アーダ=ゴベッティ著。戸田三三冬解説。堤康徳訳。平凡社20世紀メモリアル刊。
サブタイトルは「イタリア反ファシズムを生きた女性」で、この手の著作としてはもはや古典なんだそうです。そうするとプリーモ=レーヴィも古典なんですかね。
しかし、読み始めて、すぐに思ったのは、わしはパルチザンというと、まず「
太白山脈」の南労党や「
石の花」の旧ユーゴを思い浮かべるもので、それらのパルチザンたちはフィクションという括りはありますが、それでもイタリアのパルチザンはえらい恵まれているんだなぁということでした。
まず、イタリアの場合、1943年の9月には枢軸国の同盟から抜けて連合国に降伏してます。その後、ドイツが北イタリアを占領し、亡命したムッソリーニを据えて通称、サロ共和国を造ったことでイタリアではパルチザンの活動が始まり、この本もその時期に合致しているんですけど、イタリア人のなかにはムッソリーニのファシスト党が政権を握ってから、ずっと反ファシストの行動をとっている人たちがいて、大多数の国民の理解が得やすく、イタリア人自身の意識もファシストよりも連合国への共感が強かったので、孤独な戦いを強いられ、飢えと凍傷に悩まされた南労党や、ナチスに協力するウスタシというファシストや、ファシストとの戦いよりも共産党との戦いを優先する王党派といった同国民同士の戦いも経ねばならなかった旧ユーゴに比べると、格段に協力者は多く、間違っても飢えることもなく、だったのです。
確かにドイツという敵はいたし、ファシストもいた。でも、楽ではないし、殺された人も少なくないのに、イタリアのパルチザンに未来は明るかったんだろうなぁと。
そんなことを思いながら読んでいたので、ヨーロッパのものはしばらくいいかなぁと思いました。
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