バルトロメー=デ・ラス・カサス著。染田秀藤訳。岩波文庫刊。
ドミニコ会の司教ラス・カサスが、主にスペイン人によるラテン・アメリカでの破壊と略奪、それらに伴う大量虐殺を「発見」後、50年も経ってからカスティーリャ王に報告した書簡。
それだけ見ると、聖職者っていたってまともな人間なんだな〜なんて感想を抱きそうですが、さにあらず、ラス・カサスの意向としては植民地として生かすべきであり、「無知」なインディオたちを一人でも多くキリスト教徒に改宗させるべきであるというだけなんで、奴隷として生かすか、原住民として殺すか、の違いでしかありません。
あと、インディオの殺戮については一言あったラス・カサスでしたが、その代わりに黒人奴隷を使えという発言を読んだりすると、もう、おまいも根っこは一緒じゃん!!!と突っ込みたくなります。
まぁ、それにしても殺しも殺したり、1000万人以上のインディオたちを殺した殺した殺しまくったスペイン人の悪行をこれでもかと書いて、それでもまだ書き足りないとか、言葉に尽くせないとか書いてあるのをみると、実際にはもっと殺してそうです。
しかも、この本をネタにスペインは以後、20世紀に至るまでその悪辣さを国際的に非難されてたそうなんですが、別に本になってないだけでイギリス人もフランス人もアメリカ人もドイツ人も、ついでに日本人も植民地ではやってることなんで、こういう言い方をすると人種差別的ですが、白人のもたらす「文明」とは何だったのか、ひたすら破壊の歴史じゃないかと思ったりさせられます。
あと、これはベ平連への批判的な意見から思ったことなんですが、本当に悪いのは戦争よりも、それを引き起こす差別というもので、この先、世界がどうなっていくにしても、まず、その差別というものをなくさないことには同じようなことは繰り返されていくのだろうなぁと思いました。
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