池上永一原作。栗原まもる作画。KC Kissコミック刊。全5巻。
いろいろあって県立博物館・美術館に行ったら、資料を読めるコーナーがあったので10冊ほど乱読してきました。
石垣島を舞台にした少女漫画ですが、シリアスな展開をフジおばぁが登場するとぶち壊すという独特の雰囲気を持った漫画でした。島の存続に関わる問題なのに… ラストがちょっとページが足りず、わかりづらかったかも。
石垣島の高校生・比嘉武志は、フジおばぁの企みで妖怪火を目撃してマブイを落としてしまう。しかも妖怪火の正体は200年以上もマブイになって彷徨うピシャーマという若い娘だった。「マブイを落としたら次の誕生日までに見つけないと死んでしまう」と言われているにもかかわらず、ピシャーマに一目惚れしてしまった武志はピシャーマの願いをかなえるために奔走する。だがそれは、島を襲う未曾有の危機の前触れであった…。
タイトルの「風車祭」とは、97歳の誕生日を迎えたお年寄りがお祝いする儀式で、くだんのフジおばぁが何よりも楽しみにしている「人生最大のイベント」です。いやいや、97歳まで生きるというのがそもそも大変なんでしょうが、長寿でならす沖縄ならではか… しかし、そもそも何で97歳と半端な年齢なのか不明。まぁ、フジおばぁは96歳と風車祭を翌年に控えている長寿だし、そのキャラも強欲・我が儘・独りよがりと揃っていれば、余裕で迎えられそうな気がします。実際、最後はフジおばぁの風車祭でエンドでしたし。
しかし、このフジおばぁが未曾有の危機を迎えた石垣島の最後の頼みだっていうんだから、さあ、大変。島の神女たちの苦労が忍ばれますわ…
未曾有の危機というのが、津波や地震に始まって、豊作を願う豊作祭(プーリー)でも「来年の種はない」と言われた、島の存在に関わる問題なのですが、終始シリアスなホールザーマイ(島の神職の最高位にあるおばぁ。名前出ず)とフジおばぁが同時に登場するとフジおばぁの破壊力たるや最たるもので、全てを一気にぶち壊すという…
なので、この話、主人公というか狂言回しは武志なんですけど、真の主役はやっぱりフジおばぁなんでしょう。
原作の小説だとフジおばぁの破壊力は作画に負うところも大きいと思うので、大したことなさそうな気もします。読んでないけど。
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