監督:デビッド=リーン
出演:ロレンス(ピーター=オトゥール)、ファイサル王子(アレック=ギネス)、アリ(オマー=シャリフ)、アウダ(アンソニー=クイン)、アレンビー将軍(ジャック=ホーキンス)、ベントリー記者(アーサー=ケネディ)、ドライデン顧問(ホセ=ファーラー)、ブライトン大佐(アンソニー=クエイル)、ほか
見たところ:シネマパレット
イギリス・アメリカ、1962年
見たことがなかったんで見てみたんですが、見始めてから、現在のサウジアラビアの圧制につながる舞台造りに奔走したのがロレンスじゃなかったっけ…と思い始め、実際の歴史はそこまで単純ではありませんが、まぁ、よくある英雄の栄光と挫折を、砂漠を舞台にダイナミックに描いた大作という感じでした。何で映像は素晴らしく良かったんですが話としては少々、退屈でした。特に後半。
前半はアカバ陥落と、ロレンスがカイロに戻るまでなんですけど、一介のイギリス人少尉がアラブ人たちの心をつかみ、さらにオスマン帝国と組んでいたハウェイタット族のアウダを懐柔して味方につける辺りまでは砂漠の美しさと容赦ない厳しさが映像に写し取られていて、もう砂漠だけでも良かった感じでした(←いろいろと間違い)。
ただ、カイロに帰還し、アラブへの支援をいろいろと取りつけたのに、アラブのために戦ってる(つもり)のロレンスと、イギリス軍では当然のことながら思惑がすれ違うわけでして、そこら辺が露骨になる後半は、ロレンス自身は白いアラブの衣装を身につけて格好いいんですけど(ピーター=オトゥールが長身だから、なびかせるのがよく似合うし)、実態は全然格好良くなくて、一発でアラブ人じゃないってばれる容姿(金髪碧眼)なのにアラブ人の服着てりゃばれないとか言ってオスマン帝国の支配する町に潜入して、ものの見事にばれて拷問されちゃうし(口は割らなかったらしく、後で放逐されてましたが)、最後はアラブからもイギリスからも邪険にされたんで僕ちゃん帰るばりに帰国し、それが冒頭の無謀なバイク事故に繋がってたのがまぁ、格好悪いという…
ファイサル王子は、わしが思ってたサウジアラビア王家ではなく、シリア=イラク王国を経て、イラク王国の初代国王になってました。
ロレンスの心情としては徹頭徹尾アラブのため、だったんでしょうが、結果的には全て大英帝国のためになったというのが、大きな視野を持ってない英雄の限界なのかなぁという気もしました。アラブ側の評価はそんなところらしいですし。
砂漠に行った気分にひたるには良い映画ですが、それだけで3時間超は長いよね。
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