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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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審判

フランツ=カフカ著。原田義人訳。青空文庫刊。

何の罪で逮捕されたのかわからない男、ヨーゼフ=Kが、込み入った裁判制度とか、そこに携わる人びとや親戚に振り回され、女性に気を取られているうちに最後は心臓をえぐり出されて処刑されてしまう話。

「変身」より、もっと嫌な展開でした。「不条理小説」として名高いらしいんですが、実際の事件も巻き込まれた人はこんな感じなのかもしれないと思った辺りが読ませる由縁かも。ただ、弁護士と縁を切ろうとした章が半端で終わっていたりして、カフカの死後に発表された未完の小説だったようです。

ただ、その割にはKがあんまり自分の裁判に熱心なんだか無関心なんだか中途半端な気がしましたが、本筋から離れて女性と乳繰り合う(まぁ、お下劣)主人公という展開は今読んでる「城」でも似たようなところがあるのでカフカの特徴なのかもしれません。

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変身

フランツ=カフカ著。原田義人訳。青空文庫刊。

ある朝、目覚めたら1匹の虫になってしまっていたグレゴール=ザムザの物語だったのは知っていたんですが、手塚先生にリスペクトしたっぽい短編(タイトルが同じだと思っていたら「ザムザ復活」だった)がありまして、その比較にどんなものかと思って読んでみました。

ら、最後、虫にさせられた(手塚先生のは人為的)男が虫として復讐を果たして去っていくのに対し、本家の方はずっと自分の部屋に籠もりきりで死んでしまうという落ちでした。あらあら。

その後、カフカの他の作品があったので読んでみたんですが、長編の「審判」というのがこれまた理不尽な展開で、今読んでる「城」というのも似たような落ちになりそうで、カフカって全般、こんな感じなのかなぁと思った次第。あんまり共感はしないかも。

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日日平安

山本周五郎著。新潮文庫刊。

椿三十郎」の原案(原作ではない)「日日平安」のほか10作を収めた短編集です。収録作は「城中の霜」「水戸梅譜」「嘘ァつかねえ」「しじみ河岸」「ほたる放生」「末っ子」「橋の下」「屏風はたたまれた」「若き日の摂津守」「失蝶記」で、うち「城中の霜」「水戸梅譜」「日日平安」「しじみ河岸」「末っ子」「橋の下」「屏風はたたまれた」「若き日の摂津守」「失蝶記」が武家物、「嘘ァつかねえ」が下町物、「ほたる放生」が岡場所物と、馴染みのジャンルですね。「日日平安」と「末っ子」は滑稽物、「屏風はたたまれた」は不思議物でもあります。
そう言えば、2017年は没後50年なんですが、著作権切れたんでしょうか?

「ほたる放生」の、たちの悪い男にまとわりつかれてしまい、流れ流れて、とうとう潮来にまで行くことになった遊女の話がしみじみとした風情で良かったです。ただ、最後は、そんなヒロインに思いを寄せる男が情夫を殺すというアンハッピーエンドなんですが。

武家物は全般シリアス物で、武士は辛いよが多かったです。特に「水戸梅譜」と「若き日の摂津守」は為政者の苦労という感じで、「水戸梅譜」は珍しく水戸光圀が描かれたりしてます。

「嘘ァつかねえ」は下町物ですが、恐妻家の男の話というのがちょっと珍しいかも。

好きな作は「樅ノ木は残った」と「さぶ」と長編が多い周五郎さんですが、短編の隙のなさは相変わらずの完成度ですね。

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強制収容所グーゼンの日記

アルド=カルピ著。川本英明訳。創元社刊。

副題が「ホロコーストから生還した画家の記録」とあるように著者のカルピ氏は画家です。そのため、途中に58点ほどの絵やスケッチが挿入されている(あと1点は一家の写真と、カルピ氏の復帰を願う署名)のが特徴的ですが、何より貴重なのは、この記録がリアルに書かれたものだったという点でしょう。わしも「夜と霧」を始めとして、ホロコーストの生還者の記録はいろいろと読みましたが、どれも帰ってきてから書かれたもので、収容所内で書かれた記録ではないのです。もちろんナチスが許したはずはありません。
見つかれば命を落とす、そういうところで書かれたというのが貴重なのですが、それもこれもカルピ氏がイタリア人の政治犯で、画家としてほかの収容者に比べて特権的な地位を得られたという幸運があるからにほかなりません。つまり、ユダヤ人の収容者にはそんな機会さえ与えられなかったというのは他のホロコーストものに比べて区別されていいと思いました。捕まった時にすでに50代だったカルピ氏がユダヤ人だったならば、たとえ画家としての才能を見せたところで生き延びる確率はかなり低かったであろうと思われるからです。

あと、全編を貫くのが神への信仰を語る敬虔な信者としての姿であり、繰り返し繰り返し語られるのは少々くどかったです。まぁ、しょうがない。

ちなみにグーゼンはマウトハウゼン強制収容所の付属収容所でオーストリアにありました。

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ロボット

カレル=チャペック著。千野栄一訳。岩波文庫刊。

「ロボット」という言葉を世に出したチャペックさんのSFの古典的戯曲です。

原題は「R.U.R.」といいまして、「ロッスムのユニバーサル・ロボット」の略です。

ロッスム社が造り出したロボットが世界中の労働を代替わりするようになり、ロボットたちが反乱を起こして人間たちをただ一人を残して滅ぼすも、今度はロボットの設計図も失われていたためにロボットたちが危機に陥り、最後は感情がないと思われていたロボット同士の恋愛が芽生えていたことで未来に希望を繋いで終わってます。
いやいや、全ての「ロボット(というか人間以外)の反乱」のような話って全部、これの焼き直しなんだなと思いました(暴言)。この時点で再製作が宣伝されてる「ブレードランナー」とかも含めて、全部、基本的なスタイルはこの話に詰まっているのだなぁと思います。
そういう意味では先日読んだ、同じチャペックさんの「山椒魚戦争」も同じテーマなんだと。ただ、あちらではあんまり未来に希望は感じられない終わり方だったのがより進んでいると言いますか。

作中、挿絵ならぬ写真が挿入されてますが、プラハ国民劇場での初演時に、それぞれの役を演じた俳優さんたちだそうです。

今の時代にもなお色あせない傑作です。

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