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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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ガス燈

監督:ジョージ=キューカー
出演:ポーラ=アルキスト・アントン(イングリッド=バーグマン)、グレゴリー=アントン(シャルル=ボワイエ)、ブライアン=キャメロン(ジョゼフ=コットン)、ナンシー(アンジェラ=ランズベリー)、ほか
アメリカ、1944年

イングリッド=バーグマン大好きなんで借りてきました。観た覚えなかったし。監督は初っぱなの字幕でヒッチコックではなかったようで誰かと思ってググったら、「スタア誕生」や「マイ・フェア・レディ」の人でした。

ロンドンのソーントン広場に面した家で殺人事件が起こり、迷宮入りとなる。その家に住むポーラは育ての親の叔母を失い、イタリアに留学した。それから10年後、叔母にならってオペラ歌手になるべく歌の練習に励むポーラだったが、恋をしたことでロンドンに帰ることになる。夫グレゴリー=アントンのたっての希望で、ロンドンの広場に面した家、ポーラにとっては忌まわしい叔母が殺された家に住むためだ。だが、10年ぶりに訪れた家でポーラはおかしな行動をとると夫に指摘されるようになり、精神的に衰弱していく。だが、確かに封印したはずの屋根裏を誰かが歩いており、ガス燈が暗くなる時があるのだ。そんな時、スコットランドヤードの刑事ブライアンが迷宮入りしたポーラの叔母アリス=アルキストの事件に興味を持つ。ポーラの夫グレゴリーの行動に不信感を抱くブライアンは捜査を進めていくが…。

古典的なサスペンス。イングリッド=バーグマンさんは、この映画でアカデミー主演女優賞を取ったそうです。夫の言葉と自分の覚えのない行動で精神的に追い詰められていく若妻を熱演、「カサブランカ」の凜々しさにわしは惚れた口なんですが、こういうバーグマンも良いわぁv そして、シャルル=ボワイエが、開始30分には、もう腹に一物ある男性を怪演、ハンサムではないんですが、こういう役をやらせたらはまる方だと思いました。フランスの男優さんは、どうしてこうストレートな二枚目が少ないんでしょw ジョゼフ=コットンは、わしの記憶からすっぱり抜け落ちていましたが、「第三の男」の青臭い御仁ホリーだったので、それは忘れるよなと…。というか、ホリーが横切った時点で、正義の味方になんざ見えなくなってきてたんですが、まぁ、そこはハリウッド映画なんで、間違ってもヒロイン・ポーラを見殺しにするようなおっちょこちょいなわけはないんで、ラスト、ポーラが囚われたグレゴリーと2人きりになった時も、あんまりドキドキしませんでした。というか、ポーラ後ろ後ろ!!みたいな展開にはなりませんでした。

個人的にはイングリッド=バーグマンさんがヒロインで、シャルル=ボワイエさんが悪役でときたら、ボギー(ハンフリー=ボガート)ぐらいのヒーロー来ないと物足りないと思ったりしました(爆

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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ハーフェズ ペルシャの詩

監督・脚本・編集・撮影・セット・デザイナー・衣装:アボルファズル=ジャリリ
出演:ハーフェズ(メヒディ=モラディ)、ナバート(麻生久美子)、シャムセディン(メヒディ=ネガーバン)、モフティ老師(ハミード=ヘダヤティ)、ジョルジャニ師(アブドッラー=シャマシー)、ほか
イラン・日本、2007年

少年と砂漠のカフェ」のアボルファズル=ジャリリ監督が「カンゾー先生」で麻生久美子さんに惚れ込んで、撮ったという映画だそうです。ただ、日本向けのパッケージだから麻生久美子さんが全面的に押し出されたデザインになってましたが、主役はハーフェズ(コーランの暗唱者であり、この映画のモデルにもなった実在の詩人)なので、出番はあんまり多くありません。ヒロインですが。

シャムセディンは子どもの頃からコーランの暗唱に励み、見事、コーランの暗唱者ハーフェズの称号を得る。そんな時、ハーフェズの師匠ジョルジャニのもとに、イスラム教の指導者モフティ老師から、最近、母方の国チベットから帰ってきた娘ナバートにコーランを教えてほしいとハーフェズを指名してくる。ハーフェズはナバートにコーランを教え始めるが、イスラム教の習慣になじんでいないナバートは無邪気にコーランの意味を尋ね、ハーフェズと詩を交わすようになるが、それは結婚前の娘には許されない行為であり、ハーフェズは罪に問われて、ハーフェズの称号を剥奪され、家庭教師も辞めさせられてしまう。ナバートはモフティ老師のもとで働くイスラム法を学んだシャムセディンと結婚させられ、ハーフェズはナバートへの愛を諦めるために各地を訪ねて「鏡の誓願」を行うが、それも本当ならば許されない行いであった…。

テーマというか、ハーフェズが何をしたいのかわからなくて、途中からわけわかめになって観てました。ナバートのことを忘れようとするんだけど、でも、「鏡の誓願」というのは本来は愛を成就するために行われるそうで(イスラム圏にそういう習慣があるというわけではなくて映画のなかでの設定)、それがいかんというので、たびたび罪に問われるハーフェズ。ナバートも結婚させられたシャムセディンよりもハーフェズのが好きなんだろうけど、なにしろとかく女性のすることにも愛だの恋だのにもうるさいイスラム圏なもんで、自由に振る舞うわけにもいかず、途中からシャムセディンまで動き出して、またわけわからん展開に。結局、シャムセディンは、ナバートと恩師の言うままに結婚はしたけれど、ナバートの本心がわかっていたのでナバートには手も触れず(と言っている)、ハーフェズとの愛を貫かせてやったらしいのですが、ラスト、ハーフェズとナバートが愛を全うしてハッピーエンドというわけでもないので、何か唐突な終わり方をしたように見えて、最後までわけわかめでした。うう…

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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ホテル・ルワンダ

監督:テリー=ジョージ
出演:ポール=ルセサバギナ(ドン=チードル)、タチアナ(ソフィー=オコネドー)、オリバー大佐(ニック=ノルティ)、カメラマン・ジャック(ホアキン=フェニックス)、テレンス社長(ジャン=レノ)、ビジムング将軍(ファナ=モコエナ)、ほか
南アフリカ共和国・イギリス・イタリア、2004年

1994年に起こったルワンダの大虐殺を背景に、勤めていたホテル・ミル・コリンの支配人ポール=ルセサバギナが自身の家族やホテルの従業員も含めて1200人以上を救った実話をもとにした映画です。評判良かったので前から見たいと思っていたのですが、図書館にあったので借りてきました。

フツ族とツチ族の対立と、それが一挙にフツ族によるツチ族の虐殺へと至る流れは、ナチスのユダヤ人迫害とも異なる急速なものと見えましたが、その下地はルワンダがそもそもベルギーの植民地だったころからなされていたもので、あんまり詳しくないのですがボスニア・ヘルツェゴビナの民族対立の方が近いのかと思いました。「タクティクスオウガ」の民族対立とかもかなり近いのかなと。それほどフツ族とツチ族というのは、わしには見分けがつかなくて同じ人びとにしか見えませんでした。ただ身分証明書には「フツ族」とか「ツチ族」と書いてあって、フツ族の来ていたカラフルな衣装(黄、緑、赤、青、ほかも入った多色)をツチ族とされる人びとは身につけていないというぐらいでしか見分けがつかないのですが、この衣装も単にフツ族の主に民兵に配られて、ツチ族には渡されなかったという程度の代物にしか見えず、もう、なんでフツ族とツチ族がそこまで対立というか、フツ族の方が一方的にツチ族をゴキブリ呼ばわりして嫌っているのか、歴史的に憎悪をかき立てられ、煽られてきたという以上の理由がわからなかったのでした。

なので、フツ族として、4つ星ホテルの支配人として、将軍にもコネを持つ者として、最初はただ家族や従業員を守るため、国連の平和維持軍が撤退した後は避難民を守るため、身体を張って頑張るポールは、有能なホテルマンでもあるのだけれど、愛情あふれる父親であり、夫であり、わりとふつうの一般市民であり、その綱渡りがはらはらして見ていました。
ただ、実際に虐殺が始まるまでのポールは、妻の兄が、これから始まる最悪の事態を予想して逃げようと相談するのも、町中の見るからに不穏な空気も「大丈夫だ」とえらく楽観的に過ごしていたので、そこは一般人で、ある意味、フツ族であるので鈍感なところもあったのかなと。
でも、実際に虐殺が始まってしまってからは、ポールの頑張りとか、今まで築いたコネとかのおかげでホテル・ミル・コリンに逃げた人びとが助かった面はすごく大きいので、そこは一般人以上に頑張ったというか。

ただ、奥さんが最初から最後までふつうの人で、ちょっと視野が狭いという感じがあったんですが、そこら辺は逆にリアルなのかもしれないと思いました。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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ジョン・ラーベ〜南京のシンドラー〜

監督・脚本:フロリアン=ガレンベルガー
出演:ジョン=ラーベ(ウルリッヒ=トゥクル)、ローゼン(ダニエル=ブリュール)、ロバート=ウィルソン医師(スティーヴ=ブシェミ)、ヴァレリー=デュプレ(アンヌ=コンシニ)、朝香宮中将(香川照之)、松井石根(柄本明)、小瀬少佐(ARATA)、ドーラ=ラーベ(ダグマー=マンツェル)、フリース(マティアス=ヘルマン)、ほか
ドイツ・フランス・中国、2009年
見たところ:横浜シネマリン

日本では上映禁止の映画が一日だけ横浜シネマリンでかかるというのでチケット買って行ってきました。南京大虐殺を扱った映画で、かつて「南京1937」という映画を見たことがありますが、あちらが中国とそこに嫁いだという日本人女性の視点から描かれているのに対し、こちらはジョン=ラーベというドイツ人の視点から描かれます。

ドイツのシーメンス社の南京支社長ジョン=ラーベは、27年間の勤務を終えて本国に召還されることになっていた。だがラーベ帰国の2日前、中華民国の首都である南京を上海から進軍してきた日本の大軍が取り囲み、市街戦に巻き込まれてしまうがラーベはハーケンクロイツ旗を掲げることで戦渦から逃れる。激しい戦いが予感されるなか、南京に住む欧米人たちは難民を助けるために安全区を設けることにし、その代表にラーベが推薦される。ラーベは南京から発つ汽船に妻を見送るが、日本軍はそこにも爆撃を加え、妻のドーラは行方不明になってしまう。安全区に入れられるのは10万人に過ぎなかったが、ラーベの意見もあり、その倍の20万人を受け入れる。日本軍はこれを承認するが中国軍の兵士を入れないことが条件であった。だが、南京陥落の前から暴虐の限りを尽くす日本軍は安全区にも侵入し、我が物顔で振る舞う。20万の難民を守ることが次第に難しくなっていくなか、ラーベはインシュリンの不足から倒れてしまうが、ドイツの外交官ローゼンとウィルソン医師が日本軍の朝香宮中将に懇願し、ラーベは一命をとりとめる。しかし、同時に安全区にかくまった中国軍の兵士たちを理由に日本軍は安全区を潰そうと企んでいた。朝香宮中将が指揮する日本軍の銃口の前に身を差し出すラーベ。その時、南京の町にサイレンが響き渡り、中華民国の働きかけにより、国際連盟が送り込んだ調査団と記者団の到着を告げる。安全区は日本軍の手柄となり、ラーベたちの国際委員会は解散を命じられる。やがてラーベが南京を去る日が来た。港に向かったラーベを出迎えたのは妻のドーラであった。

1937年当時、ドイツではヒトラーが政権を掌握し、ナチスによる一党独裁を築き上げていましたがヨーロッパではまだ開戦していません。南京でラーベたちが築いた安全区が、ドイツ人以外にフランス人、アメリカ人なども交えて国際色豊かなのはそういう理由があります。まぁ、イギリスの首相はまだチェンバレンなんでヒトラーに弱腰な外交だし…

ええと、Twitterで二度ほどTLしましたが、南京大虐殺を描いた映画としてはかなり物足りなかったです。足りないと思ったところにいくつか突っ込んでみます。

サブタイトル「南京のシンドラー」がいただけない。ただ、これはネットでいろいろとググってみると、シンドラーという名前にはわしも見た「シンドラーのリスト」がありまして、杉原千畝さんも「日本のシンドラー」とか呼ばれちゃったりしてるんで、有名人にとかく弱い日本人の弱点を突いた確信犯なタイトルのようです。ただ、皮肉なことに「シンドラーのリスト」を「ホロコーストのテーマパーク」と言われた時にすごく納得したことがありまして、あれって、監督のアカデミー賞欲しいを全面に出した映画で、まぁ、計算されたお涙頂戴なんですよ。だから感動して泣いているのに、何かおかしいぞと思っている自分がいる、それに近い感想を持ちました。狙ってます。あと、似てます。特にラストシーン。ラーベを見送る南京の市民というシチュエーションは、シンドラーに指輪を贈るユダヤ人のシーンとそっくし。デジャブしました。ラーベはシンドラーのように泣きませんでしたが、「南京のシンドラー」と言われたら、たいがいの人は「シンドラーのリスト」を思い浮かべるはずで、過剰な感動を思い出すはずで、そういう期待をして見に行くんじゃないですかね。
だから、タイトルも確信犯ならば、映画の内容も確信犯。終盤、わしは堪えました。いつもなら、どっと涙があふれるラーベを見送る南京の市民のシーン、殺されたと思っていたドーラが助かってラーベを迎えに来るというシーン、頑張りました。泣くもんかと思いました。それぐらい、感傷に流された映画でした。
まぁ、タイトルが「ジョン・ラーベ」だし、ラストにラーベがナチ党と誹られて、貧乏のままに亡くなったという経歴まで紹介しているんで、ラーベの復権がテーマじゃないかと思いました。南京大虐殺はいわば、ラーベの功績というわけです。一昨日来やがれです。

おや、物足りないどころじゃないようですよ、わし…

感傷的と書いたんで、どうでもいいロマンスにも少々突っ込んでみましょう。どうでもいいんですが。ならば書くなですが。
ラーベとドーラという夫婦愛だけでおなかいっぱいになってるのに(気分は南京大虐殺を見に来ているんで)、ドーラが行方不明、インシュリンの不足で昏倒したラーベを見守るデュプレというシーンは、まぁ、同じ国際委員会の同志なんで、100歩譲って有りでもいいです。同志愛という言い訳もできますし。
ただし、デュプレの忠告を聞かずに夜に安全区を出て、弟にご飯をあげにいった結果、日本軍に見つかり、父親(姉弟の会話から人間的には駄目駄目らしい)の死を招き、弟に日本軍を射殺させた挙げ句、安全区に戻ってきたのに日本軍の軍服を着ていたので日本軍に追われ、学校の寮に逃げ込んで、見つからなかったものの、同級生たちを日本軍のすけべえ士官の前で裸にさせるというドジを踏んで、でも分かれて逃げた弟は無事でドイツ人の外交官ローゼンとちゃっかりできたっぽいランシューのエピソードは丸ごと要りませんでした。最初はカメラをかまえて写真を撮っているだけだったんですが、デュプレに止められても安全区を夜に抜け出し(しかも毎晩)、弟にご飯を届けるというのはどうなのかと… そんな生ぬるいエピソード要らんし… 弟に射殺される日本軍、まるで阿呆だし、しかも銃で2発も撃ったのに反動もないとかあり得ないし…

あと悪逆非道の限りを尽くした日本軍を描くのはいいんですが(実際はもっと酷いものなんで)、ARATAが中国軍の捕虜を殺すのに心を痛めているという描写も要らなかったです。そういうさ、日本にも気を遣いました!みたいなエピソード要らないから。そんな要素、なくてもいいから。最後にローゼンとウィルソンに告げ口とか、日本軍にだって人間らしい人はいたんだとか、そんな言い訳どうでもいいから。日本軍がやったのは、そんな人間が何十人、何百人、何千人といてもまだまだ足りないようなことだから。

南京大虐殺の責任者である松井石根が、皇族である朝香宮にまで偉そうなのは、まぁ、どっちでもいいです。

100人斬り競争は新聞の記事にもなってるから、いまさら真実がどうこうとか争うのは阿呆じゃないかとしか思えません。
そのシーンの生首とか、死体のシーンとか、全般的に綺麗すぎたように思います。
やっぱり、監督は侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館にリサーチに行ってないのかなぁと感じました。あそこには最大級の資料があるんで、絵に描いたような虐殺シーンじゃないシーンとか撮れたと思うんですけど… 生首の記念撮影のシーンで、隣の女性が目を伏せているようだったので十分、残虐と言えば残虐ですが。ただ、どっかで見たような綺麗さで、わしが侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館で見てきたのはもっと凄かったように思うので。ところどころ、当時の映像を交えているのならば、そういうシーンも使おうよ、ちゃんと。

南京大虐殺を描くにはほぼ絶対に安全なところにいたラーベでは足りないと思います。
かくなる上は未見の「南京!南京!」(「山の郵便配達」の息子役の劉燁さんが出ているようなんで…)とかチャン=イーモウ監督が撮ったという「金陵十三釵」を見たいのぅ…

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不正義の果て

監督:クロード=ランズマン
見たところ:横浜シネマ・ジャック&ベティ
フランス・オーストリア、2013年

強制収容所のなかでも唯一、外に向けて開かれていたテレージエンシュタット収容所。そこのユダヤ人長老の最後の一人で、ただ一人生き残ったベンヤミン=ムルメルシュタインの長編インタビューを中心にムルメルシュタインの著書からの引用を現代のテレージエンシュタットで監督が読み上げるドキュメンタリー。

先日の「ハンナ・アーレント」と正反対と言ってもいいようなユダヤ人評議会への評価と、アイヒマンの邪悪さが語られていますが、「SHOAH」「ソビブル」と観てきたなかではいちばん退屈で冗長な映画でした。もう何度も沈没しかけて、そのたびに字幕を飛ばしました。

思うに、この映画の最大の問題点は監督がムルメルシュタインに近すぎるところだと思います。思い入れが強すぎると言ってもいいです。つまり、監督とムルメルシュタインは友人なので思い入れが強すぎるあまり、監督はマルガレーテ=フォン・トロッタ監督の「ハンナ・アーレント」さえ観ないと言っている。確かにハンナ=アーレントはユダヤ人の長老を批判し、アイヒマンを凡庸な人物と言った。これはムルメルシュタインの話と食い違うのです。でも、だからといって、そういう批判から自由でいられるような立場にユダヤ人の長老はいなかったと思いますし、アーレントがアイヒマンを凡庸だと言うのは、上官から言われたことをただ機械的にこなす、それが善か悪かという判断をしない人間性を指すのであり、ナチスと同じような犯罪はどこの国でも起こるのだということだと思います。
確かにムルメルシュタインが対峙したアイヒマンは凡庸さなどかけらもないような悪魔的な人物だったかもしれませんが、弱いユダヤ人の立場で会えば、凡庸な人物も悪魔に見えただろうと推測するのは難しいことではないはずです。
監督がどう考えたかは、この映画が示しています。

そういう立場をわしは否定するものではありませんが、ムルメルシュタインの主張を冗長に垂れ流しただけの映画、それは単に退屈なものでした。

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