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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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第1回 蘇る正太郎

いっそDVDを買おうかと思ったんですが、やっぱりBOXでほしくて躊躇、中古で手に入れるのは今川監督にお金が入らないのでどうしようと悩んだ挙げ句、そう言えば、どっかのケーブルテレビとかで放送の予定はないかとチェックしていたら、Gyao!で有料で配信していまして。

しかし、MSのSilverlightとかいう動画プラグインがうちの火狐に入っておりません。でもサイトに行ったら、林檎でも大丈夫なようで、ダウンロードとインストールですったもんだ。

何とかインストールできて、試聴動画も無事に見られたところ、第1話を無料配信しております。うはうはと飛びついて、そのまま残る全話を30日間パックで見ることにしました。

しかし、わしが第1話を見たのはもう3年も前のことでして、内容もすっかり忘れておりました。見直したら新鮮で、完全にお子様を斬り捨てた戦後の世界観と暗さが、なんとも癖になるアニメだったのは覚えていたとおりです。

敗戦が濃厚になった日本は金田博士を筆頭に、決して死なない鋼鉄の巨人、すなわちロボットの開発を進めていたが、金田博士は開発間近のロボットとともに敵の砲撃に遭い戦死、助手の敷島博士だけが生き残って日本に帰ってきた。彼を待っていたのは旧友の大塚と、金田博士の忘れ形見、赤ん坊の正太郎であった。それから10年、南方で金田博士が葬ったはずの計画が再び動き出す。今は少年探偵として活躍する金田正太郎は、敷島博士、警察署長となった大塚、村雨一家の健次とともに、鉄人28号を巡る謎と戦いに巻き込まれていくのだった。

オープニングは鉄人を颯爽と操る少年探偵、金田正太郎。敵のロボット、モンスターをあっさり投げ飛ばす無類の強さを誇る鉄人と、主人公の登場を簡潔に描いてますが、実はこの話、ここに至るまでが長いんだよね。

そこから過去話。南方の島でロボットの開発をさせられていた金田博士と助手の敷島博士でしたが、金田博士がここの場所を敵軍に教えたことで爆撃を受け、敷島博士は、その忘れ形見とも言えるロボットの片腕とともに復員します(ここの復員兵のシーン、「鉄人28号 白昼の残月」と同じでした。「犬神家」ってある芸の細かさとか。ここは「犬神家の一族」のシーンを思い出さないといかんのですよ。そういう大人向けのアニメってことです)。
ですが、復員した敷島博士を待っていたのは、親友の大塚と、金田博士の息子、赤ん坊の正太郎だったのです。そのことを知り、泣き崩れる敷島博士。この理由は意外と早く明かされます。

それから止め絵で日本の敗戦後の復興10年の様子が語られます。予算がなかったため、ロボット大戦ができなかったと聞いているアニメですが、鈴木弘子さんのクールなナレーションも効果があって、こういう語りはありだなぁと思わせる演出がわし好み。

そして、正太郎にとってはライバルとも味方とも言いかねる複雑な相手、村雨一家の登場です。長兄の竜作は特攻兵崩れ、次兄の健次は陸軍諜報部上がり(陸軍中野学校か?という設定の妙を楽しめないと楽しくないアニメだと思います)、末弟の辰の3人で、ギャングというかチンピラまがいのことをやっています。その健次が得意の情報戦で内閣を震撼させる出来事をキャッチしたというので早速乗り出す竜作と辰。

一方、官房長官ほか政府の高官と、敷島博士、大塚署長は金田博士とともに葬られたはずの、もう1人の正太郎が蘇ったことを知ります。
ただし、敷島博士は自分の研究でロボット27号の最終実験中ですが、一度失敗してしまい、リモート回路28号を使う決断をしたところで、博士に電話がかかってきて中座、博士なしで実験が進められ、27号は無事に起動します。
ですが、政府に呼び出された博士が見たのは、正太郎の名が書かれた巨大な砲弾でした。でもそれは、南方の島で爆撃死したはずの金田博士とともに葬られたはずの物だったのです。
そこに現れる大塚署長が緊急の電報を官房長官に届けます。こうして見ると、正太郎の周囲の大人って、すごい権力者ばかりなんですネ。
電報の内容は、その砲弾が発射されたというもので、その行く先は東京だと言います。

ここら辺の、視聴者置いてけぼりなんだけど、ぽんぽん話が進んでいく展開の速さというのは、今川監督だな〜と見ていてにんまりw

一方、夜になって町を歩く少年探偵。しかし、町中の騒がしさを嗅ぎつけ、いぶかしがりますが、その目の前で警察官が撃たれ、村雨竜作と辰が逃げ出していきます。大事な書類を盗まれたことを知った正太郎は2人を追いかけますが、ちょうどパニックになった群衆に巻き込まれてしまいます。
そのパニックの理由は当然、昼間、官房長官や敷島博士、大塚署長らが話していた「正太郎」と描かれた砲弾なんですが、順調に東京に向かって飛行中で、米軍も日本に近づきすぎたというまことしやかな理由で撃墜してくれません。まぁ、中に入っているのが件の物であることは百も承知ですんで、米軍の撃墜くらいで落ちるとは思えませんが…
また、ここら辺の事情の説明を決して説明調になることなく、今川節でつないでいる辺りが、もうファンとしてはたまりません。

パニクった群衆の中でも村雨竜作と辰を見つけ出す少年探偵。観察眼は鋭そうです、正太郎は。ですが、竜作と辰も慣れたものでは正太郎をまこうとしますが、外れたマンホールに行く先を察する正太郎。少年探偵というのは地下水道も熟知してないとできん商売のようですネ。ていうか、昭和30年という時代には地下水道そのものが少なかったのかもしれませんが。

竜作と辰が現れたのは東京タワーの工事現場でした。ですが、そこに先回りしていた正太郎、竜作の背中に突きつけた物を、竜作は銃と勘違いします。

しかし、そこに颯爽と現れたのは村雨一家の次兄、健次です。ピンクの上下は「ジャイアントロボ The Animation 〜地球が静止する日」の村雨健二とお揃いですが、不死身じゃないのと、銀鈴という恋人がいないせいか、皮肉屋の印象がもっと強いです。

健次のために逆に捕まってしまう正太郎。その目の前で、竜作と辰が盗み出した新型ミサイルの設計図が燃やされます。ですが、のこのこ近づいてきた健次に、こっそり縄抜けして投げ飛ばす正太郎。大作と違って、少年探偵は万能なのです。再度立場が逆転し、健次のナイフを突きつける正太郎に、健次は「親父と同じで兵器が好きだな」と大人げない台詞を吐きます。大作にとっての健二が大人の事情を主張というか、押しつけるタイプだったのに対し、こっちの健次はちょっと子どもっぽいというか、おっさん、それ八つ当たりやろうというタイプだったりする対比も見てておもしろいです。ただ、竜作と健次は家族を戦災で亡くしており、辰は戦災孤児だったりするので、健次がことさらに武器を嫌う理由というのも同情の余地がないわけではないとも思いますが、それだけではないようなことも多いと思えるもので…

どうやら、大作がバシュタールの惨劇を知らなかったのと同様、正太郎も金田博士がどんな研究をしていたのか知らず、それは育ての親である大塚署長と敷島博士の方針だったように思いますが、わしはジャイアントロボという無類の兵器を操る大作がバシュタールの惨劇を知っておくべきだと思うのと同様、正太郎もまた、自分の父が犯そうとしていた罪を知っておくべきなんじゃないかと思いました。

しかし、そこに「正太郎」の砲弾が墜落してきて、正太郎は父のことを知る機会を失ってしまいます。

墜落現場にやってきたのは大塚署長と敷島博士でした。工事現場に落ちたことで人的被害は抑えられたことに安堵するものの、残った砲弾に「問題は山積み」と頭を抱えてそうな大塚署長ですが、この人は意外と有能なんで、大変大変とか言いながら、問題をさくさく片づけていきそうなタイプにも見えます。ですが、2人とも、そこに正太郎少年、もう一人の正太郎がいたことなど夢にも思ってないようです。少年探偵の実力は、意外と身内には軽んじられているとか?

そして、正太郎、大した怪我も負わず、起き上がりました。土まみれですが。何が落っこちてきたのかと振り返った彼が見たものは、自分と同じ名前の砲弾でした。
その時、聞こえてきたのは大塚署長と敷島博士の言い争う声でした。
どうやら、敷島博士は27号をより完璧なロボットにするために砲弾の中身=もう一人の正太郎を持ち帰りたいとか言い出したと思われるのですが、でもこの人、金田博士に「正太郎が蘇るようなことがあれば、君の手で葬ってやってくれ」と遺言されてるんで、そこんところは一応、責任は感じてるようですが、なにしろまっとうそうに見えて、このシリーズのなかではいちばんマッドな人なもんで、そのまま正太郎を隠匿しかねない勢いです。
で、大塚署長はこれに「復員の時のあれ=鉄人の片腕じゃ、足りんのかね」と鋭く問い詰めますが、粘る敷島博士。2人の育ての親の登場に、さすがの少年探偵も安堵した様子で近づきますが、逆に2人はなかなか気づきません。たぶん、敷島博士にとっては「執念の」と言われたロボット研究であり、金田博士の弟子ということもあって、こだわりも人一倍なんでしょうが、大塚署長の方がずっとまっとうな人なもんで、政府の決定ということもあるし、金田博士の遺言を守りたいという意志も強いようで、そこは自分の好みというか、研究をつい優先させちゃう敷島博士としては明らかに金田博士の知恵が詰まってそうな「正太郎」を「せめて外壁だけでも解体させてほしい」とか言っちゃうのでしょうな。
そして、こんなに事が大きくなっても正太郎にこれを隠しておきたいと言う大塚署長は、ちょっと甘すぎると思ったりします。
「正太郎はこの世に必要ない。それが金田先生の遺志じゃなかったのか」と詰め寄る大塚署長に言葉を失う敷島博士。ですが、それらのやりとりは全て当の正太郎に聞かれてしまっていました。

ここで舞台は村雨一家に移ります。どこかの地下に閉じ込められてしまった3人は、ライターと煙草の火で光源を確保すると、辰の見つけた扉を出口と期待して、入っていきます。
しかし、そこはかび臭いことからも長年使われていないのがわかる部屋でした。しかも灯りのスイッチを探して辰が引いたレバーは、その中にいたものを起こし、横たわっていた砲弾を起き上がらせてしまうものでした。
危険を察知した村雨兄弟は危うく難を逃れますが、辰は「さっきまでなかったもの」に捕まってしまいます。

ここで唸り声を上げている「正太郎」って、声は飯塚昭三さんだったりするのだろうか?

事情も説明してもらえない正太郎、マッドな面が出ちゃった敷島博士、何とか事態を収束しようとする大塚署長の目の前に、砲弾の壁を蹴破って現れたのは、村雨兄弟と、辰を握りしめた包帯だらけの腕でした。
さらに猛烈な蒸気とともに巨大な影が姿を現します。

ですが、それはかつて金田博士自身が存在を否定したはず、敷島博士に「蘇るなら再度葬ってくれ」と言ったはずのものでした。

しかし人間たちの思惑をよそに立ち上がる「正太郎」。それが2人の正太郎の出会った日だったのです。

続く。

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隠された爪跡/払い下げられた朝鮮人

監督(ともに):呉充功
製作(ともに):麦の会
1983年、日本(「隠された爪跡」)、1986年、日本(「払い下げられた朝鮮人」)

今日は関東大震災から丸90年です。そしてその日、被災地一帯で大勢の朝鮮の人びとやアナーキスト大杉栄夫妻が殺されたことは、もはや白日の下にさらされた事実と言ってもいいと思いますが、その詳細、犠牲となった方々の氏名や加害者の氏名などがわかっていないのも、いまだに強制連行された朝鮮や台湾などの方々の氏名が全てわかっていないのと同様、まことに日本的な無責任な話だと思い、私はそのことを思うと申し訳なさにいつも身の縮む思いがするのです。たぶん、私が朝鮮半島の人びとや中国の人びと、戦争中、日本の占領下にあった東南アジアの人びとに対していつも思うのは、日本という国が未だにきちんと謝罪をしていない、頭を下げていない、金を払っていないということへの申し訳なさが先に立ってしまうので、尖閣諸島にしても竹島にしても、日本が強気でいるのが釈然としないのです。どうして、あんなに酷いことをした国々に全てを水に流して笑っていられるのかわからないのです。私だったら、そんなことを許せない。そんなことを許さない。恨んで憎んで、一生引きずり続けるだろうに、何でそんなことができるのかがわからない。未だに続く朝鮮半島の人びとへの差別も、中国の人びとへの差別も理解できないのです。だから私は南京や哈爾浜の郊外にあるという731部隊の跡地へ行きたい。行かなければならない。人間が人間に対して、決して許されないことをしたことの謝罪をしなければ気が済まない。ソウルへ行きたい。ナヌムの家へ行きたい。謝らなければ、私は朝鮮半島の人びとや中国の人びとと笑ってつき合えない。人間として、それだけは許されない。そう思います。

そういう理由で、9月1日限定上映の「隠された爪跡/払い下げられた朝鮮人」を観に行ってきました。最近の作ではなくて、1980年代という、関東大震災の証言を集めるにはぎりぎり証人たちが生きていた時代なのだろうと思います。たぶん、「隠された爪跡」の主役と言ってもいい曹アボジも、おそらくは100歳越の超高齢、もう生きてはおられないだろうと思いました。故郷で食い詰めて朝鮮半島から日本へ渡ってきた曹アボジ。でも、その当時の日本は日露戦争、第一次世界大戦の戦争景気が終わり、米騒動のまっただ中で、曹アボジのような朝鮮の人びとはバラックに押し込められ、日本人の半分以下の賃金で働かせられるという、決してアボジが故郷で聞いた「日本に行けば、毎日白い米が食える」などという夢の世界ではなかったのです。しかもアボジが日本に来たその年、東京を襲った未曾有の大震災は、9万以上の犠牲者を出した上に、「朝鮮人が襲ってくる」というデマに騙された人びとと最初からその機会を狙っていたとしか思えない日本軍によって当時、関東一円に住んでいた1万5000人以上の朝鮮の人びとのうち、約3/5、6000人以上の人びとを無惨に虐殺させたのでした。この時、新聞がデマを広げるのに積極的な役割を果たした上、そのトップが何の反省もなく、戦後ものうのうと生き延びているという事実を私たちは忘れてはいけないと思うのです。

さらに証言は今となっては聞くことも難しい、一次資料、いわゆる直接虐殺の現場を目撃した人びとの話を出します。

その間に挟まれる奇跡的に生き延びたアボジの話もあり、被害者の側と加害者の側と、さらに陸軍や警察の日記や証言などによって、朝鮮の人びとが東京のあちこちで殺されていくさまを浮き彫りにしていきます。

また、話の最初で、1980年当時の荒川河川敷に埋められたという朝鮮の人びとの穴を探して発掘調査も始まっていますが、これは3日間という限られた日数であったためと、1980年代でさえ60年以上も経ってしまっていたという時間の長さのために、不発に終わってしまいます。

エンディングで殺された場所と人数がずらずらと上がるのですが、人口の多い東京よりも神奈川の方が多いことに驚きました。というか、神奈川では鶴見の警察署長とかが身体を張って朝鮮の人びとを守ったという話も聞いていたんですが、6000人も殺された状況では焼け石に水っていうか、シンドラーっていうか… それにうちの地元の駅前でも30人殺されたと聞いて、一応神奈川県民としては、がっかり度が半端ないです。

もう一本の「払い下げられた朝鮮人」はいわば、「隠された爪跡」の続きです。東京で囚われた朝鮮の人びとは、保護の名目で習志野の捕虜収容所に押し込められることになりました。そこは日露戦争、第一次世界大戦の時にロシア人の捕虜を主に収容していたのです。でも、その近くの警察で働く元警察官の人は、収容された朝鮮の人びとの数字が日々、合わなくなっていくことに気づきます。軍が地元の自警団に朝鮮の人びとを2人、3人と「払い下げ」て、殺させていたからだったのです。

今度は、そうした事実を目撃した人びとや、実際に自警団にいて、殺害に携わることになった人びとの証言、日記、さらに殺害現場の様子や供養塔、それらの朝鮮の人びとの遺骨を納めるお寺の住職などの証言から習志野周辺で起こった、朝鮮の人びとを虐殺する続きが描かれます。また、そのことを知った韓国の劇作家の方や、その劇を上映する劇団の方々による慰霊のための鐘撞き堂の建設と慰霊祭の様子なども描かれます。

どちらのドキュメンタリーも今となっては得られない貴重な証言の数々で、できたら映画などではなく、テレビというもっと大勢の人が見られる環境で流してもらえたらいいのにと思いました。自分たちの罪深さを見るといいと思いました。でも実際に、こんなドキュメンタリーを流したら、馬鹿右翼から非難囂々浴びるのは100%間違いなしです。そして、こういうドキュメンタリーを流す度胸のあるテレビ局があるとも思えません。

やはり、この国のあり方は間違っていると、そう思わずにいられませんでした。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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ひまわり 沖縄はあの日の空を忘れない

監督:及川善弘
出演:山城良太(長塚京三)、石嶺琉一(須賀健太)、城間加奈(能年加奈)、石川聡子(福田沙紀)、ほか
見たところ:茅ヶ崎市民文化会館(第15回平和映画祭)
2012年、日本

1959年6月30日、沖縄県石川市立宮森小学校に米軍のジェット機が墜落し、生徒が12人、200人以上の負傷者を出す大惨事となった。その生き残りとなった山城良太は2004年に今度は沖縄国際大学に落ちた米軍ヘリの現場に遭遇する。それから8年後、沖縄国際大学の学生となった良太の孫の琉一は、ゼミで沖縄で繰り返される米軍の犯罪を調べるうちに2002年の事件を仲間とレポートにまとめることになり、1959年の事件をも知っていく。その被害者遺族にあった良太は、自分の祖父が事件の当事者だと知るが、良太の心の傷は深いものであった…。

twitterで、この映画の製作にご協力を!なんてTLが流れてきて、わしが申し込んだら、なんかまだ準備中とか何とか言われて何もできず、気がついたらできていたんじゃなかったけ… この映画じゃなかったかな…
引っ越しの際にプロバイダとすったもんだあったんで、過去のメールが消えちゃったから、もうわかりませんが、何となくこんなタイトルだったような…

いい映画でした。沖縄戦のフィルムから始まって、長塚京三さん演ずるおじぃが登場、沖縄国際大学に米軍機が墜落した事故から、舞台は一気に53年前、1959年6月30日の石川市立宮森小学校の時代に遡ります。ここら辺の導入がお見事。今の沖縄の問題が太平洋戦争唯一の地上戦となった沖縄戦と無関係ではなく、むしろその延長にあるのだという認識がさりげないです。また地上戦の実写フィルムなので迫力が半端ないです。激しい戦闘、捕虜となった沖縄の人びと、土地をつぶして基地を作る様子などが映されて、沖縄の現状につながったところでタイトルロール、三線を弾きながら唄う長塚京三さんが登場です。

おじぃは基地の隣りにある世界一危険な大学、沖縄国際大学の近くで孫の琉一と待ち合わせていました。そこに黒煙をあげて墜落していくヘリにおじぃの記憶は1959年のあの日、その数日前の何もなかった幸せな日々に戻っていくのでした。

それはまだ沖縄が日本に復帰しておらず、アメリカの占領下にあった時代、貧しいけれども三線の得意な父、沖縄戦の記憶から未だに復帰できない祖母、優しい母や妹と仲のいい友だちと一緒だった良太の子ども時代の話。
TOMORROW 明日」と同じシチュエーションなんで、良太と仲のいい年下のいっぺえ(良太は小学校6年生、いっぺえは2年生)との対話がいちいち涙もろかったです。ていうか、わし、こういうの弱いのに拍車をかけたのがいっぺえくんの可愛さでして、両親がマーケットで食堂を経営していまして、名前が「いっぺえ食堂」。可愛がっているんだねぇ〜!というのが一発でわかる上、もちろんいっぺえが友だちを連れてくれば、かき氷を奢ってくれ、という歓待ぶり。彼らを待っている避けようもない悲劇、良太の周囲が明るければ明るいほどますます涙をそそられるわけです。
そしてやってくる運命の日。良太は隣の席に座っていた可愛い転校生と仲のいい友人、さらにミルク給食が嫌いでブランコでさぼっていたいっぺえをも失います。
そこに駆けつける米軍、現場を封鎖するも、アメリカに留学するために学校を辞めて基地で働く予定だった先生の強引な手段もあり、学校に飛び込む親たち。
担任の聡子先生に、育てたひまわりを差し出して、うまいことミルク給食から逃れたはずのいっぺえでしたが、外に出ていたために殺されてしまったのです。そのことに衝撃を受ける良太と、いっぺえを叱って外に追い出したと思っている聡子先生。

ここで時代は現代、良太の孫の琉一が大学生になった2012年に移り、主人公も琉一にシフトします。琉一には同じゼミで学ぶ友だちが6人と彼女が1人おり、加奈役は「あまちゃん」の主役だそうですが、わしは「じぇじぇじぇ」というのが嫌いなんで、見てないです。ただ、そういうキャラをろくに見ていないせいか、基地で働く父と、米軍の起こす不祥事を調べる琉一の間で悩み、複雑な心境のヒロインをせいいっぱい演じていて、これは好感が持てました。主人公も同じ。等身大の大学生を好演、お友達もリーダー格、優等生っぽい眼鏡ッ娘、本州からやってきて沖縄のことを知らない若者、ちょっと気の強い女の子と個性豊かでなかなかいい若手を揃えたなぁと思いました。
沖縄国際大学のヘリ墜落事件の延長として宮森小学校のジェット機墜落事件を調べてレポートにまとめることになった琉一たちでしたが、その過程で米軍に殴られ、泣き寝入りをさせられます。基地に逃げ込んだことで警察の手が届かないところに行ってしまった米兵の卑怯さに怒り狂う仲間たちに琉一は「コンサートをやろう!」と呼びかけ、PEACE SKYコンサートを実施、最初のうちは会場が取れなかったり、ネットでネガキャンされたり、仲間が出ていってしまったり、最後は加奈も自分の心情を打ち明けて離れていったりとさんざんでしたが、それでも一生懸命取材をし、まとめようとし、コンサートを開こうとする琉一たちに、離れた仲間が復帰、会場も借りられて、コンサートは成功を収めます。
その合間に歳を取ったいっぺえの母や、聡子先生や、良太との仲良し4人組の一人で生き残ったおじさんとかが出てきてインタビューに協力してくれたり、招待状を送ったりしていくうちに、誰にも会おうとせず、かたくなに心を閉ざすおじぃ、良太もまた、三線の名人として舞台に上がり、自分が宮森小学校の被害者の一人であることを訴えるのです。加奈ともよりを戻すしな!

絶望と希望と、また前を向いて歩いて行く若者たちの清々しさ。いい映画でした。

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ハムスター記念日

このハムがいいねと俺が言ったから、8月31日はハムスター記念日

今年は休みなので、まいたんとの思い出にひたる一日です。

思えば、まいたんをネットの里親捜し掲示板でお願いして、いただいてきたのが2003年8月31日でした。丸10年経ちました。
最初はブルーサファイアの男の子をもらう約束でした。でも、わしが引き取りに行ったのが遅くて、残っていたのがノーマルの子2匹。うち1匹がまいたんだったんですから、運命というのはわからないものですネ。あの時、ブルーサファイアの子をもらえていたら、きっとまいたんとのらびゅらびゅな生活はなかったはずなのです(その子とのらびゅらびゅな生活だったかもしれませんが)。

まいたんは永遠です。

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ひろしま 石内都・遺された物たち

監督:リンダ=ホーグランド
出演:石内都ほか
製作:NHKエンタープライズ
見たところ:横浜シネマ・ジャック&ベティ
2012年、日本・アメリカ

シネマ・ジャック&ベティで1週間しか公開してないってんで、それっと行ってきたんですが、ちょっと期待はずれで退屈な映画でした。そしたら、製作が「NHKエンタープライズ」って出たんで、映画にして見る人を選ぶより、NHKスペシャルとかにして、もっと多くの人に見せた方が良かったんじゃないのっていうのが正直な感想です。

広島の平和記念資料館に集まる遺品。写真家の石内都さんは、それらの遺品を専門に撮っている。そのような遺品のみの写真展がカナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学人類学博物館で開催された前後の様子、写真展に来た人びとの漏らす感想などを追う。

石内さんが遺品を撮影するまでは見られたんですが、だんだん音楽に頼った演出に飽きてきまして、ちょっとうるさいなと思い出すと、わしはもう、そういう映画は基本、駄目なのでした。なまじっかきれいな音楽だけに何が言いたいのか、ピントがずれてるっていうか、何かが違う何かが違うと思っているうちに眠気さえ催し、沈没するほどではありませんでしたが、最後の「NHKエンタープライズ」で納得。ちょっと違くね?って感じです。

あと、作中で観覧者に感想を言わせてたんですが、一人、日本人っぽいおっさんが「これで死んだ人も成仏できる気がする」って言ってたのは中沢啓治さんの「安らかに眠ってくださいなんてありえない。もっと怒れ」って言ってたのを聞いた後では、生ぬるいなぁとしか思えなかったり。ていうか、同じ日本人として、広島と長崎に原爆を落としたことを、こういうことを言える人はどうでもいいと思ってんのかなぁというのが違和感。

また、カナダがマンハッタン計画(原爆製造計画)に参加していたという話は初めて聞きましたが、その際、原爆に使われたウランはカナダ製のもあったそうです。ネイティブのデネの人びとが、その発掘作業に従事させられたんですが、戦後、広島と長崎に落とした原爆のことを知って、デネの人びとは広島と長崎で謝罪したとか… そういう性根って、アメリカも日本もカナダも持っていない。こういうのを本当の人間だというんだな、と思いまして、それが最大の収穫でした。

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