監督:杉田成道
原作:藤沢周平
出演:庄司佐之助(仲代達矢)、美也(桜庭ななみ)、牧江(徳永えり)、庄司佐之助(若い頃)(進藤健太郎)、松崎信次郎(柳下大)、縄手達之助(高橋龍輝)、佐之助の甥(益岡徹)、その妻・多津(原田美枝子)、ほか
日本、2015年
親が見てるのにつき合って見ちゃったシリーズ。
部屋住み(武士の次男坊)で足の不自由な老人、庄司佐之助は甥夫婦の厄介者として暮らしている。甥の娘・美也は佐之助のただ一人の理解者だったが、甥の上司のはからいで望まぬ縁談が持ち上がっていた。偶然、美也と思い人の信次郎との密会を目撃してしまった佐之助は自分の過去と重ね合わせて美也の思いを遂げさせてやりたいと思うようになる。しかし縁談を断った美也にその相手である縄手達之助は因縁をつけてき、佐之助は美也を助けようと割って入るが、逆に打ちのめされてしまう。さらに達之助は美也が信次郎と好き合っていることを知り、信次郎に果たし合いを申し込み、そのことを手紙で美也に知らせた信次郎はかなわぬと知りながら果たし合いに向かう。そうと知らされた佐之助は不自由な足を引きずって助太刀に入り、居合いの一撃のもとに達之助を討つ。信次郎と美也は江戸に駆け落ちし、全ての責任を取って佐之助は切腹覚悟で城に向かうのだった。
原作が藤沢周平っぽいなと思ったら、やっぱりそうでした。世を忍ぶ剣の達人みたいな設定、どんだけ好きなんだよ ヽ(`Д´)ノ
あと、タイトルの「果し合い」が、最後の佐之助vs達之助だけでなく、佐之助が過去に起こした果たし合いにもかけていますが、これが結婚を目前に控えているのに上司の息子だかと果たし合いをし、相手を不具だったか殺すかしちゃって自分も足に後遺症を負い、牧江に駆け落ちしようとまで誘われたのに、それをばっくれたところ、彼女は望まぬ結婚をしたために一年後に精神を病んで死んでしまったと知るというネタが明かされるわけなんですが、この若い頃の果たし合いの理由がよくわかりませんでした。ていうか映画では描かれませんでした。ですが、愛する女性との縁談を破談にしてまでしなければならぬ果たし合いの理由が書かれなければ、そのために牧江も失い、結果、見殺しにしてしまい、自分も不具になった佐之助の心境がまったく共感できませんし、理解できません。その時点でこの映画、駄目すぎだろう。
あと、開始10分くらいでヒロインになる美也の台詞廻しが全然時代劇っぽくなくて、しかも美也のキャラクターが軽くて、もうその時点で嫌になってたんで政略結婚押しつけられそうだけど好きな男がいるという美也のネタがわかった時点でラストの展開は読めてしまいました。その時はまだ佐之助の事情とかはわかってませんでしたが、ぶっちゃけ、みちとの話なんか特に蛇足感が漂ってしまい、それにプラス牧江の話ですから、いい加減に「俺っち悲惨なんだよね~」な佐之助の事情はうざかったです。
それだけに美也の政略結婚の相手の達之助は、「遊び好き」という悪評に加えて、美也に暴言を吐いたり、佐之助を虐めたり、さらに信次郎まで巻き込む嫌な奴でしたが、そこまで貶めなくてもという描き方がいい加減、いやらしいと思いました。主人公サイドの人びとの善良さを強調するだけの存在なんているわけがないんです。だから藤沢周平は嫌いなんだよと思いました。
また、甥はまだ佐之助や美也に理解を示さなくもないんですが、武士の嫁のくせに何様な多津さんの描き方は酷いと思いました。原田美枝子さんはこういう冷徹な役をやらせると怖いくらいにはまるんですが、失礼だろうと言いたいです。原田さんじゃなくてもいいでしょ、こんな役。
ひどい映画でした。
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