忍者ブログ

されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

残像

監督・脚本:アンジェイ=ワイダ
出演:ヴワディスワフ=ストゥシェミンスキ(ボグスワフ=リンダ)、ハンナ(ゾフィア=ヴィフワチ)、ニカ=ストゥシェミンスカ(ブロニスワヴァ=ザマホフスカ)、ユリアン=プシボシ(クシシュトフ=ピェチンスキ)、文化大臣(シモン=ボブロフスキ)、ウッチ造形大学学長(アレクサンデル=ファビシャク)、ロマン(トマシュ=ヴウォソク)、ほか
見たところ:岩波ホール
ポーランド、2016年

たきがは大好きのポーランドの巨匠アンジェイ=ワイダ監督の遺作です。神奈川県に来るのを待っていたら来ないことがわかり、慌てて岩波ホールに行って来ました。何年ぶりだよ…

1948年、スターリン主義まっただ中のポーランドの地方都市ウッチを舞台に共産主義につぶされていく前衛的な画家ヴワディスワフ=ストゥシェミンスキの晩年の4年間を描きます。

わしは絵画の世界にはとんと暗いのでストゥシェミンスキさんのことは全然知りませんでしたが、左手と右足がなくても松葉杖をついて精力的に動き回り、学生たちに慕われた講義の風景などを見ていると、画家としてだけでなく教師としても素晴らしい方だったんだろうなぁと思いました。でも、その一方で、すでに別れた彫刻家の奥さんと小〜中学生ぐらいの娘さんがいて、その奥さんの葬儀にも呼んでもらえないというのはどっか問題はあるのだろうという描き方もワイダ監督らしいと思います。まぁ、母親の葬儀を一人で行った娘の前で、協力者とはいえ、愛人のようなハンナさんとのやりとりをしちゃう無神経さはどうなのと思ったし。それでもラストシーン、孤児になった娘が父親が死んだというベッドに来るところで終わるのは、彼女が示せる精一杯の愛情とも取れるし。
しかし、寮に入っているとはいえ、この先、娘さんが冷遇されたのではないかと心配にもなりますが。

タイトルの「残像」は、ストゥシェミンスキさんの残した「残像はものを見た時に目の中に残る色なのだ。人は認識したものしか見ていない」から取られたそうで、それはストゥシェミンスキさんが最後にショーウィンドウの中で倒れた時、何人も通行人が通るのに誰もが無関心というところにも現れていたのかなぁと。

大好き監督とか言いつつ、見てない映画もあるので機会があったら見てしまおうと思います。

ワイダ監督のご冥福をお祈りします。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

PR

藁の盾

監督:三池崇史
出演:銘苅一基(大沢たかお)、白岩篤子(松嶋菜々子)、蜷川隆興(山崎努)、清丸国秀(藤原竜也)、奥村武(岸谷五朗)、関谷賢示(伊武雅刀)、神箸正樹(永山絢斗)、ほか
原作:木内一裕
日本、2013年

うちの親が見ているのにつき合ってまるっと見てしまいました。ただ監督が三池崇史だとわかってたんで、最近、特に漫画やアニメの実写映画化で評判が悪いので期待してなかったのですが、それ以下の出来でしたが、原作があると知って、そのざるな設定にかなりがっかりです。

仮釈放中の身でありながら幼女を殺した罪に問われた容疑者・清丸国秀の命に、被害者の祖父・蜷川隆興が10億の身代金をかけた。SPの銘苅一基と部下の白岩篤子は、警視庁の奥村武、神箸正樹、福岡県警の関谷賢示と協力して自首してきた清丸を福岡から警視庁に移送する任務を命じられる。しかし、蜷川が清丸殺害を広言したことで一攫千金を狙う一般市民だけでなく、移送に協力するはずの警察の中にまで清丸の命を狙う者が現れてしまう…。

というわけで凶悪犯を守るSP対一般市民(キャッチコピーでは日本国民1億2000万とか言ってましたが、全員がそんな発想になるわけはないので、その時点ですでにおかしい)という話なんですけど、

・SPの銘苅だけ防弾チョッキを着ていたのに、白岩と神箸が着てないで射殺されたのはおかしい。
・最初、何十台ものパトカーに守らせて護送しようとしていたけど、場所を特定されていたので新幹線に切り替え、それもばれて最後はタクシーとか、計画性のなさ過ぎる移送がひどい。警視庁ならヘリコプターで移送すれば速いはずだし、新聞社とかヘリを持っていても、ゴルゴじゃあるまいし、ヘリから清丸を狙えるスナイパーがいるとも思えない。

という辺りがひどかったです。

カンヌで酷評されたそうなんですが、脚本のざるを訂正すれば、それなりに見られる、むしろ、一石を投じられる映画になれたと思うので、つくづく、設定の甘さがもったいないと思いました。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

まあだだよ

監督・脚本:黒澤明
原作:内田百閒
出演:先生(松村達雄)、高山(井川比佐志)、甘木(所ジョージ)、沢村(寺尾聰)、桐山(油井昌由樹)、先生の奥さん(香川京子)、高山の息子(吉岡秀隆)、酒屋の御用聞き(頭師佳孝)、ほか
日本、1993年

黒澤監督の遺作です。公開当時、すでにわしは黒澤映画ファンでしたが、確か「8月の狂詩曲」だったか「夢」を見て、「七人の侍」に代表されるようなダイナミックさが失せていたので見に行きませんでした。「どですかでん」はむしろ好きなんですが、どうも「影武者」以降の作風が好きになれず、「8月の狂詩曲」もあんまりおもしろくなかったんで期待薄だったのです。

法政大学でドイツ語を教える内田百閒先生は、文士として食べていく見通しが立ったので教師を辞める。しかし、妻と二人暮らしのその家には高山や甘木を始め、大勢の教え子たちが先生を慕って通ってくる。高山たちは先生が還暦を迎えたのを機に「摩阿陀会」を開催する。なかなか死にそうにない先生に「まあだかい?」と聞いて、先生が「まあだだよ」と返す誕生祝いである。先生の家は空襲で焼かれ、狭い家に住むようになるが、敗戦後、教え子たちの厚意で庭と池つきの家が贈られる。やがて摩阿陀会も17回目を迎え、教え子たちの家族や孫まで出席するようになり、先生も77歳の高齢となっていた。不整脈を起こして途中で帰宅した先生は子どもの頃の夢を見ていた。かくれんぼをしていて、「まあだだよ」と叫び続けるのだった。

普通におもしろい映画でした。これは映画館で観た方が良かったかも…。

ただ、わし的には、いわゆる黒澤組の方々がほとんど出ていない映画にはあんまり興味がなかったのです。まぁ、最近の役者にあんまり魅力を感じていないという。

これで未見の黒澤映画は「続姿三四郎」と「醜聞」だけとなりました。

拍手[0回]

顔のないヒトラーたち

監督:ジュリオ=リッチャレッリ
出演:ヨハン=ラドマン検事(アレクサンダー=フェーリング)、マレーネ(フリーデリーケ=ベヒト)、グニルカ記者(アンドレ=シマンスキ)、ハラー検事(ヨハン=フォン・ビューロー)、バウアー検事総長(ゲルト=フォス)、シモン(ヨハネス=キルシュ)、検事正(ロベルト=ハンガー・ビューラー)、シュミッテン秘書(ハンシ=ヨクマン)、ほか
ドイツ、2014年

敗戦後も生き延びたナチスの党員たちをドイツ自身が逮捕するようになった歴史の転換、1963年のフランクフルト・アウシュビッツ裁判開廷までを実話に基づいて描いたフィクションです。

同じ状況の日本に比べると、ラドマンは日本にいないのかと思って観てましたが、最後まで観ると、ラドマンを支えた秘書のシュミッテンさんや、総責任者であるバウアー検事総長、一時、戦線を離脱したラドマンの後を支えたハラー検事、ラドマンとは親友のようなグニルカ記者、ラドマンを踏み込ませた収容所のサバイバー、シモンさんなどなどの支えがあり、また元ナチスの反発もあったろうけれど(グニルカが「大反響だった」と言うのは決して好意的な意見だけを言っているのではないと中盤で示される)、真実を知りたいとするラドマン自身の正義感とか、過去の罪に眼をつぶらなかった、陸続きで周囲を元連合国に囲まれ、直視せざるを得なかったドイツ自身の姿なんかもあって、現在のナチスの罪をとことん追求しようとするドイツの姿勢というのは一朝一夕で作られたものではないんだなと。

それだけに島国であり、アメリカの庇護を受けたことに安穏とし、過去の罪を未だに清算できないでいる日本という国の醜さが鏡のように映し出されて、わしは恥じ入ってしまいます。

なぜ日本では過去の罪を見つめ直そうとしないのか。なぜ自ら過去の戦争犯罪を裁かないのか。そう思いながら、この映画を観た人がどれだけいたのか、正直、疑問であります。

ヒロインのマレーネは「ハンナ・アーレント」で若きアーレントを演じた女優さんでした。道理で見覚えがあると思ったら…。違反切符を切られたのが縁でラドマンと知り合ったけど、元ナチスだった父親のことで和解できなかった模様。わりと若いドイツ人像に近いのかもしれません。

同僚のハラーさんは、ラドマンが父親もナチスだったと知って、途中でリタイアしたのに、途中から参加で、でも本人はそんなのは希望してなくて、でも頑張ってたところが良かったです。

秘書のシュミッテンさんはラドマンの秘書だけじゃないんですが、やっぱり働き者です。しかも収容所のサバイバーたちの話に涙しながら、それでも仕事を辞めないという侠気はなかなか見せられるものじゃないと思いました。それだけにリタイアしたラドマンに向けた「軽蔑する」という台詞はなかなか重かったです。

検事総長のバウアーさんが、わりと話の発端。まぁ、ラドマンが持ってきたから重い腰を上げたのかもしれませんが、やると決めたからには全面的な味方というところが頼もしい。しかしご当人、「ばれたら、この国にはいられない」って、どういう理由があったのか、最後まで明かされませんでした。

ドイツ映画らしい実直さと、誇りとともに差し出されたであろう上質の映画でした。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

ゆんたんざ沖縄

監督:西山正啓
音楽:小室等
日本、1987年

沖縄北部・読谷山の、日の丸・君が代強制が始まった1980年代の様子を、チビチリガマの自決にまつわる慰霊の像建立を中心に追ったドキュメンタリー。

4月2日がチビチリガマの自決だそうで、その痛ましさが胸に迫ります。しかし、同じ読谷山にも住民が生き延びられたガマもあったそうで、その違いはハワイから帰ってきたことでアメリカ軍が住民を虐殺するような「鬼畜米英」ではなかったという事実を知っていたことでした。

自国民さえ守らなかった日本軍が他国、侵略した中国や、植民地だった朝鮮や台湾にどれほどのことをしたか、想像するのはたやすいはずです。

ラストの方で、高校の卒業生の女の子が泣きながら日の丸を燃やすシーンが印象的でした。高校生の頃、わしは、そこまで深く国旗や国歌と向き合っていませんでした。そうせざるを得ない沖縄の高校生たちを産んだのは、明らかに本土のわしのような一般人の無関心さだと思います。

2017/6/25まで、配給元のシグロの好意でYou Tubeで無料公開しています。中盤から音声と映像が合わなくなってわかりづらいのが残念でしたが、是非。

ゆんたんざ沖縄 無料公開中

たんぽこ通信 映画五十音リスト

拍手[0回]

カレンダー

01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28

最新CM

(06/14)
無題(返信済)
(05/29)
(04/27)
甘くない態度(返信済)
(04/26)
謹賀新年(返信済)
(01/04)

プロフィール

HN:
たきがは
HP:
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

かうんたあ

脱原発意思表示Webステッカー

バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン