久々に一話完結物です。サブタイトルは「ブラック博士の憂鬱」。
鉄人の修理を敷島博士に頼んだ正太郎。その完成も間近のとある日、家に帰りがけに一人の病人を助けます。鉄人の修理がもうじき完了ってことで嬉しそうな正太郎。やっと鉄人との絆が生まれてきたんだな〜と感慨もひとしおですが、今回は鉄人の活躍はほとんどないです。
「せきしかん…ブラック博士…」
身元のわからぬ青年を近くの病院に連れ込んだ正太郎でしたが、大塚署長が現われて間もなく、青年はさらわれてしまいました。
即座に誘拐犯を追わせた大塚署長でしたが敵もさるもの、誘拐犯のチンピラ2人は囮で、正太郎と大塚署長が病院を出た隙に青年はさらわれてしまったのです。ここら辺の展開がスピーディで良いです。そして、原作の登場人物をなにげに使っているあたりも、横山フリークらしい今川監督ならではの演出でしょうな。
さて、青年のつぶやいた「せきしかん」「ブラック博士」という単語をもとに、辺鄙な田舎の村を訪れた正太郎と大塚署長。
「せきしかん」とは「赤死館」だそうです。物騒な名前をつけるなよ… 赤っぽい古風な屋敷です。ぶっちゃけ、こんな田舎にはハイカラなっていうか。そんな名前が医院でいいんか?!
そして、ブラック博士は、その「せきしかん」で医者をやっているそうです。声が家弓家正さんです! 今川監督の好きな声優さんが続々って感じ?
ブラック博士は、2年前にこの村にやってきた医者で、治療費もろくに取らずに村人を診ている良心的な医者です。
しかし、謎の青年がこの村の佐良と知った正太郎たちは、さらに佐良青年が2年前からこの村を襲っている熱病のために両親を失い、今また自分もその熱病にかかったらしいことを知らされます。
ちょっと探偵物っぽい雰囲気になってきました。まぁ、2年前というキーワードから、ブラック博士が怪しいのもばればれなんですけど。
いったん戻る大塚署長を見送って、正太郎は屋敷に忍び込みます。大胆だな、少年探偵。まぁ、ホームズ先生も「正義の前には法が云々」とか言って他人の家に忍び込んだりしてますんで、忍び込むのは探偵の常套手段ですかな。
もっとも、2階の部屋で何者かがベッドに寝ていることに驚いた正太郎は、洋服ダンスに隠れましたが、ブラック博士に見つかってしまいました。毎度、縛られる主人公… 少年探偵で何でもできるんだけど、捕まることが多いよね、正太郎って。
そして、正太郎は、屋敷の地下にさらわれた佐良青年がいるのを見つけますが、ブラック博士から、恐ろしい事情を聞かされるのでした。
ブラック博士はもともと軍医で、南方の戦線にいました。しかし、所属する部隊が熱病にやられ、ブラック博士はなすすべなく、部隊は全滅してしまったのです。ブラック博士は彼らの苦しみを和らげるべく、安楽死さえさせたのでした。ところが、日本に帰って何年も経ってから、ブラック博士は発病し、息子も病に倒れてしまいました。ブラック博士は病のために恐ろしい形相になり(出ないけど。正太郎がびっくりしただけ。ライ病みたいなもの?)、息子を助けようとやってきたこの村で、熱病を流行らせて、抗体を取ろうとしていたのでした。そして、やっと佐良青年から抗体が取れそうだった矢先、青年はブラック博士のしていることを知って逃げ出し、もはや抗体も取れなくなってしまったのです。
ブラック博士の医者としての良心に訴える正太郎。
そして、死んだかと思われた佐良青年に、抗体が生まれたことを知るブラック博士。
ところがその時、強風のために2階に火がつき、気がついた時には屋敷中に煙が充満していました。
正太郎と佐良青年は地下室に残されましたが、敷島博士の操る鉄人に助けられ、2階に上がったブラック博士も助けようとしましたが、博士の息子はとうに死んでおり、ブラック博士は己の罪深さに気づいて火の中に残るのでした。
思ったんだけど、正太郎が2階の部屋に忍び込んだ時に驚いたのって、死臭のためかもしれませんな。暗くてろくに見えなかったはずだし。
また1つ、戦争の傷跡を知る正太郎。ブラック博士の味わった地獄を僕は理解できないけれど、と言う正太郎に、正統派の主人公を見ました。彼は彼なりに信念を持ってやっているんだなぁってところが格好いいよ、正太郎!
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