監督:チェ=ソンヒョン
出演:キム=ジョハ(イ=ビョンホン)、オ=ジンテ(パク=ジョンミン)、ジュ=インスク(ユン=ジョヨン)、ほか
見たところ:桜坂劇場
韓国、2018年
イ=ビョンホン出演(というか、ほとんど主役)のためもあり、場内はそのファンっぽいおばちゃんで盛況でした。わしはどうしても「
JSA」のイメージが抜けないので若造扱いしちゃうんですけど。
元プロボクサーで東洋チャンピオンだったキム=ジョハは、今や定職を探し、住む場所にも困る身の上だった。旧友を訪ねたジョハは、そこで17年前に自身を捨てた母親に再会し、サヴァン症候群の弟ジンテと初めて会い、二人の暮らす家に転がり込む。ジョハの父は家族に乱暴を働き、今は刑務所に収監されていたが、ジョハは中学生だった自分を捨てた母親を恨んでいた。一方、母の愛を独り占めするジンテは26歳にもなるのに一人で暮らせぬ自閉症を抱えていたが、一度聴いた音楽は忘れず、ピアノでそのとおりに弾きこなせるという天才的な腕前を持ってもいた。自閉症のジンテに苛立ち、戸惑いながら、ジョハは母や弟と次第に家族になっていくが、ある日、ジンテのピアノコンクールを控えて、母が一ヶ月、釜山に仕事の手伝いに行くと言い出す…。
シナリオ、ちょっと狙いすぎかなと思いました。まぁ、母親に捨てられた兄と、その母の愛を一身に受けた障碍者の弟という構図の時点で感動物なのは目に見えていたんですけど、ちょっと都合良く行きすぎかなぁと。
同じような自閉症の子どもを抱え、先立つ親(とさりげなくネタバレ)ですと「
海洋天堂」という傑作がございまして、まぁ、あちらは一人っ子なので単純に比較もできないんですが、大福は泳ぎはすこぶる得意で、水族館でも閉館後に水槽で泳ぐほど泳ぎが好きだったりしましたが、あれって実生活ではそれほど役に立つものじゃありませんよね。いわゆる天才ではなかったんですよ。まぁ、だからかもしれませんが、お父さんは自分が死んだ後の大福を心配して、最初こそ心中しようとしたものの、生き延びちゃったんで考えを改め、大福が一人で生きていけるように心を配った、その過程がスター性を見事に消したジェット=リーの名演で泣ける展開になったわけでありますが、ジンテはピアノの天才な上に、ジョハをはねたのがピアニストで彼女が訳ありで…とネタバレなんで伏せますけど、話がいくら何でもできすぎじゃないかと。そこがちょっと物足りなかったです。
イ=ビョンホンは作中では「40歳」とか言ってましたが、実際はもうアラフィフなんですけど、まぁ、違和感がないのはやっぱり若い顔(童顔というわけではないんですけど)だからなんでしょうね。ただ、親父に面会に行く前にジンテのピアノを壊しちゃったのは、あれ、むしゃくしゃしてやった、なんでしょうか。理由がいまいちわからなかったんですが。あと、ラスト、カナダに行くのは止めたんでしょうか?
ただ、刑務所に収監された父親に「出てくるな。自分と母の前に顔を出したら、殴られた分だけ殴ってやる」と宣言したところはなかなか良かったです。
ジンテ役のパク=ジョンミンさんは「
空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~」でソン=モンギュさん役だったそうですが、確かに面影あるわ… ピアノの演奏シーンが全部吹き替えなしというところに根性を見ました。
お母さんはジョハに罪悪感を感じつつ、でもジンテのが可愛いので何かあるとジョハを怒るというのはちょっと単調かなぁと思いました。それが2回も続くとちょっとつまらなかったですね。
粗筋だけで大まかな筋は読めてしまうので、もうちょっとひねりというか、欲しかったなぁと思ったので、これは凡作でした。イ=ビョンホン頼みというか…
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