第2巻から2部構成になります。てことは、けっこう長かったんだ。
タイトルのとおり、労働改造所に送られた一心が強制労働を強いられつつ、過去を回想したり、別の労働改造所に送られて、運命的な出会いをするまでを、ロマンスとその萌芽も交えて描きます。
一心が日本人だというのでふられちゃったり、逆に日本人であっても列車の中での縁で結ばれた親友に庇ってもらったりと波瀾万丈の人生は、文化大革命で日本人として吊し上げられたことで激変します。
頭をそられ、真っ赤に塗られる一心。これって膏薬頭っていうんですって。
で、もともとが大学卒業のインテリの上、長時間の汽車移動で体力が落ちた(と一心が言っている)ものですから、最初の労働では土を運べと言われてかなりくたくたになりましたが、なんとか三年もちました。根性あります。でも、両親に居場所も知らせられないし、孤独です。
その後、行き先も知らされずに内蒙古に行かされ、今度は前よりも楽だけど、周りが草原なもので脱走の心配もないという理由で羊の世話をすることに。
ここで、一心は各地を廻っている医者たちを助けたことで江月梅と逢います。ぼーいみーつがーるですな。ただ、月梅の同僚たちは、一心が囚人だと知っているので「こわ〜い」とか言ってますが、月梅は何か心に残るものがあったんでしょうか。
一方、徳志さんは無事でした。第1部のラストで吊し上げくらっていたから、どうなるかと心配していたら、まぁ。まぁ、地元でも有名な人格者なんですかね。小学校の先生なんで、教え子もいっぱいいそうだし。特に大変なことはなかったようですが、なにしろ一人息子の一心が心配で、一心の名をひたすら習字していたり、仕事もない(学校は閉鎖)けど、学校に行ったり、奥さんを心配させています。
あと、一心には血のつながりのない従妹の秀蘭が、2人のことを心配して、いろいろと世話を焼いているようですが、彼女はなんで一心と結ばれなかったんだろう? いちばん大切な時期を離ればなれで過ごしたからかも。あと、「一心兄さん」と言うので、男女としては意識しなかったのかもしれません。確か力本とくっつくはず。
また一方、日本のお父さんは相変わらずですが、信濃開拓団(一心たちは長野出身)の生き残りの狭間さんと出会い、日中国交はまだないですけど、もしかしたら生存者捜しができるかもと教えられたり、法事に出たりしています。うーん、だんだん思い出してきたぞ。
そして、短いけれど、妹を案ずる一心の気持ちが込められたお守り袋が、共産党の精神に反する(宗教的だというので)というのでまたしてもつるし上げをくらった一心が力本に助けられるエピソードも挿入。妹がね… また大変なんですよ。
逃げようもないけれど、人とほとんど関わることもなく平穏無事な感じで羊飼いをやっている一心は、ある日、同じように羊飼いをしている人と運命的な出会いをします。彼が唄う「桜」に、「どこかで聞いたような気がする」とつぶやく一心。
以下続きます。
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