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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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アメリカン・スナイパー

監督:クリント=イーストウッド
出演:クリス=カイル(ブラッドリー=クーパー)、タヤ(シエナ=ミラー)、ほか
見たところ:109シネマ湘南
アメリカ、2014年

評判がやたらに高いので行ってみましたが、イラク戦争の真実にかすりもしないような駄作でした。こんな映画評価するぐらいなら「ルート・アイリッシュ」見やがれ ヽ(`Д´)ノ

羊や狼ではなく番犬になれと言われて育ったクリスは20歳を過ぎてもロデオに熱中している若者だった。だが、ある日、米軍が新兵を募集していることを知り、最も厳しいと言われるシールズとなる。過酷な訓練に耐え、父に教わった射撃の腕前を発揮していくクリスは、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件をテレビで見て愛国心を強めていく。同時にバーで知り合ったタヤと出会い、愛を深めていくが、結婚式の当日、アメリカはイラクに宣戦布告するのだった。イラクに派遣されたクリスは、腕利きのスナイパーとして敵に恐れられ、味方からは「伝説」と呼ばれる存在となっていくが、何度も戦場に向かう彼に2人の子を持つ母親となったタヤは「心が帰ってこない」と訴える。4度目の派遣で敵側のスナイパー、ムスタファを射殺したクリスは二度と戦場に戻らない決心をする。米国に帰還した兵士たちに身体や心に深い傷痕を残した者たちがいることを知って、クリスは彼らと頻繁に会うようになり、自分の負った傷も癒していくが、ある日、元海兵隊を名乗る若者に殺されてしまうのだった。クリスの葬儀は全米の人びとが見送る壮大なものとなった。

というわけで腹立ったんで最後まで粗筋書いた。

話の半分以上は戦争シーンです。まぁ、戦争映画ですから、そこは割り切るとしましても、どのシーンも同じような長さで描かれるのでメリハリがありません。そこでまず退屈しました。

そして、クリスの人物が、実在の人物で、実際に殺された人なんですが、お父さんから「番犬になれ」と言われて育ったやんちゃな男が30になって軍に入り、射撃の才能があったんで「伝説」になったけど、4回イラクに行っても、自分たちが侵略者だという自覚はまったく持ちませんでした。まぁ、実在の人物なんだから、持たなかったんでしょう。
でも、現在、そもそもイラクに攻め入った理由である大量破壊兵器の存在はなかったことがわかっています。その反省というか、結局のところは侵略戦争であり、イラクの石油資源とかが欲しかっただけの戦争だよね?ということは製作者、つまり監督のおつむにはまったくないようでして、クリスは4回のイラク派遣で常にイラクの人たちを「野蛮人」呼ばわりし、アメリカ軍がそもそも侵略しなければイラクの女性や子どもたちまでアメリカ軍を襲うようなはめにならないで済んだはずではなかったかと思い至ることもないままに「仲間を守っただけ」と言って、アメリカ軍史上最強のスナイパーとして君臨するわけです。

確かにイラク帰還兵のPTSDの問題とかは多少出てこなくもなかったようですが、肝心の主役はそういう負傷兵たちとの交流でいともあっさり「あなたの心は戦場から帰ってこない」と言われた奥さんをして「以前のあなたが帰ってきてくれた」と言わせています。ええと、主人公の苦悩って何それ?

そして、最後、殺されてしまったクリスの葬儀が行われるわけですが、国葬と呼ぶに相応しい盛大なものでした。市民たちが星条旗を持ってクリスの棺を乗せた車の通る街道で見送る。うん、これはただの英雄ですよね?

「ルート・アイリッシュ」で主人公や親友が加害者の一人、イラクにとっては侵略者に過ぎないという事実を出し、戦争で受けた深い傷痕を故郷に戻っても癒しきれず、最後は死を選んだのとはあまりに大きな違いではありませんか?

どこかで否定的な描き方をしているのなら、このような批判は的外れなものだと思って見ていましたが、クリスは始終「蛮人と戦っている」「仲間を守っている」と言い、3回目の派遣でアメリカ人に情報を売らざるを得なくなったために殺された男性を同じ町の人たちが担ぎ上げて非難するというシーンでも「奴は選択を誤ったんだ」と言ったきりでした。2回目でも住民が避難したはずの町に残っていた一家に、敵の幹部の情報を話すように迫り、自信たっぷりに「必ず守る」と言いながら、敵に知られて殺されてしまうのをただ見ているだけでは、何か言いたかったんですか監督?

わしは、最初から最後までクリスに共感できませんでした。だって共感できるところ、1つもないんだもん。全然、魅力的じゃありませんでした。

「父親たちの星条旗」とか「硫黄島からの手紙」とか見る必要はないなぁと思いましたよ。

ネットで好意的な感想を読んだんで追記(2015年3月14日)

淡々とした作風は、この監督の傾向のようです。抑えた、とも言います。メリハリがないと同義です。

この映画を見て「考えさせられた」という感想を見ましたが、クリント=イーストウッドに説教される覚えはありません。アメリカ人である監督は日本人であるわし以上に当事者であり、考えるべき立場ではありませんか? まぁ、イラク戦争でほいほいとアメリカの尻馬に乗っかって後方支援をした日本が何の反省もなく、統括もなく、今度はいつでも戦争できる国になろうとしている時代に偉そうなことを言ってしまいますけれど、最大の当事者であるアメリカ人が人のこと言うなと。そう思いました。

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