アラン=ドロンとチャールズ=ブロンソンが共演した、悪の香り漂う男たちの友情物語。フランスの美形俳優アラン=ドロンと、アメリカの泥臭いチャールズ=ブロンソンというのはなかなか粋なコンビです。アラン=ドロンも「太陽がいっぱい」とかで主人公だけど殺人犯の青年役とかやってますんで、影のあるキャラというのは似合いますし、ブロンソンは悪(わる)の香りがぷんぷんですんで、もう背徳的な雰囲気も漂わせつつ、そのくせ、おっぱいさえ映さない時代の制限(1968年の作だ)とか、なかなかの傑作。
アルジェリア帰りの軍医ディノ=バランと、同じ船で帰ってきた傭兵のプロップ。バランに、金髪美人が「モーツァルトという軍医を知らない?」と声をかけたのをきっかけに、プロップはバランに近づく。女はモローといい、軍医モーツァルトにクリスマス休暇前の社内健康診断を依頼していたという。だが、その本当の目的は、かつて自分が会社の金庫から盗み出した証券を知られずに金庫に戻すことだった。バランは女に協力し、その会社に医師として潜り込み、医学生のワーテルローと知り合う。賭けや女衒まがいのことをして金を稼いでいたプロップはバランに近づくが、バランは彼を胡散臭い男とみなし、モローと立てた計画を一人でこなすつもりでいた。だが、クリスマス前、プロップがバランの勤める会社に現れ、二人は無人の会社に籠もることに。しかもプロップは金庫にしまわれた、2億フランを知ってしまうが、金庫の暗証番号は7桁のうち、4桁しかわからない。バランとプロップは交替で鍵を試していたが、ある日、金庫に閉じ込められてしまうのだった。
閉じ込められて、出てからがほんとの友情譚。それまでは性格もおそらく好みも違う二人、対立しあい、喧嘩します。プロップは傭兵ですんで、次の仕事先をコンゴと考えていて、軍医のバランを誘おうと思ってるんですね。でも、バランは戦場はまっぴらだと思ってるんで、行く気がないし、証券を返すだけ(と思っている)の金庫破りの方に熱を入れてる。ここらへんの対立が、無事に金庫から出られて、別々に捕まって、という友情がおもしろいのです。
しかしアラン=ドロンという人はけっこう汚れ役もするんですな。単に格好いいだけじゃないキャラちゅうの?
チャールズ=ブロンソンは、最初は苦手だったんですけど、「ウェスタン」という映画で見直しました。あのヘンリー=フォンダが唯一悪役をやったというんで、興行的には失敗したという映画です。いや、色っぽいんだよ、ブロンソンて。顔がハンサムじゃないだけに、余計。なんでも炭坑夫だったんですってね、前職は。だからか、二人とも脱いでもすごいんす。引き締まった肉体が格好いいんです。
そんな悪い、けど本当の悪人じゃない男二人の色気に酔う映画でやんす。
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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