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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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夫婦善哉

織田作之助著。青空文庫刊。

森繁久彌が旦那はんをやったんで有名な映画版は見てませんが、何となく筋は知ってるので読んでみました。一緒にダウンロードした「神曲(ダンテ)」が古文調の訳だったので辟易して、こっちに逃げた。短かったし。

いいとこのぼんぼんで妻子のある身でありながら、芸者の蝶子と連れ添うことになった柳吉との腐れ縁というか、男女の仲を描いた短編小説。

今風に言うならば「ダメンズウォーカー(一人だけだけど)」な蝶子が、いつまでもぼんぼんの癖が抜けない柳吉に惚れた弱みで連れ添い、芸者になったり店を構えたり、どれもなかなかいい調子で進まない苦楽を描いてまして、映画だとラストシーンで柳吉が「おばはん、これからも頼りにしてまっせ」と蝶子に言ったところで終わってるそうなんですけど、小説では特にそんなこともなく、ほんとに蝶子さん、柳吉でいいのかいと言うにはとうが立ち過ぎちゃって、もう別れるに別れられない感じで、それでも柳吉が優しい顔を見せれば有頂天になり、金遣いが荒かったりすると怒ってぶん殴るとか、割れ鍋に綴じ蓋で、これはこれで似合いの二人なのかと思いながら読んでました。

こういう話のおもしろみがわかるには、わしも経験が足りないということか…

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日本残酷物語2

宮本常一、山本周五郎、揖西光速、山代巴監修。平凡社ライブラリー刊。全5巻。

サブタイトルは「忘れられた土地」で、離島や山地、蝦夷から北海道に生きた、あるいは生きざるを得なかった人びとを描きます。

ただ、先に3巻を読んだのでアイヌについてちょっと書かれていたのは知っているのですが、この巻でアイヌを置いておいて、北海道開拓残酷史って語りになっちゃうのはやっぱりどうかと思いました。

あと、ずいぶん前に「アリラン峠の旅人たち」という同じ文庫を読んだ時にも思ったんですけど、ルビが少なすぎて辛いです。わしは東日本の地名はわりと6〜7割ぐらいの自信で読めるんですが、西日本は弱いのです。なぜか、平凡社の方針なのか、ルビ=汚いとか、=幼稚とでも思っているのか、なにしろルビが少ない。足りない。スムーズに読めないのは何とかしてもらいたいです。

あと作中で「現代」とあるのは1950〜60年代のことなので(元の本がそれぐらいの発行だから)、その現代と比較して、という文が出てくると21世紀に生きる我々にはさらに乖離した感覚なのかなぁと思いました。

やっと最後の巻を読み始めたんですが、山本周五郎はやっぱり作家の山本周五郎でした。

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おとぎのファルス

九目著。GANMA!掲載。

何もかも失った少女が一風変わった人びと(ソーセージとかソーセージとかソーセージとか…)に会い、自分の素性を知っていく話。なんですけど、ファルス(喜劇)とタイトルにあるように基本はギャグ漫画でして、ジャンルはメルヘンギャグのようです。

登場人物が誰も彼も一筋縄ではいかなくて、
ヒロインのアメリアは、他のキャラが濃すぎるけど、わりとファザコンで、
アメリアとくっつくヒズベルトは美形だけど、かなりSが入った元暗殺者で、
リリーは機械人形(キャラ的にはまとも)、
ブルストはソーセージ(しかしまとも)、
ゼベットさんはブルストの親で、やもめの肉屋(肉をさばけないと暴れるとか)、
ヒドノラさんは魔女でゼベットさんの奥さんの親友だけど、密かにゼベットさんを憎からず思っている、
露出狂のパン屋、
ヒズベルトの元の雇い主で魔女のフォルビア一味。
などなど、多彩なキャラクターが登場して、でも誰もがどこかズレていて、笑いを醸し出すという不思議な漫画です。

ヒズベルトとアメリアはわりと美男美女のカップルでしたが、ヒズベルトの性格の歪みっぷりがなかなかカップル成立まで時間がかかりまして、そこら辺のズレとか、本来はアメリアを暗殺しようとしていて敵対していたはずなのに、なぜかアメリアたちと仲良くなってしまうフォルビア一味とか、その黒幕のシリウスとか、悪役なんだけど妙に憎めないキャラクターの造型が絶妙で、なかなか似たような漫画が思いつかない唯一無二の世界がとても居心地が良かったです。

話の方は概ね収まるところに収まって、めでたしめでたしで完結してるんで、これから読むのもお薦め。

わしはフォルビア一味の一人で、「誰もやらない雑用を見かねてやってしまうタイプ。ゆえに仕事が雑」とか書かれてるバルターに親近感を持って、フォルビアとのつき合いも長いところも含めて、いちばん好きでした。そうそう、バルターは常識人。
あと30代で酒の飲み過ぎで痛風になってたギルモアや、フォルビアとかもわりと好きでした。

中盤からシリアスな展開なんですけど、それでも笑えるシーンがあるというなかなか得難い漫画です。

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神国日本のトンデモ決戦生活

早川タダノリ著。合同出版刊。

サブタイトルが「広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか」です。

前から興味はあったのですが、「日本残酷物語」が全巻、同じ図書館になかったので予約で待ってる間のつなぎとして読みました。

予想以上にトンデモで、大日本帝国が戦争を推進すべく、いかに国民を洗脳したか以上に、そんな国を忖度してメディアがいかに戦争に邁進したかを靖国、日本、八紘一宇、決戦と生活、精神、言霊と6つの分野に分けて、いろいろなジャンルの雑誌や書籍から引用されてます。

「主婦之友」なんていう、戦争とは最も縁遠いところにいそうな雑誌がさにあらず、そういや、大日本婦人会あったよね〜な勢いで銃後の生活も最前線にすべく、いかに戦争に協力したかが綴られておりまして、しかし、そこはしょせん島国、資源も人材もアメリカに比べれば乏しい日本の悲しさで敗戦が色濃くなるにつれて精神論に傾いていくのはどうしようもないところ。要するに大和魂ですネ。でも精神論で戦争に勝てれば苦労はないのに、どんなに敗戦が色濃くなっていっても、原爆が落とされても、首都が大空襲に遭っても、まだ「一億総玉砕」とか言ってた日本を、いかにメディアが支えていたか、しかし、その実態がいかに薄ら寒いものであったかは戦中派の人びとが亡くなるにつれて、やがて都合良く忘れ去られていくのでしょう。
そう思うと、今のニッポン、こちらのディストピアに絶賛邁進中でありまして、いつでもこんなトンデモ広告や記事が復活してもおかしくないのです。

そんなことを考えて読んでいたので、抱腹絶倒の突っ込みも、笑うより先に寒気が来て、阿呆くさ〜と言ってられないのが困ったものでありました。

こういう本を読んでも、それでもニッポン良い国強い国、世界に1つの神の国とか言えるのか、そこらで汚ぇ軍歌を垂れ流している馬鹿に問い詰めたいですネ。

あと、せっかく朝鮮半島が雪解けとなりそうな時期に、諸悪の根源であるヒロヒトの「戦争責任とか言われるのが辛い」というまるで被害者のような談話を出しやがる理由がどこにあるのか、ほんと小一時間問い詰めたい。黙ってやがれ糞馬鹿ニッポン。

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シュガーローフの戦い

しんざとけんしん(新里堅進)著。琉球新報刊。全3巻。

劇画みたいなタッチで沖縄戦最大の激戦、シュガーローフ(日本名は安里高地)の戦いだけじゃなくて沖縄の陸上戦の開始から敗戦までを描いた漫画です。著者の方は、ほかにも「白梅学徒隊」や沖縄演劇の功労者・伊那波伊吉の一代記などを漫画にされていて、ユーモアと温かさのにじむ作風と、その直後にやってくるリアルな戦場の混在が独特の画風だと思いました。トーンを使わずに薄墨で濃淡を表現しているところとかも。

シュガーローフの戦いは、そう言えば、見ませんでしたけど、メル=ギブソンが監督した「ハクソーリッジ」の舞台でもあったそうですが、ギブソンは確か「パトリオット」以来、愛国心むき出しの映画を撮る嫌いなタイプの監督になってるんで沖縄戦を扱っていることは知っていましたが興味ありませんでした。ていうか金を落とす気がありませんでした。イーストウッドとはまた別方向の愛国心映画ですね。

閑話休題。

この本は、たぶん、著者の名前がひらがなで書かれていることから鑑みて、本来は子ども向けにできるだけ優しくシュガーローフの戦いをかみ砕こうとしたんじゃないかと思いましたが、想定していたのはもう少し上の、徴兵制度なんぞが復活したら該当しそうな年齢の若者たち向けでした。

沖縄戦を描いた本として長く読み継がれてほしい名作です。

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