前回は一部しか見られなかった「沖縄戦の図」が全作見られるってんで、いろいろ日程考えたら今日明日しか行けなかったんで、それっと行ってきました。
ううむ、やはり、全作あったんか…
「沖縄戦の図」で描かれた8連作と、読谷3部作、単独で描かれた沖縄戦の図、きゃん岬、ガマの計14枚です。
前回も乗ったバスで上原で下車しまして、前回と同様、PAOでパンを買い、ふく薬局で阿蘇牛乳を買い、美術館の前で立ち食いして行きました(ちょうど昼時だったため)。
そう言えば、PAOはサンシャインマーケットには出店してませんでしたし、別の宜野湾市のパン屋でした。まぁ、パン屋も多いからなぁ…
あと前回は気がつかなかったんですが、奥に「TEA ROOM(喫茶室だったかも)」と看板のかかった空き部屋がありまして、昔は喫茶室ぐらいはあったようですが、採算が合わなかったらしく、辞めちゃってました。うーん、へたに手を広げてるのが良くないんだと思いますが… 美術館の売りはやはり「沖縄戦の図」なんで、ずっと「沖縄戦の図」全作をかけておけばいいんじゃないかと思いますが…
わしが行った後で観光バスも行ったんで、団体客があるなら、それなりに需要はあると思います。沖縄戦というと、どうしても南部が中心になりがちですが、宜野湾市で、しかも普天間基地に隣接という絶交の立地条件は、「沖縄戦の図」を飾るに相応しいと思いますが…
というわけで「沖縄戦の図」14枚です。
全部見て思ったんですが、わしは、わりと人物を描かれてる俊さんの、一人として同じ人物がいない描写がわりと好きなようです。「原爆の図」でも「水俣」や「南京大虐殺」「アウシュヴィッツ」でも。その生気のない眼差しが見つめる人類史上でも稀に見る凄惨な事実を、犠牲者たちの眼差しを通して見つめたいと思うからかもしれません。
ただ「沖縄戦の図」に限って言いますと、「シムクガマ」の静謐さがいちばん好きでした。人もいない、生き物もいない、音もしない、ただ明るいだけのガマの絵を、ぼんやりと眺めていたいと思いました。時々、聞いたこともない雫の垂れる音を聞きながら、ずーっと見ていたいと思ったくらい、「シムクガマ」の絵がいいなぁと思いました。
ただ心配だったのは、前回は気づきませんでしたが、墨に油絵の具でも乗せたためでしょうか? 特に色がついたところの絵の具がひびが入って割れていて、剥がれているところが多々あり、もったいないなぁと思いました。沖縄の高温多湿では、油絵の具はもっと厳重な管理がなされているべきなのかもしれません。個人が経営する美術館では難しいのでしょうか? それとも和紙に置いたんで、位里さんも俊さんも、いずれ割れて剥がれることは知っていたのでしょうか? 補修してもらえんかなぁと思います。炎だったり、ハイビスカスの鮮やかな花だったり、血だったりする赤や、エメラルド色と言われた海の色を表現するにはやっぱり青のように色があった方がいいので、このまま剥がれるままにしておくわけにはいかないんじゃないかと思いました。
なんで、また全作かかったら見に行こうと思います。わしの好きな「シムクガマ」は常設展示なんですが、東松山の丸木美術館に行く機会ももうないだろうし、せめて沖縄にいるうちは「沖縄戦の図」をもっと見たいと思うからです。
絵を見た後で、丸木夫妻を撮った写真集を眺めていたら、久米島の虐殺を描いた絵に朝鮮の人が殺されたシーンがあったことがわかりました。首に縄をかけられた父親らしい人を兵隊が引きずっていき、そこに息子が取りすがっている、わりと大きく描かれた人物でした。
沖縄の人が方言のためにスパイと疑われ、日本兵に殺されたのは有名ですが、ここでも朝鮮の人たちがさらなる差別に苦しめられていたと知って、暗澹たる気持ちにさせられました。
また行こうと思います。
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