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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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コロノスのオイディプス

ソポクレス著。高津春繁訳。岩波文庫刊。

オイディプス王」の続編です。

「オイディプス王」の最後で我が目をつぶしたオイディプスが放浪の果てにアテナイ(アテネ)にたどり着き、テセウス王に庇護を求めて叶えられ、アテナイに永遠の祝福と繁栄を約束して黄泉の国に旅立つまでを描きます。

テーバイの支配者を巡ってオイディプスの息子たちが争う「テーバイ攻めの七将」、オイディプスの娘「アンティゴネ」などの話もあるようですが、ギリシア悲劇は哲学的なんでもういいかなというのが印象。

あと「オイディプス王」では前王ライオス殺しとかオイディプスの暗殺とかを疑われたクレオン(オイディプスの妻イオカステの弟)が、なぜかこちらでは一転して悪役っぽく描かれているのはなぜなのか不明です。

またオイディプスが実の母を妻としてしまい、エディプスコンプレックスの語源となった件は二人の年齢差を考えたら無理がないかと思ったんですけど、なぜここで突っ込んでいるのかは不明…

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オイディプス王

ソポクレス著。藤沢令夫訳。岩波文庫刊。

筋は知ってたけど初めて読んだ「オイディプス王」です。オイディプスといったらスフィンクスを退治した知恵者として知られていますがテバイに行ってからが大変で、何がそんなに神々に恨まれたんだかわからないくらいです。続編の「コロノスのオイディプス」も借りてきたんで、そっちで落ちがつくといいなぁ。
と思ったら解説で別の作者の「オイディプス」だと、そもそもオイディプスの父親のライオスがアポロンの神命を三度無視したのがそもそもの発端みたいに書いてあったので、じゃあ、ライオスがオイディプスに殺されたのは自業自得とか、しかし、そのためにオイディプスが父殺しと生みの母親と結ばれるというのはどんな呪いなのか、アポロンの呪いが強すぎるだろうとかいう話になったので、ソポクレスの続編をこれから読みます。

ギリシア神話は大昔、それなりに読んだのでたいていのエピソードの筋は知っているんですが、明るさと残酷さが同居しているのがまた独特のカラーだったよなぁ。あと、人間がからむと特に神々が残酷になるあたり、ギリシア固有だったのか、ほかの神話にも共通するところなのか興味深かったりしますが、最近は神話関係にはとんと食指が働かないのであんまり手を出さなくなりました。学生時代に「世界神話全集」みたいなのを読んで、その後、変則的に「メガテン」シリーズに流れて飽きちゃったせいもあるんでしょうが。

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寝ぼけ署長

山本周五郎著。新潮文庫刊。

山本周五郎氏唯一の推理物です。

罪を憎んで人を憎まず、寝ぼけ署長のあだ名をとる五道三省(ごどう さんしょう)の携わった10の難事件を、その秘書の語りで綴る人情味溢れる推理物。「中央銀行三十万円紛失事件」「海南氏恐喝事件」「一粒の真珠」「新生座事件」「眼の中の砂」「夜毎十二時」「毛骨屋親分」「十目十指」「我が歌終る」「最後の挨拶」の10の短編集です。

しかし推理物といってもそこは山本周五郎、犯人探して逮捕で終わりではありませんし、そもそも犯人が明示されない話も少なくありません。また事件なんて起こってない話さえあって一筋縄ではいきません。

風貌は冴えない寝ぼけ署長ですが、頭脳は明晰、肝心な時には動作も俊敏なできる人物です。また弱きを助け強きをくじくを地でいく優しさを貧しい人びとに寄せ、転任が決まった時には市をあげての留任を求める騒動が起こったくらいです。

なかなかの快作といっていいでしょう。

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風流太平記

山本周五郎著。新潮文庫刊。

娯楽一辺倒のエンタテイメント活劇。

時は元禄、田沼氏が失脚して間もない頃、吉岡万三郎は長崎から江戸に呼び戻され、兄たちを手伝うことになる。紀州徳川家が外国から武器を密輸して幕府の転覆を狙っているというのだ。前代未聞の大陰謀に兄弟の奮闘が始まる…。

という筋立てなんですが、事件解明第一の兄二人、花田徹之助と甲野休之助、そして主人公・万三郎の三人のキャラクターが大変よく、周五郎作品では異例の低評価の本作ですが、わしは肩の凝らない娯楽小説としてとっても楽しかったです。
なんといっても万三郎の末っ子というキャラクターが、今まで読んだ末っ子のキャラクターを彷彿とさせてユーモアに溢れ、それでいて自身を慕う二人の女性に翻弄される優柔不断さというか優しさとか、敵ながら好敵手と認めた相手に無条件で払う敬意とか、自分はけっこうな使い手でありながら暴力を嫌うところとか、なにしろ万三郎がいいです。周五郎さんらしい主人公です。
これに対する兄二人も、よくできた長兄・次兄っぷりが万三郎との対比でおもしろく、「型どおり」という批判を読みましたが、周五郎さんらしいいい兄弟でした。
ちなみに兄弟全員で姓が違うのは弟二人が養子に行っているからです。

この三人に加えてダブル・ヒロインのつなとかよの対比、兄弟を助ける仲間たち、そして万三郎を恋敵とする凄腕の剣士・石黒半兵衛など魅力的なキャラクターが盛りだくさん、浮浪児のような半次とちづのしっかりぶりなんかもいい感じでした。

過去に2時間ドラマになったみたいなんですが、こういうの、1年ぐらいかけてじっくりやってくれればいいのになぁと思います。
休之助のイメージはもろ杉本哲太さんです。万三郎は知らないけど和装が似合う若手にやってもらいたいです。

周五郎さんの小説では「樅ノ木は残った」がダントツに好きですが、先日読んだ「天地静大」や「さぶ」に次いで好きな小説になりました。

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瓦礫の中から言葉を

辺見庸著。NHK出版新書刊。

今度は東日本大震災に遭遇することで「書けなくなった」と言っていた作者が311について書いたエッセイです。

前作に比べると大幅にトーンダウンしているのは故郷の石巻が被災したこと以外にも病気をしたとか、諸々の事情も関わっていそうに思います。それでも何とか表現しようとする著者の作家としての業、かつて読んだ様々な本に求める思考と発想の手がかり、911後よりさらに不穏になった空気を感じ取り発する警告、サブタイトルが「わたしの〈死者〉へ」とついており、本文が始まる前に「死者にことばをあてがえ」という詩が挿入されているように著者は言葉を探し続け、発し続けるのでした。

作中で紹介される小説の世界を「歩く」と表現したところがあって、それはわしが「指輪物語」「ホビット」を読むたびに一緒にそこにいるような気持ちになり、最後のサムの「今帰っただよ」でまたこちらに帰ってくるというのと同じなんだなぁと思いました。

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