そういうあだ名がついたそうです。
詩といっても「
尹東柱」と違い、漢詩なので現代語訳されてますから、どちらかというと李白とか杜甫の方が近い味わいだったりしましたが、わりと格調高い李白とか杜甫に比べると、技巧的というか、同音異義語を駆使した猥語や人物(だいたい両班)の名前とかによる罵倒が超絶的なレベル。「
ルバイヤート」は酒大好きな方向に突き抜けた明るさがありましたが、金笠は祖父が没落した両班で、しかもある程度、大きくなるまでそれを知らなかったという屈折した感情なんかもあるためか、ここまで突き抜けちゃった方向性というのは世界的に見ても類がないんじゃないかと思いますが、わしも詩はよく知らないので、まぁ、ともかく凄いとしか言いようがないです。
こういう詩を原文で読めたら、ずいぶんとおもしろいんだろうなぁと思いました。
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