キム=ジェンドリ=グムスク作。都築寿美枝・李吟京訳。ころから刊。
クラウドファンディングで購入したグラフィックノベルです。日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリーとあるように、「慰安婦」被害者のお一人、李玉善(イ=オクソン)さんの聞き語りという体裁を取っています。李玉善さんは2020年現在、いまだご存命ですが、もはや90歳と高齢で、それでもナヌムの家から2時間かけて、毎週水曜日の日本大使館前のデモに参加されることもあるんだそうです。
解説も込みで500ページ近くの大作で、筆で描かれたようなタッチは柔らかく、簡潔な描写です。序章と終章も含めて全17章とあり、李玉善さんが中国から帰国する序章、貧しい少女時代を描いた1〜5章、過酷な体験を綴った6〜11章、戦後と現在に至るまでを描いた12〜終章となってます。
グラフィックノベルというのはマンガと似てますが、「
マウス アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語」なんかもそうで、わりと社会的な問題を扱うことが多いんだとか。まぁ、海外のマンガですわな。
ただコマ割りが単調で、あんまり大小つけないため、1ページに6コマ入ってるのはどう読んだらいいのか、わかりづらかったです。何で、ちょっと集中しづらかったです。この点、「マウス」のが読みやすかったです。まぁ、あれは台詞が多かったので順番に追いやすかったせいもあるんですが、この本は台詞は少なめなんで絵だけのコマも多く、作者はそれほど順番は重視していないのかもしれませんが、日本のマンガ読みは、そういうのは読みづらくてのぅ…
なんで、すげぇ大作読んだ!!!って気にはなりましたが、感動にはちょっと遠かったです (´・ω・`) ナジョシテコウナッタ
個人的にはナヌムの家にあるという女性の像に書かれていたのか託されたのか著者自身の言葉かわかりませんが「
あなたも自分の作品のため私たちにあの悪夢を語らせるのか」という言葉が壮絶な体験を語るには日本人も韓国人も関係ないのかもなぁと思ったのがいちばん印象深かったです。だからといって、このクラウドファンディングで高額寄付者の特典にあった、被害者の方(たぶん、李玉善さん含む)に会いに行こうとも思いませんが。日本人がどの面下げて行くのかとしか。
本そのものは3000円と、この手の本にしてはお買い得なレベルだと思うんでお薦めです。
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