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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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われら

ザミャーチン著。岩波文庫。

「夜の言葉」で紹介されてて、興味を覚えて図書館で借りてみた。毎日、昼ご飯時にちょっとずつ読んでたので2週間以上かかっちった。

反ソ宣伝の書として、1920年の作でありながら、ペレストロイカ後まで本国で刊行されなかったそうだ。
ソビエトのような政治体制が世界を統一した未来。単一国という国家の下、日々の生活を時間で決められたアンチ・ユートピア世界で、主人公の宇宙船製作担当官が、一人の奔放な女性に出逢い、反逆に携わることになる…。

繰り返される秩序の美しさ。性さえも管理された世界。番号で呼ばれる個人。「満場一致デー」と言われる結果のしれた選挙。「恩人」と呼ばれる独裁者。
管理されたユートピアはSFでは数々描かれる世界だと思われるのだが、モデルがあるせいか、リアル。結末も甘っちょろい希望など打ち消すようで。
「想像力の摘出」という恐るべき結論。だからこそいま、想像力を失いたくないと思う。

そうして、この書はソ連の消滅後も残っているけれど。マルクスとエンゲルスの描こうとした社会は、こんなにはかないものだったんだろうか。ロシア革命の理想はこんなものだったんだろうか。社会主義国家があらかた消滅したいまの時代、社会主義はそんなにえげつないものだったのかなぁ。

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原爆と峠三吉の詩

下関原爆展事務局編集。下関原爆展パネル集。長周新聞社。

峠三吉さんと言えば「ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ わたしをかえせ わたしにつながる にんげんをかえせ にんげんの にんげんのよのあるかぎり くずれぬへいわ へいわをかえせ」の方です。「原爆詩集 序」ですね。
たきがは、原爆・ホロコースト・水俣・十五年戦争は無条件で手が伸びるたちでして、図書館でおべんきょしながら、ずーっと魂詰めてやってるとしんどいので適当に息抜きしてるんすよ。で、ふらふらと「平和」関係の資料の棚に近寄ったら、こちら、68ページのパンフレットが置いてあって、「峠三吉」とあったんで手に取ったわけです。いま、ザミャーチンの「われら」という小説を読んでるんで、あんまり本は借りないようにしてるんですが、息抜きにいいかな〜と手に取ったら、息抜きどころじゃなかったんすけど。

「下関原爆展」とあるように、2000年7月に開かれた原爆展で展示したパネルを冊子にまとめたそうです。核開発にいそしむ国家は、いざ核爆弾を使ったら、地球上にこの惨禍が再現されるということを肝に銘じて、たったいま、止めるべきだと思います。「持ってるから使わない」というのは歴史的にあり得ないです。持ったら使います。それも自分たちは無関係なつもりで。SFにあるようにシェルターに逃げ込みますか。その時、地球は確実に死に、自分たちだけになっても使いたいですか。

世界最初の被爆国家である日本には、この惨状を伝えていく権利と義務があります。特に国でなく、故郷を奪われたビキニ環礁の人たちの代わりにも、伝える力と金と人を持った日本が伝え、残すべきだと思います。世界中の国家元首を広島と長崎に招待して、平和記念資料館を紹介すべきだと思います。もちろん、被害者としてだけでなく、加害者としての歴史にも向き合わなければならんと思いますが、被爆者の方々の平均寿命が70歳を越えた現在、あの惨禍を直接語る言葉を持っている人びとがいるうちにできることをすべきじゃないでしょうか。

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月の森に、カミよ眠れ

上橋菜穂子著。偕成社。

上橋さんのデビュー2作目。いままで読んだのとがらっと雰囲気の違う和製ファンタジー。でも、根っこのところは上橋さんです。

読んでてカミと人の対立、というカテゴリーで「もののけ姫」を思い出しました。ただ、たきがは、これは大嫌いです。主役2人が大根だったのもまだいい。モロが老獪な山犬でなくて美輪明宏にしか聞こえないというのも目をつぶろう(私的には来宮良子さんとかにやってほしかったが)。エボシ御前役に田中裕子さんでは弱い(声が、こういう強い女性をやる方ではない。「ナウシカ」のクシャナと同じ方か、田島令子さん辺りでなぜ駄目だったのか)のも我慢しよう。ラスト、死によって文字どおり死神と化した神(名前忘れてます)が、生き返ることによって安直な救いをもたらしたというその1点が許し難い。主人公二人の救済はぶっちゃけどっちでもいい。はっきり言って、サンは「もののけ姫」というタイトルを背負うようなヒロインとしてはあまりに魅力がなかった。アシタカももののけにも人間にもいい顔をしようとするキャラクターがたきがはの好みではなかった。だからこの二人が生きてようが死んでようがどっちでもいい。しかし、明らかにらい病としか思えないような描写のタタラ場の人たちを救済した安易さが嫌いだ。あんなものをヒューマニズムなんて呼ばない。虫酸が走った。「生きろ」というキャッチフレーズに自ら背くような安易な救済、あの瞬間、たきがはは見ていたテレビに物をぶつけてやりたい怒りにかられたのだった。ぶつけなかったけど。自分のじゃなかったから。

閑話休題。

死を描くアニメというのは多いと思う。死は断絶だと思う。生者と死者のあいだには決して乗り越えられない壁がある。だから死は視聴者の心を打つ。「命がけ」という言葉がそうした創作や外国の中でしか見られなくなった日本で、命をかけて自分を、信念を、理想を貫こうとする登場人物は美しいし格好いい。そうじゃないことも多いが。

律令国家としてまとまりつつある古代日本。国という強権に組み込まれた村は、カミとの古から続く掟を破り、禁断の沼に踏み込もうとする。そこを守ろうとするカミの息子であり、代弁者でもあるタヤタ、タヤタを愛するが村とのつながりに引き裂かれそうになるキシメ、タヤタと同じカミの子でありながら数奇な運命のために「オニ」と呼ばれてきたナガタチ。

この島国がまだ国として統一されていなかった大昔、荒ぶる野生にカミを見た我々の祖先たちは、もしかしたらこんな葛藤を乗り越え、カミとの戦いの果てに国家に呑み込まれ、国家を築き上げていったのかもしれない。
「……人にとっては、考える気にもならんほど長い時ののちに、その水におのが身をけずられて、崖はくずれさる。」(本文より)
山崩れを恐れ、台風に破壊される現代の文明に、とうの昔に自然とのつながりを失った人の姿が見える。

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神の守り人

上橋菜穂子著。偕成社。

守り人シリーズ最新刊。上下2巻といままでの倍のボリューム。外伝「虚空の旅人」とは時期が重なっており、迷える皇太子チャグムや、快婆トロガイ師、出番なかったす。
話は「虚空の旅人」で言及された新ヨゴ皇国の西隣、サンガル王国の北西、カンバル王国の南西に広がる草原に王国ロタが舞台。ロタに伝わる恐ろしき神タルハマヤ、その復活を巡る、美少女アスラとロタの猟犬スファル、ひょんなことからその事件に関わるバルサとタンダ。

いままでも国の根幹にまつわる事件に巻き込まれてきたバルサだったんだけど、今回はスケールアップ。

これで守り人シリーズ全巻制覇したんすけど、たきがは的には「闇の守り人」がいちばん好きっす。バルサの戦いってどうしても第三者にならざるを得ないと思うんすよ。当事者じゃないから言える。部外者だから言えることってあるでしょ。でも、「闇」ではバルサ本人の戦いでもありましたから、故郷なんで当然ですが、その当事者ならではの怒りとか、悲しみが、いちばんせつなく、良かったと思うのですね。
そういう意味では「神」はバルサが自分からトラブルに巻き込まれるわけですが、いままででいちばん動機が弱いような気もするわけ。「精霊」では巻き込まれだし、「夢」だとほかならぬタンダが巻き込まれだからね。

でも、まだまだ続きそうなシリーズですんで、まだまだ先が楽しみっす。

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精霊の木

上橋菜穂子著。偕成社。

「守り人」シリーズの上橋さんのデビュー作。
とても美しくてとても悲しい物語。

人間が北米・南米・アフリカ、オセアニア大陸で繰り返してきた滅びの歌。その未来予想図。
けれどそこに生きる人びとはまたしなやかにたくましく、悲しみを乗り越えて、未来に希望をつなぐ。

アボリジニの研究家であり、文化人類学をフィールドワークという現場で学ばれた上橋さんの眼差しはとても温かく、とても鋭い。

「うす暗い岩屋の中で、老人が少女に歌をうたってきかせている。少女にはまるでわからないと知りつつも、老人はいつか、だれかにつたわることを夢見て、たいせつな秘密をこめた歌を、ひくい声でうたいつづける…。」(初版あとがきより)

神は人がいなければ生きていけない。宗教とは人があってのものである。
しかし、精霊は人を生かす。この大地に足をつけて、人は生かされているということを忘れてはいけない。
そんなことを思いました。

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