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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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上海特急

監督:ジョセフ=フォン・スタンバーグ
出演:上海リリー(マレーネ=ディートリヒ)、ハーヴェイ大尉(クライヴ=ブルック)、フイ=フェイ(アンナ・メイ=ウォン)、ほか
アメリカ、1932年

親が見ているのを横目で見てました。

「モロッコ」と同じ監督だそうですが、マレーネ=ディートリヒ以外は名のある俳優が出ておらず、特にヒーロー、ハーヴェイ大尉は上海リリーがぞっこんな相手のわりにはぞんざいな配役です。

わし的には大好きだった「蘇州夜曲」の魅力的なヒロイン、上海リリーの元ネタがこれかと思って、あの当時のお耽美だった森川久美さんの絵を思い浮かべてました。ただ、あちらの上海リリーはマフィアに君臨してましたが、元祖・上海リリーはただの酒場の歌姫のようでアクションシーンはありませんでした。当たり前だ。

命がけでハーヴェイ大尉を救ったリリーは最後、ちゃんと大尉と結ばれたのでハッピーエンドでしたが、話としてはつまらなかったり。

どっちかというとキャラクターとしては、娼婦とかいって蔑まれていたけれど、中国語もわかるフイ=フェイさんの方が魅力的だったかも。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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さぶ

山本周五郎著。新潮文庫刊。

さぶと栄二という対照的な二人の若者を主人公に青年の挫折と成長とその友情を鮮やかに爽やかに描いた著者晩年の傑作です。

つい数年前、藤原竜也=栄二、妻夫木聡=さぶで映画化されましたがやはりミスキャストの感はぬぐえません。特に著者が好いたであろうさぶのキャラクターはツマブッキーでは無理難題。あの朴訥とした、それでいて誠実な、どこまでも誠実であろうとするさぶは、もっと顔の知られていない若手がやった方がずっといいんじゃないかと思います。

と言うぐらい、タイトルロールであるさぶのキャラクターが際立っておりまして、正直、実質的な主人公である栄二は作中でヒロイン、おのぶにも言われるように傲慢な、恵まれた存在だったりします。物語の流れは始終、栄二を中心に進み、うっかりするとさぶは何十ページも出てこなかったりするんですが、それなのにその栄二を支えようとするさぶが登場すると、それだけで場面の主役をかっさらうという存在感があるのでした。

逆に栄二の方には両親こそいないものの、目端の利くすばしこさと利口さを持ち、女性に好かれ、職人としての前途もりゅうりゅうです。物語は、そんな栄二が盗人の疑いをかけられたことで馴染みの店に出入りを禁止になり、人間不信に陥り、人足寄場に送られていくところを丁寧に描きます。栄二は自分を疑った大店の主人や、師匠、さらには彼を打った岡っ引きなどを強く恨み、復讐を誓いますが、人足寄場という、牢ではないけれども娑婆でもない、ちょっと特殊な環境に置かれることで、彼と同じように、あるいは彼以上に世間で酷い目に遭ってきた人たちに会い、その人情と優しさに触れることで、徐々にその高慢さを失っていくのです。そういう意味で、この物語の主人公は栄二であり、その挫折と成長を描くというテーマは不動のものとして全編を貫いているわけなんですが、それでもタイトルが「さぶ」であるように、栄二という恵まれてもいたけれど不幸も背負った存在を通して、作者はその栄二に注がれるさぶの無償の愛情と友情と誠実さを描き出したのでした。

さぶというのは栄二と好対照で、何でもできる栄二に対し、糊の仕込みしかできない不器用でうだつの上がらない職人です。ヒロインのおのぶに惚れても、おのぶに「あんただけは駄目」とか言われちゃうので魅力にも欠けるように描かれますが、終盤になると逆にさぶに惚れているおせいという娘が登場するので、さぶよりも栄二を選び、それでも結ばれることのなかったおのぶは男を見る目がないのかもしれないと思ったり。ただ、おのぶはそれでいて、作中の誰よりも栄二とさぶを理解している人物であり、栄二のような成功者の陰には必ずさぶのような献身的な人物がいるという指摘は普遍的なものであると同時に、とかく英雄譚に流れがちな小説にあって、そこに背を向けた周五郎さんらしいテーマでもあると思えるのでした。
それだけに周五郎さんが「明智光秀、徳川家康、上杉鷹山を書いたら時代劇は終わりにする」と言っていて果たせなかった三人をどのように描いたのか、読みたかったなぁとも思いました。家康は多少短編があるので、その人となりはうかがえなくもないんですが。

栄二が夫婦になるならこの人だけと心に決めたおすえという娘も、栄二に負わせた罪により、ヒロイン度はおのぶに比べると大きく落ちてしまいます。ただ、彼女は栄二のハートを射止めることで、最後は栄二に「感謝している」と言わせるまでにもなるのですが、それでもしこりが残らなくもありません。

下町ものを得意とした周五郎さんの真骨頂とも言える、紛うことなき傑作です。

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へうげもの

山田芳裕著。講談社文庫刊。1〜4服、10服。

古田織部を主役にした時代劇。1577年、古田織部(改名前は佐介)が34歳の時から始まって、織田信長、羽柴(豊臣)秀吉と主君を替えながら仕え、数寄に凝っていく様がけっこうみっちりと描かれます。
茶の師匠が千宗易(後の利休)で、まるっきり「黄金の日日」と同時代の展開ですが、あくまでも主役は武将なので庶民の登場は少ないです。今井宗久とかは出てるけど。

「黄金の日日」ではかなり潔癖な人物と描かれてた高山右近が、実は古田織部の義弟で、織部のような数寄者、それも南蛮かぶれの人物と描かれているのが興味深いところです。

あと「黒田官兵衛」に出てた荒木村重が名物(茶器とか焼き物のこと)にこだわった強欲なおっさんに描かれているのは、わりと似てるかもしれない。

しかし、いちばんの数寄者は、やっぱり数寄で天下を取ろうとする主人公、古田織部でして、その反応がいちいちおもしろく、頻繁に登場する物の本質を表すオノマトペがまた独特の表現で「はにゃあ(乳房)」とか「ズドギュッ(安土城)」とか「清水がペロンと形になったような(唐物茶碗)」とか愉快な表現のオンパレード。NHKでアニメになったそうですが、こういうの大河にすればいいのによ。ただ、信長、秀吉、家康はパターンが出尽くした感じもあるので戦国時代は飽き飽きなんですが。

残念ながら巻が途中で大きく飛んでまして、4服ではまだ秀吉が健在なのに、10服では関ヶ原前夜で、話の流れがちっともわからなかったです。織部も剃髪しちゃってるし。

織部の最後は家康の不興を買って切腹と、師匠・千利休みたいなことになってまして、興味深い人物がいたものだと思いました。

第5服、第7、8服が読めたので追記。

第5服では北条攻め。権勢を振るう利休と秀吉の仲にひびが入ってきた感じですが、切腹は第7服までお預け。この話の利休は、そもそも信長暗殺を明智光秀と秀吉にそそのかした張本人でかなり権力欲というか、名誉欲に囚われた感じの人なんですが、やっとその憑き物が落ちてきたけど、すでに秀吉の癪に障るところになりつつあるってところです。

第7服では利休の切腹が決まります。ここで秀吉の命をつけ狙った暗殺者がどうも五右衛門らしく、「黄金の日日」でも石川五右衛門は大泥棒じゃなかったので、どうもこの作者、「黄金の日日」をかなり参考にしてるっぽいのですが、どうなんでしょう? 利休の介錯に織部が命じられ、最初は断ろうとした織部でしたが、自身の器の浅さを秀吉に指摘され、また師(秀吉は信長を殺した張本人)殺し同士で仲良くしてくれとか言われて承諾します。
で、だい6服あたりから始まってそうですが、秀吉の朝鮮攻めがあり、朝鮮や明と和平を結ぼうと画策する小西行長とか織部とかが活躍しているのは「黄金の日日」と同じというか、史実がそうなっとるんじゃな…
ただ、この作者、細川幽斎を細川護煕そっくりに書いたり、加藤清正が元プロボクサーの具志堅用高そっくりだったりするのが、あんまりおもしろくなかったりします。

第8服では朝鮮との和睦が進みつつあるなか、織部が朝鮮に渡り、その窯や陶器を学んできます。しかし、その後、大阪に地震があり、聚楽第も消失、秀吉もいよいよ老いてきて、次巻では死にそうな感じです。

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おかしな雲


11月2日、午後5時頃の北の空です。

こんな風に放射状に広がった雲は見たことがなかったのでアップロードしときます。
何かの徴候なんでしょうか?




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灰とダイヤモンド(原作)

イェージィ=アンジェイェフスキ著。川上洸訳。岩波文庫刊。全2巻。

そういうわけで「灰とダイヤモンド(こちらは映画版のレビュー)」の原作を読み返してみたのですが、相変わらず「ダイヤモンド」が何かわからぬ体たらくです orz

全2巻の小説を2時間の映画に収めるためにワイダ監督が大胆に脚色した部分の方が興味深かったのです。コセーツキ判事が戦争中にしたこととか…

あるいは「ダイヤモンド」とは、ラーフェンスブリュック強制収容所(言わずと知れた女性専門の強制収容所)で亡くなった妻の消息を追い求めたシチューカが偶然とは言え、亡き妻のことをよく知る人物に会うことができた、そのことを指しているのかもしれないとも思ったのですが、その邂逅の最中にシチューカは殺されちゃうし、暗殺したマーチェクもラスト、民警に殺されちゃったので、違うような…

クリスティーナ(映画ではクリーシャ)が舞台の地方都市オストロヴェツを出ていくような展開にもならないし…

さあ、困ったぞおれ

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