監督:パク=チャヌク
出演:ソフィー(イ=ヨンエ)、イ=スヒョク(イ=ビョンホン)、オ=ギョンピル(ソン=ガンホ)、ナム=ソンシク(キム=テウ)、チョン=ウジン(シン=ハギュン)、ほか
主題歌:金光石「二等兵の手紙」「宛のない手紙」ほか
韓国、2000年
GYAO!でこの映画も見られるってんで、喜び勇んで鑑賞しました。というか、見直すたびに評価上がるんですよね、これ… その魅力はソン=ガンホ演じるオ=ギョンピル兄貴に負うところが大きいんですが、1945年にもたらされた南北の分断が、いかに統一を難しくさせ、またそれを簡単に乗り越えてしまえるかと思えるのもあるんだろうと思います。あとサントラがめっちゃ好みというのもありますが。
ちなみに監督のパク=チャヌク氏はこのほかに「
オールド・ボーイ」「
復讐者に憐れみを」「
渇き」とかを見てるんですけど、これだけ別格に好きだったりします。後はどれも後味悪くて…
いつも大好きなオ=ギョンピル兄貴の言動に一喜一憂して見てるんですが、今回は他の3人、スヒョク、ソンシク、ウジンについても冷静に見ました。あとソフィーについても。ソフィーの名はいちばん最初に上がってるように狂言回しでありますが、主役と言えるのはやはりスヒョクなんだと思います。大鐘賞ではソン=ガンホが主演男優賞穫ってましたが、まぁ、ポジション的には無理もないんですけど、ラスト、スヒョクの死で占めたところはやはりスヒョクが主役だと思います。
そのスヒョクが、本当にどこにでもいるような、かつ、ちょっと根暗な青年で(なのでソンシクの妹は「印象が薄い」と語る)、たぶん自殺をする直前まで、せいぜいオ=ギョンピルと再会した、ソフィーが開いた審問会(みたいな)まで、自分のしたことが国にばれたら、速攻で銃殺ものだったという自覚はなかったんだろうなぁと今回も思いました。まぁ、そこは決定事項でしょう。監督が考えていたというもう1つのラストシーンはこのスヒョク像ではあり得ないことになったんでしょうし。
あとは殺されちゃったウジンが気の毒でした。彼の方がスヒョクやソンシクに比べるとまだ冷静でギョンピルの言葉に従う余裕があったのは同国人だったからだけなんでしょうか? 13年という長い兵役を思うと、たとえ4人のなかではいちばん年下(ソンシクに弟扱いされてるため)でも、心構えはむしろスヒョクよりもギョンピルに近かったんじゃないかと思います。でも想定してもいなかったチェ上士の出現で逆上したスヒョクに殺され、ソンシクに無用の弾丸を7発も撃ち込まれたウジンはとばっちりとしか言いようがないです。
そう言えば、ギョンピルの仲裁で一度は銃を下ろしたスヒョクとチェ上士がまた動揺させられたのはカセットから流れてきたロック音楽でした。それがアメリカの隠喩という解釈はなるほどなぁと頷かせるものがあります。
ただ、最近の米朝首脳会談なんぞを見るに、DPRKが相手しているのはあくまでも対戦国のアメリカであって、韓国はアウトオブ眼中な発言をしていて、韓国が思っているほどにはDPRKの方では視界に入っていないようにも思えるし、あれはあくまでも朝鮮戦争の終戦を目的としており、そういう意味では真の敵はアメリカであって、韓国は同じ民族という意識の表れともとれるし、いずれにしてもそのような状態にさせてしまった日本の責任は絶大であり、せめてアメリカとDPRKの仲介ぐらいしろやと思いますけど、まず無理でしょうな。だったら、せいぜい指でもくわえて、朝鮮、韓国、アメリカ、ロシア、中国による5ヶ国の交渉を邪魔すんなと思います。そして、いざ統一となったら当事者同士に任せるしかないと思うのです。もしかしたら、両国の人びとはスヒョクが簡単に軍事境界線を越えたように、簡単に38度線なぞ越えてしまうのかもしれないのですから。それでもソンシクが土壇場でギョンピルやウジンの好意を疑ったように、統一までの道は長く険しいのですから。
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