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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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日本鬼子(再見)

監督:松井稔
証言された方々(敬称略):土屋芳雄、永富博道、船生退助、絵鳩毅、湯浅憲、篠塚良雄、榎本正代、金子安次、鈴木良雄、小山一郎、鹿田正夫、富永正三、久保田哲二、小林武司
日本、2001年

渋谷のシアターフォーラムまで見に行った映画が、まさか英語字幕付きですがYouTubeで見られるとは思いませんでした。やぁ、びっくりだ。

2時間40分と、長めですが、なにしろ、1つ1つの証言が衝撃のオンパレード。実態は「中国の旅」「南京への道」ほかもろもろで知ってはいても、やはり当事者の証言は第一級の重みがあります。ご飯食べながらでしたが、あっという間でした。



もはや鬼籍に入った方々も多いであろう今の時代、同じような過ちを犯す前に、是非、見ておいてほしいと思います。

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国家が破産する日

監督:チェ=グクヒ
出演:ハン=シヒョン(キム=ヘス)、ユン=ジョンハク(ユ=アイン)、ハン=ガプス(ホ=ジュノ)、パク=デヨン(チョ=ウジン)、IMF専務理事(バンサン=カッセル)、ほか
見たところ:桜坂劇場
韓国、2018年

1997年に韓国で実際に起きた通貨危機を元にした社会派ドラマです。

誰もが韓国経済の急成長が、このまま続くと信じて疑わなかった1997年、それは突然、起きたように見えた。早くからこのことを予測していた韓国銀行の通貨政策チーム長ハン=シヒョン、元大手金融コンサルタントのユン=ジョンハク以外には。あと7日で国家が破産する、政府は慌てて対策チームを結成するが、国民に報せるべきと主張するシヒョンと、ハーバード出身の財務局次官パク=デヨンの主張は対立する。また切り札としてIMFからの融資を取りつけようとするデヨンに対し、シヒョンは日本やアメリカから融資を受けるべきと主張するが、大手企業を守ろうとする国家の方針は中小企業や一般民衆を苦しめるものだった。一方、経済状況に疎く、町工場を経営するハン=ガプスは大手の百貨店から取引手形で大口の注文を受けるが、それは転落の始まりであった。ユン=ジョンハクは、わずかな顧客とともにこの危機を、先手を打って乗り越えようとしていた…。

わしは経済のことにはまったく詳しくないのですが、そうも言ってられない状況なんじゃないかと思って見てました。IMFの融資を受けることになった韓国でしたが、シヒョンが見抜いたとおり、その背後にはアメリカの思惑が働いており、韓国経済に深くアメリカが食い込んできたからです。逆に、この危機に素早く動くことでジョンハクみたいに濡れ手に粟で大もうけしようとする人間もいるわけですが、そういうのはやっぱり経済のこととか詳しくないと無理だよなぁ…

と思うくらい、今の日本の状況も1997年の韓国の状況によく似ているというより、さらにまずいことになっており、またアメリカの狗という立場ではよく似た日本と韓国ですが、それもこれも国家を牛耳る官僚がアメリカの大学出身で、その価値観をたたき込まれており、どっち向いてんだよな方向性が、嫌になるくらいそっくりでした。

まぁ、この国の行き着く先は世界中の原発から出された放射性廃棄物の捨て場所というのがフクイチ以来のわしの持論で、それだけでは飽き足らず、この国を我が物顔に牛耳ってる官僚も政治屋も、アメリカに全部、それこそ、人的物的資源を全て売り渡さなければ気が済まないんだろうなぁと思ってるので、そっくりな韓国も似たような状況なのは不思議でも何でもないなぁと思いました。

シヒョンは、脚本家や監督が「あの当時、いて欲しかった人物」と語るように、庶民の味方、みたいなポジションで描かれまして、ラスト、再び危機が訪れた時も「二度も負けるわけにはいかない」って独白するのがいい感じでした。ただグッバイシングル」の主役のキム=ヘスさんだったとは最後まで気づきませんでしたが…
ただ、そんなシヒョンが、辞表を提出して、IMFとの協議を暴露して帰ろうとした時、それまで全然接点のなかった町工場のガプス社長が現れ、実はお兄さんだったと知らされ、兄のたっての頼みをどうやら、その後の展開で聞けなかったらしいの(お兄ちゃんが「融資してくれる銀行を紹介してくれ」と言ってたのに、車で一人泣きじゃくるシヒョンという構図は、断ったとしか思えないため)は、彼女にも彼女なりの事情があったのに、せっかく頼ってきた兄を助けてやることもできない自分の無力さを嘆いていて、でも最後ではやり手の社長になっていたのがなかなか良かったです。

そのお兄ちゃん役がホ=ジュノさんでして、どうも「シルミド」「火山高」のイメージで覚えていたはずなのに「達磨よ、遊ぼう!」に出ていなかったのは、顔を間違えていたからだったと今日、わかりました。うーむ、どこで間違ったのだ…
いい人だったんだけど、どう考えても不渡りになった手形(大手デパートからの)を借金の代わりに渡したために、相手のチョン社長を自殺に追い込んだ節があり(前後のシーンからの推測ですが)、20年後には息子に「誰も信じるな。人は裏切ると思え」と言ってるのは、決して妹に裏切られたからだけではなかったんじゃないかと思いました。町工場は復活(途中で差し押さえとか貼られていたため)したけど、イスラム系っぽい外国人の労働者を使ってて、韓国にもまさか技能実習生制度なんてあるんだろうかと別の意味で心配になりました。

自殺者が42%も増えたという国家的危機のなか、わずかな成功を自分の力でつかんだ勝ち組のジョンハクは、「王の運命〜歴史を変えた八日間」の思悼(サド)王子でした。あの映画だとほとんどやつれたりしてたからなぁ…

そして、監督は「Split(邦題は「パーフェクト・ボウル 運命を賭けたピン」)」がデビュー、こちらが二作目だそうですが、なかなかいい演出をするなぁとシヒョンとガプス、ガプスとチョン社長の葬式のシーンで感心させられました。語りすぎないのが上手いですね。

今年は桜坂劇場に行くのはこれが最後になりそうなんで、最後にいい映画を見ましたわい。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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インディアスの破壊についての簡潔な報告

バルトロメー=デ・ラス・カサス著。染田秀藤訳。岩波文庫刊。

ドミニコ会の司教ラス・カサスが、主にスペイン人によるラテン・アメリカでの破壊と略奪、それらに伴う大量虐殺を「発見」後、50年も経ってからカスティーリャ王に報告した書簡。
それだけ見ると、聖職者っていたってまともな人間なんだな〜なんて感想を抱きそうですが、さにあらず、ラス・カサスの意向としては植民地として生かすべきであり、「無知」なインディオたちを一人でも多くキリスト教徒に改宗させるべきであるというだけなんで、奴隷として生かすか、原住民として殺すか、の違いでしかありません。
あと、インディオの殺戮については一言あったラス・カサスでしたが、その代わりに黒人奴隷を使えという発言を読んだりすると、もう、おまいも根っこは一緒じゃん!!!と突っ込みたくなります。

まぁ、それにしても殺しも殺したり、1000万人以上のインディオたちを殺した殺した殺しまくったスペイン人の悪行をこれでもかと書いて、それでもまだ書き足りないとか、言葉に尽くせないとか書いてあるのをみると、実際にはもっと殺してそうです。
しかも、この本をネタにスペインは以後、20世紀に至るまでその悪辣さを国際的に非難されてたそうなんですが、別に本になってないだけでイギリス人もフランス人もアメリカ人もドイツ人も、ついでに日本人も植民地ではやってることなんで、こういう言い方をすると人種差別的ですが、白人のもたらす「文明」とは何だったのか、ひたすら破壊の歴史じゃないかと思ったりさせられます。

あと、これはベ平連への批判的な意見から思ったことなんですが、本当に悪いのは戦争よりも、それを引き起こす差別というもので、この先、世界がどうなっていくにしても、まず、その差別というものをなくさないことには同じようなことは繰り返されていくのだろうなぁと思いました。

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作兵衛さんと日本を掘る

監督:熊谷博子
ナレーション:山川健夫
見たところ:桜坂劇場
日本、2018年

12日に不意に有給を取りまして、映画でも行こうと思い立ったんですが、こちらの映画が13日までだというんで、かつて東京タワーで展示された山本作兵衛展を見に行ったことがあり、俄然、興味を覚えたんで行ってきました。

音楽が情緒に流れすぎる嫌いはありましたが、まぁ、良質のドキュメンタリーではないかと思います。
あと、坑夫だったというおばあちゃんに会いに行った監督のはしゃぎ方がうざかったです。

絵の描き方を習ってもいないのに、都合3000枚以上(途中で1400枚を家族の頼みで全部焼いた、と日記にあり、残っているのが2000枚以上のため)もの絵をひたすら描き続けた作兵衛さんは、とうに亡くなっていますが、その詳細な記述により、過酷な炭鉱の労働について我々は知ることができる貴重な記録です。

炭鉱は日本全国、北海道から沖縄にまであったと聞いたので、もはや常磐なんぞ行く機会もないでしょうから、沖縄の炭鉱ぐらい見てみたいなぁとも思いました。

ググってみたら、沖縄といっても西表島に、すでに閉山された炭鉱がいくつかありました。しかし、西表島は飛行場がないため、いったん、石垣島に行ってから船で渡るしかありません。ちょっと気軽に炭鉱跡を見に行くというわけにはいかなさそうです。

ただ、見ていて気づいたんですが、やっぱり作兵衛さんが炭鉱で働いていた時代と微妙にかぶる、朝鮮や中国から、あるいは連合国の捕虜が強制的に労働をさせられていたという絵は作兵衛さんは1枚も描いていないわけです。日本人労働者よりもさらに過酷な扱いを受けたであろう彼らの絵はない。たまたま作兵衛さんの視界に入らなかっただけなのか、たまたま会わなかっただけなのか、それとも敢えて無視をしたのか。
うがった見方をすれば、そういう題材がない絵だったからこそ、日本政府がユネスコの世界記憶遺産に申請したのだとも思えるわけです。そんな絵があったら、申請なんぞ考えもしなかったのではないかと、そう思えるだけの理由が現在の日本にはクソのように転がってるわけです。

なので、作中で、そういう事実に触れたことは良かったんですが、一言二言ナレーションで述べただけなので、やはり絵として、記録として欲しかったなぁと思うのは贅沢というものでしょうか?

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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伝統都市1

吉田伸之・伊藤毅編。東京大学出版会刊。全4巻。

例によってタイトルだけメモしていたので何が気になったのか不明のまま読みましたが、とってつけたようなサブタイトルの「イデア(プラトンによる。「理想」と訳す)」とかなければ、個々の論文は意外とおもしろいのもあったです。

特におもしろかったのは海外の諸都市についての論文でしたが、日本の都市の近代化というか西洋化において、一等地と言える日本橋においてさえ、開発が優先されるのは進んで金を出す地主の土地で、限られた予算と時間がそちらに割かれてしまい、本来の道路計画が体系的に実現されることもなかったという、理想もへったくれもない、行き当たりばったりの日本の都市計画ってところでした。いや、ほんとに。「伝統」とかどの口が言うんだと言いたいですネ。

あと論文のなかでは「××図」によると〜という記述が出てくるのに、肝心の図を載せないので全然形の見えないのは辟易しました。ちょっと図版少なすぎ。

わし的には、個々の論文の執筆者がばらばらで、最初にテーマがあって、それでかき集めました感が満載なので、もうちっと個々の論文を繋ぐような編者の言葉とかあったら良かったんじゃないかと思いました。あと、執筆者が何でこの都市を選んだのかも、もうちょっと語ってくれると興味の持ち方も違うんじゃないかなぁと思いました。

あと、いくら東大でも「海外進出」とか「朝鮮進出」はいただけません。侵略の間違いだろぉぉぉぉ!!!と指摘したい。

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