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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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死刑

大塚公子著。角川書店刊。

死刑について広く扱った本かと思っていたら、「半田保険金殺人事件(1979年発生)」の死刑囚(1993年確定)長谷川(旧姓・竹内)敏彦氏について書いた内容が大半で、なんというか、冒頭から文章のまずさに読む気なっしんぐになって、不承不承ページをめくっていった。

まず、「プロローグ」として、アメリカの死刑周辺の実情を書いたところはいいのだが、本編に入ってからがいただけない。
いきなり「半田保険金殺人事件」から話が始まり、ほぼ全編が長谷川敏彦氏のモノローグに近い自分語りで綴られるので、数ある死刑囚のなかでどうしてこの人を選んだのかわからぬまま、よく知らない半田保険金殺人事件を起こすに至った経緯が書かれている。しかも事件を起こすまでは「竹内」だったのが、捕まってからはいきなり「敏彦」に変わり、で、後はずーっとその調子で「敏彦は…だった」といった感じの文体が続いて、事件を起こし、やがて発覚して警察に捕まり、尋問され、裁判を受け、名古屋拘置所に勾留され、国選弁護人がつき、家族が面会に来、キリスト教に改宗し、といった内容が続く。

死刑について何冊も著書を出しているようだが、正直、このような文章ではまた読んでみようかなという気にはならない。こんな文でも金もらえるのね…というのが本音。

たきがは的には大変興味のある題材なだけに、取り上げる事件について、もうちょっと著者なりの思い入れとか理由とか書いてもらわんと、全然興味わかないよ。しかも大半の文章は「敏彦は…だった」で、なりきりぶりが痛いし。

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犠牲(サクリファイス) わが息子・脳死の11日

柳田邦男著。文藝春秋刊。

25歳で自殺した著者の次男・洋二郎氏の死に至るまでと、自殺してから救急病院で死を迎えるまでの11日を綴ったエッセイ。
タイトルの「犠牲」に「サクリファイス」とルビを振っているのは、息子さんが好きだったというアンドレイ=タルコフスキーの映画「サクリファイス」にちなんでいるそうです。

「息子のために手記を書きたい」と言って、著者は死後8ヶ月ほどでもとになる手記を「文藝春秋」に掲載するのですが、そこら辺の発想というか、息子が救われるためには自分が再生しなければならない=仕事をするという姿勢は作家ならではの業だなぁと思いました。それは著者自身も自覚してて、後書きにそんな文があります。

しかし、中2の時に同級生が投げたチョークで失明の危機に遭い、どうやらそこら辺から精神を病んでいたのではないかと推測されつつ、発覚したのは20歳、自室の窓からガラスをぶち破って飛び降りた時で25歳で自殺するまで病と闘い続けたとは、こういう簡単な言葉で表現するのは何とも申し訳ないのですがまさに「生き地獄」というのがぴったりな感じもするのです。
クラスのなかでだんだん孤立していき、対人恐怖症に陥り、それでも人の役に立ちたい、人と、家族とつながっていたいという意志は持ち続けていた洋二郎氏と、順風満帆とは言いませんが、あちこちで挫折しつつ、すっ転んだり寄り道したりしつつも「自殺」なんてことは生まれてこの方、一度たりとも考えたことがない(痛いのと怖いのが基本駄目なので、自殺なんて恐ろしくてできないというのが子どもの頃の結論)わしとの違いはどこにあるのだろうかと思いました。
何とも驚いたことに、洋二郎氏とわしは同い年だったりもしますんで、彼が見ていたのと同じ時代をまったく同じように経験していたりするはずなんですが、わしは洋二郎氏の死後20年も生き続け、たぶん、この先もこんな調子でひょうひょうと生き続けていくだろうし、原発だの消費税だの、まぁ、いろいろな心配事も怒り事もあるけれど、それでも人生を最後まで渡っていって、最後の最期に笑えれば勝ちみたいな、そんなことを考えたりもします。
でも、考えてみれば30年以上も前、わしは母が「50歳くらいで死ぬかも」と言ったのを真に受けて「お母さん、死んじゃいや」と涙目で訴えたものですが、その母もとうに70を越し、食糧事情の悪かったことでは半端ない戦中派なもんで、このまま80、90まで大往生してくれそうですが、逆に核実験とか、合成食料品なんかに囲まれて、それほどうちの親が無神経だったとも言いませんが、避けようもなかった時代に生まれてしまったわしらは、むしろ逆縁の不幸はしたくないけど、少なくとも親の時代ほどには長生きできんのではないかと日々思い、思っており、なんという時代なのだろうなぁと暗澹たる気持ちになりつつ、それでもひょうひょうと渡っていけたなら、なんて思わなくもない今日この頃。

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シャーロッキアンの放浪三昧

水野雅士著。青弓社刊。

自身も日本シャーロック・ホームズ・クラブの会員である著者がシャーロック=ホームズ物語に蘊蓄を垂れたエッセイ本。前半、ホームズやワトスン、ホームズ物語に出てくる衣料品に蘊蓄を垂れるまではおもしろかったんですが、後半、ホームズになりきって、ロンドン同時多発テロと、日本の戦艦・畝傍が行方不明になった事件を推理する顛末はいただけません。おもしろくありません。わしはホームズものは二次創作は基本、読まないのです。原典と、それを忠実に映像化したグラナダTV版しか興味がないもんで、ホームズが現代に生きていたらとか、ハリウッド版の映画には興味なっしんぐ。その自己満足を自著とはいえ、2章も見せられたら、かないませんわ。

そう言えば、わしもホームズ物語を読むようになって久しいですが、会員になろうと思ったことはなかったなぁ。何ででしょうかね。

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小さなお茶会

猫十字社著。白泉社・花とゆめコミックス。全7巻。

猫の夫婦・もっぷとぷりんがおりなすほんわかとした日常と時々出会うちょっとした不思議を描いた名作シリーズ。

いわゆるメルヘンというジャンルだと思うんだけど、毒がこれだけない話も珍しいと思う。ぷりんももっぷも、わりと普通の夫婦なんだが、お互いを思いやる気持ち、愛する気持ちというのがこれほど素直に真っ直ぐに描かれた漫画というのは、1970〜1980年代という時代を考えても貴重なんではあるまいかと思ってしまう。
基本、もっぷとぷりんだけで編まれる物語は、ほとんど舞台の広がりを見せることはなく、たまにどこかに行ったり、ゲストが現れたりするけど、たいがいは2人で収まる。第5巻からはさすがに娘が生まれ、これまた子どもらしい素直な眼差しで世界を見てという柔らかいパステルが似合う話に変化はさほどない。

こんな夫婦になりたいな〜と思いつつ、いまだに独身を貫いて40ン年。変わらぬ世界をありがとう。

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悪魔の飽食

森村誠一著。角川文庫刊。全3巻。

カッパブックスで2冊出版された同書が、731部隊に無関係な写真を載せたということで絶版になり、版を改めて出版された文庫版です。

もう何度も繰り返し読んでいるのですが、何度でも手に取らずにいられない力があります。真実だけが持つ力なのでしょう、もう30年もの長いつき合いです(最初は当然カッパブックス)。

よく覚えていないのですが、たぶん、たきがはのルーツです。その前に「ひめゆりの塔」(映画)見たり、「ふたりのイーダ」(小説)読んだり、「はだしのゲン」(漫画)や「アンネの日記」(完全版以前)読んだりしてますが、わしがはっきりと旧日本軍の戦争犯罪に興味を持ち、同じ系列として本多勝一氏の「中国への旅」などを読むようになり、昭和天皇ヒロヒトを戦争犯罪者だと認識するようになったのは、おそらく、これがきっかけだと思います。というか、こういうのって、普通は覚えてるもんなんでしょうけど、わしの場合、あんまりそういう自覚を持つ前に、ごく自然に南京大虐殺とかの本を読み始めていたものでルーツについてよく考えてなかったのでした。

まぁ、そういう話は置いておきまして、やはり日本人全てが読むべきドキュメンタリーでありましょう。旧日本軍が医学の名の下に犯した人類史上許さざる犯罪。人間として唾棄すべき発想。そうしたことが真摯に事実に向き合う筆者の姿勢と、勇気をもって証言した関係者、現地での取材や莫大なアメリカに残された証言などを通して露わになっていきます。

恐ろしいのは、「国のため」と称して、自らの罪を逃れようとする小市民な感覚であり、許せないのは、その実績をもって戦後、大手の製薬会社などに勤務したりして、社会的地位を得ているということです。薬害エイズもこの延長なのは、あまりに有名な事実。

何度でも繰り返し読みたい名著。

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