監督:熊谷博子
ナレーション:山川健夫
見たところ:桜坂劇場
日本、2018年
12日に不意に有給を取りまして、映画でも行こうと思い立ったんですが、こちらの映画が13日までだというんで、かつて東京タワーで展示された山本作兵衛展を見に行ったことがあり、俄然、興味を覚えたんで行ってきました。
音楽が情緒に流れすぎる嫌いはありましたが、まぁ、良質のドキュメンタリーではないかと思います。
あと、坑夫だったというおばあちゃんに会いに行った監督のはしゃぎ方がうざかったです。
絵の描き方を習ってもいないのに、都合3000枚以上(途中で1400枚を家族の頼みで全部焼いた、と日記にあり、残っているのが2000枚以上のため)もの絵をひたすら描き続けた作兵衛さんは、とうに亡くなっていますが、その詳細な記述により、過酷な炭鉱の労働について我々は知ることができる貴重な記録です。
炭鉱は日本全国、北海道から沖縄にまであったと聞いたので、もはや常磐なんぞ行く機会もないでしょうから、沖縄の炭鉱ぐらい見てみたいなぁとも思いました。
ググってみたら、沖縄といっても西表島に、すでに閉山された炭鉱がいくつかありました。しかし、西表島は飛行場がないため、いったん、石垣島に行ってから船で渡るしかありません。ちょっと気軽に炭鉱跡を見に行くというわけにはいかなさそうです。
ただ、見ていて気づいたんですが、やっぱり作兵衛さんが炭鉱で働いていた時代と微妙にかぶる、朝鮮や中国から、あるいは連合国の捕虜が強制的に労働をさせられていたという絵は作兵衛さんは1枚も描いていないわけです。日本人労働者よりもさらに過酷な扱いを受けたであろう彼らの絵はない。たまたま作兵衛さんの視界に入らなかっただけなのか、たまたま会わなかっただけなのか、それとも敢えて無視をしたのか。
うがった見方をすれば、そういう題材がない絵だったからこそ、日本政府がユネスコの世界記憶遺産に申請したのだとも思えるわけです。そんな絵があったら、申請なんぞ考えもしなかったのではないかと、そう思えるだけの理由が現在の日本にはクソのように転がってるわけです。
なので、作中で、そういう事実に触れたことは良かったんですが、一言二言ナレーションで述べただけなので、やはり絵として、記録として欲しかったなぁと思うのは贅沢というものでしょうか?
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