忍者ブログ

されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

太白山脈

金達寿著。筑摩書房刊。金達寿小説全集7。

以前に「太白山脈」という映画を見まして、その当時は韓国映画を見始めたばかりだったもので登場する役者さんたちが見分けられず、ただアン=ソンギさんだけ覚えて、いいなぁと思って、朝鮮戦争の話なんだけど、左と右に分裂して、対立して、同じ民族なのに血で血を洗うような惨劇を繰り広げてというところまでは理解できたんですが、細かいところがわからなくて、もう一度見たいなぁと思いつつ、なかなか機会がなくて、そのうちに原作になった小説があることを知りまして。それも長い大河小説だと。ならば映画を見直すよりも小説を読もうと思って、タイトルだけメモして図書館で検索して、引っかかった小説がこれだったんですが、読み始めたら、わしの記憶も曖昧だったもので確か朝鮮戦争の話だったはずなのに、この小説は朝鮮の解放直後から話が始まるんですね。で、朝鮮戦争はその前夜である済州島四・三蜂起を含めても1948年からなんだけど1945年とはずいぶんと気長な展開だなぁと思って、でも1冊しかないのに展開はあんまり早くなくて、そのうちにもう1回ちゃんと調べたら、実は「太白山脈」というタイトルの小説はお二人が書いていて、わしが読みたかったのは別の方のだったことが判明、図書館で検索し直したら、読みたかった方は置いてなかったことも判明、しょうがないので最後まで読みましたが、ちゃんと最初に調べようよ俺… orz

というわけで、ちゃんと調べたら、こちらの「太白山脈」は朝鮮が解放される前の「玄界灘」という小説の続きで、まったく別物であることがわかりまして、不勉強もいいところですよ…

それでも完読したけどね。小説を途中で放り出したことはあんまりないんで。

日本の敗戦により解放された朝鮮の主にソウルを舞台に、右派と左派の人びとを交互に描き、解放だったはずがアメリカの思惑により、そうではなくなっていく朝鮮を描いた小説です。1946年の南朝鮮の一斉ゼネストで終わっているのですが、続編は書かれなかった模様。

時代的には少し空いて「火山島」、そして朝鮮戦争へと続きます。

拍手[0回]

PR

マウス アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

アート=スピーゲルマン著。小野耕世訳。晶文社刊。全2巻。

20年くらい前に読んだことがありまして、本も持ってたんですが、在庫一掃セールで手放してしまいまして、久しぶりに見たんで、懐かしくなって借りてきました。

サブタイトルのとおり、アウシュヴィッツの生還者である両親を持つ著者が、1982年まで生存していたお父さんにインタビューして、ユダヤ人=ネズミ(タイトルはここから)、ドイツ人=猫、ポーランド人=豚、フランス人=カエル、アメリカ人=犬、スウェーデン人=鹿、ジプシー=蝶と大胆な隠喩をしたことで世界的なヒットとなった漫画です。

お父さんのヴラデック(ポーランド系ユダヤ人)がカリカチュアされたユダヤ人そのまんまに吝嗇なところや、アウシュヴィッツでは「本当に良き人びとは皆帰らなかった」と言われるとおりに様々な知恵を働かして生きのびること、それにはどうしても人より優れていて、人より役に立つとナチスやカポー(監視役の囚人)に思わせなければならず、それはすなわち、隣人たちの死を意味していたこと、そんなことを赤裸々に綴られた漫画です。

ホロコースト物としては異色ですが、お薦めです。

拍手[0回]

石の花 第5巻

坂口尚著。講談社漫画文庫刊。全5巻。

サブタイトルは「解放編」です。タイトルのとおり、ドイツの敗北で戦争が終わり、ユーゴ全土が解放されます。しかしこの物語で描かれるのは第1巻でも書きましたがユーゴスラビア解放のカタルシスではなく、戦争が終わって解放されたはずなので、互いに憎しみ合うことを止めない人間の醜い姿であり、そこに疑問を抱き続けるクリロです。

パルチザン本隊とはぐれてしまったクリロたちの隊は食糧も武器も乏しくなっていくなか、本隊に合流しようと放浪します。この隊を率いるバルゴというおっさんが筋金入りの軍人なんですが、何か日本軍の駄目上官にありそうな威勢のいいことばかり言うし、本人も戦い大好きだけど、基本、部下を死なせてしまうような無能って感じの描かれ方で、歴戦の兵士であるブランコと対照的です。ただ、クリロやイザークたち迷える若者から見るとまるで決して倒れない岩か大木のようなブランコも、彼らの発する疑問で自身の信念がぐらついていることを明かしますが、それでも最後までその確固たる表情が変わることはなく、でも最期まで描かれることもありません。途中で戦死したのか、無事に戦後まで生き延びていてほしいものですが。
そしてクリロはそのバルゴ隊ともはぐれてしまい、ブランコと思しき人影の「世界中で たった一人だろうと 否(ノー)なら否(ノー)と いいつづけろ 真(ほんとう)の戦士になれ!」という言葉を最後に、物語は戦後に移ります。

たぶん、ここがこの話を何度も読み返して、どうして著者がクリロやフィーの戦いを最後まで描ききらず、でも2人とも無事に故郷に帰り(クリロは足を負傷していますが)、再会するところで占めたのか、そこがわからなくて、また読ませるんだろうと思ったりしました。

で、今回は、クリロやフィーの戦いを最後まで描ききらないのは、著者がこの物語で描こうとしたのは、そういう英雄的な行為ではなかったからではないかと思います。それよりも世界の縮図のような多民族・多宗教国家であるユーゴスラビアという日本では馴染みのない国に、人間はなぜ戦うのか、なぜ争わずにいられないのか、なぜ憎み合うのかという普遍的なテーマと問いかけがあるからこそ、それを10代前半(1941年の開戦直前の時点でフィーが14歳なのでクリロも同い年)から10代後半という、もっとも多感な時期に戦争に巻き込まれてしまったクリロとフィーという2人の主人公によってこの荒波を乗り越えさせたかったのかなとか、いろいろと考えてみるわけなのですが、まだはっきりした答えは出そうにありません。

たいがいの漫画が一読したら投げ捨てられてしまう昨今、こうして何度も読ませる力を持った今作は間違いなく名作と言っていいのだと思います。

拍手[0回]

石の花 第4巻

坂口尚著。講談社漫画文庫刊。全5巻。

サブタイトルは「激戦編」。

イヴァンの二重スパイの活動が明らかになってきまして、クリロもチトー率いる共産党本隊に合流し、フィーは強制収容所に戻り、それぞれに激戦です。イヴァンの活動は徐々にナチスの疑うところになっていきますが、それでも彼はラストまで信念を貫きます。ほとんどのキャラの末路が描かれないなか、イヴァンは最期まで描かれます。そういう意味ではイヴァンも主人公に入れてもいいのかもしれません。

パルチザンのなかもいい人ばかりではありません。毎日のように出る死者、裏切り、暴力、金に汚い者などが平和を願うクリロたちを苦しめますが、そんなクリロとイザークに言葉少なに語りかけるブランコが相変わらず格好いいですv

「人間てェのは しょうがねェ バカどもだ……
しかし ……… なあ二人とも
人間の最悪ばかりを見るな……
人間の美しさばかりを見るな……
おれが いえるのは これくらいのことだ………」

拍手[0回]

石の花 第3巻

坂口尚著。講談社漫画文庫刊。全5巻。

「内乱編」とサブタイトルがついてますように蜂起した共産党と王党派の内乱が勃発します。クリロたちは共産党のパルチザンに加わったので王党派、さらにはナチスに協力的なクロアチアの極右ウスタシなどとも戦わなければならなくなります。
ここら辺の思考が、当時のヨーロッパではナチス<ソ連となるようで、ヒトラー自身もソ連が最終的な敵というのはこの手のジャンルではよく見るんですが、ナチスの同盟国・日本がアメリカに勝手に宣戦布告してしまったため、結果的にナチスはアメリカとの和平の道を絶たれるのは、何というか、目先の利益に走るというか、大局的なものの見方ができないというか、井の中の蛙、島国根性の日本のまずさだなぁと思ったりします。まぁ、ここでナチスとアメリカが手を結んでしまうとナチスも大日本帝国も残っちゃうので結果オーライな気はしなくもありませんが、自分の国ながら阿呆というか、馬鹿っていうか…

フィーは叔父に再会し、マイスナー大佐の暗殺を命じられますが、心優しい少女なので果たせません。

クリロはパルチザンに加わった子どもたちをまとめる少年兵となり、以後、終戦まで戦い抜きますが、友人のイザークともども人を殺すことへの葛藤は捨てません。

この巻でイヴァンとマイスナー大佐が友人同士だったことが判明、イヴァンはドイツ人の血を引いているのですが、どこで会ったんだこの二人? イヴァンは故郷の村を離れて大学に行っていたんですがドイツにまで留学してないんだけど… 「マイスナー」と呼び捨てにしてるので、かなり親しいようなんだが…

ミルカがイヴァンを追っているのに男たちのあいだで翻弄されているのは見てて辛いです。あんまり登場しませんが。

そして、この巻から「スケバン刑事」に登場した信楽老みたいなキャラ、モルトヴィッチ(ギュームという名前を使うこともあり、どっちが本名か、両方とも偽名かわからない)というおっさんが登場しまして、ナチス、王党派、共産党と登場する全ての勢力に追われることになりますが、このおっさんの登場はちょっとよくわかりませんでした。ユーゴ王国の金庫番なんですけど、何をしたいのか最後まで意味不明。わりとリアルな物語のなかで、年齢不詳というあたりも浮いているし。

拍手[0回]

カレンダー

01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28

最新CM

(06/14)
無題(返信済)
(05/29)
(04/27)
甘くない態度(返信済)
(04/26)
謹賀新年(返信済)
(01/04)

プロフィール

HN:
たきがは
HP:
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

かうんたあ

脱原発意思表示Webステッカー

バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン