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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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ゲラダヒヒの紋章

草山万兎著。福音館土曜日文庫刊。花輪和一絵。

わしが初めてエチオピアという国名を知り、ゲラダヒヒという生き物を知った本です。1978年の初版なんで、かなり古いっす。

古代アフリカ史を学ぶ榎教授の子どもたち、健志と実果。その叔父で動物学者の榎萌男が、胸に不思議な紋章を持ったゲラダヒヒのスケッチを持ってきたことが遠いアフリカのエチオピアへの冒険の始まりとなった。幻のアクスム王国を捜す旅は、そこに隠されているという莫大な財宝を狙うキッキデス一味が現われたことでより危険なものとなっていく。不思議な少年アベラ、ゲラダヒヒの胸にあったのと同じ紋章を持つ村の長ハベチャブ、健志がアクスム王国にたどり着いた時、2000年も止まっていた、この国の時間が動き出す…。

この話、たきがはの好きな要素がたっぷり詰まっておりまして、大好きな小説でした。子ども向けとは思えないスケールの大きな展開、異国、歴史のある王国、見知らぬ動物、異国の少年と、多少、ご都合主義なところはありますが、わくわくしてページをめくったもんです。

しかし、この本を読み直しながら、わしは少々、苦い思いも抱いておりました。ここにはわしが憧れた要素がいっぱい詰まっていたのに、それらのうち、どれ1つとして現実に結びつけなかったなぁ、という事実です。エチオピアという国は確かに遠く、ゲラダヒヒという生き物はつい先日、「ダーウィンが来た!」で扱われましたけど、動物園にいることの方がよほど珍しいので、知らない人の方が圧倒的に多いでしょう。憧れを憧れだけにとどめておかず、どうしてその先へ行かなかったのだろう、とわしは思います。憧れた国へ行くのに、ただの観光旅行で済ませてしまったのだろうと思います。

そんな、今読むと苦い思い出も詰まった、冒険小説の傑作です。

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知事抹殺

佐藤栄佐久著。平凡社刊。

副題が「つくられた福島県汚職事件」とあるように、著者は元福島県知事。twitterで評判が良かったので読んでみた。

実は福島県の知事が誰かなんて、わしは全然知らなかったので、この福島県の汚職事件もまったく記憶にない。それだけになかなか興味深く読みました。

前半は知事になるまでから始まって、知事時代にどのようなことをやったかや、支援者を集めた地道な運動について綴られる。特に福島の原発についての動きが詳しい。
後半になると小泉の構造改革に始まって、地方の分権を目指した動きが綴られるが、それは逮捕という形で急転直下の展開となる。

そして自白へ至る取り調べ。このおかしさは先日見た「BOX 袴田事件・命とは」とも共通する胡散臭さがあり、日本の司法制度が、信頼に値しない、自分たちのシナリオに沿った罪をでっち上げる代物だという虚偽に満ちている。
しかし、著者は足でもって発掘し、自らの信念を伝えて得た何千、何万という支持者を今度は人質に取られたことで苦しみ、ついには嘘の自白をしてしまう。

と、ここら辺まで読んだ時、「黒旗水滸伝」の孤独なテロリスト難波大助を思い出しました。自らが体験した貧困と差別の問題を、ただ1点、最高位にある天皇(当時は皇太子)ヒロヒトを撃つことで片づけようとした難波大助。彼は誰とも徒党を組まず、妻も持たず、家族とも縁切り同然で孤独に戦った。それはまさに、このような事態を考えたからだったのではなかろうか。大逆という事件を起こすのに、つながりを持つことは己の弱さにつながるという発想ゆえに、彼は一人で立ち、一人で事件を起こした。それは大多数の人間が組織にいることで安堵し、仲間がいることを心強く思い、そういう構図とは相対するもので、だからこそ、大助の存在は「黒旗水滸伝」という異色作の中でも特別の輝きを発しているのではないかと。

けれど、嘘の自白をした著者は、裁判でその証言を覆し、無罪を主張。敏腕弁護士のおかげで検察の嘘をついたけれど、裁判所のくだした判断は喧嘩両成敗というか、実質無罪だけれど有罪という判決を受け、控訴したとある。2010年現在、まだその答えは出ていない。

福島県知事という地方自治体のトップさえ、簡単に葬る検察の怖ろしさ。検察のやることだから、とその正義を鵜呑みにしてしまう国民。もっとよく読まれるべき著書だと思った。

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幻魔大戦

平井和正原作。石ノ森章太郎画。扶桑社文庫刊。全2巻。

大昔、長編を読むのに凝っていたことがありまして、当然、「幻魔大戦(小説版)」も手を出したわけです。しかし、5巻ぐらいで挫折しました。だってつまらねーんだもん。出だしは数々の宇宙を滅ぼす幻魔との戦いってスケールのでかさだったのに、東丈が登場してから、急にスケールがミニマムに。なんで地球の命運を賭けた戦いが学校の同好会レベルに落ちちゃうのさ、とか思って読むのをやめました。結局、20巻ぐらいで「第1部完」とかなってたと思ったんですが、完結してないよね。完結しないんだろうね。

で、原作者に「全然違う」と言われた漫画版です。どー違うのか読みたかったので読んでみた。

典型的な打ち切り漫画でした… ラストは「戦いはこれからだ」じゃないけど、やっとエスパー軍団が集まってってところで敵が現われてジエンド。あれ〜、大昔、双子が出てくるような「幻魔大戦」の広告、見たことがあったけど、あれは別物かしら?

ええと、これも小説と似たような展開です。最初はスケールが大きく始まるのに、いざルーナがエスパーを集める段になるとスケールがダウン。しかもヒロインであるルーナはこちこちの白人至上主義だし、東丈はエスパーに目覚める前はへたれのシスコン(←ひどい)です。これでは人気でないだろう、いくら人気作家でも。
しかも途中でドク・タイガーという私利私欲に凝り固まったエスパーがルーナに取って代わるもので、いくらレイシストとはいえ、ヒロインがおっさんに代わってますので、さらにつまらなくなり、やっと丈が真の超能力に目覚めてからはもう残り頁が少ないという展開です。

なんだ、これ。キャッチコピーの「SFマンガの金字塔」って、嘘じゃん。

異星のサイボーグ戦士ベガは、風貌とか見てるとサイボーグっていうより、ロボットにも見えます。200年だか20年だか(漫画の中でも変わる)幻魔と戦い続けたけど、恋人が殺されたところで戦意喪失、しかしフロイによって地球に送り込まれ、ルーナの叱咤で戦士としてまた戦うことになります。人間味があって、いいおっさんだ。

そして、映画では確か美輪明宏が声をやったフロイが、漫画では犬です。セントバーナードみたいに大きなわんこ! こっちは強力なエスパーで、犬型宇宙人ぽかったのが地球に来てわんこに乗り移ったみたいな感じです。しかもフロイの息子たちが登場するんだけど、これも全部犬。101匹いたのは、石ノ森氏のしゃれでしょう。

さらに、ルーナの出身トランシルバニア王国から来たエスパーというか、動物憑きたち。蛇とか熊とか蝙蝠とかフランケンシュタインまでいます。しかも1000年も生きていて、殺そうとしても死なないという怪人ばっかり。足を失っても放っておけば生えてくるって。奇抜なキャラですが、ドク・タイガーなんかよりずっとおもしろかったので、早くこっちを出せば良かったのになぁ。

いろいろとがっかりな漫画でした。

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夜の記憶

澤田愛子著。創元社刊。

たきがはのこだわりジャンル・ホロコーストものです。副題に「日本人が聴いたホロコースト生還者の証言」とあるように、圧倒的に翻訳物の多いホロコーストものとしては珍しい国産。

最近、twitterで、「ガス室がない」という驚きの発言を聞きました。その根拠が「西岡昌紀の説を信じる」というのですから、開いた口がふさがりませんでした。そう言えば、それまでずっと気にはなってたんだけど見て見ぬふりっていうか、そんなに大げさに考えていなかったんですけど、その人のツィートで時々「ユダヤ人の世界的謀略」ってたぐいが出てきてたんですよね。ああ、それはこういうことだったんだな〜と思って、その人をフォローするのをやめました。わしはフォローするのもけっこう挨拶なしにフォローして、気に入らなかったらフォローを外す奴なんですけど、これは聞き捨てならない話だと思って、急にその人がガンジーの言葉を引き合いに出して世界平和を訴えるのがうさんくさく思えるようになってフォローを外したわけでした。
そうしたら、また別の人が自分も「ガス室がなかったと思ってる」と言い出しまして、そのくせ、わしが議論をふっかけようとすると「デリケートな話題だから」とか言って逃げるんだよね〜 あなたが口を挟まなければ良かったんじゃないですか。勝手に口を挟んでおいて、わしが返答すると何で逃げるのよ。しかも「わしはガス室があったと信じているし、自分はガス室がなかったと思っている。それでいいじゃないか」なんて言われて、もう、相手が逃げ腰になってるし、下手な奴を引っ張り込む羽目になるのもやだし、わしもそれで引っ込めたんだけど、ただ、何度かツィートをやりとりしていて、その人がどうして「ガス室はなかった」なんて言い出すようになったのか根拠を知りたいとツィートしたら、やっぱり一次資料(ホロコーストサバイバーの証言とか)だっていうんですよね。でもタイトルは覚えてないと。しかも「ガス室はなかった」と明確に言っているわけじゃないと。わしも悔しいので、どんな証言に当たったら、そんなことを信じるようになるのか知りたいと思いまして、この本を手に取ったわけなのでした。

しかし、その時は言うのをやめちゃったけど、ヒロシマ・ナガサキに原爆が落とされたことが誰にも否定し得ない事実であるように、ナチスの作った収容所のガス室で何百万というユダヤ人、ロマ、ほか大勢の人びとが殺されたことは絶対に動かしようがない事実で、それはたとえば神のように「あなたはいないと思っていて、わたしはいると思っている。それでいい」というレベルの代物ではないのだと思いました。
そして、ついでにもう一つ思い出したんだけど、前に「ホロコースト大事典」を読んだ時に、「チョムスキー9・11」のチョムスキー博士が、イスラエル憎さのあまり、ホロコースト否定論者を擁護したと。ユダヤ人の陰謀などと言い出した人は同じ心理なのかなぁと思ったのですな。
でも、わしもはっきり言ってイスラエル嫌いだし、イスラエルに店舗出そうっていう無印良品不買運動やってるけど、ホロコーストの問題と現在のイスラエルという国家を一緒くたにするのはどうかと思う。

と思いながら読んでいたのですが、この本の中でインタビューされているサバイバーって、全員イスラエル在住なんだよね。だからイスラエルに対して「国を守りたい」とか「国を守るのは当然」って言葉は出ても、パレスチナの人びとに対して、自分たちの国がしていることのひどさを批判する声なんか絶対に出ないわけ。日本という安全な国に住んでいて、とりあえずホロコーストの心配もないわしが言うのもどうかと思うのですが、でもやっぱり、今のイスラエルはかつてのナチスにも恥じないひどい国家だと思うのです。
でも、そことここは切り離したい。ホロコーストという未曾有の災厄を被ったユダヤ人がイスラエルという国でパレスチナの人びとになしている非道さは一直線につながっているのかもしれないけれど、つながっているんだろうけれど、だからといってイスラエルを否定するあまり、ホロコーストも否定する、ガス室もなかったことにはわしはできないと思う。同じように南京大虐殺もポル・ポトの虐殺も、原爆同様、人類に対する犯罪として決して否定できない。決してなかったことになどできない。

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ガラスの地球を救え

手塚治虫著。光文社知恵の森文庫刊。

1989年に亡くなった手塚先生の最後のエッセイ集のようです。

平易な言葉で綴る今の時代への警告、提言、アドバイス、予想、戦争体験など、様々な漫画を描かれた手塚先生ならではの膨大な知識に裏打ちされた言葉の数々が詰まっています。

手塚先生の漫画は100年後にも残ると思いますが、今、はやっている漫画が残るかどうか。副題に「21世紀の君たちへ」とあるけれど、21世紀を迎えても、人間のやっていることはまだ変わりがなく、進歩がなく、知恵がないように見えます。

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