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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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植物一日一題

牧野富太郎著。青空文庫刊。

わしでも知ってる植物学の大家、牧野富太郎博士が敗戦後にしたためた随筆です。執筆時の博士は御年80歳を越えていたようですが、文体はいたってフランク。「〜なんだ」とか気さくな人柄がうかがえて、真っ暗な植物の話でしたが、かなりおもしろいです。

内容は「馬鈴薯はジャガイモにあらず」といった感じの通説となっているけど、実は間違いという指摘が圧倒的に多く、目から鱗でした。漢字を当てはめるのも何となくやっていたんですが、漢字は中国名であるので本来、中国にない日本固有の植物に使うのはおかしいという論は確かに仰るとおり。

わしのあいぽんちゃんで700ページと長編ですが、けっこう気楽に読めました。

ほんとは趙廷來さんの「アリラン」「漢江」を読みたかったんですが時間がない…。

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太白山脈 第10巻

趙廷來著。伊學準監修。川村湊校閲。筒井真樹子、安岡明子、神谷丹路、川村亜子共訳。集英社刊。全10巻。

サブタイトルは「冬とともに逝った英雄」です。最後の巻なので登場人物の死体が累々というのは覚悟してたんですが、英雄というのは意外な人物でした。討伐軍の冬期攻勢を受けてパルチザンたちが激減していくなか、部下を率いて戦い、生き延びた李泰植(イ=テシク)と河大治(ハ=デジ)が党に英雄認定されるという。で、李泰植の戦死が章と巻のタイトルとなりましたが、それはほかにも亡くなった無数のパルチザンたちの姿でもあるのでしょう。

比重がすっかりパルチザン8:それ以外の人びと2になりまして、意外なことに沈宰模(シム=ジェモ)の最期は描かれませんでした。最前線に送られたので、きっと順徳(スントク)のことを思いながら戦死したんだろうと思います。順徳もアメリカ兵に乱暴された後、行方不明になっちゃったそうなんで、せめて沈宰模と結ばれていれば、まだ良かったろうにと思います。( ´Д⊂ヽ

党の幹部に出世した鄭河燮(チョン=ハソプ)は結局、素花(ソファ)ちゃんのことを思い出すこともなく北へ行きます。そして5年の実刑を喰らった素花ちゃんとドルモル宅の出番はなしです。まぁ、刑務所にいるからどうしようもないっちゃどうしようもないんですが。
そして鄭河燮から言われて金範佑(キム=ボム)は反共捕虜となって故郷に帰り、地下活動をすることが示唆されます。いちばん辛い立場だなぁ… お兄さんの金範俊(キム=ボムジュン)とはついに会えずじまいで、兄が帰郷したことを知って驚くしかできませんでした。でもこれから辛いんだから頑張ってくれ…
そのお兄さんはパルチザンの李海龍(イ=ヘリョン)と行動をともにしていましたが、独立運動時代からの凍傷が悪化して歩けなくなり、最期は李海龍におぶわれて戦死… ( ´Д⊂ヽ

あと、1巻からずーっと安昌民(アン=チャンミン)を慕い続けてきた李知淑(イ=ジスク)先生は党の方針が変わって結婚することができ、偽装転向で里に戻ります。しかし、結局、偽装がばれちゃって逮捕され、一時は死刑を求刑されますが、安昌民のお母さんの奔走で無期懲役に減刑されたそうです。安昌民はそれなりに土地を持っていたのですが、農地改革の時に小作人たちに土地を分けるようにお母さんに言い残して入山し、パルチザンになったので、賄賂を贈るために土地を提供してくれた小作人の人たちのおかげでもあります。情けは人のためならず… 山で廉相鎮(ヨム=サンジン)から顛末を聞いた河大治に、廉相鎮が安昌民と李知淑のこれからの戦いを説く姿が印象的でした。
河大治の子どもたちはドルモル宅のお母さんに引き取られますが、快活な少年だった長男の吉男(キルナム)がアカの子どもだとさんざんいじめられてすっかりいじけちゃったという描写がまた辛い… ( ´Д⊂ヽ 弟思いのいい子だったのに…
そこに警察を辞職させられた李根述(イ=グンスル)が徐民永(ソ=ミニョン)の夜学に教師として勤めることになり、吉男たちを訪ねて夜学に誘います。おっちゃんええ人やぁ…

そしてこの多彩な登場人物たちのなかでも主人公格だったと思われる廉相鎮も戦死します。
休戦協定を受けて、党はパルチザンたちに歴史闘争に転換するよう命じるのです。それは歴史に残るために戦って死んでいくというもので、もはや隠れる意味もないのかと… ( ´Д⊂ヽ まぁ、軍による二度の大攻勢により、パルチザンたちは激減(1回目で半減、2回目でも半減したので1/4以下になってる)してしまった上、さらに警察による攻勢もあり、敵の武器は良くなり、こちらは武器の供給もなく、食糧も補給されずと本当に限界まで追い詰められてしまったせいもあるのですが、死んじゃうしかないのかと… それが人民の心に残り、またいつか立ち上がらせる力を生み出すのだと… 言われても、わしは納得できなさそうです。
でもパルチザンたちは党のために死んでいく。その壮絶な最期に目が離せませんでした。
廉相鎮は部下とともに手榴弾で自決するのですが、その首をとられ、筏橋(ボルギョ)にさらされます。これをお母さんの虎山(ホサン)宅と女房の竹山(チュクサン)宅が取り戻そうとし、警察が止めようとするのをあれだけ兄のことを憎んでいた廉相九(ヨム=サング)が加勢するという展開は予想してませんでした。ただ、廉相九にしてみれば、今の大韓民国に乗って成功していく自分とパルチザンとして死んだ兄とを比較した時に明らかに自分=勝ち組、兄=負け組と思ってそうなんで、その余裕もあって「死んだアカはアカじゃねぇ」という台詞も出てきたのかと思います。あるいはさんざんパルチザンとして軍や警察を翻弄した兄を見直したのか…
そして、パルチザンたちが何かするたびに警察に捕まり、過酷な取り調べを受け、そのたびに激しく夫を憎むようなことを言い、警察官に噛みつき、自分に鞭打つようなキャラクターだった竹山宅が廉相鎮の首を抱えて号泣するというシーンは愛憎とか、そういうものを越えた夫婦の繋がりとか、そんな陳腐な表現しか出てきませんでしたが、そんなことを思わせました。( ´Д⊂ヽ

孫承旻(ソン=スンホ)も偽装転向で山を下りる途中で殺されてしまいました。最後まで廉相鎮と再会しなかったなぁ。まぁ、孫承旻がさんざん思ってるように再会させたら陳腐なシーンになっちゃうし。

そして、最後まで生き延びた河大治が廉相鎮の墓参りをして、さらなる闘争を誓って去っていくシーンで締め。河大治と一緒に行動していた外西(ウェソ)宅も死んだシーンは描かれていないので一緒に行動しているのでしょう。すっかりたくましいパルチザンになってよぅ… 河大治が最後まで生き延びたのはさんざん書いてますが「七人の侍」で農民たちに「走って走って走りまくれ」と言って自分も生き延びた七郎次を思い出しました。河大治も、「通常の人間の3倍速い」と言われたパルチザンたちのなかでも特に速いと言われてたんで頑張ったんだなと。

時代的には全然別なんですが、南北の兵士たちの交流と悲劇を描いた「JSA」のB.G.Mが頭の中で流れてました。特に「忘れ去られた人々」とか。そして「忘れ去られた人々」がロシア民謡(原題「Luchinushka」)だといまさら知って驚くわし。ガ━━━(゚Д゚;)━( ゚Д)━(  ゚)━(   )━(゚;  )━(Д゚; )━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!
YouTubeで聞けるんで貼っときますね。↓



というわけで「太白山脈」も終わりです。

この話で日本人であるわしが泣いちゃうのは感傷に過ぎないのだと思うのですが、やっぱり泣いちゃいました。特に釜の蓋と廉相鎮の首を取り返すところとか。
読み始めた時はここまで壮大な物語だとは思ってませんでした。単に映画の補完をするつもりだったのが、あの映画で描かれたのはこの小説の半分に過ぎないとわかって、やっぱり最後まで描かないとこの物語のテーマは伝わらないだろうなぁと思います。むしろ大河ドラマ(NHKじゃないよ!)とかでやってほしい。
風景の描写とかも素晴らしく、人物の造型も様々でまさしく大河小説の名にふさわしい壮大なエンタテイメントであり、日本とアメリカの罪業を深く抉る小説でもあり、久しぶりに読んだ傑作でありました。

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太白山脈 第9巻

趙廷來著。伊學準監修。川村湊校閲。筒井真樹子、安岡明子、神谷丹路、川村亜子共訳。集英社刊。全10巻。

サブタイトルは「奪われ行く解放区」です。1951年7月から休戦協定が始まりますが、最前線の38度線はもとより、南に残ったパルチザンたちもアメリカの武器を携えた討伐軍の投入により、だんだん解放区を奪われていきます。

と同時に名のあるパルチザンたちも次々に戦死していき、ページをめくるのが辛い展開が続きます。特に孫承旻(ソン=スンホ)に字を教わり、自身はパルチザンの経験を伝えていく通称、釜の蓋という旧パルチザン(戦争前からパルチザン闘争をしている者をこう呼んでいまして、歴戦の闘士ばかりです)の死はひときわ印象深いものでした。ていうか、たきがははつくづく、こういう縁の下の力持ち的なポジションに弱いです。

一方、人民軍に入ったものの、捕虜となった金範佑(キム=ボム)は巨済島(コジェド)の捕虜収容所で鄭河燮(チョン=ハソプ)と再会します。そういや鄭河燮は置いてきた素花(ソファ)ちゃんが男の子を産み落としたことも知らないままなんだなぁと思うと…( ´Д⊂ヽ
ちなみにお兄ちゃんの金範俊(キム=ボムジュン)は廉相鎮(ヨム=サンジン)と一緒に行動中です。北の兵士だったけど南の人だから、このまま、ここに残ることを選んだのでしょうか。

巨済島といったら「黒水仙」という映画を思い出すくらいには映画マニアなわし…

また廉相九(ヨム=サング)は金持ちの娘と結婚、つまり逆玉の輿に乗り、筏橋の名士としてふんぞり返ってますが、性格がチンピラなもんで、横暴なのは変わりません。あと、兄弟の板挟みになって苦しむお母さん、虎山(ホサン)宅にも嫁がつれないもので冷たいし、人でなしやおまい…

そして李鶴松(イ=ハクスン)の「解放日報」での同僚だった金美善(キム=ミソン)さんは子どものためにソウルに残りましたが逮捕されてしまい、死刑を宣告されます。しかも、親日派の経歴を持つ作家から転向の文書を書けば死刑を免れられると脅されて承諾、これが400字詰め原稿用紙で1000枚ってんだから、どんな長編書けというのだ… いずれ出版されて反共に利用されるのかと思うと彼女も辛い立場です。子どもがいたら辛いし、行方不明な李鶴松も辛いだろうし、どっちに転んでも辛いという…

徐民永(ソ=ミニョン)は無事でしたが、そういや、彼が当選させた安昌倍(アン=チャンベ)は議員なのに特高そっくりな特務に拷問を受けてます。

智異山(チリサン)にパルチザンたちが集結したところでいよいよ最終巻です。

「太白山脈」でググっても見つけられなかったんですが「筏橋」で検索したら太白山脈文学館というサイトが見つかったんでリンクしときますね〜
そして、「太白山脈」と合わせて「アリラン」「漢江」で三部作となっていたことを知ってショックでかぞう…orz 「アリラン」といったら、廉相鎮が作中で歌うシーンが印象深かったんですが、河大治(ハ=デジ)たちの続編かなぁ… 時系列的には「アリラン」「太白山脈」「漢江」だそうなんですが。

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太白山脈 第8巻

趙廷來著。伊學準監修。川村湊校閲。筒井真樹子、安岡明子、神谷丹路、川村亜子共訳。集英社刊。全10巻。

サブタイトルは「骸骨の隊列」です。食糧事情の厳しいパルチザンのことかと思っていたらさにあらず。徴兵された新兵たちが必要な食事も与えられず、泊まるところもなく、戦場から戦場へ歩く様を描写したものでした。

中共軍の参戦と厳しい冬が来て、戦線は再び人民解放軍に有利になりますが、これが一時的なものであることはみんなわかってます。
その中で金範佑(キム=ボム)がアメリカ軍を脱走して人民解放軍に加わり、孫承旻(ソン=スンホ)がパルチザンとして経験を積んでいきます。1巻の頃には考えられなかった変貌ぶりです。
その一方で素花(ソファ)と河大治(ハ=デジ)の女房のドルモル宅は里に下り、筏橋には行かずに後方支援に働きますが、廉相九(ヨム=サング)の手先に発見され、逮捕されてしまいます。
また、満州まで行った李鶴松(イ=ハクスン)ら、「解放日報」の記者たちは人民解放軍がソウルを奪還したのでソウルに戻ってきますが、李鶴松の家族は行方不明となってしまっていました。そうそう、李鶴松は満州で鄭河燮(チョン=ハソプ)と出会いました。そういや平壌に行かされてたなぁ。こういう、別々に活動していた登場人物たちが出会うのは大河小説ならではの醍醐味ですね。
沈宰模(シム=ジェモ)は相変わらず不正を嫌う潔癖さで新兵の教育だったのがまた前線に送られたりしてます。彼を慕う順徳(スントク)という娘は彼を追いかけていった丹陽(タニャン)で待ちわびていますが、米兵の横暴さに巻き込まれそうになったりと大変です。

この巻では独立運動に加わった長男、範俊(ボムジュン)や学徒兵として出陣した次男、範佑を温かく、広い眼差しで見守ってきた筏橋(ボルギョ)唯一の心ある地主だった父、金思鏞(キム=サヨン)が亡くなり、廉相鎮(ヨム=サンジン)は範俊とともに遠くから野辺送りを見守るのでした。

そしてパルチザンたちに回帰熱が流行り、大勢の人が亡くなりますが、これは米軍が病原菌を撒いたのではないかと疑われてます。まぁ、やるでしょう。なにしろ米軍には731部隊の幹部をその情報と引き換えに戦犯にしないという取引を行った罪状がありますからね。回帰熱には孫承旻や筏橋の小作人だった金福東(キム=ボクトン)らがかかってしまいます。

1953年の休戦に向けて、粛々と広げた風呂敷を畳んでいく著者の手腕が見事です。

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太白山脈 第7巻

趙廷來著。伊學準監修。川村湊校閲。筒井真樹子、安岡明子、神谷丹路、川村亜子共訳。集英社刊。全10巻。

サブタイトルは「鴨緑江の苦い水」です。釜山(プサン)まで国軍を追い詰めた人民軍でしたが3ヶ月後、仁川(インチョン)への上陸作戦からアメリカの反撃が始まり、爆撃機による絨毯爆撃の効果もあって退却していくことになります。鴨緑江(アムノクガン)は朝鮮と中国(旧満州)との国境を流れる河で、人民軍はそこまで退却させられたのです。ただ、廉相鎮(ヨム=サンジン)たちはまた山に籠もるようになり、遊撃に戻ります。この巻で語られるのは人民軍の解放と挫折という感じで、ラストでは中国の人民解放軍が参戦してきます。

金範佑(キム=ボム)は途中まで共産党にも属さず、逃げ出しもせずでソウルにいますが、立場をはっきりしなくちゃいけなくなってきて、故郷に帰ろうとします。しかし、彼はアメリカ軍の反撃を予想しており、最終的にはアメリカに捕らえられて、通訳として働かされています。
彼の兄、金範俊(キム=ボムジュン)は満州で独立運動に携わっていましたが、人民軍の将校となって故郷に凱旋します。

廉相鎮たち共産党は農地改革を実施したりしましたが、納税前の調査でケチをつけてしまい、小作人たちに「強欲な日本人どもでさえしなかった」と言われるような米の粒まで数える公平さでそっぽを向かれて、アメリカ軍の反撃が始まって、退却することになります。なかなかうまくいかないものです。そこら辺の理由とか、小作人たちの心情とか、共産党がそういう策を取った理由とか、どちらの側からも書かれているんですが、難しいです。

そして、共産党の女性同盟とか青年同盟に加入した人たちが右翼の報復を恐れてともに山に籠もるようになり、その数はどっと増えました。外西(ウェソ)宅もパルチザンになって山ごもりだし、素花(ソファ)ちゃんも李知淑(イ=ジスク)先生も山へ。河大治(ハ=デジ)も夫婦揃って山へ。両親を恋しがる息子たちの様子が切ないです。
徐民永(ソ=ミニョン)はどうしたんだろう、そう言えば…。

朝鮮戦争は中国軍が加わってから、さらに3年ほど続くのですが、登場人物たちの運命はまだ二転三転しそうです。

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