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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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文明の衝突と21世紀の日本

サミュエル=ハンチントン著。鈴木主税訳。集英社新書刊。

読み始めた時にtwitterでくそみそなTLを漏らしたように、徹頭徹尾、駄目な本でした。視点がアメリカ中心なのはアメリカ人の場合、むしろ不思議はないので、ま〜た自慰が始まったよと生暖かい視線で眺められるんですが、ここに無駄に日本を持ち上げるのと、イスラエルの存在がほぼ皆無で語る西アジア情勢という胡散臭さが拍車をかけまして、こんなんでハーバード大学の教授? いや、ハーバード大学って東大ポジ? みたいな感想に至りました。

最後まで読んで、解説がまた日本自慰丸出しだったので、こんなん解説する奴もされる奴も、やっぱりどっちもどっちで、集英社ってところで読む価値があるかどうか考慮すべきだったなぁと深く反省するところです。わし的には集英社ってマンガの産経みたいな認識なんですが、Wiki見たら、小学館が半分株持ってるそうで、別の意味で納得しました。

なにしろ、二言目には「日本の独自の文明」と言って日本を褒めるのが気持ち悪かったです。まぁ、確かに維新後に限れば、現人神なんてものを掲げてアジアに侵略しまくり、ひいてはボスのイギリスやアメリカに喧嘩を売り、自国民<(越えられない壁)<国体≒天皇だった日本の文明なんてのはその昔、中国や朝鮮の影響なしにはろくな文化も持てなかったであろうことを考えると独自性ありまくりの、いたって独善的な「文明」でしょうが、いや〜、1945年までのあれを「文明」とは死んでも呼びたくないですね。まぁ、その延長たる現代の日本も同じですが。
もしや、これは褒めてたんじゃなくて、褒め殺しだったんだろうかと今、思いつきましたが、中国の下げっぷりを鑑みるにやっぱり相対的に日本持ち上げてるよなぁと思いましたんで、感想は訂正しないでおきます。
「日本の「文明」が西暦100年ないし400年の時期にあらわれた」と多くの学者が見ていると言うてますが、どこの学者だよ、学説あげてみろおらな気分です。邪馬台国を指してるんでしょうか? 弥生時代は文化ですが文明とは言えんでしょう…
また言うに事欠いて「最も重要な孤立国は、日本である。日本の独特な文化を〜」って、日本人の自慰以上の褒め攻撃にげっぷが出ますし、文化なのか文明なのか、ちゃんと書き分けてほしいです。能書き垂れる前に。
しかも「1990年代の東アジアには、安定した民主制が敷かれているのは1ヶ国のみで」って、なぜかここだけ国名はっきり書いてませんが、この著者の傾向から言ったら、ほぼ100%、日本ですよね? でも、日本が敗戦後、なんちゃって民主制を敷いてきて、実際は官僚の独裁なのは周知の事実だと思いますが、それは見抜けなかったの?

さらに言うと「ヨーロッパには土着文化というものが存在しなかった」って、ケルトは土着文化なかったのかなぁ…

また言えば、「主要な文明研究者のほとんどは明確なアフリカ文明というものを認めていない」とは、いやいや、暗黒大陸、20世紀にも健在だったとは知りませんでした。
しかも「エジプトがアラブ・イスラム文明に一致」って、おいおい、エジプト人に怒られるぞ。

あと「人類の歴史のほとんどの時期を通じて、文明間の接触は断続的であるか、あるいは皆無だった」とか言ってますが、シルクロード無視かよと突っ込みたい。中国やアラビアの文化と接触したから、ヨーロッパ人(と十把一絡げにしてしまいますが)は羅針盤を知り、火薬を知り、医学を学んだんではなかったのかね? そのおかげで大航海時代があったの、無視ですか? 絹も胡椒もヨーロッパ文明にゃ、何の影響も与えなかったと言うのかね? さすがアメリカ、他国の歴史にゃとんと関心がないようで。

さらに突っ込めば、イスラム教徒が「好戦的」な理由(そこに呼ばれもしないで首を突っ込んでるアメリカや、そもそもの不和の原因イスラエルを無視して!)を若年層が多いからとか言ってますけど、今の日本、世界でも稀に見る高齢化社会ですが、全然、周辺諸国と穏やかな共存の道なんか歩んでませんが? ますます、ハンチントン評、下がってきました。

まだ突っ込みますと「日本の大衆も1997年の世論調査で、アメリカを北朝鮮に次ぐ第二の脅威だと答えている」って、えええ、そんな調査が出たら、それこそトップニュースだろ。政府から官僚からこぞってアメリカ大好きのくせにそんな結果が出るわけねーじゃんと思いましたが、まったくないとも言い切れないので(どこのニポーンだよとも思いますが)、突っ込むだけにしておきます。
一応、「外交に関する世論調査」(平成9年10月)なるページを見つけたんで貼っておきますが、アメリカが脅威とは読めませんが…

中国の評価は全般低いですが、1つだけいいこと書いてた。「親戚同士の戦いには限度があるべきだ」っていう言葉が中国軍の文書に引用されてるってことです。そうあるべきです。むしろ、日本の歴史じゃ兄弟同士で殺し合いなんか普通ですけどね…
あと、そこから中国と台湾、韓国とDPRKについて、えらく甘い見通しを述べてますが、アメリカ人てさ、自分が踏みつけてる国のことはまったく頭にもないんだなぁと思いました。まぁ、「太白山脈」で「アジア人は人間と思うな」って言ってたから、もう大して驚かないけどね!

また、北方領土問題(というのは日本政府の言い分でロシアにとってはとっくに片づいている)に言及するあたり、プーチン大統領やラヴロフ外相の言うとおり、北方四島を日本に「返」せば、間違いなく米軍基地が置かれると確信しました。いや、アメリカの関心って、100%、そこにしかなかろ?

あと、欧米日が帝国主義に走ったからといって、中国までそうだと考えるの、視野狭窄に陥ってますよ? 過去に植民地化したこと、侵略し、侵略戦争を行ったことを後ろめたいと思うなら、謝罪しなさい?

また日中とアメリカの関係について、現実にアメリカべったりどころか、世界的に認められたアメリカの狗ニッポンを見ていると、こいつの見通しは全然、当てにならなかったなぁと思って評価が地に落ちたのは結果論ではありますがね。

解説の中西輝政ってのが、もろに「自虐史観」を訴えていて、そういう連中には、「独自の文明」とか言って持ち上げてくれるハンチントンは気持ちいいんだろうなぁと思います。それだけでも、この本は読むに値しない屑本だというのが、わしの結論です。

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