監督:三上智恵、大矢英代
見たところ:桜坂劇場
日本、2018年
「標的の村」など沖縄の基地問題に関するドキュメンタリー映画を製作してきた三上智恵さんの最新作でリバイバル上映です。
内容は3つに分かれて、「護郷隊」と名乗ったゲリラ戦、スパイ戦に携わった少年兵たち。沖縄戦で軍が駐留しなかったにもかかわらず、軍の方針で西表島に疎開させられ、マラリアのために住人1/3が亡くなった波照間島や石垣島。住民が住民を監視し合い、軍が住民を利用し尽くしたスパイ戦で殺された人びと。そして、それらの過去を顧みて、いま、沖縄諸島で着々と増えつつある自衛隊基地と、過去の戦争をまったく反省していない自衛隊による駐留の危険性などをあぶり出します。
個人的には監督は自画自賛してましたが、音楽が少々、うるさかったです。もうちょっとクールなドキュメンタリーが良かったかな。「
ヘッドライト」のレビューでも書きましたけど、
作る側が見る側の感情を誘導しちゃいかんと思います。特にドキュメンタリーは。
あと、上の3つのテーマの順番は戦争マラリアが最後のが良かったと思います。ちょっと流れが唐突でしたし、他の2つに比べると扱いが小さすぎた上、初監督だという大矢さんの思い入れなんでしょうけど、時間的に物足りなかったです。マラリアについては「
黒旗水滸伝(上)」でも初っぱなに語られたとおり、沖縄とはかなり縁があるようなので、これだけで一本撮れるぐらい、重いテーマだったと思いました。まぁ、最後の現在の問題に結びつけるのに戦争マラリアも必要だったわけで、そこは納得しましたけど、無理クリ感は免れないかな。
と思ったら、2つ目と3つ目の順番変えて、スパイ戦、スパイ扱いときて戦争マラリアから現代に移っても良かったんじゃないかと思った次第。
あと波照間島の住民1/3を殺させた山下虎雄(偽名)の正体がパートのラストであっさり出て来ちゃって、おーい、そこんところの捜査とかどうだったのよな感じもしました。まぁ、探すのは主題じゃなかったんだろうけど、ずーっと山下(偽名)で通して、戦後も行方不明なのにあっさり出たのはどうなのかと。
いろいろと注文はつけましたが2週間ぐらい公開しているそうなので是非。
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