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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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第6回 奪われた操縦器

正太郎がようやく鉄人へのわだかまりを捨てることになる「悪の手先編(適当なサブタイトル)」です。

どう見てもアメリカですが「海の向こうの戦勝国」とだけ言われてます。そう言えば、ここと敵対する国も名前が出ません。まぁ、基本、悪役というか日本中心なんで、国名はぼやかしたんでしょう。どう考えてもソ連以外ありませんが。まぁ、こっちは暗躍してて、あんまり表に出てこないんで、アメリカほど支障はなさそうですが。

そこで紹介されるのがマフィア、スリルサスペンスです。たった4人のマフィアなんですが、精鋭なのか凶悪な手練れ。(アメリカ)で好き放題やってた一味が次に向けた矛先が鉄人28号でした。

そして釈放される村雨健次。「鉄人を狙う男がもう一人」と紹介されちゃってます。うーん、悪い奴じゃないんだけど、しつこいんだよな… まぁ、彼もこの「悪の手先編」以降、しばらく姿を消しちゃうんですが。
そう言えば、「ブラックオックス編」では拘置所止まりだったのに、今度はもろに刑務所なのは、さすがに罪を重ねて実刑がくだったのでしょうか。まぁ、季節が真夏になってるんで、せいぜい1、2ヶ月というところでしょうけど。さすがに年はないだろう、この話で。
釈放された村雨健次は場末のバーで飲んだくれてます。鉄人が活躍してるのがよほど気に入らない様子です。
バーのバーテンは、村雨に帰ってほしいようですが、(アメリカ)のマフィアが上陸したので、一帯のしまが静かなんだそうです。日本のヤクザは警戒中? それとも警察が特別警備中?

その翌日頃、港の船にブラックオックスが積み込まれていました。不乱拳博士の死とともにブラックオックスの操縦方法などが失われてしまったため、伊豆大島で敷島博士に研究されることになったのです。なんちゅうもんを持ってくんじゃ…
そこに近づく敷島博士。彼はアメリカのインタビューを受けている真っ最中でした。日本のロボット技術を見ておきたいとのことで、敷島博士に白羽の矢を立てたようです。大正解だと思います。
大塚署長は「戦勝国が敗戦国を見習う。もはや戦後ではないっちゅうことだな」なんて呑気なことを言ってますが、まぁ、この人は敗戦を体験してる身だし、占領時代も知ってるんで、実感こもってるんでしょうネ。ただ、この「もはや戦後ではない」は、この後の話でもちょくちょく顔を出します。そういう時代ですから。
しかし正太郎は反対します。ロボットが戦争に利用されることに抵抗があるのです。
ところが敷島博士は「それは使う人間の問題じゃないかな。どんなに大きな力を持ったとしても平和を守るために役立てるならそれでいいとは思わないかい」と、311を体験してしまった今は、脳天気にしか聞こえない台詞を吐きます。たとえ平和を守るためとはいっても、原子力などは10万年も毒性が失せない放射性廃棄物を作り出します。それを受け入れることはできないように、ロボットもまた、そういう側面を持っているものだと思うのです。原子力の場合は特に「平和利用」というのが本来の目的(プルトニウム製作)を隠してきた側面もありますからね。
正太郎は敷島博士の言葉に賛成も反対もできないまま、敷島博士は発ってしまいます。
表情の硬い正太郎を案じるような大塚署長。

その姿を車の中から見ていた者がありました。(アメリカ)のマフィア、スリルサスペンスです。
しかし、この場では手を出さずに「行け」と命じるスリルサスペンス。ていうか、この人の名前って、どこからが名字とかじゃないのか? スリルサスペンスが名字で、名前は別にあるのか? ルドルフみたいな…(特に意味はない)

雨の中、帰宅する正太郎。彼の脳裏に響くのは敷島博士の言葉です。でも、やっぱり納得できない正太郎。今の正太郎は鉄人のことを否定的に捉えていますから、博士の言うことにも素直に肯けないのでしょうが、わしは鉄人との絆が結ばれても、やっぱり肯かないでほしいなぁなんて思っちゃうんですが、それは、わしの勝手というものですネ。

うちに近づいた正太郎は、稲光で無人の研究所に人影を見つけます。
果敢にうちに駆け寄る正太郎。少年探偵は強気です。しかも入口につけられた足跡から複数の人間が侵入していることを推察、観察眼も鋭いです。
戸締まりをしていた研究所に侵入したのは誰か。潜入を試みた正太郎は背後から襲ってきた人影を投げ飛ばし、もう一人は足をかけます。
しかし、彼の抵抗もここまでで、灯りがつき、現れたのはスリルサスペンス一味だったのです。もっとも彼らは用心深く、名乗るようなことはしません。ただ、機関銃を向けて鉄人をよこせと言い、その用途については悪事であることは語っちゃいます。
正太郎も拒絶しますが、機関銃にはかないません。そこで絵の裏にあるスイッチを押すことで隠し部屋が開くと教えますと、即座に縛り上げられてしまいました。
ところが少年探偵、ただではやられません。
正太郎が教えたのは隠し部屋のスイッチではなく、ダミーの電気絨毯のスイッチだったのです。絨毯の上でしびれさせられちゃうスリルサスペンス一味。
正太郎は得意そうに高笑いです。しかも警察に連絡済みとは、この手の事態になれてます、少年探偵。
しかし、突然、研究所のブレーカーを落とした者がありました。
その隙に素早く逃亡するスリルサスペンス一味。さすがに逃げ足も速いです。それも暗黒街で生き残るひとつの理由かも…

スリルサスペンスを助けたのは村雨健次でした。正太郎と鉄人憎しで、とうとう悪党と手を結んでしまいます。こうなると、大人げないです。竜作アニキが草葉の陰で泣いておるぞ、おまい。

同じ頃、東京の郊外に謎のロボットが出没し、列車の転覆事故を起こします。

翌日、正太郎は警察で昨日の悪党の面通しというか、写真から人物の特定です。それでスリルサスペンスであることが判明しますが、大塚署長に「アメリカマフィアのボスだよ」って台詞があるのは、最初の「戦勝国」に何の意味もないような… 何で隠したんだ、そこで。
しかし事態は深刻です。スリルサスペンスのような大物が鉄人を狙っているんですから。大塚署長が正太郎の家を警備させようと言うと、正太郎は「大丈夫です」と請け負います。鉄人は敷島重工にあるし、操縦器(機じゃなくて器でした)も安全な場所に隠してあるからと言うのです。おまえ、それ、自分が昨日みたいに脅されたり、囚われたりしても大丈夫だって言えるのか?って感じですが、大塚署長は突っ込みません。それだけ正太郎への信頼度が高い、と言えば聞こえはいいですが、抜けてるのも事実な気が…
で、安全な場所とは、高見沢さんにプレゼントしたお化粧道具セットの蓋でした! そうとは知らず、化粧に熱心な高見沢さん。「どんなところにも持っていけるし」はいいとしても、「どんな事件の現場でも化粧できるし」って、必要あるのかよ!って感じですが、この話では貴重な女性キャラ、扱いは全般いい気がします。
でも大塚署長は列車の転覆事故のために出かけなければなりません。この人、警察のトップにいそうなぐらい地位が高いと思うんですが、フットワーク軽すぎ…

ここでさらっと挟まれる現実の事件ですが、1949年(昭和で言ったら29年なんで、物語の舞台より前)の三鷹松川事件(リンク先はそれぞれの事件を解説したWikipediaのページ)が語られ、この頃、国鉄の妨害事件が多発していたことが言われます。三鷹事件も松川事件も未解決の事件です。ロボットというのは荒唐無稽な話ですが、こういう現実とのリンクが今川監督はうまいというか、わし好みです。

その現場に駆けつける正太郎と大塚署長。
貨車が住宅街に飛び込む大惨事です。
正太郎はレールの曲がり具合から、「列車は何かにぶつかって」と推測しますが、そうなの? そういうものなの? と物理に弱い(それで理系を諦めた過去あり)わしはわけわかめですが、大塚署長は昨日の晩の天気から、落雷で木でも倒れていたかと考えます。
しかし、目撃者は酔っぱらいさん一人。関刑事(声が関智一さん。今川監督は、役を声優さんの名前と同じにするとか、名字を同じという遊びがお好きですネ)が尋問してますが、酔っぱらいの言うことなんで信用されてない感じです。
ところが正太郎が巨大な足跡が残っていることを指摘したことでロボット説が信憑性を帯びるどころか決定的な証拠に。
大塚署長、「誰がそんな代物を」って言ってないで、足跡がついているんだから追いかけなさいよ。それとも、あのロボットって、飛ぶんだっけ?
そこに列車が近づいてきているとの報せが届きます。手前の駅で折り返し運転をしていたのですが、スリルサスペンス一味によってポイントが切り替えられ、こっちに近づいているのです。ていうか、方向見て発車しようよ!
しかも運転手は無線で呼びかけても反応がなく、操縦台もぶっ壊されてます。
あと10分で現場に到着ですって!
大塚署長は退避を命じますが、正太郎は鉄人を使おうと言い出します。
しかも、こんな事態を予測してか、高見沢さんがお化粧道具と一緒に差し入れを持って登場です。
正太郎は鉄人のことを化け物呼ばわりしていますが、何だかんだで便利に使っているのです。それは何となくずるいなぁと思います。
しかも敷島重工から10分以内で鉄人が現場に到着するのかというと… そこはまぁ、いいとしても、それを見守っていたのはスリルサスペンス一味です。
つまり、この列車転覆事故を利用しての罠だったのです!
「どうやって奪う」と言うスリルサスペンスに、村雨は「正太郎が操縦しているから、操縦器を奪ってしまえばいい」と答えますが、その条件として、アメリカに持ち帰ることを念押しします。「鉄人はこの国に必要ない」というのがその理由なのですが、スリルサスペンスに鉄人を渡して、万が一、それがアメリカに帰ったら、今度はアメリカの罪もない人たちが被害を被るのをわかって言ってるのか、おぬし? それともアメリカ人はどうでもいいのか? 答えてみろ、健次ぃぃぃぃ!って竜作アニキなら言うぞ!

暴走する列車。
そこに鉄人に乗った正太郎が駆けつけます。
正太郎は列車の屋根に飛び乗ると、そこから車内に入り、乗客に警告を発しながら先頭車両へ向かいます。
運転席に着いた正太郎は運転手が倒れているけど、まだ生きていることを確認しますが、操縦台はぶっ壊された後です。

列車は次第に事故現場へ近づいていきます。大塚署長と高見沢さんは退避しないで見守ってますが、あんまり役には立たないと思うんですが、とりあえず、大塚署長としては「正太郎くんが命を張っているんじゃ、わしが逃げてどうする」だそうです。
そこに現れる鉄人。
正太郎の操縦で列車を止めにかかります。ていうか、鉄人って、こんなに小さかったっけ? 列車よりちょっと高いくらいだと、せいぜい2〜3メートルではないのけ?
大塚署長は「いくら鉄人でも壊れてしまうぞ」と言いますが、鉄人はかなり頑丈なロボットなので、その心配だけはないと思うな〜 黙って突っ立ってるところに列車が突っ込んでくるなら別ですが、一緒に下がって、速力を落としてるんだし。

窓ガラスが割れて、正太郎は目をつぶりましたが、目を開けてみると、列車を止めようとする鉄人が。思わず「頑張れ、鉄人」と言ってしまう正太郎。

こうして、ぎりぎりのところで第二の惨劇は回避されましたが、鉄人って、けっこう滑るんですネ。
正太郎は安堵しますが、兵器として作られた鉄人が列車事故を回避したことに思いを巡らせます。脳裏に蘇るのは敷島博士の言葉です。

ところが、正太郎の後ろで倒れていた運転手が起き上がっていました。正太郎後ろ後ろ!!!

大塚署長、真っ先に正太郎のところに駆けつけていてもよさそうなもんですが、乗客の避難に追われています。だったら、高見沢さんとか…

そこに銃声が響き、署長は正太郎の元へ向かいますが、すでに撃たれた後でした。
こうして、鉄人の操縦器はスリルサスペンスの元に渡ってしまいました。

大塚署長と高見沢さんが正太郎の元に駆けつけると、鉄人が動き出します。
警官が鉄砲を撃ちますが、効くわけがありません。脱線した貨車を放り投げる鉄人。スリルサスペンス、初めての操縦なのに上手いですネ。

その姿に、正太郎は「おまえはやっぱり」と呟きますが、「ただの兵器なんだ」とでも言うんでしょうか?

この光景を見守る村雨健次も「鉄人はしょせん武器でしかないってことがわかったか」と呟いてますが、それは勝手というものではないのかえ?

次回、鉄人が「いいも悪いもリモコン次第」を実践します。

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第5回 鉄人対ブラックオックス

ぬこならぬ「ブラックオックス編」も今回が最後です。

オープニングではっきりと戦争が生み遺したものだと語られる鉄人や化け物さん。それが、この物語の核心でもあるので、そのような戦争の遺物は次々に増えていきます。そういう暗さを見せなかったのは「怪盗ブラックマスク編」ぐらいか。

ところで前回、突っ込み忘れましたが、不乱拳博士が呟いた「義久」というのは墓に刻んであった名前です。誰が刻んだんでしょうね、あれ? 博士なら、刻むよりも墓石に掘るだろうし。というか、墓石が破壊されていたのは誰がやったんですかね? 息子がぶち破って出てきたわけはなかろうし…

逃げ出した化け物さんについて警戒するよう伝える警察。「危険で凶暴」と言われてますが、実際のところ、彼は誰も襲ってないと思うんですが… 家は1軒ぶっ壊したけど…

それを地下水道で聞いていた村雨は、化け物さんのために医者(もぐりでしょうが)を呼ぼうとしていましたが、それどころではないと知り、荒療治に取りかかります。

その頃、不乱拳博士は警察に保護されることになり、敷島博士によって、決して化け物さんと出会わないようにと大塚署長に念を押されました。それは不乱拳博士の望むところではないはずなのですが、敷島博士って、とりあえず命優先な人ですよネ。まぁ、この物語では、たいがいの場合、それは問題を先送りしているだけだったりするんですけど。
しかも大塚署長には「訳は後で」とか言っちゃって、大塚署長もいい人だし、敷島博士とはとりわけ親しいので言うことを聞いてくれますが。役に立つかは別問題ですが。
「これでいい」と問題を先送りにしているだけとわかっていながら、呟く敷島博士。
その時、博士は正太郎に気づきます。
正太郎はまだ鉄人を見つめて、「どうしてこんなものばかり」と言ってます。よほど腹に据えかねるのでしょう。
そこに「仕方がなかった」と声をかける敷島博士。博士の知識を考えれば、戦犯になっていてもおかしくない身分だったりするんですが、「仕方がないで済ませるしかないこともある」とか言っているのは、自分だけ裁かれなかった(後の話でビッグ・ファイア博士に「うまくやった」とか言われてるんで罪を問われるべきところを免除されたと考えられます)ことに罪悪感を多少なりとも抱いているからでしょうし、金田博士とともに南方で鉄人の開発に携わり、その前には不乱拳博士の下にいたこともわかっている才人なだけに、言いたいことはいろいろあっても、たくさん呑み込まされてきたのだろうなぁと思ったりします。
でも、それでも納得できないのが正太郎の少年の部分です。そういう意味では、正太郎のポジションは大作と同じであり、それでも戦いに赴く少年たちというところにわしは燃えるんだろうなぁと思うのでした。
人間が人間を、それも死体を使って作るというおぞましさに、少年らしい真っ直ぐな心で正太郎は異議を唱えざるを得ないのでした。そして、それはどうしても鉄人、もう一人の正太郎へと還っていくのです。それは、どうしても会ったことのない父の愛情を疑う心にもつながってしまうのですが、そんな正太郎に敷島博士は繰り返し繰り返し語ります。金田博士が、どれだけ正太郎を愛し、失ったかもしれない妻子のことをどれだけ悲しんだかも。
そして、敷島博士は前々回ちぎった、不乱拳博士の研究の記録の1ページを正太郎に渡します。それを見て驚く正太郎。そこに書かれていたのは、あの化け物さんの素性だったのです。
そのことを知って、ますます嘆く正太郎。
正太郎の代わりのように、鉄人を流れる雨が涙のようでした。

ところが大塚署長への連絡で不乱拳博士が消えたことを知らされる正太郎たち。

大塚署長の警備の隙をついて、不乱拳博士は例のサングラスの男にさらわれたのでした。
「まさか生きていたとはな」と呟く不乱拳博士。
しかし、またオックスを使おうとする不乱拳博士に、サングラスの男は「その必要はありません」と答えます。
化け物さんを生かしておいて、次の戦争で使おうという魂胆らしいです。
「約束が違う」と驚く博士に「本国からの通達です」と答えるサングラスの男。
逆上した不乱拳博士は、男をナイフで刺しますが、逆に銃で撃たれてしまいます。

一方、うちに帰る敷島博士。大塚署長はいつも助手席で、運転するシーンは見なかったように思いますが、敷島博士は自分で運転します。
そろそろ夜中だろうに、皆さん、宵っ張りですネ。
そして豪邸に帰る敷島博士。後で出てきた家は日本家屋っぽかったのですが、このシーンだと西洋家屋っぽいです。どっちなんだ敷島邸…
その時、博士の車の前に飛び出してきた人物がいました。傷を負った不乱拳博士です。

その頃、村雨は化け物さんの銃弾を抜いてやっていました。ナイフをライターで消毒しながらの荒療治です。
痛がる化け物さんに「声を出すな」と言ったりしてますが、包帯まで巻いてあげてるんだから、親切なものです。
化け物さんの頑丈な身体に呆れたようなことを言って化け物さんが笑うと、「可愛くないと言ってるだろ」と、気味悪いから昇格してますし。けっこういい相棒になれたんじゃないでしょうか、このコンビ。まぁ、そんな可能性は1%もなかったんですけどね…
そして、化け物さんに事情を訊ねる村雨。化け物さんは一言も言葉をしゃべらないのに完璧な意思疎通だ…
ただし、化け物さんは説明できるわけではないので、村雨は正太郎からかっさらった鞄を見て、「第弐鉄人計画」の書類を見つけます。

一方、不乱拳博士を乗せて車を走らせる敷島博士。
思い出話、というか、過去話をする2人。長いつき合いですもんね。
不乱拳博士は、金田博士が担った鉄人を自分がやりたかったと言いますが、生物学にも精通していたため、第弐計画にまわされたのです。
でも敷島博士の話によると、第弐計画というのは人間の頭脳を参考に自分で考えるロボットを作ることでした。それが「京都編」のロビーに受け継がれて、博士は人造人間を作ることになったのか? ああ、戦局が敗色濃くなったために、手っ取り早い方を選択されたのか。それで残った研究は助手たちが継いだと…
そこで自分の罪を繰り返し繰り返し語る不乱拳博士。

また村雨に戻りまして、書類を読み終わったところのようです。一緒に行動している化け物さんが死体から作られた人造人間だと知ったのです。
そんな時、村雨の脳裏に蘇るのは家族を失った空襲の光景でした。

その流れを受けて、不乱拳博士の回想に入る、今川節の真骨頂ですな!

戦争のためと自分に言い訳をして、来る日も来る日も死体を切り刻み、人造人間を作ろうとした不乱拳博士。
けれど、成功を前にしてあてがわれた死体を見た時、博士は知ったのです。自分の犯した罪の大きさを。
だから、博士は敷島博士に手伝ってくれるよう頼みます。まぁ、知らない仲でもないんですしね。
敷島博士はこれを承諾しますが、不乱拳博士が化け物さんに与えた命令を知りたがります。「誰を殺すよう命令したのですか」と。
不乱拳博士は、これに「決まっておろうが」と答え、敷島博士もその答えは予想していたのでした。

けれどもその時、敷島博士の車を照らすライトがありました。
どうやら、それは敷島博士が不乱拳博士の安全を保証するべく、警察に連絡したためのようですが、不乱拳博士にとって、それは裏切りでしかありませんでした。不乱拳博士を助けようとする敷島博士の善意は不乱拳博士には通じず、「この手で償わなければならんのだ」とかたくなに言い張ります。
そして、ついに呼び出すブラックオックス。

また、ところ変わって村雨と化け物さん。第弐鉄人計画の書類を燃やしながら、村雨は化け物さんのことを知り、ナイフを向けます。
しかし、かつて正太郎に自分のナイフも人を殺せる立派な兵器だと言われた村雨は、化け物さんをそう簡単に殺せません。まぁ、向けても返り討ちが関の山でしょうが。

でも、とうとう警察の捜索に見つかってしまいます。
村雨はナイフを投げて反撃しつつ、化け物さんを逃がそうとします。「たとえ兵器として作られたとしても、生まれた以上、おまえには生きる権利がある!」と言って。どうしてそれを鉄人にも言ってやれないのか、まぁ、健次はブラコンだからしょうがないか…
しかし、そこに現れたのは鉄人28号。化け物さんをあっさり捕まえてしまいました。

一方、ブラックオックスを追う大塚署長と敷島博士。あれ? 大塚署長、車の運転できるんじゃん! 正太郎と一緒の時は、いつも運転させてるくせに。まぁ、あれは正太郎の車(しかもこの時代に左ハンドルというハイカラさ!)なんで、正太郎が「僕が運転します」とか言ってるのかもしれない… ということにしておこう。
同時に化け物さん捕獲の報も大塚署長に伝わり、「最悪の事態は避けなければ」と言う敷島博士。うーん… それが不乱拳博士がいちばん望んでいないことはわかって言ってるのか、敷島?
しかも、ブラックオックスと一緒だと思い込んでいる不乱拳博士は、そこにいません。

博士は… おや、ここは村雨と化け物さんが潜んでいた地下水道です。「まだ死ねぬ」と何度も呟く博士。敷島博士も傷の手当てぐらいしてやれよ…

しかし、何と言う僥倖、博士がたどり着いたのは、ちょうど鉄人に囚われた化け物さんがいるところでした。しかも上を見上げれば、鉄人と化け物さんがそこにいます。

ところが化け物さんは鋼鉄の檻に閉じ込められてしまい、鉄人にも匹敵する腕力の持ち主にもぶち破れません。

正太郎は意気揚々と大塚署長に化け物さんを檻に収監したことを報告します。大塚署長と敷島博士もこちらに向かっているとのことです。

化け物さんのところに向かおうとする不乱拳博士を止めたのは村雨健次でした。
不乱拳博士は一度は銃を向けますが、やっぱりピンクのスーツというのは特異らしく、敷島重工で正太郎たちとの間に割って入った村雨のことを博士は思い出しました。
村雨も「正太郎と鉄人には腹を立てている」と言います。
もうその時点で村雨には不乱拳博士を助ける気満々な気がするのですが、博士は改めて「わしを手伝ってくれ」と言います。「わしはあれを救ってやらねばならんのだ」と。
そして、鉄人ならば自分が抑えると言ったのは、ブラックオックスをこちらに向かわせているためでしょう。つまり、いると色々と裏も知ってるのでいちばんめんどくさそうな敷島博士に回り道をさせるのが狙いだったのか!

化け物さんは檻を破ろうとしますが、敷島重工の壁と違って、さすがに破れません。

その間に、不乱拳博士は化け物さんと自分との関係を語ったようです。
驚く村雨。

一方、正太郎は化け物に同情しつつ、よい子なんで檻は開けません。
そこにくだんの黒い霧が漂ってきました。
警戒する正太郎。
近づくブラックオックス。

そこに大塚署長と敷島博士も到着しますが、すでに不乱拳博士がブラックオックスと一緒ではなかったことには気づいた模様で、正太郎に「また博士にいっぱい喰わされた」と言ってます。
でも化け物さんがここにいるので不乱拳博士は近くにいるはずだと言う敷島博士。
大塚署長はブラックオックスの相手を鉄人、つまり正太郎に頼みます。

一方、村雨と不乱拳博士も共闘の準備は済んだようです。博士がブラックオックスを操り、その間に村雨が化け物さんを檻から出してやる手はず。ここで振り返った村雨は不乱拳博士と化け物さんに同情でもしたのでしょうか?

こうして始まるロボット大戦。

2体のロボットががっちりと組み合うと、なにしろ下が地下水道なもんですから、崩れちゃったりしてます。

「さすがは金田の作ったものだ」と鉄人を褒める不乱拳博士。でも「今度ばかりは遅れをとるわけにはいかんのだ」とブラックオックス、パワーアップです。そう言えば、この話に登場するロボットは自分の腕力で戦うばかりでジャイアントロボみたいな飛び道具は持ってません。まぁ、一体が持ったら、そういうのは威力合戦になっちゃうんだろうから、最初から封印したんでしょうなぁ…

しかしブラックオックスには鉄人の操縦電波を攪乱する黒い霧があります。
敷島博士が「電波妨害の対策は万全だ」と言っても、黒い霧そのものが鉄人とブラックオックスの姿を隠してしまえば、操縦者である正太郎には同じことです。

その間に檻に近づく村雨健次。

見えないことは不乱拳博士も一緒のはずですが、どういうわけか鉄人は一方的にやられてしまいます。博士のが上手いのかもしれませんし、命がかかってますんでのんびりしていられないっていうのもあるんでしょう。
そして不乱拳博士は語りかけます。「おまえは何も知らんのだ。戦争の闇のなかで何があったか、何がどうなったか」

その声を聞く化け物さん。
「おまえには忠告したはずだぞ。そんなものを持っていたら、いつかはこっちへ来ることになるとな。確かにわしも金田も時代の波に逆らうことができなんだ。いや、その流れに身を任せたと言っていいだろう。その結果がこの有様だ。だが、おまえは、今ならまだ間に合う。だから、わしに罪の償いをさせてくれ。頼む。わしは、この世に生まれてはならないものを…」と続く博士の独白に化け物さんは涙を流します。
そして響き渡る化け物さんの咆哮。

それを聞いた正太郎は「やっぱり」と言いますが、敷島博士はあくまでも拒みます。ということは、正太郎としては不乱拳博士の思うようにさせてやりたいけれど、敷島博士に止められてる?
そこに突っ込むトラック。もちろん運転しているのは村雨健次です。
大塚署長は警官たちを追わせようとしますが、間近で鉄人とブラックオックスが戦っているため、檻に近づけません。さっさとどこかに連れていけば良かったんに。

とうとう鉄人、ブラックオックスに倒されてしまいます。

「今度ばかりは邪魔はさせんぞ、金田〜」と叫ぶ不乱拳博士。しかし、こっちも重傷の身です。そろそろやばいです。
でも、そこに村雨が檻ごとトラックを移動させました。うむ、できた奴じゃ。

しかし、同時に博士はブラックオックスの操縦機を落としてしまい、オックスの動きが止まってしまいました。

でも、化け物さんも檻から出され、博士のもとへ向かいます。
そこに駆けつける警官たち。

ようやく化け物さんと博士が出会わんとしたその時、割って入ったのは鉄人の手でした。

村雨も警官に抑えられてしまい、これ以上、手伝えません。

村雨が博士と化け物さんを会わせようとするのは二人が親子だと知っていたからでした。そう、博士は自分の息子の死体をあてがわれた時に、その罪に気づいたのです。
でも、正太郎もそれは知っていました。義久、という墓石に刻まれた名前がそれです。不が名字なんですよ。日本人は世界でも名字が極端に多いらしいんですが、一文字の名字というのはなかなかおらんやろう… 地名だって、津ぐらいしか知らないし…
「なら、どうして?」と問う村雨に口ごもる正太郎。正太郎自身も納得していないのは、敷島博士とのやりとりからも明らかです。

正太郎がよそ見をした隙に、鉄人の手から脱出してしまう化け物さん。
涙ながらに化け物さんを迎える不乱拳博士。
化け物さんも涙涙です。

そして、ついに出会った2人は、化け物さんが不乱拳博士の首を絞め、不乱拳博士は化け物さんを撃ち殺すという悲劇的な最期を迎えてしまいます。
それは、さすがの村雨も予想していなかった模様でしたが、不乱拳博士にとって、この世に生み出してはいけないものを自分の手で片をつけること、それだけができる償いであり、同時に息子の記憶を持つ化け物さんに自分を殺させることこそが最大の願いだったのです。

それでも納得できない(殺し合いしかないのに)村雨に正太郎は「親子だからですよ」と言います。たとえ殺し合うしかないとわかっていても、二人は再会したかったのだと。自分も金田博士に会いたいのだと。
大人たちのなかで懸命に頑張る正太郎、いいですなv

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第4回 もうひとつの鉄人計画

レビューを書き始めたらえらい長くなったので、いつまで経っても視聴が先に進みません。わしはとっとと最終回まで観たかったので、ひとまず通しで観てから、レビュー書くために見直してます。一日記事一本とか、どんな長さだ俺…

不乱拳博士の話、中盤です。

正太郎は高見沢さんに誘われて千住明氏のコンサートに出かけました。このアニメの音楽を担当した方ですね。「蘇る無敵の兵士」という鉄人の戦闘曲がわし好みです。もっとも当の高見沢さんは居眠り三昧、本人曰く「ジャズのが好き」だそうです。まぁ、わしもクラシックコンサートなんか行った日には間違いなく寝潰れている自信があるので人のことは言えません。
どうやらこのコンサートの切符は、ぬこロボットに敗北して、気落ちしている正太郎を慰めようと大塚署長がまわしてくれたようです。

しかし、この後、高見沢さんに晩ご飯を奢る約束だったのを、正太郎は不乱拳博士を見つけたものですっぽかします。
が、どこかの地下室で不乱拳博士を見失ってしまう正太郎。
たぶん翌日、大塚署長の執務室で署長に「夢でも見たんじゃ」とか「他人のそら似」とか言われちゃう正太郎。少年探偵も信用ないんですネ。

でも大塚署長、不乱拳博士について新しい情報を得たことを教えてくれます。それはどこかの寺の墓地を訪問し、墓石の前で1時間も突っ立っていた博士の姿でした。
そこに向かった正太郎は墓に刻まれた「義久」という名前を見つけますが、誰のことかはわかりません。またその名前は墓石にあらかじめ刻まれたものではなく、鋭いもので後から抉られたものでした。
そして正太郎は、墓の傍に埋められた例の緑色の物質の入った瓶を見つけるのです。ていうか、この入れ方は正太郎とは言わないまでも、誰かに見つけられるよう、わざと浅く埋めたように思われます。不乱拳博士の本当の目的を知ってしまうとなおさらです。博士は、誰かに自分のすることを止めてほしかったようにさえ思えるのです。

そんな正太郎を遠くから見つめる覆面の男。

正太郎は緑色の物質をどこぞの研究室に持ち込んで調べてもらいます。中に入っていたのは緑色の細胞でした。
それが人間の細胞だと知らされる正太郎。ところが、「そんな細胞を持つ人間がいたら化け物だね」と答える研究員だか博士だか、この回限りのおっさんが言います。その細胞は何か紫色の液体(特に言及はしないのですが、それを吸収して細胞を大きくなっているところを見ると、わかりやすく色をつけた栄養素のようです)を吸収し、まるで細胞だけで生きているかのようでした。

「化け物」と言われて、鉄人のことを思い出す正太郎。まだ戸惑いの方が大きい正太郎にとって、同じ名前を冠するとは言え、鉄人は化け物なのでした。

車で帰る正太郎は検問に引っかかります。もっともそこは大塚署長のバックアップを持つ少年探偵、顔パスでフリーです。
もちろん大塚署長のいる事件現場にも関係者の顔をして近づけます。大塚署長の後々の権力の大きさを思うと意外な気もするのですが、この人、意外とフットワークが軽くてどんな現場にも顔を出してるんですよ。まぁ、それだけ頼られてるし、たたき上げなんでしょうけど。

事件というのは川縁のバラックのような家が建ち並ぶ一角で起きたものでした。人間業とは思えない力で1軒の家が潰されていたのですが、その目撃者が3人の酔っぱらいしかいないため、信用されていないのです。人間を遙かにしのぐ大きさの怪物が家を潰したという酔っぱらいたち。正太郎は「化け物だね」と言われたことを思いだしていました。それは正太郎が今回の事件のきっかけとなった地下の研究室で見た水槽の中にいたものであり、同じところにあった無数の瓶に入っていた緑色の物体でもあったのです。そして、化け物という言葉で鉄人を想起してしまう正太郎。
そして正太郎は、もう一度地下に向かいます。

一方、すぐ近くの川をこっそりとボートで下っていく村雨。彼は下水道に食料を持っていき、つれに食べさせてました。
やっぱり例の事件の犯人は村雨のつれだったのですが、どさくさに紛れてお金も盗んだ模様。で買い物か。

ここで「厄介なつれができた」と回想に入る村雨。
ぬこロボットの襲撃により壊されてしまった拘置所で、村雨はこの化け物に命を救われたのです。さらに化け物の目に自分と同じ後ろめたさを見出した村雨は、彼と行動をともにすることにしたのでした。
この化け物、笑うという感情も持ってますが、村雨に「よせよ、気持ち悪い」とか言われちゃいます。でも村雨の行動を見てると、命の恩人とはいえ、化け物にそこまで思い入れもふつうはせんじゃろうし、けっこう仲良くやってけそうなんで、「気持ち悪い」なんてのもお約束にしか聞こえないわけですが、まぁ、会ったばかりだから、当初はやっぱり渋々つき合ってたのかもしれませんが、「化け物」という言葉に鉄人を思い出してしまう村雨。最後まで見ると、彼は重度のブラコンです。二言目には「兄さん兄さん」って、あんた、どんだけ竜作が好きなんじゃ!って突っ込みを入れたくなるほどですヨ。
さらに鉄人憎しの村雨は、正太郎への復讐に化け物を使うことまで考えます。

一方、仕事熱心な正太郎は夜だというのに研究室跡へ。そこは大塚署長が言ったとおり、すでに片づけられた後でしたが、鏡に映った自分の姿に驚いた正太郎は、鏡の縁から水が流れていることに気づきました。さすが少年探偵、観察眼は鋭いのです。
鏡を外した正太郎は、その裏にある隠し金庫を見つけました。
しかし、中身は空っぽな上、正太郎の後をつけていた覆面男がここにも現れます。ですが、そうたやすくやられる少年探偵ではありません。懐中電灯の光を向けて目をくらまさせ、銃弾を反らします。さらに反撃に出、逃げ出したところを追いかけますが、敵もさるもの、手榴弾を投げてきて、逃げおおせてしまいました。
でも、覆面の撃った銃が鏡を割ったことで鏡の裏に隠されていた鞄を見つけることができたのはラッキーと言えるでしょう。
しかし、鞄を開けた正太郎が見たのは「第弐鉄人計画」という今の彼には信じられない文字でした。

覆面の男の報告で不乱拳博士は「あの書類」つまり、第弐鉄人計画が正太郎に見つけられたことを知りますが、前回のふてぶてしさは感じられず、むしろフォーグラー博士(不乱拳博士が元になった「ジャイアントロボ The Animation〜地球が静止する日」の諸悪の根源と思われていた人物)の素顔に近い、もっと温厚で思慮深い性格を思わせる感じです。
覆面の男も覆面を脱いで、不乱拳博士を迎えに来た、サングラスの男に戻ってます。正太郎に傷を負わされた模様ですが、不乱拳博士の「手当してやろう」はさっくりと断ります。
不乱拳博士は、正太郎にいまさらあの書類を読まれても何の問題もない、水槽が割れてしまった以上、全ては闇の中だと言いますが、脳裏に浮かぶのは自分が携わった実験、第弐鉄人計画についてでした。

その頃、敷島博士は鉄人の修理の真っ最中。その敷島重工に忍び寄る村雨と化け物とおぼしき人影。博士はなにしろ鉄人贔屓ですんで、10年前に作られたんだから、あちこち故障してるのも無理はないとか何とかかんとか… 整備するのが楽しそうですネ。
そこに現れたのは例の鞄を持った正太郎です。
なんかしょんぼりした感じの正太郎に、例の黒い霧が電波攪乱剤であることを伝え、先日、ぬこロボットとの戦いで鉄人がうまく動かせなかったのはそのためだと言うのです。うーん、相変わらず万能な人だ…
脳天気に「操縦機の電波の周波数を強いものに変えたから、もう大丈夫」とか言っちゃう博士に正太郎は「どうしてですか?」と問います。これでようやく正太郎の様子がいつもと違うことに気づいた博士。頭は万能なんですが、正太郎の微細な気持ちにはすぐに気づかないのは、やっぱり敷島博士がマッドな人だからだと思うんだ…
そして正太郎が見せたのは「第弐鉄人計画」の書類。敷島博士は激しく動揺します。
さらにその内容を知っていたのかと詰め寄る正太郎。しかし、少年探偵のすごさは、大人が読んでもわからなさそうな難しい書類を読んじゃうことにもありますよネ。
激しく詰問する正太郎に言葉を濁す敷島博士。

それを上から見ていたのは村雨と化け物でした。
正太郎がかざした書類を大事なものと考えた村雨は、それを盗んでやろうと考えます。

敷島博士は、正太郎が第弐鉄人計画を読んだことを知り、「君が怒るのもしょうがない」と言います。
そして正太郎は、水槽の中身が何か、わかったと言います。それに敷島博士が水槽が見つかった時に慌てていたわけも。
身よりのない正太郎にとって、敷島博士や大塚署長は家族同然です。でも、その扱いというか、2人に対する思いはまったく=ではなく、敷島博士の方がお父さん、大塚署長はちょっと老けてますがお兄さんていうか親戚の伯父さんって感じのように見えます。
敷島博士は一時、不乱拳博士の生物学に傾倒していたことがあり(「京都編」へのさりげない伏線)、博士の研究内容も知っていたのでした。そこで慌てて「研究に反対だったんだ」と言っちゃう博士に小物臭がぷんぷんです。やっぱり、わし的にはカッシュ博士=金田博士、ミカムラ博士=敷島博士な感じやね。
そこに「でも、この計画は実行されたんでしょう」と突っ込む正太郎。水槽の中身があったんですから、認める博士。
正太郎は「どうしてこんなものばかり」と呟きます。鉄人を例にあげたところを見ると戦争の道具ばかり、ということなんでしょう。
そこに覆面男が不意打ちで現れ、「あれを見られたからには生かしておくわけにはいかない」と脅しますが、反撃しようとする正太郎を敷島博士が止めます。「博士」と呼びかけたところを見ると、どうやら中身は不乱拳博士のようです。

それを見ていた村雨、新たな人物の登場に事態がややこしくなったと言いますと、相棒がうめき声をあげ始めました。驚いた村雨がそちらを見ると化け物は泣いていたのです。

覆面男は白を切りますが、敷島博士もただの器用貧乏な人ではありませんので、ブラックオックス、つまりぬこロボットが現れたことを知り、それを開発していたのが不乱拳博士だと知っているので、確信したと言うのです。
そこで覆面男も観念して正体をあらわにします。

ところが、屋根の上の化け物が雄叫びをあげたのも、この時でした。
村雨は必死で止めようとしますが、腕力勝負ではかないません。簡単に吹き飛ばされてしまいました。さすがの村雨も不乱拳博士の顔は知らない模様…

不乱拳博士の登場に驚く正太郎たちの間に、化け物が割って入ります。
正太郎は例の緑色の細胞のことを思い出し、これが例の水槽に入っていた化け物だと気づいて驚きますが、あんた、何を見て悲鳴をあげたん?
しかし、不乱拳博士も驚いています。「まさか生きていたのか」と呟く博士に、涙を流す化け物。どうやら、言葉が喋れないのは性能的な問題で、知能は人間並みに高いようです、この化け物さん。まぁ、見てくれはもろにフランケンシュタインなんですが、村雨とも意思疎通を図ってたしな。
そこで博士は「義久」と呟いて気絶してしまいました。その前から、化け物さんの落下で割られた天井やガラスの下敷きになってましたからね。
涙を滂沱する化け物さんは不乱拳博士に襲いかかろうとしますが、博士が持ってきた銃を撃ったのは正太郎かと思いきや、敷島博士でした。あらびっくり。
博士はこの間に逃げろと言いますが、床を引っ繰り返された正太郎の前に鉄人の操縦機が落ちてきます。
「化け物には化け物で」と言って、鉄人で化け物さんを捕まえる正太郎。鉄人をまだ「化け物」呼ばわりしてるのが、初期なんでしょうがないんですけど、痛々しいです。
しかし、化け物さんも鉄人に匹敵するパワーを見せたもので、正太郎も鉄人をさらにパワーアップさせますが、そこに村雨が割って入ります。
「第弐鉄人計画」の書類が入った鞄を奪って、化け物さんと逃げ出す村雨。
化け物さんは不乱拳博士を振り返りますが、村雨に促されて壁をぶち破って逃亡します。
正太郎は後を追おうとしますが、敷島博士に止められてしまいます。そして、博士は化け物さんがもうひとつの鉄人、つまり「第弐鉄人計画」で作られた人造人間(死人産)だと言うのです。
正太郎は、水槽の中にいたのが化け物さんだったと納得します。やっぱり、あの顔見て悲鳴をあげたんか…
そこで不乱拳博士が目を覚まし、「人が人を作り上げる神に背いた行い」と己の罪を断罪します。「だから、わしは償わなければならない。この手で」と言った博士に、言葉もない正太郎。

その頃、逃げ出した草原で化け物さんも雄叫びをあげていました。今川節か、これも。

避けようのない悲劇を予感させて、続く。

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第3回 怪ロボット現る

久しぶりの視聴なんでレビューがクソ長くなっております。

ここから1〜3話の短編みたいな感じで進みます。このパターンは第16回の京都編まで続くようです。

どれも戦争というものが重くのしかかった話(怪盗ブラックマスクは別か)になっており、このシリーズを全編を貫くテーマの重さを暗示しているようです。

タイトルの前に戦後の10年間がおさらいされて、タイトル登場。

前回、鉄人の進撃で破壊されてしまった町で瓦礫を片づける作業に従事する鉄人28号。それを横目で見ながら、官房長官は誰かと電話です。話の内容から、敷島博士っぽいんですが。
官房長官は鉄人の扱いを敷島博士に移譲します。まぁ、民間に払い下げておけば、いざって時に言い逃れもできそうだし… なにしろ敷島博士がロボットに関しては第一人者のようなので、任せておけば安心ということでもあるんでしょう。

しかし正太郎は鉄人の扱いに苦心しています。少年探偵としては高いスキルを持ってますが、ロボットの操縦は素人同然のはずです。よく任されたなぁって気もしますが、そこは金田博士の息子だし、いちばん上手そうな敷島博士はしょっちゅう出かけているしで、正太郎に白羽の矢が刺さったと推測。

また官房長官は、鉄人の起こした損害の賠償を敷島重工に求めないことも言います。なにしろ戦争の遺物ですんで、あんまり公にすると日本もやばい立場にあるもんで、下手に賠償金なんか請求して事を荒立てたくないようです。あれは正体不明の飛行物として処理するとか言ってますが、ほかの国に攻められないといいですねぇ。

一方、ところ変わって敷島博士。テントの中で電話とは、どこかに出かけた模様。官房長官がすぐに話題を振ったのはかつての秘密研究所の後でした。今は砲弾の発射台が残っているだけで、官房長官の言う「面倒なものはない」と答える敷島博士。あっても黙ってそうですけどネ。そして爆破される発射台。

正太郎は引き続き片づけに従事ですが鉄人が思うように動かないことに苛立ってます。まぁ、何でもできる少年探偵なんで、鉄人って、初めて思うとおりに動いてくれないものなのかもしれませんが、意外とせっかちですネ。
そこに大塚署長登場。上手く動かせないことを嘆く正太郎に署長は「鉄人の気持ちになって一心同体に」とアドバイスしますが、正太郎には無碍に断られてしまいます。どうも少年探偵は生意気盛りのようですネ。それに自分が鉄人を操縦させられているのも納得していない感じです。同じ父の遺産でも、わりと疑いもなく受け入れ、操縦する大作とはそこが大きく異なるようです。

すると、遠くで爆発音が起こり、正太郎も大塚署長もそちらに気をとられます。好奇心旺盛ってのもあるんだろうし、慣れない鉄人の操縦にくさってもいたんでしょう。大塚署長とともに現場に駆けつける正太郎。

爆発で現れたのは腐った臭いを放つ緑色の液体が入れられた瓶と、地下の空間でした。しかも発破をかけたんじゃないって、勝手に爆発した?

最初は臭いに辟易していた正太郎ですが、さすが行動力では大人顔負けの少年探偵、率先して地下に下りていき、大塚署長も慌てて後を追います。

そこはかなり古いもののようですが、大塚署長、防空壕はそんなに巨大ではないと思います。それとも、軍の掘った防空壕でもあったのか?
備えよく懐中電灯を持っていたので、早速調査を始める2人。
そこはとても広く、放置されてずいぶん経っており、何かの研究所のようだと推測。
すると正太郎が扉を見つけ、力尽くでは開かないものの、壁に空いた穴から内部に侵入します。行動が大胆です、少年探偵。

正太郎が見たのは、無数の瓶に入れられた緑色の液体。その中には液体以外の物も入っており、正太郎が落とした物の中には手首でしたが、それ以外にも無数の標本サンプルばりに揃ってそうです。しかもその部屋には階段があり、どこかにつながっているわけではないですが、中2階とも言えるところにひときわ大きな水槽が置いてあったのです。
それを見に行く正太郎。階段にも所狭しと置かれた瓶。
水槽のところまで着いた正太郎ですが、中に閉じ込められたものを見るなり、懐中電灯を落とし、悲鳴をあげます。わりと珍しい気もするんですが、どうだっただろう…

ここで水槽の中にあったものを明らかにしないまま、場面は一転して大塚署長の執務室へ。貴重な女性キャラ、高見沢秘書の登場です。声と容姿は「白昼の残月」と同じなんですが、キャラが全面的に変わっておりまして、映画から入った身にはすげぇ違和感ですよ…
高見沢さんは正太郎が悲鳴をあげたことを笑ってますが、大塚署長には「君だったら気を失っとったぞ」とか言われてるんで、水槽のなかには相当なものが入っていた思われますが、中身を知っていると逆に正太郎が悲鳴をあげた理由が不明なんですが、死体とでも思ったんだろうか…

で、高見沢さんが伝えるスケジュールでは、地下から取り出された水槽は警察署に持ってこられ、一時、地下の倉庫に保管されることになりました。
しかし、戦時中の実験の1つらしく、署長はそういう資料があまり自由にならないと言います。唯一の手がかりは水槽の貼り紙でした。「不乱拳 ここに死して生を受ける」から、不乱拳という名から、大塚署長の言う医療関係か生物学の線からたどれば見つかるだろうと言ったとおり、わりとすぐに見つかります。その経歴は意外なものだったらしく、揃って言葉を失う3人。

不乱拳がいたのは、どこかの刑務所、かと思っていたら、後で病院と言ってたんで、精神病院っぽいです。格子戸あるし、面会も網戸越しなんで。
その容貌は「ジャイアントロボ The Animation〜地球が静止する日」のフランケン=フォン=フォーグラー博士そっくりですが、元ネタは「鉄人28号」で、温厚な人格者だったフォーグラー博士に比べると、マッドっぽい印象。
そして、不乱拳は正太郎たちの質問には白を切ります。緑色の物質でもあれば分析はわけないとは言いますが、それも道具がなくてできないと言うんですから、誰でも何か隠しているなというのがわかる展開ですが、大塚署長も正太郎も、さすがに拷問してまで取り調べようとは思いません。いい人だからね。
しかし、それをいいことに強気の不乱拳は「金田博士より自分のが優れていた」とか「あまりかかわらないことだ」とか正太郎を挑発しまくりです。
ただ、この後のシーンで病院から帰る正太郎と大塚署長のやりとりで、「爆発でね。それがいい。この世には生まれてはならないものがある」と言ったのは、金田博士を彷彿とさせるので、ただの気違いとも言えない様子です。

そして、自分の病室(窓に鉄格子入り!)に帰った不乱拳は、熱心に床に書きつけます。やがて、それが部屋中、床から壁から書き尽くされ、一部には、今回のタイトルにもなっている怪ロボット(ブラックオックス。通称ぬこ)もあり、一連の事件と不乱拳との繋がりをはっきりと明示しているのですが、正太郎たちは病室には来られなかったか来なかった模様です。

また正太郎たちの車とすれ違った謎の車の運転手、サングラスの男は、水槽が運び出された工事現場に居合わせたサングラスの男まんまですが、てっきり村雨健次かと思っていたら、後のシーンで拘置所に入っていたことが発覚、別人でした。

しかし数日後、敷島博士が帰還します。空港まで迎えに行く正太郎。その姿を見つけて嬉しそうな博士。微笑ましいシーンですが、博学な博士の登場で事態が動き出します。相変わらず、ちゃんと話さないので正太郎たちもわしもわけわかめです。

まず、水槽を見るなり「何でこんなものが残ってるんだ」と驚く博士。
さらに大塚署長が拾った名簿を見せると、ひったくって、ページをめくり、いきなり1枚破り取ってしまいます。いや、だから、そういうことする前に説明しろと…
そして、不乱拳博士のいた病院に連絡を取らせますが、博士は正太郎たちとの面会の後で退院したと言うのです。
そうと知った敷島博士は、あの水槽を守るべく警戒態勢を敷かせた上、大塚署長と一緒に総理官邸へ向かいます。後のことを正太郎に託して。って、おいおい。いくら鉄人がいるとはいえ、それは大人としてちょっと無責任なんじゃあ…
とどめに定時だからと言って帰っちゃう高見沢さん。まぁ、この人だけはいてもいなくても、たぶん、あんまり変わらないように思いますが。

そして夜になって、村雨健次の入れられた拘置所の正面に、例の水槽が運び込まれます。

一方、敷島博士たちの帰りを待つ正太郎は、遅いのを案じて迎えに行きます。この行動力はさすが、自分で車を運転する少年探偵ならではでしょう。
しかし、その最中、霧が濃くなってくると同時に、怪しげな足音が響いて、正太郎の行く手にロボットが現れたではありませんか。ぬこ来た━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!! それにしても正太郎の運転はよそ見しすぎで危ないのですが、車も歩行者も少なかったこの時代、対向車の心配とかもないのかもしれませんな。
ですが、現れたロボットにぶつかりそうになってハンドル切ってるんで、やっぱりよそ見は良くないと思います。

ロボットが向かっているのは正太郎が離れた拘置所です。
村雨健次がふて寝してますと、所内に警報が響き渡りました。

やってきたロボットに警官たちが拳銃で応戦しますが、効くはずもありません。
そこに正太郎が戻り、鉄人を呼んだのでどくように言います。
やがて現れる鉄人28号。正太郎は鉄人に「見せてもらうぞ、おまえの強いところを」と言ってますが、基本、鉄人は「いいも悪いもリモコン次第」なんで、結局、正太郎の操縦の腕前が上達しないと意味がないような…

しかし始まってしまうロボット大戦。ぬこロボット(猫耳なので)と鉄人28号の戦いはパワーではほぼ互角と大したものです。
ところが、ぬこロボットの指先から発射された黒い霧が鉄人のコントロールを危うくさせていきます。でも正太郎はなぜか、霧と鉄人の関係に思い至りません。ここら辺が大人並みの活躍を見せるけど、中身は子ども、の本作の正太郎の限界なのかもしれません。まぁ、わしも、ここら辺は一回見てるからおかしいと思うけど、初見だとどうだっけという気もしますが…

一方、拘置所の村雨健次の上に瓦礫が降ってきました。2体のロボットの戦いは、それほど周囲に影響を及ぼしてしまうものなのです。
警官たちが慌てて水槽の様子を見に来ますが、逃げられない健次や水槽を放って、瓦礫が降ってきて危ないってんで逃げ出してしまいます。
その時、水槽の中に見えたものに驚愕する健次。彼も、相当な修羅場をくぐってそうな人物ですんで、それほど驚くもの、正太郎が悲鳴をあげるようなものが入っているんですが、だから、そんなに凄いのかというと… うーん、まぁ、確かに驚くかもしれんけど… 一回見てるから、そう言えるだけなのか…

そして、鉄人はぬこロボットに一方的にやられちゃってます。正太郎は自分がうまく操縦できないせいだと思ってるようですが、なかなか辛い相手ですよね、ぬこって。
とうとう拘置所に投げられてしまった鉄人。

村雨健次の牢も半壊し、水槽の中にいたものも外に出てしまいました。緑色の皮膚を持った巨大な怪物っぽいですが、この物語、初出のモンスターとかロボットは隠すのが好きなんで(鉄人28号しかり、27号しかり…)、この怪物も例に漏れず、布を身にまとってます。その姿は次回のお楽しみってところですネ。

ぬこロボットが探していたのは、あの水槽でした。しかし、村雨健次の前に怪物が現れたことで、その中身は逃げおおせてしまっています。
目的を果たせなかったぬこロボットは、辺りを探し回るということはしないで去っていくのでした。

翌朝、拘置所に倒れたままの鉄人28号。正太郎、倒したままにしないでちゃんと回収しようよ〜 それともいつまでも操縦が復活しなかったんでしょうか?
そこにやっと帰ってきた敷島博士と大塚署長に詫びる正太郎。正太郎一人に責任を押しつけるのもどうかと思うよ…
2人は不乱拳博士の入院していた病院を再度訪れ、博士がいきなり退院した事情を詳しく聞いてきたようです。
すると、正太郎たちと入れ違いに訪ねてきた者がいて、水槽が1つ完全なまま残ったことを教えてしまいます。大塚署長が正太郎に口止めしたのはこのことでした。しかも「かねてからの指示どおり、黒い牛は完成している」と言います。「あとは頭の設計図だけだ」とも… こうして映し出された博士の病室は床といい壁といい、怪しげな落書き、もとい、黒い牛=ブラックオックス=ぬこロボットの設計図となっていたことがわかるのでした。暮らしにくそ〜
そして退院してしまった不乱拳博士。ていうか、いかにも精神病院なかまえなんですが、そう簡単に退院できるのだろうか… 病院では模範的な病人だったのか? もちろん、壁の落書きはきれいさっぱり消されてしまっています。

敷島博士が、ぬこロボットについて何もわからなかったと言おうとするのを遮って、正太郎は「鉄人が役に立たないことがわかりました」と言い切ってしまいます。

これから始まる悲劇を予感させて、以下続きます。

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第2回 28号対27号

タイトルこそ「鉄人28号」ですが、まだそれは鉄人28号とは呼ばれておらず、もう一人の正太郎という、まことにややこしい呼ばれ方をしてます。当ブログでも、もう一人の正太郎が鉄人28号に変わる過程というのは大事にしたいと思うので、後の鉄人28号と呼ばれる鋼鉄の巨人を「正太郎」と「」付きで呼ぼうと思います。

鈴木弘子さんのクールなナレーションで語られる敗戦後の日本の10年。それは敗戦の傷痕もようやく癒えだした時代、けれども何かの拍子でその傷口が簡単に開いてしまう時代、それでもそうした傷を忘れようとした日本が高度経済成長という多くの犠牲を伴った奇跡的な復興を遂げようとする、その前哨とも言える時代でした。そう、こういう時代にノスタルジーというか、共感というか、理解を示せないお子さんには、このアニメはつまらんのだろうなぁと思います。逆にそういうものがびんびんと響く世代にはたまらんというか、古い忘れてしまったはずの傷口をえぐり出すようなアニメなのかもしれません。

さて、前回は南方で葬られたはずの砲弾から「正太郎」が現れたところまででした。

自分と同じ名前、正太郎にとっては見たこともない父によって、「この世に生まれてきてはならないもの」と断じられた「正太郎」に、正太郎少年は戸惑います。それは今まで知らされなかった父、金田博士の素顔、村雨健次の言う「生きていたら間違いなく戦犯だった」兵器開発者としての父の顔でもあり、素顔であるかもしれないからでしょう。
まぁ、語っちゃう敷島博士自身が金田博士の助手だったんで、「正太郎」への思い入れは相当強いものがあるでしょうから、大ゲサになってしまうのはしょうがないとしても、自分と同じ名前を持つことへのこだわりというか、違和感というか、無視して通れないのは正太郎も同じはずです。

咆哮をあげる「正太郎」。その音は作りかけの東京タワーや、パトカーのガラスさえも粉々にしてしまうほどで、駆けつけた警官たちは逃げ出します。

そして周囲を見回すようなしぐさをしていた「正太郎」は、ようやく辰を放り出して、ある方向に向かって歩き出すのでした。

健次は辰に駆け寄りますが、辰は前回で事切れてしまっています。頭に血が上った健次は、辰の銃で「正太郎」を撃ちますが、オープニングで「だだだーんと弾が飛ぶ ばばばーんと破裂する」と唄われる「正太郎」には効くはずもありません。
健次を止める竜作。
しかし、健次は逆に「辰を新しい家族だと言って可愛がっていたのは兄さんじゃないか」と詰め寄るのです。ここで語られる村雨兄弟と辰のなれそめ、村雨兄弟が前回、盗み出した新型ミサイルの設計図を灰にしてしまうほど兵器を憎んでいる理由などが語られます。
そして彼らは、辰を殺した元凶が「正太郎」と描かれた砲弾から出てきたこと、この場に居合わせた正太郎と敷島博士、大塚署長の繋がりを知っているもので、前回、正太郎に「生きていれば、お前の親父は間違いなく戦犯だった」と言っただけに金田博士のしていたことも知っているらしく、元凶の元凶が正太郎にあると決めつけて、「正太郎」を追うためにやってきたヘリにしがみつきます。
竜作は健次の身を案じますが、まさか、あんな行動に出ようとは…

真っ直ぐに歩いて行く「正太郎」。ですが、18メートルもある鋼鉄の巨人ですから、ただ歩くだけでも大迷惑。道路は陥没し、ビルはぶち壊し、電線に引っかかっては起きた火花で包帯に火がついて火事を起こしと歩く災害です。
ヘリコプターから見下ろす健次は「何てこった」とつぶやき、正太郎は「すごい。まるで戦争の写真みたいだ」とつぶやくあたり、両者の立場の違いが現れていますネ。たぶん、健次は正太郎の言い分を聞いたら、激怒しそうな感じですが。
そんな正太郎に「正太郎」は兵器として作られたと語る敷島博士。でもと、言葉を濁してしまう博士に正太郎は説明するよう詰め寄りますが、大塚署長に「今はそんなことをしている場合じゃない」と止められてしまいます。「ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日」でもそうでしたが、わりと常識人というか、良心が感じられるのが大塚署長の良いところ。金田博士を尊敬するあまり、鉄人のことになるととかく暴走しがちな敷島博士とはいいブレーキ役になってそうな感じですネ。
しかし、さすがに少年探偵、正太郎もぼんやりと「正太郎」を眺めていたわけではありません。
国会議事堂もぶち壊して突き進む「正太郎」が、ひたすら真っ直ぐに進んでいることを指摘し、その先にあるのはお約束、敷島重工でありました。
すると敷島博士が「正太郎」が動き出した理由、「正太郎」が目指すものに思い当たり、ヘリは一路、敷島重工へ急ぐのでした。

その頃、健次の身を案じる竜作は、三輪車に乗って、辰の遺体を助手席に乗せて発車したところでした。
村雨竜作については「鉄人28号 白昼の残月」にも登場してましたが、キャラが微妙に異なるように思います。どちらも同じ特攻崩れであることに違いはないのですが、敗残兵としてアメリカに拾われ、「今の日本が嫌いだ」と言ったショウタロウに対し、どこか冷めた目で見ていたような、その気持ちもわかる、だが、せっかく生き延びたんだ、俺はもうちょっと大事に自分の命を使わせてもらうことにするぜとでも言ってそうな映画版の竜作には、生を諦めていない、そんな人間だけが持つ明るさというかタフさがあったように思うのです。
対して、こちらの竜作にはナレーションで「時代の流れから取り残された」がちょうどはまってしまうように、どこか自分の命を大事にしていないような、まぁ、実際に特攻したシーンなんかを見ているから、そう感じてしまうだけかもしれませんが、自分の命に対して投げやりな感じがしなくもないのでした。
どっちも若本規夫さんの声がはまりすぎるくらいにはまってるんですがネ!

そう言っているうちにヘリは敷島重工に到着、走っていく正太郎たちを見て、健次は憎々しげに「やっぱり、あいつらがからんでやがる」と呟きます。

工場の中を走っていく正太郎は初めて27号を目にします。「これが自分の限界だ」と呟く敷島博士。たぶん、「正太郎」と同じように町中を歩かせると、あちこちにぶつかった時に壊れちゃうんでしょうかな?

いちばん奥にあったのは、敷島博士が復員した時にクレーン車まで動員させて持ち帰った巨大な腕。しかも、その中に隠されていたのは起動中のリモコンだったのです。

ここで大塚署長も「正太郎」が敷島重工を目指しているわけに納得。
さらに敷島博士が続けて言うには、27号の起動実験中に、リモート回路を28号に変更したことで、その電波が南方の孤島にも届き、例の砲弾を発射させたのではないかと。狭い帯域だな、おい!
それで「正太郎」を止めようとリモコンを取り出そうとする大塚署長ですが、ちょっと太っちょなもんで狭くて入りきりません。
敷島博士は正太郎に助けを求めますが、さすがの少年探偵にも事情がわけわけめで、説明を求めますと、敷島博士、例によって口ごもっちゃって、「君は知らない方が」とか言い出すもので、正太郎、すかさず「正太郎の名を冠しているのなら知る権利がある、いや、知らなければならないと思います!」と断言したもので、敷島博士も「全てを話そう」とか言ってますが、この人、隠し事が多すぎるんで、首根っこをとっつかまえて、洗いざらい白状させたい気分です、わしとしては。

ここまでで半分とか相変わらず密度が濃いぜ、今川監督…

敷島博士によって語られる金田博士。
正太郎が初めて知らされる父の姿。それは確かに村雨健次の言ったように「生きていれば戦犯間違いなし」の兵器開発者だったのですが、同時に金田博士という人物は、戦争で人が死ぬことを嫌ってもいたのです。しかもそんな時に知らされた妻の妊娠の報に、博士は希望なき時代の希望を見出しさえしますが、出産の前に金田博士と敷島博士は南方の秘密の研究所への出向を命じられ、新たな兵器、鉄人の開発に従事させられることになってしまいます。その当時の日本は敗色が濃厚で、決定的な兵力不足から、兵士に代わる鋼鉄の兵士=鉄人が求められていたのです。しかし、その計画は難航し、失敗に次ぐ失敗、兵器としての実用化さえ危うい状態でした。ところが、そこに届く東京大空襲の報せ。金田博士は妻子の無事を願いますが、飛んで帰るわけにもいかず、連絡も満足に取れないまま、妻子が死んだものと思うのです。そして、何かに取り憑かれたかのように鉄人計画に邁進する金田博士は、28番目のロボットに「正太郎」と名づけ、失った我が子の代わりに大切に作り上げたのでした。その名前は生まれてくる子が男の子だったらつけたいと思っていた名前だったのです。ところが「正太郎」に出撃命令が下されます。ここで、話がようやく第1話の過去につながりまして、敷島博士(当時も博士だったのか怪しいところですが… あと、この人の立場を考えると戦犯として裁かれてもおかしくないと思うんですが、そこはわりと万能な科学者なんで、免除されたと考えたらいいのでしょう…)の「どうして、そんなこと」が、出撃命令を持ってきた将校を金田博士が撃ち殺したことを指しているとわかります。そして金田博士は「これ以上、私には我慢できんのだ。そして私は知ってしまった。この世には生まれてきてはいかんものがあることを」と独白。「正太郎」が出撃させられるのが「我慢できない」? でもそれは最初から兵器として作っているのだから当然のことでは? それとも別のことが? 謎をはらんだまま、起き上がる「正太郎」。研究所の上に降ってくる無数の爆弾。金田博士の死とともに、鉄人計画もまた葬り去られ、残ったのは復員した敷島博士が持ち帰った巨大な腕のみのはずでしたが、砲弾が飛来し、「正太郎」が動き出したということは、金田博士の心の中に、やっぱり「正太郎」を葬りきれない気持ちが残っていたのです。その存在がどれほど悪いものであれ、自分のドラゴンを葬ることのできなかった「サンサーラ・ナーガ2」のアムリタのように…
ですが、実際には金田博士が失ったと思っていた正太郎は空襲を無事に生き延びて、大塚署長に引き取られていました。敷島博士は正太郎を「正太郎」の生まれ変わりだと言いますが、正太郎にしてみれば複雑な気持ちでしょう。ゆえに初期の対立というか、ロボと大作みたいな信頼関係がなかなか構築されていかないのがもじゃもじゃするのでした。正太郎のせいだけじゃないんだけどね。

そこに工場の屋根をぶち破って「正太郎」登場、まだ操縦機を取り出せない大塚署長ごと腕を持ち上げてしまいます。大塚署長もいい人なんですが、自分が入れないなら物差しとか、警官なんだから警棒ぐらい持ってそうなもんですが…
腕、というか操縦機を奪って悠々と立ち去ろうとする「正太郎」を止めるべく、敷島博士は起動実験に成功したばかりの27号を出撃させます。

そして始まるロボット大戦。パワーでは27号を圧倒する「正太郎」ですが、27号には敷島博士という操縦者がついています。腕で絡めて押しつぶされそうになれば離れ、鉄骨を武器に「正太郎」に殴りかかるという知恵もあります。
大塚署長が驚いたように「あんた、本気で…」と言ってますが、金田博士の遺言、「もしも復活するようなことがあれば、その時は葬ってくれ」を聞いているはず、もちろん敷島博士も本気のはずなんですが…
そして、この隙に操縦機を取り返すべく、「正太郎」の落とした腕に駆け寄る正太郎。大塚署長は止めようとしますが、さっき落下した時のダメージは思ったより大きかったらしく、できません。

しかし、操縦機を見つけた正太郎が見たものは、27号の攻撃にびくともしない「正太郎」の強さでした。「凄い」とつぶやいた正太郎に、敷島博士が「そう」と受ける今川節v 「どんな攻撃にも耐えうる鉄の鎧に身を固め、計り知れぬ力で居並ぶ敵をたたいて、砕く! 決して倒れることもなく、死ぬこともなく、ただひたすら操縦者の意のままに戦い続ける不死身の兵士! 海であろうが、空であろうが、戦う場所を選ばない! それが、それが、勝利することのみを目的とした完全なる兵器、鉄人!」と恍惚として語っちゃってますが、精魂傾けたはずの27号が目の前で「正太郎」に粉砕されてるんですよ。でも、敷島博士は完全に「正太郎」の方に思いが行っちゃってて、もう誰の話も聞こえないっていうか… あの〜 博士、博士? 「鉄人28号!」 さらに正太郎まで「そして、同じ父さんを持つ、もう一人の…」と入りかけたところで村雨健次が割って入ります。おお、いいタイミング。

「不死身の兵士が何だって言うんだ、そんなものが何になるんだ、戦争で死んでいった俺の家族は、俺の仲間は、何だったんだ!」とことさらに武器を憎む健次に正太郎も我に返った感じです。まぁ、確かに、こんなものが復活しなければ辰は殺されないで済んだんですもんね。それに空襲で家族を失った村雨兄弟が辛酸をなめさせられたのも想像にかたくないところです。そう考えますと、正太郎は境遇こそ天涯孤独の身ですが、保護者である大塚署長や敷島博士の持つ権力のためにそうとう恵まれていると言えます。そう、ぶっちゃけ、彼はエリートなんです。だから邸宅も持ってるし(一人暮らし!)車も運転するし、学校にも通わないで少年探偵をやっているという、エリート中のエリートなわけなんですよ。そういう正太郎に健次が反発するのもある意味自然… 健次は、そのまま持っていたダイナマイトを「正太郎」改め鉄人28号に投げつけますが、27号の攻撃も軽くいなしたのですから効きません。「答えてみろ! 答えてみろよ!」と言った健次に鉄人は足を振り上げます。ダイナマイト程度でも敵と認識されちゃった?

そこに竜作の運転する三輪車が突っ込んできて、鉄人の足に体当たり、よほどスピードを出していたらしく、さしもの鉄人も倒されてしまうほどでした。しかし、このために三輪車は大破、竜作も帰らぬ人となってしまいます。そのいまわの際の台詞が「特攻崩れの汚名を返上 今日は俺の終戦日」なんで、よほど竜作にとって生き残ったことは辛かったのだろうかと思うのですが、空襲で家族を失い、「正太郎」改め鉄人28号に辰を殺された健次にとって、竜作を失うことがどれほど辛いのか、そのことにも思いを馳せてくれれば良かったのになぁと思わなくもありません。ていうかさ、生きててほしかったよ、兄さん! それもあって、「白昼の残月」では竜作を生き残らせたのかなぁ、なんて思わなくもないわけですが… あっちでは今作の竜作ポジションにショウタロウが該当すると思われますし。
竜作は健次に「戦争なんか忘れちまいな」と言って事切れますが、たった一人の肉親がこんな死に方をしてしまったら、逆にこだわっちゃうんじゃないだろうかと思うのは、わしだけではありますまい…

正太郎はなぜ、今になってこんな戦争の遺物が出てきたのか、わからないと呟きます。敷島博士にとっては垂涎の的も、金田博士にとっては愛する息子も、戦争という時代を直接知らない正太郎には、そんな風にしか見えないのでしょう。
なおも操縦機を取り返そうとする鉄人28号に、正太郎は叫びます。もう戦争は終わった、お前の戦う相手はいないんだと。おまえの役目は終わっている、おまえが必要とされた時代は終わっているのだとも。さらに言うことには、おまえはまだ生まれたばかりで何もわからない。だから僕がおまえを止めてやると、ようやく操縦機に手が届き、正太郎はスイッチを切るのでした。

そして朝が来て、健次は逮捕されます(罪は?)。鉄人の操縦機を手にした正太郎は、この後、嫌でも鉄人という時代の遺物を巡る戦いと陰謀に巻き込まれていくのでした。まるで高度経済成長に向かう時代の波に抗うかのように。

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