監督:アルフレッド=ヒッチコック
出演:リナ(ジョーン=フォンティーン)、ジョニー(ケイリー=グラント)、ビーキー(ナイジェル=ブルース)、リナの父(セドリック=ハードウィック)、イザベル(ミセス=ニューシャム)、ほか
原作:フランシス=アイルズ
1941年、アメリカ
軍人の娘で箱入りのリナは、偶然、電車で逢い、金まで貸したジョニーと恋仲になり、結婚する。しかし、結婚してわかったのは、ジョニーのだらしなさと生活力のなさ。しかもジョニーはやっと決まった就職口もリナに黙って解雇されていたのだ。ジョニーの親友ビーキーとはリナも親しくつき合っていたが、彼がパリで不審死を遂げ、リナは次第にジョニーの犯罪を疑い始めるのだった…。
ジョーン=フォンティーンは、この作品でアカデミー主演女優賞を取ったとか。箱入りのお嬢様が、偶然知り合った男性と勢い(両親に「リナはこのままオールドミスか」と言われたもので)でつき合うようになり、家出同然に飛び出して結婚、モナコやモンテカルロ、ベネチアやパリなど巡った新婚旅行から新居に行けば、夫が新婚旅行のために金を借り、その金を返すために「また借りればいい」とほざくだらしなさに気づかされ、しかもまともに就職する気もないし、リナの両親が結婚祝いに贈ってくれた骨董品の椅子も売り払い(後で買い戻した)、と明るくて優しいいい男と思っていたら、実はさんざんでしたという話。
それでも、惚れちゃった弱みで、その都度、夫の奔放さというか勝手さを呑み込んで、暮らし続け、夫が好きだという作家(イザベル。殺人ばかり書いている作家)の本も新刊が出たら買ってくるわと、なかなかのらぶらぶっぷり。
ところが、親友のビーキーがパリで不審死を遂げた上、すでにジョニーが就職先で2000ポンドも使い込んで首にされたことを知っているリナ、保険会社から怪しげな手紙(「融資お断り」と「妻が死なないと保険は下りない」といった内容で、その前に父が亡くなり、遺産に年500ポンドと父の肖像画をもらったばかりだった)は届くわ、イザベルとは友人なもので、ビーキーの死に方そっくりの実際の殺人事件の資料をジョニーに貸したことを教えられるわ、どんどんふくれあがる疑惑は、さらにイザベルの言う「後で見つからない毒」についてジョニーに教えたことで頂点に達し、リナは「実家に帰らせてもらいます」となるが、ジョニーがどうしてもというので車で送ってもらうことに。
タイトルの「断崖」は、ビーキーと一緒に会社を興そうとしていた時、投機先として目をつけていた場所と、ラスト、ジョニーとリナを乗せた車が60マイル(90km)で突っ走る道路に引っかけたものと思われます。
ここでリナはジョニーに突き落とされそうになり、あわや、保険金殺人の完成か?!と思っていると、実はリナの思い込みで、ジョニー自身は、使い込んだ2000ポンドの返済に迷って、イザベルから聞いた毒の情報で自殺を企てていたことが判明、すっかりすれ違ってしまった夫婦の気持ちでしたが、謝罪するリナに、ジョニーはハンドルを切り返したので、どうやらハッピーエンドに終わった模様。
ジャンルが「ロマンティック・サイコスリラー」なんで、そう簡単に犯人にはならないか。
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