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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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一粒の麦もし死なずば

アンドレ=ジィド著。堀口大學訳。世界教養全集25収録。平凡社刊。

例によって何でこの本、読みたかったのかわかりませんが(タイトルと著者しかメモしてないから)読んだので感想など。

そういや、最近、わしのなかではすっかり評価を下げてるこうの史代(「夕凪の街 桜の国(リンク先は映画のレビュー)」「ぴっぴら帳(ノート)」「さんさん録」等)が座右の銘として、このジィドの「真の栄誉を隠しもっている人間を書きたいと思っている」を上げてましたが、「一粒の麦〜」読んだ後だと何だかな〜な感想になりました。

50歳になったジィドが産まれた時から従姉のエマニュエルと結婚した25歳くらいまでを振り返った回想録です。時代的には19世紀末です。法学者の父を早くに失い、専業主婦っぽい母のもとで厳格にしつけられたエリート、というのがジィドの立場でしょうか。病弱のためもあり、ろくに学校に行っていないのはどうでもいいところですが、どう見ても母親はジィドにつききり(他に兄弟もいないため)、お手伝いさんを遣い、成人しても植民地のアルジェリアへ物見遊山に旅行となりますと、一応、作家を志しており、著書も出版してはいるものの、それで食っていってるようにも見えないのでずいぶんと恵まれた身分なんだなぁと思いました。まぁ、その偏見が最初から最後までずーっとつきまとったので苦悩とか言われてもね、な感じがずーっとしてました。

なんでだいぶ辟易して二週間もかかって読んだのはここだけの話です。

あとタイトルの「一粒の麦〜」は「ヨハネ伝」のキリストの言葉「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにてあらん。もし死なば、多くの果(み)を結ぶべし」に由来しているそうです。

アルジェリアがいいとか言ってるのも単に植民地だからで、時代とはいえ、こういう考え方はどうにもなじめません。あと植民地の少年少女を金に飽かせて自分の肉欲に供させる態度も反吐が出ます。

総じて帝国主義ってクソだなぁというありきたりの感想しか出てきませんでした。

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パラダイス・ネクスト

監督:半野喜弘
出演:牧野(妻夫木聡)、島(豊川悦司)、シャオエン/シンルー(ニッキー=シエ)、ガオ(マイケル=ホアン)、加藤(大鷹明良)、346(カイザー=チュウアン)、ほか
見たところ:桜坂劇場
日本・台湾、2019年

考えるな感じるんだを地でいく、ノワールサスペンスを気取った雰囲気映画。

トヨエツは格好良かったですが、それだけで金を払うには映画として成り立ってない感満載でした。

台北に逃亡したヤクザの島の前に牧野と名乗る男が現れる。「俺はあんたの救世主だ」とうそぶく牧野は、始終、にやついている軽薄そうな人物だったが、島は彼が言った「俺もあのパーティに出ていた」が気になって追い払うことができなかった。だが、日本からやってきたヤクザの加藤が島に牧野を殺すよう命じたため、島と昵懇になっていた台北のボスのガオは、島と牧野を台北から逃がし、二人は花蓮という町でシャオエンと名乗る女性に遭い、ひょんなことから彼女との奇妙な同居生活が始まるのだった。そしてある日、シャオエンの「パラダイスに行こう」の一言で海へ向かった三人だったが、牧野を追ってきた殺し屋に追いつかれ、シャオエンが殺されてしまう。島は殺し屋を返り討ちにするが、牧野は自分が殺したシンルーという女性がシャオエンにそっくりだったと語り、シャオエンの遺体とともにボートで海に漕ぎ出していくのだった。

全編説明不足で、何というか島が日本から逃げた理由も、牧野が追われる理由もちゃんと語られていないため、奇しくも二人に関係するシンルーにそっくりなシャオエンというキャラ立てが見事に空ぶった感じです。監督曰く「ストーリーを語るだけの映画は作りたくなかった」そうですが、ノワールサスペンスを雰囲気と音楽で誤魔化すのは無理だろ。なにしろ音楽の唐突感と、音楽の雰囲気だけで悲壮な裏を語っちゃおうとするのは無理です。

あと、パンフを立ち読みしたら、粗筋に「シンルーにそっくりなシャオエンに遭って、愕然とする島」とか書かれていたんですが、どこが? あと島とシンルーの関係がわかりづらかったんですが、ボディガードなら、パーティの最中に彼女を置いて帰っちゃ駄目だろ。牧野の動機も意味不明すぎるだろ。

また346という殺し屋も登場シーンが唐突で、最後の島の台詞で、どうもガオに牧野殺しを命じられて来たようなんですが、島に無抵抗で撃たれるとか仕事してないだろ。関係ないシャオエン殺して、ちゃんと仕事しろ。

あと、シャオエンが「パラダイスに行こう」と言って始まった旅でしたが、豪邸に住んでて、ろくに働かずに食えて、かつ、突然やってきた男二人も養えるとか、十分パラダイスじゃね?と思ったのは、わしが今年いっぱいで失職するからだけでしょうか?

あと最近、「1粒の麦、もし死なずば」を読んで思ったんですが、働かないで食える人間がいるということは誰かがその分、搾取されてるってことなんですよね。そう考えると楽園なんぞあるかというのがわしの感想です。そういうテーマだったらしいですが、ろくにストーリーも語れない監督が人生語るなと言いたいです。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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レオン 完全版

監督:リュック=ベッソン
出演:レオン(ジャン=レノ)、マチルダ(ナタリー=ポートマン)、スタン(ゲイリー=オールドマン)、トニー(ダニー=アイエロ)、ほか
見たところ:シネマパレット
アメリカ・フランス、1994年

ダニー・ザ・ドッグ」のリュック=ベッソンがハリウッドに進出して撮った一作目、だそうです。わりと評判がいいので午前10時の映画祭にかかったので行ってきましたが、どこら辺が評判いいんですかね、これ…

実の父とはうまくいかず、継母、義姉からも虐待され、唯一、弟だけには懐かれていた鬱屈した少女マチルダは、ある日、麻薬の運び屋をしていた父のへまのせいで家族を失う。彼女を助けたのは隣人の殺し屋レオンだった。イタリア系の移民だったレオンはトニーの依頼を受けて凄腕の殺し屋となっており、マチルダは強引に彼のもとに居座り、殺しの技術を学ぶ。ろくに学校にも行ったことがなく、字も読めないレオンに字を教え、代わりに彼の身の回りの世話をするのと引き換えに。だが、彼女の家族を殺したのは麻薬捜査官でもあるスタンスフィールド、通称スタンだった。マチルダは彼の殺害をレオンに依頼しようとするが、相手が大物すぎると断られる。第一、レオンはトニーからの依頼でしか殺しをしたことがなかったのだ。単身、スタンの職場に乗り込んだマチルダだったが、早々に見破られてしまう。だが、そこにレオンが乗り込んでき、マチルダを助ける。しかしスタンはトニーを脅してレオンの居場所を突き止め、SWATの大軍を送り込んでレオンとマチルダを仕留めようとする。マチルダを逃がし、たった独りで大勢の警官の相手をするレオンは、負傷した警官になりすまして、その場から逃れようとしたが、スタンに気づかれ、背後から撃たれてしまったものの、トラップを仕掛けてスタンもろとも爆死する。トニーのもとに逃げ込んだマチルダに、トニーは学校に帰れと諭す。4ヶ月ぶりで登校したマチルダを校長は受け入れ、マチルダはレオンの唯一の友だった観葉植物を学校の庭に植えるのだった。

というわけで粗筋を全部書きましたが、マチルダのキャラが自分勝手過ぎて、最後まで好きになれなかったどころか、ヒーローたるレオンも全然格好良くなくて、もっとスタイリッシュアクションを想像していったら、全然泥臭い話だったのでした。それでキャッチコピーが「凶暴な純愛」とか舐めてんだろ。

マチルダがレオンのもとに押しかけたのはまぁ、いいんですよ。12歳の女の子だし、身よりいないし。ただ、仇のスタンのもとへ単身乗り込んで、なぜか入った男子便所(GENTLEMANって書いてあったよなぁ…)でスタンにいきなり出くわしちゃって、口で言うほど覚悟も度胸もつけてなかったのを証明するかのように何もできないでスタンに囚われちゃうわけです。もう、ここら辺の展開が、なまじっか頭がいいような描写をされている(家族が殺されたのを見てとっさにレオンに助けを求める、殺しの修行をするのにホテル住まいをした際にフロントに事情をごまかす)だけに、肝心要なところでドジ踏んで、そのせいでレオンの顔がスタンにばれて、マチルダも生きていたことがばれちゃって(スタンは家族を皆殺しにしようとしていたため)、クライマックスにいくんですが、そりゃないだろうと思ったのでした。
あと、レオンに初体験を求めるんですが、何か、ここら辺のシーンでか、他の作でかどうか知りませんがリュック=ベッソンにロリコン疑惑が湧いているそうなんですが、レオンが拒絶したのはむしろ良心的だと思いました。
マチルダの子どもっぽさはレオンと初仕事をやって、その祝いに酒を飲んだ時に笑い上戸になったシーンで、ああ、駄目だなとは思いましたが。

かといってレオンがいいかと言われますと、うーん、どうも19歳の時に渡米してから、何か成長してない感がありありとわかっちゃって、好きになれませんでした。
そのくせ、凄腕の殺し屋なんですけど、あんまり丁寧に描かれないので(特にクライマックス)、何かすごく成功してんだけど、ふつう、これだけヤクの売人とか殺されたら、どいつもこいつももうちょっと警戒するだろうと思ったので、中盤、レオンがマチルダと組んで、10回ぐらい殺しを成功させるシーンは、ずいぶん駆け足な描写で、その分、雑な印象しか残りませんでした。ので、凄腕の殺し屋が上滑りしてる上、レオンもいい歳こいて、何かがきっぽいというか、世界が狭すぎるというか、そこら辺が背伸びしまくってるマチルダとのいびつな関係がとても「純愛」にゃあ見えなかったのでした。ていうか、レオンって、もしかしたら、マチルダが「18歳だ」って言ってたの、信じてたりしてなかったでしょうかね…

なんで、次回の「ウェストサイド物語」でお口直しをしなければなりません。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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腸よ鼻よ1

島袋全優著。KADOKAWA刊。

GANMA!で連載中で、連載開始からずーっと読んできた沖縄出身の漫画家、島袋全優先生の抱腹絶倒、難病闘病マンガです。

沖縄出身の漫画家さんはけっこういますが(「コミック沖縄」とかいう雑誌も発行してたことあったし。県立図書館か博物館でバックナンバー読めます)、ちゃんとプッシュしようよ沖縄県の本屋さんよ。

どっかの首相と同じく難病・潰瘍性大腸炎と闘う漫画家の実録エッセイですが、筋肉を愛でる著者の作風が、時に「北斗の拳」を彷彿とさせ、取材と称して入院することもたびたびで、内容はすごいシリアスなのに、ここまで笑いに昇華させてるセンスが最高におもしろいです。

コミックスが出たのは9月でしたが、10月でもう第三刷とか伊達に「次にくるマンガ大賞」で3位とってないですネ。

著者へのお布施と、取材費の足しにしてもらおうと思ってコミックス買いました。

心配なのはGANMA!から出してるマンガって、刊行が途中で止まっちゃうことがあるので(「LICHIT」とか「おとぎのファルス」とか…)最後までちゃんと出してほしいなぁと思いますが、こういう闘病エッセイって終わることあるんかいな?

潰瘍性大腸炎と腸に優しい食材にも詳しくなれる、1粒で二度も三度も美味しいマンガ。是非、お手元に。

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佐喜眞美術館再び

前回は一部しか見られなかった「沖縄戦の図」が全作見られるってんで、いろいろ日程考えたら今日明日しか行けなかったんで、それっと行ってきました。

ううむ、やはり、全作あったんか…

「沖縄戦の図」で描かれた8連作と、読谷3部作、単独で描かれた沖縄戦の図、きゃん岬、ガマの計14枚です。

前回も乗ったバスで上原で下車しまして、前回と同様、PAOでパンを買い、ふく薬局で阿蘇牛乳を買い、美術館の前で立ち食いして行きました(ちょうど昼時だったため)。
そう言えば、PAOはサンシャインマーケットには出店してませんでしたし、別の宜野湾市のパン屋でした。まぁ、パン屋も多いからなぁ…

あと前回は気がつかなかったんですが、奥に「TEA ROOM(喫茶室だったかも)」と看板のかかった空き部屋がありまして、昔は喫茶室ぐらいはあったようですが、採算が合わなかったらしく、辞めちゃってました。うーん、へたに手を広げてるのが良くないんだと思いますが… 美術館の売りはやはり「沖縄戦の図」なんで、ずっと「沖縄戦の図」全作をかけておけばいいんじゃないかと思いますが…
わしが行った後で観光バスも行ったんで、団体客があるなら、それなりに需要はあると思います。沖縄戦というと、どうしても南部が中心になりがちですが、宜野湾市で、しかも普天間基地に隣接という絶交の立地条件は、「沖縄戦の図」を飾るに相応しいと思いますが…

というわけで「沖縄戦の図」14枚です。

全部見て思ったんですが、わしは、わりと人物を描かれてる俊さんの、一人として同じ人物がいない描写がわりと好きなようです。「原爆の図」でも「水俣」や「南京大虐殺」「アウシュヴィッツ」でも。その生気のない眼差しが見つめる人類史上でも稀に見る凄惨な事実を、犠牲者たちの眼差しを通して見つめたいと思うからかもしれません。
ただ「沖縄戦の図」に限って言いますと、「シムクガマ」の静謐さがいちばん好きでした。人もいない、生き物もいない、音もしない、ただ明るいだけのガマの絵を、ぼんやりと眺めていたいと思いました。時々、聞いたこともない雫の垂れる音を聞きながら、ずーっと見ていたいと思ったくらい、「シムクガマ」の絵がいいなぁと思いました。

ただ心配だったのは、前回は気づきませんでしたが、墨に油絵の具でも乗せたためでしょうか? 特に色がついたところの絵の具がひびが入って割れていて、剥がれているところが多々あり、もったいないなぁと思いました。沖縄の高温多湿では、油絵の具はもっと厳重な管理がなされているべきなのかもしれません。個人が経営する美術館では難しいのでしょうか? それとも和紙に置いたんで、位里さんも俊さんも、いずれ割れて剥がれることは知っていたのでしょうか? 補修してもらえんかなぁと思います。炎だったり、ハイビスカスの鮮やかな花だったり、血だったりする赤や、エメラルド色と言われた海の色を表現するにはやっぱり青のように色があった方がいいので、このまま剥がれるままにしておくわけにはいかないんじゃないかと思いました。

なんで、また全作かかったら見に行こうと思います。わしの好きな「シムクガマ」は常設展示なんですが、東松山の丸木美術館に行く機会ももうないだろうし、せめて沖縄にいるうちは「沖縄戦の図」をもっと見たいと思うからです。

絵を見た後で、丸木夫妻を撮った写真集を眺めていたら、久米島の虐殺を描いた絵に朝鮮の人が殺されたシーンがあったことがわかりました。首に縄をかけられた父親らしい人を兵隊が引きずっていき、そこに息子が取りすがっている、わりと大きく描かれた人物でした。
沖縄の人が方言のためにスパイと疑われ、日本兵に殺されたのは有名ですが、ここでも朝鮮の人たちがさらなる差別に苦しめられていたと知って、暗澹たる気持ちにさせられました。

また行こうと思います。

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