監督:成瀬巳喜男
原作:林芙美子
監修:川端康成
出演:岡本三千代(原節子)、岡本初之輔(上原謙)、村田里子(島崎雪子)、村田まつ(杉村春子)、村田信三(小林桂樹)、ほか
1951年、日本
たきがは永遠の美女、原節子さんの成瀬監督(「浮雲」とか)への出演作です。実家のケーブルテレビで何か特集やってたんで、何本かまとめて録ったんですが、録ったきり見てなかったもんで、やっと見ました。小学生の時に「ターザン」の併映で見たけど、何が何やらさっぱりわからなかったと言うままと一緒に見ました(昔の俳優さんに詳しいので、一緒に見るといろいろ解説してもらえてありがたかったりする)。
Wikipediaでキャストとか検索していたら、原作の林芙美子の絶筆だそうで未完。結末は映画の方でつけたそうです。最後はよりを戻す夫婦の姿に、林ファンから批判もあったそうですが、これはこれでよくまとまってんじゃないかな… (´・ω・`)
倦怠期にある夫婦、岡本初之輔とその妻・三千代。ある日、大阪のその家に、東京からやってきた初之輔の姪、里子の登場により、三千代は夢を抱いたはずの結婚生活に疑問を抱くようになっていく…。
里子というのが、なかなか我が儘な小娘で、叔父の家に家出してきて、好き放題やってるわけです。ところが、たいした高給取りではない初之輔(月給が8000円。里子でさえ6000円も稼いでいるのに。敗戦直後で、朝鮮戦争の戦争特需の影響もまだの1945〜1949年頃が舞台だと思われる)は、せっかく大阪に来た姪を楽しませてやろうと甘い顔をしまくりなわけで、そこも三千代には気に入りません。
三千代が同窓会で出かけても、夕飯の支度を頼まれた里子は昼寝三昧な上、初之輔が帰ってきて、起こすと鼻血を出して、何の役にも立たないんですから、三千代でなくてもどっかで剥かれて痛い目に遭えばいいんだ! ヽ(`Д´)ノ とか過激なことを言いながら見ていたのですが…
後半、とうとう「実家に帰らせていただきます」と東京に戻った三千代でしたが、母と妹夫婦が暮らす家で、まるで里子同然なふるまい。まぁ、里子に比べたら分別はありますけど、洋品店を切り盛りする妹夫婦を手伝うでなし、若いころから三千代に気があった従兄と遊びにいったり、毎日、遊びほうけています。
ここへ里子がまた「父親に叱られた」と言って逃げ込んできたもので、義弟(小林桂樹さん)が里子を叱るのを聞いて、三千代はさすがに遠回しに自分のことも責められたと気づいたようですが、当の里子は父親に叱られてもあくびなんかしてまったく反省する様子もありません。
結局、初之輔が出張で東京に来て、三千代は自分の幸せが初之輔の側にあることを思い直し、一緒に大阪に帰るわけなんですけど、まぁ、一応はめでたしめでたしの感じです。
それほど大きな事件が起きるわけでもなく、市井の人びとの日常と波乱を描いた、成瀬監督らしい映画だなぁと思ったりしました。しかし、これは子どもにはわからんわ。あと、今時のハリウッド映画しか見ないような人にも、退屈だろうなぁと思ったり。でも、こういう映画もあったことが、かつての日本映画の芳醇さの現れなんだよと思ったりしましたよ。
あ、わしは大々大好きな原節子さん主演なんで、退屈もせずに、いろいろと突っ込みをしながら見てましたよ! (`・ω・´)
音楽は「
七人の侍」や「
生きものの記録」「生きる」「白痴」など、黒澤映画に欠かせない早坂文雄さんでした!
たんぽこ通信 映画五十音リスト
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