忍者ブログ

されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第13回 光る物体

矢島正明さん主演って感じです。今川監督、趣味に走りすぎです。でも大好きな話ですvv

どこかの山に落ちた隕石からスタート。驚いた村人が見に行きますと、隕石に緑色の物体がついていてうごめいています。
一人の村人が近づき、棒の先でつつくと、スライムのようなそれはつついた村人を包み込み、あっという間に干からびさせてしまったのです。

この緑色に光る物体は、やがて事件を起こすことになるわけですが、タイトルロール。

物語は一人の男の日記から始まります。動物を薬殺した記録を、ひたすら矢島さんが読み上げるのですが、矢島さんの声があんまり淡々としてるもので、まぁ、何と言いますか、まるで何でもないような風に聞こえちゃいますが、硝酸ストリキーネで殺したの、青酸カリを餌に混ぜたの、絞殺、刺殺、餓死と何でもありで、内容は凄惨なものです。
それで、映し出された檻が、動物園だったと推測されるわけです。

やがて、空っぽになった動物園のベンチにたたずむ男が一人。どうやら、日記の主は、この人物のようです。
「かわいそうな象」とかを読めばわかりますが、戦争中、日本では動物園の動物たちを殺させていました。それは、空襲で万が一、檻が壊された時に動物、特に猛獣たちが逃げ出したら、人びとに害を及ぼすのではないかという発想からでした。
彼もまた、そんな作業をやらされた動物園の飼育員の一人だったものと思われます。
しかし彼は、今も罪の意識に苛まれながら、心の中で「もう終わったことじゃないか!」と言って、自分を許そうとしつつ、そうできないようでした。なぜなら、彼には殺してしまった動物たちが自分を見ているから、その罪を忘れることができなかったのです。動物たちの虚ろな目は、償えなえぬ罪を忘れさせまいと彼を見つめているのです。「まるで自分たちを殺したのは、おまえだとでも言うように。そして、それは間違いではない」とつぶやき続ける男。

しかし実際のところ、彼がいるのは動物がいなくなった動物園ではなく、警察の取調室だったのです。上からの命令で動物たちを殺したことを、まるで自分の罪ででもあるかのように罪の意識に囚われ続けた彼が、いったい何の罪に問われているというのでしょう?

その男の姿をガラス越しにのぞく関刑事。
男の名は八木勝裕、出身は青森で、動物園の飼育係です。歳は40歳。えええ〜?! 前科はないようですが、念のために調査中。
男を見ているのはほかに大塚署長と正太郎です。
あと「無関係だろう」と断りつつ、関刑事は八木が戦争に行っていない、つまり徴兵に取られていないと言います。
驚く正太郎。
大塚署長はこれを軽く受け止めますが、関刑事は「戦中は後ろ指を指された」と付け加えます。
八木は孤児のため、親戚もおらず、それで無口になったようですが、友だちもいません。念のため、同僚に来てもらったという関刑事。
思わず頭を下げちゃう正太郎。

また八木の独白に戻ります。
どうやら、無口な八木は他人から理解されづらい性格だったと見え、人から不審な眼差しを浴びせられることが多かったようです。まぁ、自己表現がうまくないというか…
それで今も正太郎たちに見られていることを内心で悪態ついているんですが、さすがに正太郎のことは知っているようです。すっかり有名人ですネ。
大塚署長は警察のお偉いさん、同僚は「おまえらか」と言ってますが、どうも取り調べにはだんまりを決め込んでいるくさいですよ、八木は。
戦中から動物園にいた八木にとり、若手の飼育係は鬱陶しいものなのかもしれません。戦争中の自分たちの苦労も知らないで、ぐらいは思ってそうな気配。
そして八木は、「あの時(戦中のことか?)、わたしはああするしかなかったんだ」と自己弁護してますが、きっとすぐに動物たちの目にさらされちゃうんだろうな…

ここで八木の同僚から話を聞く正太郎、大塚署長、関刑事。
無口ですが、同僚からの信頼は厚かったようで、「まさか、あの八木さんが」と口を揃える同僚たち。逆に一目置かれていたんで、余計に友だちはできにくかったのか…
しかし、プライベートの八木は知らないと関刑事に突っ込まれて、確かに飲み会に誘っても断られると同意する同僚たち。
でも、今晩は園長に誘われて、さすがの八木も同行したそうです。この動物園では、園長と八木だけが戦中からのスタッフなんでした。
そこは関刑事、裏をとっておりまして、八木が突然興奮したという店の証言を得ています。そもそも園長に誘われたのも、戦中の話をするためだったとか。そこで八木が口走ったのは、薬がどうとか、動物たちがこうとか、冒頭からの動物を殺した件に関わりがありそうなことです。
すると同僚たちは「あの虐殺のことか」「しかし、いまさら、その件を持ち出しても」と話し始めたもので、なぜか取り調べに立ち会っている少年探偵、「虐殺」について問います。うんうん、君のような子どもが知らなくても無理はないネ。
しかも同僚たちは、その件について言葉を濁してしまい、話してくれません。正太郎が子どもなんで遠慮したか、やはり動物園に携わる者としては、そんなことは忘れたいのか。
そこに東京生物大学の山岸さんが登場。おや、この方は「白昼の残月」で弁護士やってたじゃん! じゃあ、声は麦人さんか?! ラストのキャストを見たら合ってましたw
山岸さんは死体の検分を頼まれたようですが、それって、そもそも生物学者の領域なのか?
どうやら殺されたのは園長らしく、それで口論していた八木が疑われたようです。しかもからからにミイラ化した様子。
驚きもせずに検死に立ち会う正太郎。なんで前回、あんなにおびえていたんじゃ? あんた、死体には慣れっこかと思ってたのに。
しかし、関刑事はさすがに八木が園長をミイラにしたとは思っておらず、参考人だそうです。
そこで山岸教授にお願いした、と大塚署長。
ところが山岸教授の返事は「本当ならえらいことになる」と、却って惨劇を予想させます。「町に警報を」と山岸教授に言われて、関刑事は同僚に八木を見張ること、町に警報を鳴らすことを頼みます。いや、「おまえたち」って言ってるんで、部下かも… そんなに偉かったっけ、関くん?

そこで映し出される園長のものと思しき干からびた手。それは、あの隕石でミイラ化した村人にそっくりでした。
そこに白い布をかける大塚署長。
その後ろで山岸教授は「まさか彼が」とつぶやき、大塚署長も「彼」に心当たりがあるような様子です。
山岸教授は「彼だとしたら、東京では手のつけられんことに」と言いますが、そこに正太郎が割って入ります。まぁ、昭和20年生まれの正太郎には聞いたこともない事件ばかりでしょうからね。
ただ、山岸教授も大塚署長も答えてくれません。

まだ取り調べ中の八木。
その時、外ではサイレンが鳴り響きました。
八木は「無駄だ。そんな警報を鳴らしても彼は捕まらない」と独白。どうやら、大塚署長らの言う「彼」と、八木の言う「彼」は同一人物(?)を指しているようですが?
八木は「まさか彼が生きていたとは」と言い、初めて「彼」に会った日を思い返します。
その日も、こんな風にサイレンが鳴っていたのです。
それは東京が未曾有の空襲を受けた晩のことでした。東京大空襲だから3月?
夜勤だった八木は地下倉庫に逃げ込みましたが、空襲の時に逃げる場所としてはどうなのだ? 火事にまかれたら、酸素不足で死んじゃわないのか?
とりあえず火事の心配はないようですが、送電線も断たれ、地下室は真っ暗闇でした。
でもそれは八木にとって恐怖ではなかったのです。なぜなら、八木にとっては人生が闇そのものでした。孤児であり、徴兵検査にも落ちた八木は、自分のことを「いつ死んでも誰も悲しまない」と卑下していました。だったら、この闇の中でひそかに死んでいくことも、自分の人生に相応しく思えたのでしょう。
しかし、八木はそれを許してくれない者がいると思っていました。自分が来る日も来る日も殺し続けた動物たちです。
恐ろしくなって八木は地下室の扉をたたきましたが、誰も助けには来ません。この地下室、都会の真ん中じゃなくて山の中腹にあるなぁ… 空襲も問題なさげ。ただ孤独な八木は、どこの防空壕でも受け入れられずにこんな山まで来たのかもしれないです。
八木は、ついさっきまで死んでもいいと思っていたのに動物たちに復讐されるかもしれないと恐ろしくなった自分を「笑わないでほしい」と言います。どうやら、そこは剥製が保管してある地下室なんで、動物園の関係なんでしょう。じゃあ、八木は最初からここに来たんでしょうな、わかってて。でも剥製にされた動物たちの眼差しが自分を責めているのだと八木は感じてしまったのです。
八木が「彼」と出会ったのは、その時でした。それはどう見ても冒頭の隕石について落ちてきた緑色の光る物体なのですが、八木にとっては生涯唯一の友との出会いでもあったのです。

ここでようやく話が正太郎たちに戻りまして、物語も冒頭の隕石落下にリンクします。
山岸教授は隕石落下時に死者を出した緑色の光る物体について正太郎に語っていたようです。
と思ったら、光る物体は村を壊滅させていたことが判明… 凶悪犯やないかぁ…
山岸教授の話をバックに、八木に近づく光る物体。それは隕石についてきた時のようなスライムではなく、ライオンに姿を変えていました。
そう、光る物体には世にも稀な擬態という能力があったのだと説明する山岸教授。
でも、そんな事件も知らない八木はライオンの姿で現れた光る物体を受け入れます。この人、ほんとに暗い表情が多いもんで、微笑んでいるのを見ると、なんか和む…
擬態、という言葉を知らない正太郎が鸚鵡返しに訊ねますと、山岸教授は「あらゆる物体に姿を変えられる」と説明。
もっとも、八木の手にその身を委ねた光る物体は、ライオンの姿を維持できなくなったのか、元のスライムに戻ってるんで、長時間は使えないと思っていいのか、ちょっとわかりません。
ただ山岸教授が言うには「ある時は川の中の岩、ある時は山の中の木」と多羅尾坂内も真っ青な変身、もとい擬態っぷりです。
ライオンからスライムに戻った光る物体は、八木の身体を包み込み始めました。ちょうど、最初の犠牲者がそうだったように。

ところがある日、町の近くで動けずに弱っていたところを発見されます。動けない時は例の干からびさせる能力は発揮できんのかな。ただし原因は不明のまま、近くの動物園の収容されって… それは入れるところが間違っていると思うのだが… 何で大学の研究室とかじゃないのだ…
危険な生き物だというので誰も実験や研究をする者もないまま… って、どうしたの? 空襲にでも遭って死んだと思われていたの? ねぇ、山岸さん、ちゃんと話して!

で、語りが八木に戻ります。「だが彼は生きていた」と。どうやら、山岸さんのみならず、関係者皆さんに死んだものと思われたようです。でもさぁ、隕石に乗ってやってきた光る物体が空襲くんだりで死ぬとも思えないわけですが…
八木は「彼」が仮死状態になっていたのだと推測します。地下倉庫でネズミなどを餌に生き長らえていたのだというわけです。その証拠に、と八木は光る物体に包まれても一気に干からびなかったことを理由にあげます。やっぱり包まれると捕食されちゃうんだ。
そして八木は「彼」が生き餌を必要とすることを知ります。
けれども八木は「彼」を恐れませんでした。たぶん事件のことは知らなかったのでしょう。でも、そんな生き物がほかにいるわけもなく、「彼」は八木と同じくらいに孤独で、その地下室には彼ら以外に誰もいなかったからです。
あれ、「互いに虐殺という罪を背負った生きていてはいけない者の居場所」と言ってるんで、事件のことは知っている模様ですよ。つまり、自分と同類と見なしたようです。

ここで話はまた正太郎たちに戻ります。大塚署長の部屋で前々回まではわりと夜遅くまで働いていた高見沢さんもさすがに帰ってまして、大塚署長が山岸教授にお茶を入れてます。
そこで正太郎、またしても虐殺の話を持ち出します。
ところがややこしいことに、今度は戦争中の動物園での虐殺の話です。八木の関連から出てきた話か、これ?
ここで背景が暗がりにたたずむ鉄人で、なるべく予算節約の事情が垣間見えて涙ぐましいですよネ。
大塚署長の「仕方なかったんだよ」が戦争中の園長の言葉につながります。こういう今川節全開でいいなぁ、このアニメ…
話す相手は八木です。しかも「我々にはあの子たちにあげられる餌もない」とは、園長なりの苦悩というか、せめてもの良心を感じます。

しかし、物語はここで機械的に動物をどんな手段で殺したかを淡々と綴る冒頭の八木の日記に戻りまして、凄惨な記録が繰り返されます。
とうとう動物園には何もいなくなってしまいました。そう言えば、戦後、インドのネール首相がインディラという象を「日本の子どもたちに」と言ってプレゼントしてくれていたけれど、日本のこういう事情をネール首相は知っていたのだろうか? と思ってぐぐってみたら、もともとは日本の方で「象がほしい」と言い出したのをネール首相が応えてくれたようです。「戦争中だったからしょうがない」と、ネール首相は思っていたんだろうかいな… だとしたら、悲しいことだけどな…

閑話休題。

そのことが八木のトラウマになっていました。もうね、その心情を思うと気の毒すぎて…
そのため、八木は「彼」、大勢の人を殺した光る物体だけは庇おうと誓うのです。たとえ「彼」のしたことが許されざる罪であったのだとしても、八木はただ、自分にできたたった一人の友だちだけは守りたかった、それだけのエゴで動いていたのです。
そんな二人を見つめる、無数の剥製の死んだ眼差し。

話を聞かされた正太郎の前には鉄人がありました。正太郎にとっては同じ名前を持つもう一人の自分ですが、彼もまた一度は葬られた身であったから、正太郎には戦争中に大人たちが犯した許されざる罪を子どもらしい純粋な反発を持たずに受け入れられるのかもしれませんネ。それらを頭ごなしに否定することは、すなわち鉄人の否定でもあるのでしょうから。

ここで八木の思考がようやく鉄人に結びつきます。戦争の名のもとで作られた「鉄の化け物」として、同じ穴のムジナだと思うからのようです。
と、ここで八木を尋問していた刑事が怒鳴りつけました。「はっきりしゃべれ! さっきからぶつぶつと」と言っているところを見るに、八木の今までの話は心の中の独白ではなく、独り言だったのか!
ところが刑事のことなんか端から頭にない八木は、「彼」が自分のつぶやきに反応したことを思い出します。
スライムかと思っていたら、光る物体には知性がありました。それも言葉を理解するのです。その知性はみるみるうちに八木の言葉を吸収し、理解していくという驚くべき高さで、そういう事情もまた、八木に「彼」を親友と言わしめたのでしょう。
八木は語りました。自分のことを。長い間、誰にも聞いてもらえなかった胸の内を。自分の生まれた場所、少年時代、今の仕事について、全てを語ったのです。
その言葉を受けて、刑事が「本当のことを言え!」と怒鳴りますが、そもそも人間にできる殺し方ではないわけですから、八木が黙秘しちゃったら、何もわからんわけか…
ところが、ここに来て、八木は園長への殺意を認めます。
そして時間軸を遡り、園長と飲んだ飲み屋へ。

園長が謝っているのは過去の件ではなく、近いうちに動物園を閉鎖するという件についてでした。それでベテランの八木に相談したかったのかな?
でも園長が「今いる動物たちを」と言ったところで八木が怒り出してしまったのは、過去の虐殺のことを思い出して、また殺すのかと怒りにかられたためだと思われます。
ところが山岸教授曰く「八木は勘違いしたのだろう」と。園長が言いたかったのは動物園を閉鎖するから、別の動物園に移送するということだったのだと言う大塚署長。

その時、警察署の建物にサイレンが鳴り響きました。
八木は刑事たちをどうにかして逃げ出してしまったのです。

慌てて出動するパトカーに正太郎と山岸教授も同行してます。
大塚署長は運転しながら無線で関刑事に連絡。「八木がそっちに向かったかも」というそっちとは、いったいどこのことでしょう?
と思ったら、一緒の刑事ととっとと突入、開けたドアの中には例の大量の剥製が… ってことは、ここは八木と「彼」が出会った地下倉庫か?
人が住んでいるようには見えない、と言う関刑事。ということは、ここが八木の住み処だと思われている? あるいは住所ここ?
その時、足下に転がる鴉の死骸に気づく関刑事。若いけどけっこう優秀な人だったりします。その死骸も干からびていました。
すると一緒に突入した後輩(関刑事を「先輩」と呼んでいるので)が日記を見つけました。例の八木の日記か?
ところが暗くて日記が読めません。
後輩くんが灯りをつけようとすると、天井裏にいた光る物体が下りてきました。上! 上!
その姿はたちまち光る物体に包まれてしまい、関刑事が振り返った時には部屋いっぱいに光る物体が広がっていました。

そこに駆けつける大塚署長たち。
関刑事は表に逃げ出しました。
それを追って巨大化する光る物体。
正太郎が鉄人を出します。
ところが鉄人の姿を認めて光る物体は対抗すべく象を擬態しますが、それは鉄人を遙かに超える大きさとなったのです。
しかも大元がスライムのくせに、鉄人を踏みつぶしにかかった足には十分な強度があり、光る物体の高性能さというか、擬態の優秀さを裏づけている感じがします。
光る物体は鉄人を軽く投げ飛ばし、せっかく前回、ギルバートから受けた損傷を敷島博士が直してくれたというのに、また腕をちぎられてしまう鉄人。腕ってもろい?
さらに残った腕もひねり潰すと、今度は流れるように広がって、鉄人を包囲にかかります。その触手は伸縮自在かッ!
正太郎は鉄人に逃げるよう指示します。
鉄人のロケット噴射もものともせず、鉄人を押さえ込んだ光る物体でしたが、ふとしたことでその身が電線に触れると力無く鉄人から離れてしまいました。たちまち縮小化する光る物体。
そこで山岸教授は光る物体が電気に弱いことに気づきます。
しかし「彼」はマンホールへ逃げ込んだようですよ? 後に八木の日記を残して。
正太郎は日記を拾い、パラ見します。ところが、そこには驚くべきことが書かれていたのです。
山岸教授も大塚署長も驚きを隠せません。
「とにかく確かめてみよう」と言う正太郎。
それを影から見ているのは八木です。

その場を離れた八木は、「彼」を守ろうとどこかへ向かいます。「今度こそ彼を見捨てたりしない」と誓っているのは、逆にかつて見捨てたことがあるから?
八木は「彼」に詫びなければ、と言います。
それは「彼」と出会った地下倉庫で食料がなくなった時、力尽きた八木を「彼」が見守っていてくれたからです。「それなのに、わたしは! わたしは〜!」と言う八木。んん?

どうやら、さっきの場所は例の地下倉庫とは違ったようで、今度こそ、正太郎たちは地下倉庫にやってきました。そこの扉をぶん殴って壊そうとする鉄人。
やがて破れて地下に下りた正太郎たち。
しかし、そこには何もなく、とっくに使われなくなっているようですよ?
そこに日記に書いてあるものを見つけた正太郎たち。「それ」を外に運びだそうとすると、それを阻止すべく八木が現れます。
後輩を襲った光る物体のせいで、すでにダメージを受けていた(その証拠に大塚署長に肩を貸されている)関刑事から銃を奪う八木。
「下がれ」と言って、八木は「彼」を守ろうとしますが、さっき、正太郎たちが見つけた「それ」は、本当に「彼」なのか?
大塚署長も山岸教授も話を聞くよう説得しようとしますが、八木は「二度と彼を見捨てない」と言って聞きません。「あの時、わたしは彼を裏切った」と言う彼とは、「彼」のことか? 何か、逆転してないか?

そして、あの瞬間に戻ります。光る物体に包まれた八木。
ですが、彼の目の前で地下倉庫の扉が開きます。自由を取り戻した八木。でも食料もなくて動けなかったのに?
でも八木は言います。「上の世界に出てこられない彼を見捨てて」と。
後ろにまわした手でこっそり鉄人の操縦器をいじる正太郎。
「今度こそ彼を裏切らない。わたしが守ってみせる」と言う八木。しかし、その上に無情に下りてきたのは鉄人の手で、八木は囚われてしまいます。
八木に強烈な電気ショックを与える鉄人。
正太郎たちの見ている前で八木はその光る物体の本質を明らかにします。そう、いつの間にか2人は入れ替わっていたのです!
弱点の電気攻撃を受けて、八木の形を保てなくなっていく光る物体。
つまり、八木の日記には自らの死が記されていたのです。
それで正太郎たちが地下倉庫跡で見つけたのは、八木の白骨でした。戦争中ということもあって、八木の名札が服に縫いつけてあったろから、断定するのも簡単だったでしょう。八木の死は食料の不足もあったかもしれません。でも、彼に擬態した光る物体が「裏切った」と繰り返し言っていることを鑑みるに、空腹のために八木を喰ってしまった可能性も高いでしょう。
そして、光る物体は地下倉庫を出て、八木として生き始めました。彼から聞いた話もあって、それはそう難しいことではなかったのです。彼に不審な点があったとしても、もともと人付き合いの薄い八木です。そうそう疑われるようなことにもならなかったのでしょう。
ただひとつの誤算があるとすれば、光る物体自身が己を八木だと思い込んでしまったことです。その結果が、今回の事件をややこしくさせたとも言えます。
崩れ、鉄人の手から逃れた光る物体でしたが、もはや再起できるような力も残っていませんでした。「彼」は最後の意識の下、まだ八木になりきったままで気づきます。檻の中から見ていたのは自分だったこと、だから動物たちは剥製となっても友のように「彼」を見つめていたこと、動物たちは「彼」の罪を責めていたのではなく、「彼」の身を案じていたこと、でも、それらがすでに八木ではなく、「彼」であることに気づいているでしょうか? 檻に入れられていたのは弱ったところを捕まった「彼」でした。自分たちを殺した八木の罪を責めこそすれ、生きるために人間を殺した「彼」を動物たちが責める謂われもありません。弱った身で檻に閉じ込められた「彼」の身を案じたりもしたかもしれません。
けれども、最後まで八木のつもりで「彼」は今度こそ、檻の中で友と生きていこうと思います。鉄人に何を見ているのかと訊ねながら。

次回は唯一と言ってもいいコミカルな展開の「怪盗ブラックマスク」です。

拍手[0回]

PR

レンジで簡単カップケーキ

ここ1年ばかり、食の安全を求める声が俺的に強いものですから、お昼ご飯もあんまり社食で食べないで〜とかやっていて、炊飯器でフォカッチャ(リンク先はレビュー記事)とかタジン鍋でパン(リンク先はレビュー記事)とか、試行錯誤しているんですが、タジン鍋でパンは、失敗して、炊飯器でフォカッチャはうまくいくんだけど時間がかかりすぎるのでめんどくさくなりまして、いろいろなレシピを検索して、ようやくたどり着いたのが今回のレンジで簡単カップケーキなわけです。

レシピは以下(記憶に頼って作っているんで適当)
材料
小麦粉 50g
砂糖 10gくらい
ベーキングパウダー 5gくらい
卵 1個
オリーブオイル 小さじ1

作り方
1.小麦粉、砂糖、ベーキングパウダーを計り、よく混ぜる。
2.オリーブオイル、卵を混ぜる。
3.レンジに入れ、500wで1分30秒くらい、加熱する。
4.粉がつかなくなったらできあがり。

というすこぶる簡単なレシピであるが、正直、栄養が偏りやすいのと、このままでは間違いなく美味しくないのでジャムとか珈琲とか入れないと食べられたものではないという欠点がある。

そこで、かれこれ1ヶ月ばかり、ほぼ毎日作っていて、いろいろと中に入れた(レシピ外)結果をここにまとめる次第である。

1.ジャム類
大さじ2ぐらい投入。美味しい。
2.珈琲
表面を覆うくらい、適当に投入。あっさり系でいける。
3.ソーセージ
これも自家製じゃないと食の安全が〜という話になるのだが、とりあえず西日本の会社で生産されたものに限るということで…
美味い。ホットドッグの簡易版という感じ。あまり期待していなかったのだが、いちばんいけると思う。
4.ドライフルーツ類
適当に投入。たぶん、ジャムと同じくらい。しっとりするのを期待したんだけど、あまり変わらず。味は合うが、もう一声ほしいところ。
5.ナッツ類
期待外れ。ナッツの味が全体に拡散しないのでお話にならない。

試していないのがお茶類。珈琲と違って葉っぱが残るのがどうか? ケーキにも稀にお茶っぱごと入っているのがあるが… ただ、基本は珈琲と同じでいけると思われる。たぶん。

また、何か作ってみようと思います。

拍手[0回]

第12回 ブラック博士の憂鬱

家弓家正さん登場です。一回限りの出番ですが、家弓さんらしい存在感で、この話もまた、この物語全体を流れる戦争が遺したものについて、その癒しがたい傷痕を露わにします。

前回までの「超人間ケリー編」で負わされたダメージを敷島重工で直してもらっていた鉄人からスタート。その修理光景を敷島博士と一緒に眺める正太郎。明日にはできるということで、正太郎は雨の中、珍しく車ではなく徒歩で帰宅かと思ったら、歩いただけみたいで車で帰宅です。ということは金田邸は敷島重工からけっこう離れたところにあるのか。

その帰り道、道ばたに止まっていた車で前に伏せた運転手を見つけ、様子を見に行きます。
運転手は若い男でひどい熱がありました。正太郎が話しかけると男は気づき、「赤死館、ブラック博士」とだけ言って、また気絶してしまいました。

ここでタイトル。

正太郎は近くの病院に男を運んだようですが、どうやって車2台も持っていったんだ? 歩いて車まで戻った? 最初に車を見つけたところは郊外っぽく見えましたが、それほど田舎ではないか、正太郎んちは。

そこに駆けつける大塚署長。夜間だというのに働き者ですネ。
男はまだ治療中の上、所持品に身元のわかるような物がありません。

その春霧病院に乗りつける一台の黒い車。「ここだ」と言った声で家弓さん登場 ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!

一方、正太郎たちは担当医から男が正体不明の熱病にかかっていることを知らされます。医者は症状がひどく、知られていない病気だと言います。
大塚署長が助かるのかと質問すると、「とにかく手のつけようがない」とつれない返事です。
ところが、医者は彼が別の病院で治療を受けていると言います。それなのに、なぜこんなところに?

その頃、さっきの黒い車に乗っていたと思われる2人組が病院内に潜入していました。彼らは看護婦の目を盗んで患者を移動させるための台を運び出します。
そして、若い男の病室へ侵入します。

その間に病室へ向かう正太郎と大塚署長。正太郎は大塚署長に若い男が口走ったブラック博士という名前について話します。大塚署長には警察という強大な後ろ盾がありますから、その情報網は大したものなのです。そして赤死館という名も話す正太郎。しかし、大塚署長もとっさに心当たりはないようです。
もしかして、帰るところ?

若い男の病室へ向かう看護婦。しかし不自然な扉の開き方に彼女が中をのぞくと、男は2人組に台車に乗せられているところでした。
誰何した途端に飛び出す男たち。看護婦は悲鳴をあげます。

もちろん、それを聞き逃す正太郎と大塚署長ではありません。振り返ると階段をむりくり下りてきた2人組が廊下の反対側に逃げていくところで、それを看護婦が追ってきます。
患者、つまり連れてきた若い男がさらわれたことを知り、後を追いかける正太郎。その後を追、わないで署に連絡するという大塚署長。いいのか、正太郎に任せきりで。
2人組は救急車に乗って逃げ出します。
大塚署長は署に連絡し、春霧病院に応援を頼むとともに非常線を張るよう命令。署長の権力ぱねぇ…
そこに正太郎が追いかけてきて、パトカーで救急車を追いかける2人。
しかし、それを影から見ていた例の黒い車の男、つまり家弓さんは笑い声をあげます。
車の後部座席には簀巻きにされた人物がもがいていますが、これはさっきの患者では? では正太郎たちの追った救急車は空っぽ?

そうとは知らない正太郎たちは救急車を追い、応援のパトカーも追跡に加わります。

一方、救急車で逃亡する2人組、警察が予想以上に速く動いたことに戸惑っています。
しかも、前方を横切るトラックに救急車は川に飛び込んでしまいます。
この事故で運転していた鉄五郎という丸顔の男は死亡、もう一人、ちょっと年配の方が怪我をしましたが生き延び、逃げ出します。

大塚署長が言うには相方は橘銀治といい、金で何でもやるという雇われチンピラです。
しかし、救急車は囮だったことがわかり、正太郎はちょっとがっかりです。
2人は高見沢さんが調べた情報をもとに、とある村の赤死館という診療所に向かっていました。だから、それは診療所につける名前ではないというのに…
その村に着いた2人。赤死館というのは、古びた洋館でした。大塚署長、「似合っとるわい」じゃないよ、その名前…
表には「診療中」の看板が。

そこを訪ねた正太郎たちは「赤死館はここか?」と訊ねますと、待っていた患者らしい老人たちが「そうだ」と頷いた上、ブラック博士のとまで教えてくれます。
驚く正太郎にブラック博士が本名かは知らないが、そう呼んでいると答える老人。彼が村に来てから、もう2年になるそうです。
「医者もいない辺鄙な村にひょっこりとやってきて、親身になって治療してくれる」と、神様扱いです。
その言葉を証明するかのように診療室から出てきた男とのやりとりで、ブラック博士が「金なら要らんよ」と言っているのが聞こえてきました。
診療の順番に割り込む大塚署長。
カーテンを開けたのは異様な被り物をつけた人物でした。驚く正太郎と大塚署長。
ブラック博士は「戦争中、顔にひどい傷を受けた」と言って、覆面の理由を語ります。
しかし、大塚署長が戦争に軍医として行ったのかと訊くと、急に不機嫌な口調になってしまいました。
しかし正太郎は負けじと写真を見せ、知らないかと訊ねます。いつの間に撮ったのか、例の若い男の写真です。
ブラック博士は知ってると言い、「佐良」だと名前も明かします。まぁ、この人がさらったことはバレバレなんですが。そして、1週間前に彼を診察し、「風邪をこじらせた」と言うブラック博士に、大塚署長はさも疑わしそうな声をあげます。いい人なんだけど、化かし合いにはとことん向いてないですネ。
ブラック博士も気分を害したらしく、診察を理由にカーテンを閉めてしまいます。
まぁ、疑わしいのは見え見えですんで、正太郎も大塚署長もブラック博士への疑惑を濃くした感じですが。

早速、佐良青年の家へ行くと、1週間分の新聞がたまっており、近所の人から佐良青年の身元を聞くこともできました。
佐良青年は昨年、両親を亡くしたばかりだそうです。
しかも村は2年前から流行病に呪われていると言います。その病気とは高熱が出て、さんざん苦しんで死ぬという聞いているだけで悲惨な病気でした。実在の病気がモデルになってるのかいな。
ブラック博士もこれにはお手上げで村の人間が病に倒れていくのを見ているしかないようです。
しかし、それを聞いた正太郎と大塚署長は、赤死館、ブラック博士、それに熱病という今回の事件にかかわるキーワードが全てこの村に揃っていることに逆に確信を強めたようです。さらにブラック博士の登場と村の流行病が一致することも指摘する正太郎。
それで、正太郎が村に残って赤死館とブラック博士について引き続き調べ、大塚署長は銀治の行方を追うことになりました。というか、核心がここにあるのは間違いないんだから、いまさら銀治なんて追ったって些末事だろうに… あ! 正太郎は生身で来ちゃったんで、鉄人がいないのは困るから大塚署長を帰したのか。

やがて休診の札が下がった赤死館。その館の一室で顕微鏡をのぞくブラック博士。その傍らで眠っているのは佐良青年です。
「この実験体も駄目か!」と呟くブラック博士。佐良青年を実験体呼ばわりとは尋常ではないですネ。
そうとは知らずにブラック博士を「先生」と呼んで、助けを求める佐良青年。
その声を聞くうちに、ブラック博士はいつか戦地の病院に思いを馳せていました。大塚署長が指摘したとおり、ブラック博士は軍医としてジャングルに行っていたのです。
ところがそこにも佐良青年と同じように助けを求める傷病兵であふれていました。
ブラック博士は彼らに「みんな、助かるんだ。みんなで日本に帰ろう」と言っていましたが、こういう場合って、たいてい、一人を除いて全滅するんだよな… ブラック博士も自分の腕に注射をするのがやっとみたいで、一人ひとりの治療などどれだけできていたのかも怪しいものです。

その結末がどうしたのかは明かさないまま、正太郎に戻ります。
木をつたって、2階の部屋から赤死館への侵入を試みる正太郎。そこは見るからに子ども部屋っぽく、小さい子用のおもちゃが所狭しとあふれていました。
そのベッドに誰かが寝ているのに気づき、近づく正太郎。しかし彼は、そこにいた者を見て、息を呑みます。
その時、部屋に近づく足音を聞きつけ、正太郎は隠れました。やってきたのは、もちろんブラック博士です。
ブラック博士はベッドの人影に暗いことを謝り、蝋燭に火をつけます。「寂しいだろうけど、薬ができるまでの辛抱だよ」と話しかけるブラック博士を見て、ますます冷や汗を流す正太郎。
その時、開けっ放しの窓から風が吹き込み、ブラック博士は侵入者があったことに気づきます。
正太郎は洋服ダンスに隠れていたところをあっさり見つかってしまいました。

一方、東京に戻った大塚署長は敷島博士と会っていました。そう言えば、初っぱなで鉄人の修理が終わるとか何とか言ってましたな。それで操縦器を届けに来たのでした。

そこに電話の鳴る音とともに、警官隊に包囲される銀治。どこかのトンネルの手前で捕まってしまう銀治。

電話は、そのことを大塚署長に報せるものだったのです。

早速、大塚署長じきじきの取り調べが始まります。
ブラック博士の目的、何のために佐良青年をさらったのか問いただしますが、金で雇われただけだという銀治。うんうん、2人の素性がばれた時にそんなこと言ってたよね〜 つまり、銀治も鉄五郎もブラック博士のことなんか何も知らないし、ましてや佐良青年のことなんか知るはずがありません。大塚署長、とんだ無駄足。
しかし、銀治は赤死館という診療所でブラック博士が怪しげな実験をやっていると口にしますが、それも証拠があって言ったものとも思えません。まぁ、実際にやってるんだけどさ…

一方、見つかった正太郎は地下へ連行されます。大作と違って、わりと何でもできちゃう少年探偵ですが、全26話と話が長いせいか、けっこう捕まったり怪我したり多い気がする。
そこに寝ている、というよりベッドに拘束されている佐良青年。
そこで正太郎は事件の黒幕がブラック博士であることを察しますが、次の瞬間には頭を殴られ、気絶させられてしまいます。

正太郎が気がつくと、縛り上げられていましたが、それ以外は特に変化はなしです。
「おまえが逃げなければ、わたしの実験はあと一歩で完成していたのだ。おまえはもう助からん」と苦悩するブラック博士。
「実験も振り出しだ」と言うと、「こいつを使うしか!」と言ったこいつとは、正太郎のことでしょうか?
そこで正太郎は「実験が何か」と聞きます。2年前の熱病の流行とブラック博士の到来を問いただす正太郎。
するとブラック博士は、あっさりと村を実験場にしたことを認めます。はやッ! 辺鄙な村だったので外部との関わりが少なく、実験には好都合だったようです。
ブラック博士は検査と偽って、村人をわざと熱病に感染させていたと言います。そのことに気づいた佐良青年は、村から逃げ出したのでした。
正太郎はブラック博士を悪魔のような実験と責めますが、博士の脳裏に浮かぶのは、またしても戦場の病院の光景でした。
その時のことを語り出すブラック博士。食料も不足した南方というと、餓島と言われたガダルカナルか? まぁ、架空の戦場でしょうけど、モデルとしてはありかも。
食料も医療も、もちろん銃弾さえ不足していた日本軍。
そこに追い打ちをかけたのが博士の言う「悪魔」、熱病でありました。
部隊の兵が次々に倒れていくなか、ブラック博士は手を尽くしましたが(どうでもいいけど、この人、日本人なんだから、本名は黒なんとかさんとか言うのだろうな… それとも黒い覆面だからブラック博士と名乗ったのか…)、乏しい物資の下で、できることは大してなかったでしょう。熱病はまるで悪魔のように博士の努力をあざ笑い、兵士たちの命を奪っていったのです。ブラック博士にできたのは、兵士たちを苦痛から解放=安楽死させてやることだけでした。
ブラック博士を遺して、部隊は全滅してしまいました。
そこで試験管をぶっ壊してしまうブラック博士。
凄まじい戦争の記憶に触れて、さすがの正太郎も言葉がありません。
しかし、ブラック博士を襲った悪魔は、魔の手を執拗に伸ばしてきました。
10数年も経過して、今度はブラック博士が熱病に感染し、覆面で顔を隠さなければならないような症状を見せてしまったのです。覆面を取る博士に驚く正太郎。

東京で降っていた雨が、この村でも風とともにやってきました。
がたがた揺れる赤死館の2階の部屋の窓。

しかし、地下に下りちゃったもんで、大事なことを忘れているブラック博士は、さらなる事情を語ります。もうここら辺の展開てさ、次の第13話もそうなんですけど、全面的に矢島正明さん(「ジャイアントロボ The Animation〜地球が静止する日」の草間博士、「鉄人28号 白昼の残月」のナレーション」など、今川監督が大好きな声優さんのお一人だそうですv)の独白で話が進んじゃいまして、もう矢島正明劇場って感じで、わしも大好きな声優さんなんで、しみじみと切なかったですよ… で、この話も家弓家正さんの独白が多いもんで、家弓家正劇場だな〜と思いました、ということが言いたかったのでした。

さて、自分の症状が他の患者よりも遅かったというブラック博士。その分、顔に出てしまったのか? 佐良青年はそんな風には見えないが…
そして、熱病はブラック博士の息子にも感染したそうです。というか… そういう病気というのは空気感染が多いんだろうから、発病した時点で博士は伝染病棟に隔離されていなければならなかったのに、この病気のことを知っているのが日本ではブラック博士だけだったので、病身を押して研究を続けていたら、息子に感染させてしまったとか… それは、そもそもブラック博士の管理不行き届きなだけもしますが…

その間にもとうとう2階の窓が強風で煽られ、よりによって窓際に置いてあった蝋燭が床に落ちて火がつくという、本当に息子の心配しとんのかおらな事態に発生。博士… それは、いい歳こいた大人がやってはいかんよ…
ぬいぐるみだとカーテンだのシーツだのと、燃えやすい物が多い子ども部屋です。たちまち引火してしまいました!

その頃、ブラック博士の容疑を固めて、パトカーで村に向かう大塚署長たち。大塚署長は正太郎の無事を願いまして、その隣りに敷島博士です。

その間にも赤死館の2階から広がる火災。

それにも気づかず、話を続ける正太郎とブラック博士。
いよいよこの事件の核心に迫っているんですが、煙は1階の待合室まで下りてきてるんですが…
ブラック博士は、病気に抵抗するための抗体を作るため、大勢の患者に熱病を感染させていたと言います。
村人や佐良青年を熱病に感染させたことを正太郎が責めると、ブラック博士は「息子に何の罪がある?」と逆ギレです。確かに天然痘とか、わざと弱い菌を感染させて、抗体を作らせるというのは実験ではなく、治療としてやってきてますが、それで何人も殺していいという免罪符にはならんやろう、いくら何でも…
しかし、息子を救うためなら手段は選ばないと言いつのるブラック博士。「地獄に堕ちても本望だ」って、熱病にかからせられた人たちだって、地獄だったんじゃないのかな…
ところが、ブラック博士は数々の犠牲の上に、佐良青年に抗体の兆しを発見しました。しかし、彼が逃げ出したことで抗体は消滅(って、さっき言ってた)、望みは失われてしまったのです。
それでも正太郎が佐良青年を救うよう懇願すると、ブラック博士は「あの男はもう末期だ」と言って、見捨てるような物言いをします。
しかし正太郎は医者として最善の手を尽くすべきだと逆に説教。捕まえられているっていうのに強気だなぁ…
その時、佐良青年がうめき声をあげました。その姿に、ブラック博士が救えなかった同じ部隊の兵たちが重なります。これは… 憂鬱どころではなく、ひどいトラウマだろう…
ブラック博士は、そこで正太郎から手を放します。
「医者の心が残っているのなら、彼を救う義務がある」と、またまた説教に入る正太郎。
ブラック博士の脳裏にまたしても浮かぶのは、助けを求めたのに苦痛を取り除くことしかさせてやれなかった兵士たちの断末魔の姿です。それは辛い… あまりにも辛いよ、博士…

しかし、それにはまだ続きがありました。
そもそも安楽死を言い出したのは、兵士たちの方だったようです。苦しんで苦しんで死んでしまう病気に、せめて楽な死を遂げたい。自分たちはここで死んでしまうけれどブラック博士には生きて日本に帰ってもらいたい。それが、彼らの託した思いだったのでした。
けれどもブラック博士はそれでも熱病と闘いました。兵士たちを助け、ともに日本に帰るという目的を果たすために。
しかしブラック博士にはわかっていたのです。医者として、彼らを救う手立てもないことも。

結局、ブラック博士は佐良青年を治療しますが、正太郎の「助かったのか」という問いには「苦痛を引き延ばしただけで抗体がなければ、彼は助からない」と答えます。
ところが正太郎が「少し顔色が良くなった」と言いますと、驚いたブラック博士、顕微鏡をのぞきまして、驚いたことに赤くて細長い細菌が消えて、黒くて細長い菌だけになってました。諦めたはずの佐良青年に抗体ができていたのです。
正太郎は喜び、ブラック博士もこの奇跡に驚くばかりでしたが、時すでに遅く、とうとう煙が地下にまで下りてきてしまいました。
ブラック博士は急いで上に向かい、正太郎も縄抜けに懸命です。
しかし、坊やの部屋は火の海、ドアノブに触ることもできないほど熱くなっており、それでもブラック博士は扉を蹴破って中に飛び込みました。
それでも寝たきりで動かない子どもは、その力さえないほど重症なのか、あるいは…
正太郎も縄抜けして、2階へ上がりますが、倒れてきた木材に邪魔されて、子ども部屋には入れません。
正太郎が見たのは、子どもを抱いて嘆くブラック博士の姿。しかし、ようやく顔を明らかにした子どもはすでにミイラ化しており、とても生きているとは思えないものでした。
地下に戻った正太郎は佐良青年を逃がそうとしますが、ここも煙で満たされてきており、ブラック博士が使っていた薬品に火がつき始めてしまいました。

その時、天井を破るものがあり、巨大な鋼鉄の手がのぞきます。大塚署長と敷島博士が鉄人も連れて来てくれたのです。
ベッドごと佐良青年を助ける鉄人を操縦していたのは敷島博士でした。ベッドにしがみついて、一緒に脱出する正太郎。
操縦器を敷島博士から受け取って、正太郎はブラック博士も助けにかかります。
しかし、それを拒絶するブラック博士。博士はこのような事態に陥り、ようやく己の罪に気づいたのです。息子を助けるために大勢の村人を苦しませてしまったこと、息子の死を認められなかった自分の愚かさ。
佐良青年の抗体があれば助かると言って、ブラック博士は鉄人を見ます。その鋼鉄の姿はまるで博士を哀れんでいるかのようでした。
「でも気をつけろ、同じ穴のムジナということもあるぞ」と忠告を遺して、炎に呑み込まれるブラック博士親子。
まるでブラック博士の罪も呑み込むように、火は赤死館全体を燃やしていくのでした。

次も1話完結で「光る物体」。個人的にこれと「京都編」がいちばん好きや〜

拍手[0回]

第11回 超人間・ケリーの最後

「超人間ケリー編」決着。自ら望んで超人間になったとはいえ、物悲しいラストです。

前回の粗筋がさらっと語られ、「悲しい終着点」を予告してタイトルです。

どこかの洞窟というか、鍾乳洞のような池があるところです。そこにいるのはケリーと敷島博士。
敷島博士が「見せてみたまえ」と言うと「触るな」と拒絶するケリー。しかし、その息は苦しそうで、ここまで来たのがやっとにも見えます。
またあくまでも冷静な敷島博士は、「わたしに見てもらいたくて連れてきたんじゃないのかね」と鋭い突っ込み。そうよね、そうでなかったら、無理して敷島博士をさらう必要なかったんだもんね…
答えぬケリーに「信用してもらえないなら、ここにいる必要もなかろう」と冷酷に背を向けちゃう敷島博士。
苦しい息の下から「待て」と言って、ケリーはギルバートのおなかのなかから工具を取り出します。ていうか、いつの間にギルバートまで… 鉄人に追わせなかったのか、と思ったら、ギルバートは鉄人よりも速いってドラグネット博士が自慢してましたね。
「頼む」とケリーに言われて、敷島博士は修理にとりかかったもようです。

一方、その頃の正太郎たちはパトカーでどこかへ向かうところです。
大塚署長が対策本部の集めた情報で「ギルバートは秩父山中にいるらしい」と言ってるので、そこに向かうのか? 徹夜で大変やのぅ…
でも「急ぎましょう。すぐ夜が明けますから!」とか言っちゃう正太郎。働き者ですネ。

敷島博士も夜を徹してケリーの修理というか治療に当たってます。
「少しは痛みが治まったかね」とか、相変わらずさらっと万能ぶりを発揮しちゃう敷島博士。
「なぜ俺を助ける気になった?」と問いただすケリー。超人間への興味本位か、敷島博士が葬ってきた失敗作への罪滅ぼしのつもりかと訊ねます。
同意する敷島博士。「生み出した者への責任を負わなければならない」とは、不乱拳博士も再三語ってきたことです。あるいは最後まで不乱拳博士と化け物さんを遭わせまいとした敷島博士でしたが、互いに殺し合うことにしかならなくても、遭わなければならなかったのだと後になって思うようになったのかもしれません。それがどんなに愛着を持った物だとしてもです。
そしてドラグネット博士もまた、失敗作とはいえ、自らが生み出した超人間たちに愛情を抱いていたはずだと敷島博士は言います。そう言って、暗にケリーがドラグネット博士を殺したことを咎めているのですが、ケリーの答えは意外なものでした。
「殺すつもりはなかった」と言うのです。「俺はただ生きたかった」と言うなり、のけぞるケリー。
その身体の中を見て驚く敷島博士。でも例によって「これは君の動力炉! でも君の身体は!」と言ったところでケリーに押し倒されてしまい、「でなければ、わたしは君を!」と言うなり暗転してしまいます。あら〜 後で見直すとああ、ってわかるんですが。

翌日、明るくなった秩父山中で捜索中の鉄人28号。
大塚署長は警官隊を警備にまわします。
高見沢さんは正太郎に「2対1でも勝てそう?」と聞いてますが、正太郎は「何とかやってみる」と答えます。ギルバートもケリーを動かさなければならないので、何とかなるでしょうというわけです。
そしてギルバートが登場、鉄人がこれを迎え撃ちます。
警官隊はケリーに備えます。
しかし、鉄人とギルバートが一戦を交える前に敷島博士が現れ、正太郎を止めました。
博士は「ケリーの治療をするふりをして、動けなくしてきた」と言います。え? しかもギルバートまで取り返した? 「無我夢中だったからね」と言いますが。
大塚署長はケリーの倒れた場所まで案内してくれと言いますが、その前に自分にはやるべきことがあると言い出す敷島博士。
それは宇宙ロケット発射の計画を予定どおりに実行するというものでした。
正太郎たちは驚きますが、敷島博士はロケットで月に一番乗りを果たしたいというドラグネット博士の依頼を叶えようと言うのでした。しかもこの時を選んだのは月と地球の状態が最も適した日だからだそうです。つまり、この時を逃すわけにはいかないと。
しかし正太郎がケリーが万が一襲ってきたらと心配するとギルバートも残すと言います。ギルバートを月に送るためのロケットなのに?
その間に燃料の注入が完了し、敷島博士は秒読みを命じます。

その頃、例の洞窟を抜け出そうとする男が一人…

敷島博士は自分たちも管制塔へ移動すると言い、皆には安全地帯まで退避するよう命じます。
やがて始まるカウントダウンは残り6分を報せます。
その時、管制塔に敷島博士がいないことに気づく高見沢さん。
それでも進むカウントダウン。5分前になり、燃料スイッチに火がつけられます。
また高見沢さんが敷島博士を見つけます。何と! ロケットの発射台の下にいるではありませんか。
「間に合ったぞ」と笑う敷島博士。その下から現れたのは、何とケリーだったのです!
高笑いするケリーに驚く正太郎と大塚署長。
いや、笑ってないで、さっさとロケットに近づいた方がよくね? そうでなくても「俺には時間がない」んだからさぁ…
大塚署長はロケット発射の中止を命じますが、もう遅いと言われちゃいます。ロケットの燃料が化学反応を起こしており、ここで止めるとロケットが大爆発しちゃうんだそうです。
大塚署長はケリーの狙いがロケットを木っ端微塵にすることかと言ったもので正太郎も鉄人を動かしますが、ケリーにはギルバートがいます。
でもケリー、ここに来て、例の動力炉が不調なようでロケットに手が届きません。だから、笑ってるヒマがあったらとっとと行けと言うのだ…
ロケットに近づくケリー。
しかし正太郎もただ見てはいません。鉄人に反撃させて、何とかケリーを止めようとします。
でもケリーの溶解液は頑丈な鉄人の装甲さえも溶かしてしまいます。
それを横目にロケットに近づいていくケリー。
そこにロケットの噴射で急接近する鉄人ですが、あくまでもギルバートが立ちはだかります。ていうか、ギルバートって、足腰のデザインが色っぽいですよね〜
大塚署長も高見沢さんも正太郎も焦りますが、鉄人、とうとうギルバートに腕をちぎられてしまいました。
その間にもロケットに近づくケリーですが、その歩みは遅々としたものでした。
いよいよ始まる最後のカウントダウン。
腕をちぎられた鉄人は、ギルバートから離れたことで飛んでケリーの方へ向かいます。
ケリーもロケットに飛びつきます。
ロケットを支えていた鎖が次々に外れていく中、ロケットにしがみついたケリーの姿がありました。
さらに鉄人を止めようとするギルバートを、逆にロケットの噴射の中に放り投げる鉄人。
さすがのギルバートも地球を脱出する噴射に巻き込まれ、消滅してしまいます。
さらに鉄人にケリーを追わせようとすると、それを止めた者がありました。
その声は、本物の敷島博士だったのです。
すっかり泥まみれになった敷島博士は、「行かせてやりなさい」と言います。
それで改めて飛んでいくロケットを見上げる正太郎たち。

ケリーは「行くんだ」と呟きます。何とかロケットにしがみついていますが、その速さはなにしろ時速40,300kmという凄まじいものです。すでに左足首を失ったケリーの身体は、もはや支える物もないような状態で、だんだんとバラバラになっていきます。装甲がはがれ、手が壊れ、身体のあちこちから火の手があがり、まさに断末魔の様子を呈してきたケリーの身体。ついに右手まで失ったケリーの目に飛び込んできたのはどこまでも広がる星々の世界でした。
けれども、その瞬間、ケリーの身体はとうとうロケットから離れてしまい、爆発してしまったのでした。

その光を地上で見守る正太郎たち。
敷島博士は「これで良かったんだ」とつぶやき、力尽きて座り込んでしまいます。まぁ、秩父山中から、おそらく東京の下町辺りと思しき敷島重工まで帰ってきたんだから、それは大変だったろう…
今回の高見沢さんは二言目には「どうしよう」って言ってる気がする。

そして数週間後のある日。

敷島博士と出会ったのは…。

同じ頃、正太郎の前に出されたのはケリーの遺品、顔の装甲の部分です。痛ましい…
そこに敷島博士が例のお客と一緒に登場。
何と本物のジョンソンです。
ケリーが弟と語ったジョンソンは、実在の人物だったのです。
兄の夢を語るジョンソン。それは、空襲で家族を失った兄弟にとって、どうしてもかなえなければならない夢でした。宇宙、そこは戦争のない夢の世界でした。戦争で全てを失った兄弟は、宇宙に行って、戦争のない世界で暮らしたかったのです。そして、そこから全ての戦争がなくなるようにと祈りたかったのです。
そのために超人間となったケリーでしたが、機能を停止してしまい、葬られました。
ドラグネット博士は4人の失敗で超人間の研究を封印し、ギルバートの製作にとりかかったのです。「これ以上の犠牲は出せない」という言い方は、ちょっとジョンソンの脚色が入っているのか、偏屈になる前のドラグネット博士なのか。
しかし、ケリーはギルバートの完成した直後に蘇りました。でも、すでにお役御免の身です。ギルバートの存在に動揺したケリーは、とうとうジョンソンを監禁してなりすまし、ドラグネット博士とともに日本へ向かいます。
ところがケリーは雷のために機能障害を起こしてしまい、自分でも知らないうちにドラグネット博士や牧村博士を殺してしまいました。なるほど、それで…
ケリーがロケットの打ち上げ時に密かに乗り込むつもりだったのに、というのはジョンソンの解釈に過ぎません。ただ、ドラグネット博士に素性を明かしたり、牧村博士に会ったのは、敷島博士のように治療してもらいたかったからなのかもしれません。それほど彼は夢を叶えたかったのです。命をかけてでも。
けれど、超人間には寿命が短いという宿命がありました。うーん… 延命措置にはならんのか…

ケリーの形見を抱いて帰るジョンソン。

そこに正太郎たちとの会話がかぶります。
ジョンソンはケリーが復活したことで超人間の宿命から逃れられたものと思いましたが、できませんでした。
治療した敷島博士もケリー本人から聞いて知っていました。それを回避するためにドラグネット博士にかけあったことも。けれどドラグネット博士に断られ、結果的に殺してしまったようです。
結局、ケリーは夢を叶えられなかったと言う大塚署長に、正太郎は異議を唱えます。ケリーは一瞬でも夢を叶えられたのではないかと言って。

そして、さっきの必死こいてロケットにしがみついていたケリーとは違う、もっと明るい調子で夢を叶えたケリーのシーンが映されます。
映像は同じでもケリーの口調が明るいため、希望のある場面になってます。まぁ、真実は誰も知らないのですから、どちらの解釈でも合っているし、間違っているのでしょう。

その声を、ケリーの形見を抱いて、とぼとぼと歩いて行くジョンソンは聞いたでしょうか?
やがて一面の星空が、彼の行く手に現れました。

次は1回完結の「ブラック博士の憂鬱」です。

拍手[0回]

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新CM

(06/14)
無題(返信済)
(05/29)
(04/27)
甘くない態度(返信済)
(04/26)
謹賀新年(返信済)
(01/04)

プロフィール

HN:
たきがは
HP:
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

かうんたあ

脱原発意思表示Webステッカー

バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン