プリーモ=レーヴィ著。竹山博英訳。工作舎刊。
サブタイトルは「元素追想」ですが、原本にあったものではないようで、訳者あるいは出版社が勝手におセンチにつけたんじゃないかと邪推します。
と言いますのも訳者の後書きで著者が自殺をしたことにこれっぽっちも触れられていなかったので、むしろ、最後の短編「炭素」の終わりから「今は亡きレーヴィの、そして我々自身の、未来に開かれた旅でもあるのだ」とか言っちゃってるのを読むと、他でもない自死という形で自らの生命に終わりを告げたレーヴィが、どうしてそんな開かれた未来など視てたろうかと思えるので、ホロコースト物に携わる日本人にはありがちな傾向ですが、ナチス・ドイツの犯した犯罪と地続きのところに我々日本人は立っているという自覚がこれっぽっちもないんじゃないかと思ったからなのでした。
プリーモ=レーヴィの元素にかこつけた短編集で、たいがいはエッセイに近いものですが、中には小説とかもあったりしましてバラエティに富んでました。
ただ、プリーモ=レーヴィが無縁ではなかったアフリカ諸国、ぶっちゃけ非白人種への差別感がけっこう露骨で、小説家としてのプリーモ=レーヴィへの興味は失せました。レイシストの本は読んでもおもろないから。
やっぱり、わしのなかではこの人はホロコースト、強制収容所からのサバイバーという前提があっての興味なんで、それ以外を書いたのは、たとえ無関係ではなくてもあんまり興味が湧きませんでした。まぁ、それを言い出したら、わしの大好きなアナキスト大杉栄も、けっこう朝鮮の人たちへの差別は露骨だったとどっかで見たんですが青空文庫収録の著作を全部読んだ限りではそういうことはなかったと思ったんですけど、見かけたら修正することになるかもしれません。
そういうわけで次は何を読もうか思案中。
たきがはが2週に1度、県立図書館に籠もっているのはついに「太白山脈」の人物索引を作り始めたからです。1冊5時間もかかるので、やっと3巻終わったとこ… (´・ω・`)
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