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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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太白山脈 第1巻

趙廷來著。伊學準監修。川村湊校閲。筒井真樹子、安岡明子、神谷丹路、川村亜子共訳。集英社刊。全10巻。

というわけで大本命の「太白山脈(映画化した方)」をやっと読み始めました。来週、藤沢市総合図書館が特別整理で休みなんで急がんとかあか〜ん。

1948年の麗水・順天事件から、全羅南道の地方村落、筏橋から始まる物語。共産党の筏橋の委員長を務める廉相鎮(ヨム=サンジン)、その忠実な部下、河大治(ハ=デチ)、廉相鎮の弟でありながら父親と兄に深い恨みを持ち右翼となった相九(サング)、左右どちらの思想にも肩入れせず民族主義を貫こうとする金範佑(キム=ボム)、筏橋の近くに住む巫堂(ムーダン)素花(ソファ)、金持ちの息子でありながら共産主義に傾倒し秘密党員となった鄭河燮(チョン=ハソプ)といった多彩な人物の視点で朝鮮戦争に至り、分断が固定されるまでを描いた大河小説です。

この巻のサブタイトルは「白い花という名の巫堂」です。素花ちゃんの名前は「白い花」という意味なのです。サブタイトルにふさわしく、子どもの頃に知り合った鄭河燮が素花を訪ねるシーンから開幕です。

昔、林權澤(イム=グォンテク)監督の映画で見て以来、よく筋も登場人物もわかってなかったので原作で読み直したかったのです。同じ民族同士が争う、ただただ悲しい話だったというのしかわからなかったもので。

キャストを見たら金範佑がアン=ソンギさん、廉相九がキム=ガプスさん(「KT」でKCIAの主役だった方)、鄭河燮がシン=ヒョンジュンさん(「銀杏の木のベッド」でファン将軍やった方)と、後で見ていたら、もっとわかったのになぁと思ったりしなくもなく。
しかし、40代のアン=ソンギさんに27歳の金範佑はちょっと無理がないか… いや、わしも好きな俳優さんだけど…

名前の読み方を覚えるのが一苦労ですが、話にのめり込んでしまうと人間関係も含めてするすると頭に入ってきまして、第1巻ながら掴みは十分、どうなるのかは概ねわかってしまっているので、登場人物たちの一喜一憂や活躍、暗躍などを楽しみに読もうと思います。

しかし素花ちゃんを「巫堂でなければ自分のものにしてやるのに」と廉相九が思うシーンでは、すでに鄭河燮を結ばれているだけにばれた時の惨劇が見えるようで辛いですよ。

あと金範佑は「火山島」の李芳根(イ=バングン)を彷彿とさせて(金持ちの息子、心情的には左翼に味方、立場は中立、右翼にも一目置かれる、反日・抗日経験ありと共通項も多く)、主人公に置きやすいのかと思いました。ただ、はっきり主人公だった「火山島」と異なり(話は李芳根と南承之が主人公で交互に変わる)、視点は次々に入れ替わるのですが。

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朝鮮戦争の起源

ブルース=カミングス著。鄭敬謨、林哲共訳。シアレヒム社刊。全2巻。

朝鮮戦争」「朝鮮戦争論」のブルース=カミングス氏の朝鮮戦争関係の著作です。時代的にこれが最初ですか。

日本敗戦前から、なぜ朝鮮戦争が起きたのかを朝鮮に対する国際的な施策などから詳細に描きます。まぁ、これでもかこれでもかと詳しいです。なにしろ初っぱながカイロ会談(1943年)ですから、戦争が終わるまで、朝鮮が解放されるまでまだ2年もかかるのを考えると先は長いのですが、まぁ、日本が無駄に頑張ったせいなんですが、アメリカも日本やドイツの敗北を確信していたのだと思うと、超大国のおごりというか、絶滅収容所でユダヤ人がばんばん殺されていたのを知っていても別に絶滅収容所を爆撃もせず、それよりもドイツを先に敗北させようとか考えちゃったアメリカの慢心とか、そんなものを考えて、暗澹たる気持ちになりました。
あと、カイロ会談の時点で中国の代表が蒋介石だったりするんですが、1949年の敗北を知っていると味わい深い… あ、国共合作で蒋介石が実質的なリーダーだったから、しょうがないのか。

そして、日本の敗北、朝鮮人民共和国の設立、アメリカ軍の占領、右翼の台頭、左翼の敗北と1947年までを詳細に描きますが、あれ、朝鮮戦争は1950年からのはずなんですが… と思ったら、奥付に全5巻と書いてあったのに、借りてきた藤沢市総合図書館には全2巻しかなく、どうやら「朝鮮戦争の起源2」という著作があって、こちらが1947〜1950年を補完してるようです。
道理で済州島四・三事件も麗水・順天の反乱も出ないわけや…

ただ、済州島四・三事件では他では考えられないくらい人が殺されたので、そこにはちょっとだけ触れてますが。

先日読んだ「太白山脈(金達寿著)」の登場人物たちの後史や「火山島」の李芳根たちの前史が垣間見えて、いろいろと切なくなりました。

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エルマーのぼうけんシリーズ

ルース=スタイルス=ガネット著。ルース=クリスマン=ガネット絵。渡辺茂男訳。子どもの本研究会編集。福音館書店刊。全3巻。

小学生のころに読んで、それ以来、大好きな児童文学です。

第1巻「エルマーのぼうけん」
勇敢な少年エルマー=エレベーターが年取った野良猫と知り合い、どうぶつ島に囚われたりゅうの子どもを助けるために知恵を働かせ、機転を利かせて、勇気を示す物語。

エルマーの勇気と冒険に憧れたものですよ。猫のアドバイスを受けて、どうぶつ島にいる、一癖も二癖もある動物たちに対策していくエルマーはとても格好良かったのです。

たとえば、
とらにチューインガムを渡す、
サイに角をぴかぴかに磨くための歯ブラシと歯磨き粉を渡す、
ライオンにブラシとリボンを渡す、
ゴリラののみ取りをするサルに虫眼鏡を渡す、
ワニに棒付きキャンデーを渡す、
と、いちいち表現がユーモラスでたまりません。

欲の皮の突っ張った、これらの動物たちが川を渡るのが面倒なために、ある日、島に落ちてきたりゅうの子ども(後の作でボリスという名前が判明)を捕まえて、渡し船代わりにこき使うという、そもそもの発端も、りゅうの子どもには気の毒ながら、また楽しいのです。

だいたい動物たちがみんなおしゃべりで、クリスマスをお祝いしてとか、「指輪物語」や「ホビット」で蜘蛛から鷲から誰もがおしゃべりして、意志の通じ合った世界を彷彿とさせまして、これもまた楽しい。
クライマックスで、どうぶつ島に侵入したことがばれてしまい、エルマーに騙されていたと知った動物たちが怒り狂って追いかけてきたところ、ワニたちがいたって気まぐれに川を泳ぎ始めるとか、愉快痛快です。

りゅうの色合いがまた、黄色と空色の縞、角と目と足の裏は目の覚めるような赤、羽根は金色と極彩色なカラーなんですけど、挿絵で見るとほどよく青と黄色で鮮やかなのもいいです。

第2巻「エルマーとりゅう」
見事、りゅうの子どもを助け出し、エルマーの住むかれき町に向かおうとするエルマーとりゅうだったが、あらしに遭い、海の浅瀬に不時着する。夜が明けると、そこは小さな島のすぐ近くだった。島に渡ったエルマーとりゅうは、ここでかつてエルマーの母が飼っていたカナリヤのフルートに再会する。ここは人間が住んでいたこともあったが、いまはカナリヤしか住んでいないカナリヤ島だという。しかも島中のカナリヤが知りたがりの病にかかっていた。カナリヤの王カン11世に会ったエルマーはその秘密を解き明かす。それは人間たちが後に島に来る時のために残していった宝箱だったのだ。

「エルマーのぼうけん」と、続編の「エルマーと16ぴきのりゅう」に挟まれてアクションは薄めの中編です。前半は嵐に襲われるエルマーとりゅうなんですが、後半はカナリヤ島に至って、エルマーは宝箱を発掘し、カナリヤたちの知りたがりの病を見事に治すのでした。もっとも子ども向けなんで謎解きはあんまりなくて、結局、人間たちが宝の箱を残していったことを初代のカナリヤ、カン1世は知っていたけれど、その中身がわからなくて11世まで悶々としていたというエピソードがユーモラス満載。ただ、箱は大きいし、けっこう深いところに埋められていたし、重くて、りゅうがやっと持ち上げたくらいなんで、カナリヤたちではやっぱりどうしようもなかった模様。

箱の中身は人間が戻ってきた時に役立つように生活品が多く、
白鑞(しろめ。鉛と錫の合金)の皿、コップ、銀の食器、鉄のフライパン、鉄の鍋、珈琲引き、塩と砂糖、斧、火口箱、野菜の種(南瓜、トウモロコシ、キャベツ、麦、きび)、金時計と鎖、純銀のハーモニカ、金貨
とわりと素朴です。まぁ、子ども向けなんで金銀財宝がざっくざくという展開にはならないのがリアル。

でも、王様から金貨とハーモニカと時計をもらい、お父さんの誕生日に間に合わせるとはエルマーも憎い奴ですな。しかもハーモニカで3曲くらい吹いてるし。いい話です。

第3巻「エルマーと16ぴきのりゅう
「エルマーのぼうけん」「エルマーとりゅう」に続く3部作のラストです。16匹もりゅうが登場して華やかで、ラストに相応しい大団円。

エルマーと別れてりゅうの子どもはとんがり山脈の向こう側、ごびごび砂漠にそびえ立つそらいろ高原の家族のもとを目指す。途中、人間に見つかったりしながら旅を続けるりゅうは、ごびごび砂漠の砂嵐が収まって、人間たちがそらいろ高原にりゅうを見つけたことを知る。しかもりゅうたちは洞窟に追い込まれて入口をふさがれているのだ。りゅうは家族と話してエルマーに助けを求めるため、かれき町に帰る。ねこからりゅうが公園に現れたことを知らされたエルマーは、事情を知ってりゅうたちを助けるための計画を練り、急ぎ、そらいろ高原に向かうのだった。

というわけで故郷に戻ったりゅうが家族の危機を知って、エルマーに助けを求める前半、エルマーとりゅうとねこが相談して、りゅうの家族を助ける後半と緩急のアクセントも見事。
特に16人もの大人が集まっているそらいろ高原で9歳の少年エルマーがどう立ち向かうかはなかなか見事な展開です。

そして、個人的にいちばん好きなのがりゅう、ボリスの家族の華やかな色合いでして、金色の羽根と足の先、角は赤いのですが、全員色が違います。
おとうさんが空色、
おかあさんが黄色(よって、この巻の裏表紙のりゅうは両親)、
女のきょうだいは6匹とも緑色だけど、黄緑から青緑まで様々、
男のきょうだいは7匹いて、みんな空色と黄色なんだけど、
細い縦縞(黄色地に空色の縞)、
ボリスと同じ細い横縞(やはり黄色地に空色の縞)、
空色の上に黄色の水玉、
黄色の上に空色の水玉、
頭と身体と足が一本黄色で、ほかの足は空色、
空色と黄色のぼちぼち、
空色と黄色のぶち、
とまぁ、是非、フルカラーで拝見したかったですよ。アメリカだとフルカラーの絵本とかあるんだろうか…

このりゅうたちがエルマーの指揮で一斉に洞窟を逃げ出すクライマックスは見るからに壮観。

心優しいりゅうたちを、どうかこれ以上傷つけないでほしい。
ラスト、砂嵐に隠されるそらいろ高原に、願わずにいられませんでした。

いつまでも読み返したい名作です。

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死の工場

シェルダン=H=ハリス著。近藤昭二訳。柏書房刊。

副題が「隠蔽された731部隊」とあります。

悪魔の飽食」以上により広範囲に石井四郎とその関係者の罪状を追跡した力作。その分、個々の部隊の扱いは薄く広くになりますが、なにしろやってることがホロコーストにも匹敵する人類への犯罪なので、副題にもあるように隠蔽され、裁かれてこなかっただけにより悪質に思います。ナチスの犯罪が21世紀となった現在も裁かれているのとは対照的に細菌戦に関係する件で裁かれたのはハバロフスク裁判で被告となった人物数名のみだからです。

冷戦まっただなかの時期に敗戦し、いびつな形で生き残った大日本帝国は、ヒロヒトを中心にまだ堂々と我々の社会の中にいるのです。その発現がミドリ十字社による薬害エイズであり、過去の歴史をなかったことにしようとする歴史修正主義者たちの跋扈です。

現在の世界でも稀に見るほど醜い国、日本は、戦後のアメリカが作ったものでもあるのです。

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裁かれた七三一部隊

森村誠一編。晩聲社刊。

家永教科書裁判で731部隊に関する記述が争点となった時に「悪魔の飽食」で著名な森村誠一氏、秦郁彦、江口圭一の2人の歴史学者が呼ばれて証人として話した裁判の記録です。

森村誠一氏と江口圭一氏が原告、つまり家永三郎さんの側、秦郁彦は被告、つまり国の側の証人として証言してます。

内容的には「悪魔の飽食 3部作」を読んだ身としてはそれほど目新しいものはないんですが、まぁ、臭い物には蓋をする、過去の恥部は隠す日本政府の体質がこれほど如実に表れた裁判もなく、また国側の証人として立った秦郁彦の証言のまぁ、わからんちんなこと、形式的なことにこだわる余り、自己矛盾に陥っていることにも気づかぬ阿呆っぷりをさらけ出しておりまして、これが日本という国の先行きかと思うとお先真っ暗にしか見えません。

家永さんの言う「恥ずべき過去を隠蔽することは、恥ずべき過去を持つことよりもさらに恥ずべきことである」は至言です。

それ以上にある高校生の手紙にある「歴史を学ぶことは−どこでなんの条約が結ばれてなんてことはあんまり重要じゃないとおもう。それよりももっと大事なことは普通たった2、3行で終ってしまう中国侵略のこととか、第二次世界大戦における人々の苦しみ悲しみとかだとおもいます。それを学ぶことが軍縮会議よりも核兵器廃絶運動よりも、平和への近道だとおもいます。先人達が自らの命を代償にして示してくれた愚かな行為を知ることが先決ではないでしょうか」も歴史を学ぶべき姿勢だと思います。

しかもこの本、30年以上前の裁判についてです。日本の未来は暗かったのだなぁと思わずにいられませんわい。

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