監督:ジョン=スタージェス
出演:ヒルツ(スティーブ=マックイーン)、ラムゼイ大佐(ジェームズ=ドナルド)、バートレット(リチャード=アッテンボロー)、ダニー(チャールズ=ブロンソン)、ウィリー(ジョン=レイトン)、ベントリー(ジェームズ=ガーナー)、コリン(ドナルド=ブレザンス)、セジウィック(ジェームズ=コバーン)、アシュレー(デビッド=マッカラム)、アイブス(アンガス=レニー)、デクスター(ジャド=テイラー)、マック(ゴードン=ジャクソン)、ルーゲル所長(ハンネス=メッセマー)、ほか
音楽:エルマー=バーンスタイン
見たところ:シネマパレット
アメリカ、1963年
戦闘シーンが描かれない異色の戦争物です。バイクで疾走するマックイーンの逃走シーンが有名でしょうか。最初は一匹狼で、仲良くなったアイブスの死で一転してバートレットが企てた大脱走計画に協力するヒルツはやっぱり格好良かったです。
午前十時の映画祭も、これを見たら、残るは「七人の侍」のみとなりました(「バック・トゥ・ザ・フューチャー」には興味が湧かぬため)。トリに相応しい大作です。
第二次世界大戦中のドイツ。朝霧の中、数台のトラックが護送兵とともにスタラグ・ルフト北収容所に到着し、イギリス兵を中心とした捕虜たちが収容される。ここは脱走を重ねる連合軍の捕虜たちに手を焼いたドイツ軍が築いた最新の収容所で、脱走の常習犯ばかりが集められていた。先任将校のラムゼイ大佐は所長のルーゲルから「脱走するな」と厳命されるが、そこに集団脱走の計画立案と実行者のバートレットも送り込まれ、彼はドイツ軍の後方攪乱を目的に250人もの大脱走計画を立てて実行に移していく。一方、アメリカ兵のヒルツは独房で知り合いになったアイブスと脱走しようとするが発見され、再び独房に入れられてしまう。しかし精神的に追いつめられていったアイブスの死により、ヒルツもまた大脱走計画に協力することになる。実行日は7月7日、月のない夜であった。だがトンネルが予定より短かったことで脱走できたのは76名に過ぎず、地理の不案内なドイツで彼らは次第に捕えられていく。結局、脱走に成功したのは3名だけで、収容所に戻されたのは11名、またバートレットら50名はドイツ軍に密かに殺されたのだった。
一応、最後まで粗筋書きました。実話が元になっており、作中でスタラグ・ルフト北収容所と明かされることはありませんし、具体的な町の場所とか、そもそもドイツにあるのかさえもわかりませんが、パンフには収容所名が書いてあったらしいです。
250人も脱走させるはずだったのに76名しかできず、うち50名も殺されてはベンドリーが言うように「やる価値があったの」かは疑問ですが、ラムゼイ大佐は「見方による」と当たり障りのない返事。
また一匹狼のヒルツは、胸を張って収容所に戻り、独房にも堂々と入り、と「
パピヨン」みたいな執念を燃やしてましたが、彼のこの格好良さが意気揚々としたテーマ曲にマッチングして、バッドエンドなんだけど、俺たちの戦いはこれからだ!みたいなエンドに見えるのがいいのだろうと思います。
バートレットを演じたリチャード=アッテンボロー氏は、わしの好きな「
ガンジー」の監督です。「ジュラシック・パーク」にも出てたそうなんで、けっこう長いこと、俳優と監督の二足の草鞋を履いてた模様。
ダニー役のチャールズ=ブロンソンは「荒野の七人」でブレイク、アラン=ドロンとの友情が美味しすぎる「
さらば、友よ」に主演して、スターダムを駆け上がったのはこの後のことです。炭鉱夫出身なので、トンネル掘りのシーンは文句のつけようがなかったとかなんとか… ただ、17回もトンネルを掘った常習犯なのに、実は閉所・暗闇恐怖症という意外な弱点があり、76人しか脱走できなかったのにも一役買いつつ、3名の脱走成功組にちゃっかり入った辺りがまた。
同じく「荒野の七人」でブレイクしたジェームズ=コバーンはオーストラリアの出身で、ドイツからはるばるフランスを横断してスペインに脱走します。えええ、フランス大横断かよ…と思っていたら、実際のスタラグ・ルフト収容所はポーランドに近い方(しかも現在はポーランド)にあったらしいので、ここら辺は脚色したんでしょうなぁ。それにしてもレジスタンスと一緒とはいえ、移動しすぎだろ。
トンネルを掘り、メインの一本が見つかるまでの前半、76人が脱走し、一人、またひとりと見つかってしまう後半、緩急のつけかたも文句のつけようがない傑作です。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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