忍者ブログ

されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

閔妃(ミンビ)暗殺

角田房子著。新潮社刊。

サブタイトルは「朝鮮王朝末期の国母」です。日本の公使が主導した朝鮮最後の王妃の暗殺事件を、その生まれから詳しく綴った歴史エッセイという感じでしょうか。文体が「〜だと思う、思われる」で終わることが多いので学術書という感じではなかったです。あとがきで著者は「できるだけ主観は廃した」と書いてますし、できるだけ広範な資料に当たったのもわかるのですが、これはエッセイだと思う…

ただ、日本の暗部を暴こうという真摯な姿勢には共感できるものがありまして、特にあとがきの「日韓関係の事実を知ったことで、私は実感の伴う“遺憾の念”を持つようになった。私の使い馴れた言葉で言えば、“申しわけなさ”がその基盤となった感情である」というところは、わしの心情まんまです。だからこそ、人は歴史に学ばなければならないと思います。同じ過ちを繰り返さないために。

あと、閔妃の暗殺事件は政府の関わりはないと著者は断言するんですけど、逆に関わりがないのに、事実を先に積み上げて、たとえば盧溝橋事件みたいにそれに乗っかって拡大していく日本政府の姿勢は相変わらず駄目駄目だなぁと思いました。

日本では知られていない事件ですが、韓国では有名な歴史的事件です。その温度差を埋めるためにも一人でも多くの日本人に読んでほしいと思います。

拍手[0回]

PR

琉日戦争1609

上里隆史著。ボーダーインク刊。

サブタイトルは「島津氏の琉球侵攻」です。一応、史実として独立王国だった琉球を島津氏が征服、以後、琉球は日本の一部として近世を迎えるというのは知っていましたが、その具体的な流れを知らなかったので読んでみました。

すると琉球王国が知られたような形になるまでの、いわゆる三山時代から始まり、統一に至るまで、さらに島津氏が現在、知られているような形になるまで、さらに秀吉の朝鮮侵攻と徳川幕府の成立、そして島津氏による琉球征服、敗残の王となった琉球王・尚寧が江戸まで行かされ、首里に戻るまでと現在、沖縄の文化として知られるものの成り立ちと近代・琉球までが詳細に語られ、クライマックスは当然、1609年の島津氏による琉球征服なんですが、そこに至るまでの流れが詳細に綴られた良著でした。

琉球王国の時代に琉球の航海を技術面で支えた帰化人たちが住んでいた久米村の跡地だそうです。県庁前駅から海側に歩き、福州園の向かいです。(2018/7/22追記)


特に韓国に行った時にあちこちで見た壬辰・丁酉倭乱(いわゆる文禄・慶長の役の朝鮮での呼び方)などが琉球という第三国が加わることで見方が大きく広がったのは目から鱗でした。

あと、後の日中戦争でもそうでしたが、いけいけどんどんで勢いに任せて突っ込んでいって、自分の力量を超えたことにも気づかずに泥沼にはまるというパターンはこの時代から変わってないんだなぁと、日本人の頭の悪さに愕然としました。全然、歴史に学んでないよね。

拍手[0回]

赤瓦の家

川田文子著。筑摩書房刊。

サブタイトルが「朝鮮から来た従軍慰安婦」。それだけでもう手に取らずにいられませんでした。

沖縄で特別在留許可を得たポンギさんの記事を読んだことで著者は30歳で沖縄の渡嘉敷島に従軍慰安婦として連れてこられ、その半生を知ることになります。

小作人でさえなかった父親、8歳の時に他家に奉公に行かされた2つ年上の姉、母もおらず、3つ年下の弟と近所のお情けでかろうじて生き延びた子ども時代、やがて姉と同様に他家に奉公に出され、ただでこき使われるうちに17歳で結婚、しかし相手の男がだらしなかったために友人と逃亡し、流れ流れて現在は北にある興南(フンナム)へ、そこで女子挺身隊の話を聞き、釜山へ、やがて鹿児島に渡り、沖縄に行かされ、慰安婦として性をひさぐうちに米軍の攻撃で慰安所は閉鎖、本隊と行動をともにするうちにやがて迎えた敗戦。食糧の乏しい収容所時代、そこから始まった放浪、どこにも居着けないままに、また性を売り、荒れた生活の無理がたたって生活保護を申請する段になって初めて定住、その時のことが新聞に載ったわけです。ここまでが第1部。

さらに著者は渡嘉敷諸島(渡嘉敷、座間味、阿嘉)にあった3ヶ所の慰安所を時にポンギさんとともに、時に幼子を抱えて訪ね歩き、日本に連れてこられた女性たちの運命を知ろうとするのが第2部。

そしてポンギさんの生まれ故郷、忠清南道(チュンチョンナムド)の新礼院(シルレウォン)へ行き、戸籍などの手がかりから姉のポンソンさんの行方を捜し当て、ポンソンさんに会って、その報告をポンギさんにしたところで第3部。

なかなかの力作で、取材した範囲の広さを思えば、個人でこれだけ調べ上げるのは大変だったろうと思います。
また著者の眼差しが終始一貫、変わらずに女性として最も酷なことをさせられたポンギさんたちに優しく向けられているのがとても安心して読むことができました。著者にしろ訳者にしろ、そういう方たちへの優越感とか差別感を感じるのはすごく気分が悪いので(松本清張とか松本清張とか…)。それでも後書きで、ポンギさんが決して明かさなかった母不在の理由について書いてしまったことを「決して許されはしまい。深く頭を下げるしかない」と記したことに作家としての深い業を感じます。
そこはやはり、「ナヌムの家三部作」を撮ったビョン・ヨンジュ監督とは同国人で、加害者である日本人との違いもあるのだろうかと思ったりもしましたが、少なくともポンギさんは過酷な半生を著者に語るほどに信頼してくれていたわけですから、その信頼を裏切った形になることへの謝罪もあるのだろうとも思います。

第3部でポンソンさんを探す著者に、韓国のアジョッシ(おじさん)たちが荷物持ったりして一生懸命に協力してくれる姿に、実際にわしもたくさんのアジョッシやアジュマ(おばさん)たちの優しさに触れているので懐かしくなりました。反日とか、そんな生ぬるいものじゃないんですよ、彼ら彼女らが日本が戦争犯罪についてほおかむりしていることを追求するのは。人としての問題なんです。やったことを謝れというもっと本質的なものなんです。だから、彼ら彼女らはその加害国から来た日本の観光客にも優しいんですよ。中国の指導者(誰だったか忘れた)が言ったでしょう、「日本軍のしたことは忘れないけど日本人は許そう」と。いつまでもそれに甘えてちゃいけないんですよ、わしら日本人は。

拍手[0回]

天師(あまつか)

二三五七(ふみなり かず)著。GANMA!掲載。

滋賀県に住む中学生の春日井大陽。小さい頃から聞こえていたのは天候を司る龍の声だった。天師の浹(あまね)と知り合った大陽は自身も天師として歩み始める…。

天候を中心にしたバトル漫画なんですが、美麗なタッチで紡がれる個性的なキャラクターと、大陽自身の素性とか、ヒロイン浹の生い立ち、敵味方と魅力的な設定がGANMA!でも1、2を争うほど高レベルな物語だったと思います。

しかし、なぜか人気がなかったらしく、第一部完で打ち切りになってしまいまして、惜しむ声も多い中、完結作として紹介されているのを見ると、ほかに終わるべき漫画はいっぱいあるのになぁと思うくらい、この作品が終わってしまったことが残念でなりません。

特に琵琶湖周辺で片づいていた事件が徐々に列島全体に影響を及ぼし始め、列島五龍(摩周湖、田沢湖、霞ヶ浦、浜名湖、宍道湖)が登場した時にはただならぬスケールアップが感じられて、この後の展開にわくわくしていたのに!と思うと、作者さんもさぞや無念だったろうと思うのです。

紙媒体でもウェブでも、この漫画の真のエンディングをどこかで見たいと思ってやみません。

拍手[3回]

沖縄の戦場に生きた人たち

池宮城秀意著。サイマル出版会刊。

サブタイトルが「沖縄ジャーナリストの証言」で1970年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したそうです。

後の琉球新報の社長ともなったジャーナリストが、わりと冷静な眼差しで沖縄戦の前夜から敗戦後4年ぐらいまで、自分の周辺を語ったエッセイです。

そう言えば、山本周五郎さんの「戦中日記」も読んだんですが、空襲はあっても地上戦などなかった東京のため、これほど緊迫した状況になってませんでした。

この戦争は負けると思ったという姿勢に貫かれたインテリらしい文体で読んでいておもしろかったです。ここら辺は先日読んだ「沖縄戦記 鉄の暴風」の方がクールになりきれていなかったです。あと、あっちはレビューに書かなかったけど文章がへたくそで読みづらかった… こちらはさすがに賞を取っただけ上手いと思いました。

しかし1968年の発表でいまだに中国のことを支那・シナ言ってるのは直そうよ、やっぱり…

あと著者としては実際に防衛隊に召集されたんだし、軍人関係の病院に入ることに抵抗もなかったようですが、そうではない難民キャンプの方がずっと大変だったとか書かれると、こういう非常事態には「本当に良き人びとは皆帰らなかった」はどこでもあることなんだなぁと思いました。

拍手[0回]

カレンダー

01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28

最新CM

(06/14)
無題(返信済)
(05/29)
(04/27)
甘くない態度(返信済)
(04/26)
謹賀新年(返信済)
(01/04)

プロフィール

HN:
たきがは
HP:
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

かうんたあ

脱原発意思表示Webステッカー

バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン