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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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火夫

フランツ=カフカ著。原田義人訳。青空文庫刊。

一応完結していた短編。

年上の女中をはらましてしまったために両親に勘当されたカルルという若者がアメリカに向かう移民船から下りる直前に出会った火夫との出逢いと、火夫の主張、アメリカの上院議員の甥だったために運命が一転するカルルの貧しい火夫への思いと別れなどを綴った話。

審判」とか「」とかに比べると落ちがちゃんとついていて、話としてもまとまっているだけ、ずっとましでした。
しかし、トランクを盗まれたかと思っていた貧しい青年が実は上院議員の甥だったために好転するという展開の不条理さはやっぱりカフカなんでしょう。

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フランツ=カフカ著。原田義人訳。青空文庫刊。

またしても未完のカフカの長編です。というか、この人、完成している作品のが少ないんじゃないかと思えてきました。

城が支配する閉鎖的な田舎に行った土地測量技師のKが、仕事も始められないままにその土地独特の風習に翻弄され、例によって女性とだらだらしゃべっている話でした。

招聘されて行ったはずなのに、村長には「断った」と言われ、何の仕事もしてないのに直接の上司(しかし顔を見ることもできないという不合理さ)に「よくやった」と褒められ、一晩だけのゆきずりの女と婚約し(でもふられ)、役に立つんだか立たないんだかわからぬ助手を押しつけられ、でもタイトルの城には決して行かず(半分は行けず)、雪の降る、いかにも寒々しい村のなかで振り回される主人公は「審判」と似てなくもありませんでした(本題外れて女が長話というあたりも)。
ただ、途中の過程はすっ飛ばしても一応、主人公の死という形で決着をつけた「審判」と異なり、この話、どこが決着点なんだかわからぬだらだらぶりで、とりあえずカフカは全部落としてみたけど、もういいやというのが正直なところです。

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もの食う人びと(コミック版)

辺見庸原作。石坂啓、柳澤一明、佐藤智一、関谷巌、角山圭、堀口純男、佐藤久文画。集英社刊。

辺見庸さんのドキュメンタリー「もの食う人びと」の漫画化です。実は未読のままなので、次に借りてみよう。

カバーが石坂啓さんで微笑む女性のワンポイントですが、この絵は本編を読むと彼女が歩まされた壮絶な人生とともに胸に迫るものがあります。そういう意味ではこの女性の登場までが長い気がしましたが、別に長編ではなくて11の短編集です。

それぞれ、別の国が舞台で、食に乗せて描く、それぞれの国の現代の事情や歴史だったりします。
それらの国はバングラデシュ、フィリピン(ただし話は旧日本軍)、ドイツ、ロシア、ウガンダ、ベトナム、ウクライナ、ソマリア、クロアチア、ロシア、韓国と多岐に亘っており、辺見庸さんの関心の多さをうかがわせます。
切り口はバングラデシュ、フィリピン、ロシア、ウガンダ、ベトナム、ウクライナ、ロシア、韓国が日本人のジャーナリストだったりカメラマンを主役に舞台となっている国を旅をさせ、現地の人たちとともに食事をすることでその国の事情や歴史を知るパターンと、ドイツ、ソマリアがそういう傍観者は登場せず、現地の人たち自身を主役に紹介するようなパターンとに分かれてました。そこら辺は世界の辺境を舞台に日本からのはみ出し者たちが語り部となって物語を進める故・船戸与一さんの手法に似た感じがします。クロアチアはどちらかというと前者のパターンですが、主役は日本人ではなくて国連の平和維持軍の名前からしたらアメリカ人ぽいです。

フィリピンを舞台にした話が旧日本軍の食人を扱っているように韓国は従軍慰安婦だった女性の話で、わし個人の関心からいったら、やはりこの話がいちばん良かったです。まぁ、女性に理解のない若い日本人という切り口はそろそろうんざりしてきましたが、掲載誌がヤングジャンプだったので、よく載せたなと思うとともに読者にいちばん近いという点ではしょうがないのだろうなと。
ただ、ドイツのネオナチと移民、ロシアの北方領土、ウガンダのエイズ、ベトナムのフォー、ウクライナとチェルノブイリ原発(もちろん事故も)、ソマリアの内戦、クロアチアのユーゴ内戦、ロシアの貧困と、テーマは北方領土とベトナム以外はどれも重く、やっぱり原作も読んでみないとな~と思いました。
個人的にはウクライナは本橋成一さんの傑作ドキュメンタリー映画「ナージャの村」シリーズがあるので付け足し感が否めませんが。

ベトナムはベトナム戦争があったという点では負けず劣らずの重さなんですけど、戦争が今でもベトナムの人びとに落とす影という側面はありつつも、ハノイとホーチミンを結ぶ長距離列車に無賃乗車をしてサトウキビを売って、夢だったフォーの店を開くチャンというベトナム人の若者の姿とかが例外的に清々しかったです。

あと、北方領土は、わしは別に「北方領土返還」とか叫ぶ気はない人なので(大元を言ったら、日本の領土ではなくアイヌの領土だから)そこにゴボウを捜しに行った自称カメラマンの話は軽かったですね。さらにゴボウを捕虜に食わせて処刑になった日本軍人の話は眉唾らしいので載せない方が良かったと思いました。
それ以外はおおむね良作。

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昆虫惑星

横山光輝著。講談社漫画文庫刊。

表題作のほかに「ポイント4」「宇宙船マゼラン」「91衛星SOS!!」を収録したSF短編集です。

「ポイント4」は超能力とバミューダ海域のような謎めいた海域での事件をかみ合わせた話。
「昆虫惑星」は「猿の惑星」の昆虫版とか言ったらネタバレもいいところ。
「宇宙船マゼラン」は謎の敵に核攻撃を受け続ける地球から出航したマゼラン号の冒険なんですが、これだけのスケールの話を短編に収めちゃうのが横山先生のすごいところ。
「91衛星SOS!!」は未知の惑星を巡る人工衛星についての話です。

相変わらず女性の登場人物が限られてしまう横山先生、「昆虫惑星」に唯一登場しますが、素顔が出ると微妙…

そしてSF漫画なのに巻末には時代漫画のリストが掲載されてまして、そういえば、講談社漫画文庫でいっぱい出てたなと思い、でも、そこに「三国志」とか「水滸伝」とか入れちゃうのはどうなのかとひとしきり。
ところで「長征」というのはまさか中国共産党のあれですかね? 「恋と十手とお銀ちゃん」もそうだけど、すごく気になる…

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艶書

山本周五郎著。新潮文庫刊。

戦前の著作を集めた短編集です。

表題作のほかに「だだら団兵衛」「槍術年代記」「本所霙河岸」「金作行状記」「憎いあん畜生」「城を守る者」「五月雨日記」「宵闇の義賊」「可笑記」「花咲かぬリラ」の11編を収録。うち、「可笑記」が半分エッセイっぽく、「花咲かぬリラ」が現代物で、それ以外は時代物です。

表題作の「艶書」は前に読んだ話に同じようなテーマのがありましたが、同じテーマを何度も練り直すというのが周五郎さんの特徴のひとつで、その最初の一編のようです。
「宵闇の義賊」はご存じ、鼠小僧次郎吉が主題ですが、義賊なんてものはないとする周五郎さん的には偽善者として描かれるので世間一般の評価とは雲泥の違いです。同じ鼠小僧次郎吉を芥川龍之介も書いたそうなので比較のために読んでみたいところですが青空文庫に入っていたかな…

「憎いあん畜生」は忍ぶ女で、これまた周五郎さんのお得意。

おもしろかったのは「可笑記」と「花咲かぬリラ」でした。「可笑記」は自分の情けなさを綴っちゃった文なんですが、作者31歳とは恐れ入ります。「花咲かぬリラ」は、たぶんこれだけだろうという帰還兵を主役にしたものですが、敗戦後ながら北海道で部下とともに酪農を目指す主人公がすがすがしく、将来を誓い合った女性を尼僧院から取り戻す展開も青春!って感じが珍しかったです。

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