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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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LICHT-リヒト-

明著。GANMA掲載。

タイトルはこの世界の言葉で「光」って意味です。

ヨーロッパ風の世界を舞台に、癒者(ゆじゃ)を目指す少女ティナの成長を描いた熱血医療漫画です。完結してるので今から読んでも大丈夫! ファンタジーでは治療というと魔法の領分だったりしますが、この漫画、医者が別にいて、けっこう高度な手術もやるし、工場もあるのでそれなりに文明は高かったりします。癒術師というのは医者とは違った治療の技術を持った専門職で、ティナがそれを志し、そのための学校に通い、いろいろな人と出会い、成長していく過程を丁寧に熱く綴った漫画でして、まぁ、何度、涙を絞られたかわからないほどの熱い展開でした。

しかも登場人物が主人公のティナを始め、その姉で検事、癒者嫌いのララ、亡くなったティナの両親、ティナの同級生のアルとマルケ、先輩たち、患者さんたち、大先輩たちに加えて、登場時は悪役っぽかったのに、実は誰よりも熱い情熱の持ち主で実はティナの父とも知り合いで、ティナを導く役割も果たす医師のユリウスがティナを喰っちゃうぐらいの存在感を発揮してまして、最後まで目が離せないのです。

わしはティナのお姉さんのララが好きで、第1話から読み始めた時に、ティナが癒者になるのは反対しているけど、でもティナは癒者になろうとするから、一緒に行く辺りから、もうほんとにツボで、そのララがどうして癒者嫌いになったのか、父の冤罪を晴らそうとして戦う姿とか、思わぬところで警護団の団長さんと恋に落ちちゃう話とか、姉妹にとって同郷の幼なじみで、ティナにとっては大先輩にも当たるサクラちゃん(が、これまた飛ぶチーターを乗りこなしてて、格好いい)が来るのに顔をしかめたりとか、ララのエピソードが全部好きでした。なので次に好きなのはサクラちゃんだったりします。

そして、医療物だと忘れてはならないのは患者さんですが、お年寄りのジルバさんのエピソードが最初から最期(最後の間違いにあらず)まで涙腺を刺激しまくりまして、良かったのでした。

世界観もしっかりしているので、是非、同じ世界で別の漫画描いてくれないかな〜とGANMAで復活をいちばん待ってる漫画家さんです。

スマホのアプリでも読めますが、たぶん、Webでもいけるはず。

近年稀に見る感動大作。

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人情裏長屋

山本周五郎著。新潮文庫刊。

長屋物、滑稽物を多く集めた短編集です。

表題作のほか、「おもかげ抄」「三年目」「風流化物屋敷」「泥棒と若殿」「長屋天一坊」「ゆうれい貸屋」「雪の上の霜」「秋の駕籠」に加え、現代物2本の「豹」「麦藁帽子」を収録。

うち「豹」は再び女は怖いよな話。
「麦藁帽子」は、舞台は現代ですが、話的には長屋物っぽい人情物です。

「風流化物屋敷」「長屋天一坊」「ゆうれい貸屋」「秋の駕籠」は滑稽物ですが、「ゆうれい貸屋」がおもしろかったです。幽霊と夫婦になっちゃったぐうたら者が幽霊の祟りを恐れて改心しちゃう話。

「おもかげ抄」「三年目」「人情裏長屋」「泥棒と若殿」「雪の上の霜」は人情物で、特に一度は幽閉の憂き目にあった廃墟に蟄居させられた若殿が、ひょんなことで忍び込んできた泥棒の人情に触れ、このまま侍を辞めようとしつつ、家臣に請われて殿様に復活するという展開が侍と庶民の違いの描き方がなかなか。
「雪の上の霜」は、黒澤監督がアイデアを温めていたけど映画化に至らなかった、お人好しの侍の話「雨上がる」の続編らしいのですが、まだ読んでません。

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深川安楽亭

山本周五郎著。新潮文庫刊。

ナイトキャップに山本周五郎さんの小説を読むという贅沢。

時代物を集めた短編集です。ナイトキャップなんで短編集のが良いのです。

表題作の他、「内蔵允留守」「蜜柑」「おかよ」「水の下の石」「上野介正信」「真説吝嗇記」「百足ちがい」「四人囃し」「あすなろう」「十八条乙」「枡落し」の12編を収録。

武家物が「内蔵允留守」「蜜柑」「水の下の石」「上野介正信」「真説吝嗇記」「百足ちがい」「十八条乙」。
下町物が「おかよ」「四人囃し」「深川安楽亭」「あすなろう」「枡落し」です。

また滑稽物が「真説吝嗇記」「百足ちがい」で、あとはわりとシリアスで、年代的には戦中のものから著者最後の完結作「枡落し」までとバラエティに富んでます。

わしが好きなのは「上野介正信」で、上野介正信は狂言回しの茂助が仕える殿様なんですが、武家の退廃を目にして反乱を起こした上野介正信は、精神に異常を来したために蟄居とされ、やがて20年後に自殺したところに茂助が訪ねていくという短い話なんですが、茂助と上野介正信の心のふれあいと、最後に殿様が「美味い」と言った干し柿を墓前に供えるという筋立てがなかなか良かったです。こういう忠節物は弱いわしだった。

あと、わりと悪人というか、事情ありの人たちが主役の話が多くて、1話ずつ大事に読みました。いや、ほんとに山本周五郎さんはいいです。
ただ、なぜか映像にするとあんまり良さが出てないので、トールキン教授が仰った「心に描いた不思議なイメージを視覚的に表現するのはかんたんすぎる。手が先走って心に勝ったりするのである」ていうのに近いのかなと思います。

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町奉行日記

山本周五郎著。新潮文庫刊。

表題作のほか、「土佐の国柱」「晩秋」「金五十両」「落ち梅記」「寒橋」「わたくしです物語」「修業奇譚」「法師川八景」「霜柱」を収めた短編集です。

相変わらず周五郎さんの多作が楽しめる一冊ですが、時代物でかためてあります。

「晩秋」は、「血笑鴉」にそっくり同じ話があって、どっちが先なのかと思いました。女性が敵討ちをしようとするとか、シチュエーションも同じ。

「土佐国柱」「法師川八景」「落ち梅記」「霜柱」が武士は辛いよなシリアスな展開。
表題作の「町奉行日記」「わたくしです物語」「修業奇譚」は滑稽物。
「金五十両」「寒橋」は市井の人情物です。

「町奉行日記」の新任の町奉行が鮮やかに問題を解決するところなんかがおもしろかったです。しかしシリアスもまた味わいがあります。

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花も刀も

山本周五郎著。新潮文庫刊。

表題作のほか、「落武者日記」「若殿女難記」「古い樫木」「枕を三度たたいた」「源蔵ヶ原」「溜息の部屋」「正体」と全8編の中編、短編を収録してます。

「落武者日記」と「若殿女難記」がおもしろかったです。

「落武者日記」は、関ヶ原の合戦で敗れた石田三成に仕える武将が逃亡の最中に徳川家康に捕まって、三成の居場所を吐かされそうになるけれど、はったりで逃れたという話で、老獪な家康像なんだけど、ちょっとテレビでさんざん描かれてる狸親父との違うのがけっこう新鮮でした。
「若殿女難記」は、若殿をそっくりの無法者と入れ替え、お家乗っ取りを企む家臣の裏をかいた若殿の話で、痛快な展開でした。
「古い樫木」は、老いた福島正則の話で、密通の罪を咎めた男女と、亡き家康と「七代先まで安泰」の約束があるのに領地取りつぶしに遭う正則の姿を、今にも枯れそうな樫木に託して書いた話で、取りつぶしの上意を知らされた正則を諫める妻女の台詞がなかなか良かったです。
標題の「花も刀も」は、平手深喜(御酒とも)の苦い青春記だったんですが、平手の独善的なキャラクターがあんまり共感できず。
「枕を三度たたいた」はちょっとサスペンスで、退陣をささやかれる家老の命で大金3000両を運ぶ仕事を言いつけられた主人公が、自分は汚名を着てまで物事を穏便に運ぼうとする苦心ぷりが「武士は辛いよ」とでも言いたい感じで、ここまで五作ともそんな話でした。
「源蔵ヶ原」は1人の女性に思いを寄せた6人の男たちの密室劇で、サスペンスな展開。当の女性が身投げをし、その真相を追ってく話。
「溜息の部屋」は珍しく現代物で、さびれた映画館(といっても弁士とかいるので無声映画らしい)に集まった男たちのなかに若い女性歌手が混じったことで男たちは生気を取り戻すも、彼女が喀血して離れてしまい、また元の鞘に戻ったというわびしい話。
「正体」は、これまた現代物。亡くなった友人の画家のために神戸に行った主人公が、画家の残した妻の絵を見せられ、画家が描こうとしたのは妻の「正体」だったけど、それは彼が失敗だと言った絵の中にあり、その正体を自分は知っているという、不倫落ち。

多彩な読後感を堪能できる一冊です。

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