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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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MIDWAY

星野之宣著。集英社刊。

「2001夜物語」や「ブルーホール」などでおなじみの星野之宣さんの自選短編集です。「宇宙編」ということで宇宙が舞台のSFが8編入ってます。
収録作品は「残像」「星の町」「豊饒の海」「悪魔の星」「鳥の歌いまは絶え」「惑星ファイオリ」「射手座のケンタウロス」「セス・アイボリーの21日」で、「豊饒の海」「悪魔の星」「鳥の歌いまは絶え」は「2001夜物語」に入っていたため、あとの五本が未読でした。

「射手座のケンタウロス」というのが醜悪な落ちで、「デビルマン」のカイムと合体したシレーヌを思い出したんですが、あれほど格好良くないのがまた…。

「惑星ファイオリ」は未読ですが「ベムハンター・ソード」シリーズの1作だそうで、こっちも興味あるのですが、宇宙船の端末っぽい相棒がどう見てもおっぱいにしか見えないんですが…。シリーズの話を読むとわかるんだっけ、これ…。

「星の町」は物悲しい終わりでしたが、マヤ文明などの現代の文化レベルで見ても高度な天文学の知識について、著者ならではの解読がなされていて、こういうSFのエッセンスがおもしろいです。

「悪魔の星」がこのなかではいちばん長いのですが、そういや、最近、冥王星の外側に別の惑星が発見されたというニュースを読んだんですが、まさか魔王星(ルシファー)なんて名付けやしないだろうな…。
反物質は、この後、「2001夜物語」の中では重要なポジションを締めていきます。その端緒となった話で、神父なんだけど科学者でもあるというラモンさんがけっこう良かったわい。

「2001夜物語」も再読するか…

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クジラコンプレックス

石井敦・真田康弘著。東京書籍刊。

副題に「捕鯨裁判の勝者はだれか」とあります。タイトルの「コンプレックス」は、劣等感とよく訳される言葉ですが、本来の意味である複合体としてつけたと解説がありました。だから横文字使うなと言うのだ…

久々に朝鮮戦争から離れた本でしたが、副題のように捕鯨裁判について扱った本でありながら、日本が民主主義国家を標榜しながら、実は官僚制帝国主義だということを書いた本でもありました。

著者は現在の捕鯨論争が、感情的と言われてもおかしくない反捕鯨への反対で動いていることを国際司法裁判所で日本がオーストラリア・ニュージーランドに敗訴した捕鯨裁判を詳細に解説することで浮き彫りにさせていきます。
そして、その病理が官僚が「最も優秀で無謬の政策シンクタンクである」という建前のもとに動いている日本社会にあることを指摘して、民主主義を標榜する国家でありながら、という結論にいたっていくわけです。

日本が主張する「伝統的な捕鯨文化」は連続性がないこととか、目から鱗のドキュメントでした。

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朝鮮戦争 コレクション戦争と文学1

集英社刊。

というわけで「鴉の死」以外も読み終えたので軽く感想です。

収録作品は「眼」(張赫宙(チャン=ヒョクチェ))、「浮標」(北杜夫)、「無人地帯」(日野啓三)、「司書の死」(中野重治)、「黒地の絵」(松本清張)、「孫令監」(金達寿(キム=ダルス)、「痛恨街道」(下村千秋)、「上陸」(田中小実昌)、「車輪の音」(佐多稲子)、「架橋」(小林勝)、「壁の絵」(野呂邦暢)、「奇蹟の市」(佐木隆三)です。あと、詩と短歌と俳句も収録。

なんですが、正直、日本人作家の作品はいくつかの作品を除いて朝鮮戦争が背景になっていたり、登場人物が朝鮮戦争で傷ついたりしてはいますが、メイン・テーマではなく、あんまりおもしろくなかったです。
朝鮮人作家の方がテーマに沿っていたのではないかと思いまして、これは慌ててかき集めてみたけど、こんな数しか集まらなかったので、とりあえず全部入れましたという大人の事情が垣間見えた感じがしました。

あと、日本人作家のは、やっぱりいくつかの作品を除いて朝鮮戦争のそもそもの発端が日本による植民地化にあったという自覚あんのかおらな感じの話ばかりで、それもつまらなかったです。

なんというか、自分の私的体験というか、こんな特異なことがあったという印象にとどまっていて、同じシリーズの「日中戦争」もそうだったんですが日本人の作家は戦争をテーマに小説書けねぇのかなぁとか思った…。

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黄色い本

高野文子著。アフタヌーンKCデラックス。講談社刊。

「黄色い本」「CLOUDY WEDNESDAY」「マヨネーズ」「二の二の六」を収録した短編集。

表題にもなっている「黄色い本」には「ジャック・チボーという名の友人」と副題がついています。
田家実地子(たい みちこ)という名の女子高生が、「チボー家の人々」を読む過程を日常の営みや家族との関わりを描きながら綴った連作短編です。

たきがは、不勉強なので「チボー家の人々」を読んだことがありません。そうでなくても読みたい本がまだまだ溜まっている昨今、第一次世界大戦前後のフランスのブルジョア階級の思考とかはなかなか手が出そうにありません。せめて「太白山脈」読んでからにしたい…。

実地子さんが読書しながら、副題にあるようにジャック・チボーや登場人物たちと革命について話し合ったり、ラスト、彼らに就職を報告したりするような読書というのはいいなぁと思いましたが、何より、労働者っぽいお父さんが、実地子さんに「その本買うか? 好きな本を一生持ってるのもいいもんだと俺は思うがな」と言うシーンが好きです。小説に限らず、本との幸せな出会いとはかくありたいものです。
実地子さんと「チボー家の人々」ほどではありませんが、どれか小説を1作と言われたら、わしは「指輪物語」にするだろうと思います。あの世界に入り込んでフロドやサムと一緒に中つ国を歩いて、終わりが近づいてしまうのがわかって、もったいなくてもったいなくてしょうがないけれど、また読む時のためにラスト、サムの「いま、帰っただよ」という台詞を噛みしめる幸せは、他の小説ではなかなか味わえません。

あと「自分の好きな人を大切にするということはそれ以外の人には冷たくすることになるんでねぇの」とか、独特の切り込み方が高野節といいましょうか。

「マヨネーズ」という話が会社の先輩(ぽい)男性と落ちで結婚したOLの話で、「二の二の六」という話が婚期を逃しちゃったっぽいヘルパーの女性が、また婚期を逃す話という対比もおもしろいなぁと思いました。

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七色いんこ

手塚治虫著。少年チャンピオンコミックス刊。全7巻。

天才役者にして泥棒の七色いんこと、彼を追う羽目になった鳥アレルギーの敏腕刑事・千里万里子とのドタバタを、実際の演劇に乗せて送るピカレスク・ロマン。

素顔を見せず、本音を明かさず、金のためなら、どんな役でも引き受ける七色いんこのキャラクターが痛快です。そういう設定はちょっとブラック・ジャックを彷彿とさせますが、コメディ調が強いのと手塚先生の様々な演劇への憧れとか好きが全面的に描かれていて、問答無用にいんこが格好いいです。

対する千里万里子刑事は射撃の腕前もピカイチ、格闘にも優れる敏腕刑事でしたが、ただひとつ、鳥を見たり、においを嗅いだり、鳴き声を聞いただけでも蕁麻疹を起こしてしまい、幼女の姿になるという弱点があり、そのためにいんこを追い詰め損ねたり、助けられたりとでこぼこなコンビっぷりも愉快です。

途中から準レギュラーとして犬のくせに俳優の素質を持つ玉サブローが登場、最初のうちは煙たがっていたいんこでしたが、次第に飼い主としての自覚を示すようになっていきます。これが、犬ならではの失敗とか、犬なのに名優という性格、しかも酔いどれときて、アクセントを加えてくれます。

第1巻〜第7巻の第2話まで、ずっと実在の舞台(西洋の劇だったり歌舞伎だったり)をタイトルにして、七色いんこと千里刑事のどたばたが続いていた本作でしたが、第3話・終幕で、いんこの真の目的とその生い立ちを語り、この流れが思わずお見事!と手を打つあっぱれさ。

こりゃあ、久々の傑作でした。

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