忍者ブログ

されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

22年目の記憶

監督:イ=ヘジュン
出演:キム=ソングン(ソル=ギョング)、キム=テシク(パク=ヘイル/パク=ミンス)、ソン=ヨジョン(リュ=ヘヨン)、オ長官(ユン=ジェムン)、ホ教授(イ=ビョンジュン)、イ=チョルジュ(イ=ギュヒョン)、ペク社長(ペ=ソンウ)、ソングンの老母(ソン=ヨンスン)、ほか
見たところ:桜坂劇場
韓国、2014年

カメレオン俳優ソル=ギョングが今度は金日成、になりすました売れない役者に扮した話ですが、どちらかというと主役は息子のテシクの方に思えました。国家に人生をメチャクチャにされた親子の、再生の物語でした。

1972年、南北共同声明が発表され、韓国の中央情報部は南北首脳会談に備えて、朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者、金日成の代役オーディションを秘密裏に行い、売れない役者のキム=ソングンが抜擢される。ホ教授の演技指導と思想犯として長期囚となっているソウル大学の学生イ=チョルジュの主体(チュチェ)思想の協力とともに厳しい訓練に耐えるソングンだったが、この代役が日の目を見ぬうちにチームは解散となってしまう。それから22年後、大人になったソングンの息子テシクは、借金を返すために父が買った土地を売ろうと、今は療養院で暮らす父と同居するが、金日成になりきった父はいまだにその呪縛から逃れられていないのだった…。

前半が1972年の売れない役者キム=ソングンが、いかに金日成になりきっていくかをじっくりと描きます。そこにちょくちょく挟まれるのが在りし日の一家の暮らしぶりなんですが、ここが良かったですね。情感籠もってて。ソングンとテシクとソングンの老母との暮らしなんですけど、ソングンの妻、つまりテシクの母は病死したことがソングンから語られ、そのせいもあってかソングンとテシクが仲のいい親子なんですよ。子ども一人だし。で、売れない役者の父のことを馬鹿にされるらしく、たびたび喧嘩するテシクのお父さん大好きっぷりが全身で伝わってきまして、子役さんが上手いと思わせないくらいに自然な親子でした。

ところがこれが後半になると、テシクはマルチ商法をやって金を儲けており、祖母もとうになく、だいぶ荒んだ暮らしをしているのがうかがえます。そこにテシクと「5回寝た」というヨジョンがテシクにつきまとってまして、さらにテシクは借金で首が回りません。ところが、かつて父が買った土地が再開発されるので高値で売れると踏んで、療養院(字幕では「老人ホーム」と言ってましたが、どっちかという精神病院くさい気も…)に入れた父と、その家で暮らすことになるのです。ただ、土地はいまだに父の名義らしく、代わりに売るには実印が必要なので、テシクとしては父と暮らすのは不本意なのですが、借金元であるペク社長のよこした見張りと、家政婦代わりにヨジョンを雇い、不本意な生活を始めるわけです。

ただ、あばずれでテシクのストーカーかと思ってたヨジョンは、テシクたちと暮らすようになってから、スーパーで騒いでいた父を探したテシクに代わって、ソングンの苦情に辟易していたスーパーの店長に喰ってかかった辺りから株を上げ始めまして、「水曜日は必ず休む」と言った理由が、テシクには「たまに休みたい」と言ってたのに、実は産婦人科通ってて、明らかに父親はテシクで、でも妊娠していることはテシクには言わず、という母親ならではの強さが見え始めるともう断然、魅力的になりました。うーん、わしも単純… だけど、こういう女の子の強さ、ほんと好き。しかもヨジョン、「父親の顔も知らない」とか言ってて不幸な生い立ちが見えるし。
なので、例によって落としどころはどこかなぁと思い出し始めた頃にはヨジョンが株を上げていたので、ああ、この映画の主役は一件、金日成になりきっちゃったソングンと思わせておいて、実はテシクで、テシク(とヨジョン)の再生の物語だったんだなぁと思いまして、エンディング、ヨジョンと再会したテシクが、絶対にヨジョンと結婚して、家庭を作るだろうなぁと思わせるシーンで終わったところは良かったです。

またテシクから借金を取り立てるペク社長が終盤、意外な人情派で常識人だったところも良かったですね。父の命令でテシクが飼うことになったヤギをちゃんと飼育しているあたり、けっこういい人だったよ、社長。テシクにも「二度と(金など借りに)来るな」とか言ってるし、テシクの依頼でヨジョン探してくれちゃったみたいだし。

最後、ソングンは22年目の正直ならぬ南北首脳会談の開催を受け、ついに大統領の前に金日成となって立ちます。しかし、オ長官が「私の傑作だ」と絶賛してたのに金日成になりきりすぎてしまったソングンとのリハーサルは大統領の期待外れに終わりますが、会談の場に取り残されたソングンの口から漏れてきたのは22年前、代役として舞台にあがったのに台詞を忘れて俳優としての道が閉ざされんとした時の「リア王(衣装がけったいなので「リア王」の名を借りたコメディかと思ってたら、「リア王」だったらしい)」の台詞でした。
どうやら、ソングンのなかでは息子と老母の前で見せるはずだった一世一代の演技が大失敗に終わったことがそうとう堪えていたようで、それもあって、ますます金日成の演技にのめり込んでしまったのかなぁと思いました。それだけにラスト、父があげたメンコを大事に隠していたのを見つけたテシクが今は取り壊されるのを待つだけとなった家で嘆くシーンが胸を打ちました。そして、これは国家権力に振り回され、メチャクチャにされた家族が再生するまでの物語なんだと思いました。

テシクとヨジョンが幸せになればいいと思います。いや、絶対に幸せになると思います。テシクが道を誤っても、きっとヨジョンがいれば大丈夫。そう思わせるラストでしたし、ヨジョンにはそう思わせるだけのしなやかな強さがありました。

ホ教授、チームが解散して22年後はどこかの警備員(釜山なので大学かも)になってて、こちらも国家に振り回されて人生、メチャクチャにされたのが、自主的に参加してたとはいえ気の毒でした。しかしソングンたちが来て、ラーメン奢ろうとしてくれたのに、ソングンはラーメン食べずに帰っちゃって、あのラーメン、どうなったんだろう…
イ=チョルジュくんだけその後が描かれず、どうもばりばりの北シンパのようで当局から目をつけられて長期にわたって収監されてるとか、アカへの虐待が酷かったんですが、彼は無事に釈放されたんでしょうか…
あとソングンのお母さんが22年後にはいなくて、間違いなく亡くなってるんでしょうけど、テシクが墓参りとかする様子も見せなかったし、特に回想シーンもなかったんで、そこはちょっとでも言及してほしかったです。

テシク役のパク=ヘイルさん、「グエルム〜漢江の怪物」にソン=ガンホの弟役で出てたんだけど、そろそろ忘れてきたなぁ…
オ長官役のユン=ジェムンさん主演の「パパとムスメの7日間」、正月にいっぱいDVD借りた時に予告篇を見て、すごくおもしろそうだったので、見たい。

ソル=ギョング氏は相変わらずの怪演でなりきりぶりが凄かったです。しかも最近、韓国映画のデータベースとして重宝している輝国山人(てるくにさんじん)さんでのプロフィール欄の体重のところに「体重は役により変えるため不定」とかあってふいた。今回も金日成になりきるために98キロまで増やしての熱演ですよ。

原題が「私の独裁者」で、邦題よりもいいかも…

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

PR

聖なる嘘つき(何度でも)

今まで再生しかできなかったDVDがドライブを変えたらメニューまで見られてひゃっはーで喜んで見直しました。

もう冒頭からジェイコブに感情移入して見てるのでラストの大どんでん返しは涙涙ですし、途中の嘘をついたり重ねたり、リーナの心配をしたり、キルシュバウム先生に頼ったり、とそのたんびにはらはらしたり、笑ったり、心配したりしてました。

なにしろ、わしの好きな映画ではヒーローがいないというのが異色じゃないかと思うんですけど、それでもニュースを求めてドイツ兵専用のトイレに籠もったジェイコブの窮地を助けるために馬鹿っぽい歌を唄いだしたコワルスキーや、リーナのことをジェイコブに頼まれて恋人のローザともども走るミーシャ、「皆殺し」とあだ名される冷徹な指揮官ハートローフの心臓病を癒すのを断って毒をあおるキルシュバウム先生、10歳ながら勇気と知恵を持ったリーナの4人は、ジェイコブともども、やっぱりヒーローだと思いました。もう、その勇気が愛おしい。

かといってジェイコブに「ラジオがない」と真実を言われて自殺しちゃったサミュエルや、わりと自分勝手なフランクフルターが魅力がないかと言われれば、これまた人間くささ全開なところが好きだったりして、何一つ希望のない時代に、それでも明日に命を繋ごうとして、ジェイコブの嘘に耳傾け、精一杯生きていこうとする登場人物たちが大好きで、その頂点に主人公であるジェイコブがいるんだなぁと思います。
実際のところ、そんなゲットーはなかったかもしれないし、そんなに都合良く助けられたユダヤ人もいなかったかもしれない。でも、全てをドイツ人に奪われて、たった1つ残ったユーモアだけは失わせまいとする、この映画全編を貫く精神はどんな時もわしの支えになって、信条になってくれているように思います。

そして自ら命を絶ってしまったロビンさん自身にも、ラスト、殺されてしまったジェイコブが重なっていくのです。
ありがとう、ロビンさん。あなたのことは忘れない。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

天皇と軍隊・国家主義の誘惑

監督:渡辺謙一
見たところ:桜坂劇場
フランス、2009年(天皇と軍隊)・2017年(国家主義の誘惑)

2月11日に合わせて公開だったので、上映時間が少々厳しかったですが、まとめて見に行きました。平日に夜間はちょっと辛いんで…

フランス映画だというので日本人にはできぬ鋭い突っ込みを期待して行ったんですが、さにあらず、フランス在住の日本人監督だったので、当たり障りのない、ぶっちゃけ、えらい手応えのないがっかりな映画でした。

あと、ヒロヒトやアキヒトだけじゃなく安倍だの小泉純一郎だのといった見るだにおぞましい権力者をアップで見せられるのは大変不愉快でしたが、題材が題材なんで仕方ないです。

「天皇と軍隊」は、沖縄を出すならヒロヒトが己の保身と引き換えに沖縄を売り渡した一件を言わなきゃいけないと思いました。
あと、天皇の名において行われたアジアでの虐殺について「こういう意見もある」的に否定論を加えるのは、百害あって一利なしなことは「否定と肯定」でも言ってるんですが、監督の立ち位置は左右どっちにもいい顔なんでしょうか? 屑ですネ。
さらに言えば、製作が2009年ではいかんせん古すぎました。311以前、つまりフクイチ以前に語られたことはあまりに今の時代にそぐいません。
それとヒロヒトが広島に落された原爆についてどう思うか聞かれて(記者会見で)「しょうがないと思う」と答えたのは屑ここに極まれりだなと腹が立ってしょうがありませんでした。

「国家主義の誘惑」は、50分しかないくせに戦前どころか維新からの日本史をだらだらやられても意味がないと思いました。よって、こっちは駄作認定。というか、このタイトルで見に来る客が、そういう知識がないと思うのはおかしいでしょう。それにフランスの歴史家さんに日清戦争や日露戦争で日本が勝ったことを「世界が驚いた」と言われましても、そういうの必要なくね?って感じです。それ、日本凄いと言ってる外国人を垂れ流す自慰TVバラエティとどう違うんですかね? むしろ、安倍晋三などという売国奴が最長とされるほど長く総理大臣の座にあって、それとともに進む日本の右傾化をもっと書き込んでほしかったです。
あと、インタビュアーをもっと選んでほしいですが、いまの日本、そんな左寄りな論客いないので、そもそも注文をつけるなってレベルなんでしょうけど。
またアキヒトが退位を宣言した際、現行憲法を守れ的なことを言ったので「天皇がリベラルだ」と言った人は凄く多かったですが、そんな画像を紹介したってことは監督のスタンスもそこだと見ましたが、どうなんでしょうか? 天皇制という差別そのもののトップに立つアキヒトがリベルなわけねぇだろうが!!! 阿呆とちゃうか。
さらに思いましたが、フランス製の映画なんでしょうがないんでしょうけど、少なくとも中国や韓国のインタビュアーは入れるべきだと思いました。あと、内容的に「天皇と軍隊」にかぶってる部分も多く、駄目だろうそれ。タイトルそぐわねぇだろうが。
最後に「天皇と軍隊」は後の「国家主義の誘惑」まですぐだったのでエンディングが終わって早々に立ったので、エンディングロールを堪能する暇もありませんでしたが、こちらは余裕を持ってエンディングロールを見ていたら、たぶん(フランス語なんでわからないから)「協力」とでも書いてあったんじゃないかと推測しますが、SEALDsってあって、もう全部が腑に落ちました。それなら最初から見なかったよ馬鹿野郎!!! ヽ(`Д´)ノ

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

白痴(また見た)

監督:黒澤明
原作:ドストエフスキー
出演:那須妙子(原節子)、亀田欽司(森雅之)、赤間伝吉(三船敏郎)、大野綾子(久我美子)、大野(志村喬)、大野里子(東山千栄子)、香山睦郎(千秋実)、香山孝子(千石規子)、軽部(左卜全)、香山順平(高堂国典)、香山薫(井上大助)、東畑(柳永二郎)、ほか
音楽:早坂文雄
日本、1951年

朝日新聞社から出ていた「黒澤明DVDコレクション」の「白痴」、一回、第1部しか見られなくて、DVDドライブを買って改めて第2部を見直しました。

今回の発見は以下。

・東山千栄子さん演ずるお母さんが、わしの好きな黒澤明映画のおばちゃんカテゴリに合致しており、ずけずけ物を言う気の強さと基本、作中でも善人なところがとても良かった。

これは「生きる」とか「赤ひげ」なんかがそうなんですけど、おばちゃんがいい味出してる黒澤映画に外れはない、です。
作中でも屈指のうっかりさんポジの香山くんや、白痴の亀田くんをポンポンやり込める物言いと、娘の綾子(ツンデレ・ヒロイン)への理解、それでいてまた善人なところが憎めない、愛すべきおばちゃんでした。
いやぁ、好きやわ、このお母さん。
反して、夫の大野とか、長女の範子さんの俗物っぷりがまた好対照で、綾子は母親そっくりという… ただ、綾子の場合、お母さん以上に意地っ張りな上、度がつく潔癖症で、妙子を理解できずにラストの破滅へ突き進ませてしまうのが、本人、悪意はないだけに始末が悪いんですが。

・赤間は妙子を好きすぎて自滅

ラスト、妙子の死、亀田と赤間が狂人となることで衝撃的な終わりを遂げますが、亀田くんはかなり赤間くんとその前の妙子に引きずられた感がありました。まぁ、赤間くんが妙子を殺しちゃったことを知った時点で亀田くんには耐えられないのはわかりきってることなんで時間の問題なんでしょうけど、先に逝っちゃったのは妙子と赤間くんで、この2人と密接に繋がっていた亀田くんは引きずられるを得なかったのだろうなと。言ってみれば妙子・亀田・赤間の三角関係に綾子の入る余地などなかったのだなと。しかもこの関係、妙子と亀田は相思相愛で、赤間は妙子に片思いなんだけど、妙子が亀田を愛する余り、綾子とくっつけようとしたのがまた悲劇の元で、でも妙子にはこんな真似しかできないほど作中でも屈指の不幸で、最後、綾子がこの三角関係に茶々を入れずに、おとなしく亀田と結婚しても、やっぱりどこかで妙子は破滅的な最後をたどることになりそうな感じがしました。そして赤間、亀田も引きずられていくんだろうなと。
赤間くんの場合はこの人もたいがい不幸なんで、妙子と結婚してもどっちも幸せになんかならないんだろうなぁと思うんですけど、そういう意味では亀田があいだに入れば3人でめでたしなのに、そういう幸せは亀田くん以外、誰も望んでいないっていう…

・うっかりポジの香山くんが扉の向こうでぽつねんシーン多すぎだろ

第2部で3回もあったんで、たぶん第1部でももっとある。3回とも綾子がらみというのがまた… 香山くんは範子さんとくっつくか(そして尻の下に敷かれる説)、大野家(上司)と無関係な嫁をもらった方が幸せになれると思いました。ちなみに1回は雪のフェスティバルで妙子と赤間くんに責められて残るシーンですが、シチュエーション的には扉の向こうでぽつねんと同じだろうと思います。

おもしろかったです。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

それだけが、僕の世界

監督:チェ=ソンヒョン
出演:キム=ジョハ(イ=ビョンホン)、オ=ジンテ(パク=ジョンミン)、ジュ=インスク(ユン=ジョヨン)、ほか
見たところ:桜坂劇場
韓国、2018年

イ=ビョンホン出演(というか、ほとんど主役)のためもあり、場内はそのファンっぽいおばちゃんで盛況でした。わしはどうしても「JSA」のイメージが抜けないので若造扱いしちゃうんですけど。

元プロボクサーで東洋チャンピオンだったキム=ジョハは、今や定職を探し、住む場所にも困る身の上だった。旧友を訪ねたジョハは、そこで17年前に自身を捨てた母親に再会し、サヴァン症候群の弟ジンテと初めて会い、二人の暮らす家に転がり込む。ジョハの父は家族に乱暴を働き、今は刑務所に収監されていたが、ジョハは中学生だった自分を捨てた母親を恨んでいた。一方、母の愛を独り占めするジンテは26歳にもなるのに一人で暮らせぬ自閉症を抱えていたが、一度聴いた音楽は忘れず、ピアノでそのとおりに弾きこなせるという天才的な腕前を持ってもいた。自閉症のジンテに苛立ち、戸惑いながら、ジョハは母や弟と次第に家族になっていくが、ある日、ジンテのピアノコンクールを控えて、母が一ヶ月、釜山に仕事の手伝いに行くと言い出す…。

シナリオ、ちょっと狙いすぎかなと思いました。まぁ、母親に捨てられた兄と、その母の愛を一身に受けた障碍者の弟という構図の時点で感動物なのは目に見えていたんですけど、ちょっと都合良く行きすぎかなぁと。

同じような自閉症の子どもを抱え、先立つ親(とさりげなくネタバレ)ですと「海洋天堂」という傑作がございまして、まぁ、あちらは一人っ子なので単純に比較もできないんですが、大福は泳ぎはすこぶる得意で、水族館でも閉館後に水槽で泳ぐほど泳ぎが好きだったりしましたが、あれって実生活ではそれほど役に立つものじゃありませんよね。いわゆる天才ではなかったんですよ。まぁ、だからかもしれませんが、お父さんは自分が死んだ後の大福を心配して、最初こそ心中しようとしたものの、生き延びちゃったんで考えを改め、大福が一人で生きていけるように心を配った、その過程がスター性を見事に消したジェット=リーの名演で泣ける展開になったわけでありますが、ジンテはピアノの天才な上に、ジョハをはねたのがピアニストで彼女が訳ありで…とネタバレなんで伏せますけど、話がいくら何でもできすぎじゃないかと。そこがちょっと物足りなかったです。

イ=ビョンホンは作中では「40歳」とか言ってましたが、実際はもうアラフィフなんですけど、まぁ、違和感がないのはやっぱり若い顔(童顔というわけではないんですけど)だからなんでしょうね。ただ、親父に面会に行く前にジンテのピアノを壊しちゃったのは、あれ、むしゃくしゃしてやった、なんでしょうか。理由がいまいちわからなかったんですが。あと、ラスト、カナダに行くのは止めたんでしょうか?
ただ、刑務所に収監された父親に「出てくるな。自分と母の前に顔を出したら、殴られた分だけ殴ってやる」と宣言したところはなかなか良かったです。

ジンテ役のパク=ジョンミンさんは「空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~」でソン=モンギュさん役だったそうですが、確かに面影あるわ… ピアノの演奏シーンが全部吹き替えなしというところに根性を見ました。

お母さんはジョハに罪悪感を感じつつ、でもジンテのが可愛いので何かあるとジョハを怒るというのはちょっと単調かなぁと思いました。それが2回も続くとちょっとつまらなかったですね。

粗筋だけで大まかな筋は読めてしまうので、もうちょっとひねりというか、欲しかったなぁと思ったので、これは凡作でした。イ=ビョンホン頼みというか…

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

カレンダー

01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28

最新CM

(06/14)
無題(返信済)
(05/29)
(04/27)
甘くない態度(返信済)
(04/26)
謹賀新年(返信済)
(01/04)

プロフィール

HN:
たきがは
HP:
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

かうんたあ

脱原発意思表示Webステッカー

バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン