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されど平穏な日々

日々のつぶやきと読んだ本と見た映像について気まぐれに語るブログ。Web拍手のメッセージへのレスもここ。「Gガンダム」と「ジャイアントロボ」への熱い語りはオタク度Maxにつき、取り扱い注意! 諸事情により、コメントは管理人が操作しないと反映されません。時々、サイトの更新情報など。

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メキシカン・スーツケース ロバート・キャパとスペイン内戦の真実

監督:トリーシャ=ジフ
見たところ:川崎アートセンター アルテリオ・シネマ
2011年、メキシコ・スペイン・アメリカ合作

2007年12月、スペイン内戦を撮った126本のフィルム、ネガ4500枚が入った3つのスーツケースがメキシコで発見された。撮影者はロバート=キャパ、ゲルダ=タロー、デビッド=シーモアという3人の戦争カメラマン。70年間行方不明になっていた写真史的にも重要な写真はなぜメキシコで見つかったのか? そこから明らかになるのはスペイン内戦が生み出した傷痕。

1週間しか上映していなかったので慌てて行ってきました。

スーツケースがなぜメキシコで見つかったのか、という話と、スペイン内戦が生み出したメキシコへの亡命者たちという2つの話が並行して語られているのが最初わからなくて、居眠りをしかけましたが、途中から流れが見えてきたら、おもしろくなりました。わしも「蝶の舌」と「大地と自由」ぐらいしか見たことがないので詳しくないのですが、基本的なところ、共和国対ファシストによる反乱軍という構造はわかっているので、最後まで見られました。

あの時代、ヘミングウェイを筆頭に多くの作家やジャーナリストがスペインに行ったと記憶していましたが、国としてスペインを支持したのはソ連と亡命者の受入を表明したメキシコだけだったというのが意外でした。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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どですかでん

監督:黒澤明
原作:山本周五郎「季節のない街」
出演:六ちゃん(頭師佳孝)、その母(菅井きん)、たんばさん(渡辺篤)、島さん(伴淳三郎)、そのワイフ(丹下キヨ子)、平さん(芥川比呂志)、お蝶(奈良岡朋子)、乞食の父親(三谷昇)、その子ども(川瀬裕之)、父ちゃん(三波伸介)、母ちゃん(楠侑子)、(井川比佐志)、(田中邦衛)、かつ子(山崎知子)、その叔父(松村達雄)、その叔母(辻伊万里)、酒屋の少年(亀谷雅彦)、老人(藤原釜足)、ほか
1970年、日本

黒澤映画初のカラー作品。

ゴミだめの中にある貧しい架空の街を舞台に、市井の人びとのつつましい生活やたくましさ、愛情などを7つほどの短いエピソードでつづったオムニバス映画。

わし的には、これの後「デルス・ウザーラ」をもって、黒澤映画への興味は失せます。いわゆるスターは一人も出ておらず、今までの黒澤映画に比べると地味な映画ですが、出演されてる俳優さんが芸達者な方が多いので各エピソードはおもしろいです。特に好きなのは三波伸介さんの「父ちゃん」とたんばさん関係のエピソード、伴淳三郎さんの芸達者ぶりを堪能できる「僕のワイフ」、衝撃的なのは「プールのある家」です。

「父ちゃん」の話は7人目の子どもを妊娠している母ちゃんと父ちゃんの間には種違いの子ばかり男4人、女2人の子どもがいるけれど、どうも父ちゃんの子どもは一人もいないらしい。でも繊細な刷毛職人として貧しいながらも子どもたちを慈しんで育てている父ちゃんのキャラクターが、三波伸介さん自身のキャラと相まって、ほのぼのといい話なのでした。昔、「減点パパ」って見てたし。調べてみたら、「お笑いオンステージ」の1コーナーでした。番組の最後にあったんで印象が強かったのか。エンディングも歌えるぞ。

たんばさんは自分のエピソードはわりと短いのですが、盗みに入った泥棒に財布を与えたり(後で捕まって余罪を吐いた泥棒を刑事が連れて来ても「知らない」ととぼける)、酔っぱらって暴れるジェリー藤尾を「疲れただろうから替わろう」と言ってなだめちゃったりという飄々としたところが好きなんですが、自分では何ひとつしようとせず、日がな一日中、家を建てるという妄想にふけっている乞食の父親と子どもが食中毒(いくら酢でしめてあるからといって、何日か経ったしめ鯖を生で食べた)で苦しんでいるのを、ただ一人、心配したり(でも父親は、言葉の端々にインテリなのがうかがえて、それで半端に知識をひけらかしているところもあるので街の中心にある水道で年中、洗濯をしながら井戸端会議をやっているおばちゃんたちには煙たがられている)、挙げ句、子どもが死んでしまえば、火葬までしてやり、墓穴を掘るのにも立ち会ったりと、いい人です、たんばさん。黒澤映画の常連、藤原釜足さんが死にたがっている老人ならば、毒を与えて自殺を幇助しているように見せつつ、彼が失った妻子の夢を見ると言うと「あんたが死んだら、その人たちも本当に死んでしまう」と言って自殺を思いとどまらせ、渡したのも実はただの胃腸薬だったりとか和むわ、たんばさん。

「僕のワイフ」は、悪妻で、評判も悪いけど、島さんにすれば苦楽をともにしてきたワイフなんだよ、というエピソードが良いです。

「プールのある家」はたんばさんのところであらかた書いてしまいました、家を造るという夢想にふける父親に、子どもがけなげにつき合って、残飯をもらって、でも最後は死んでしまった子どもが、死ぬ間際に言い残した「プールが欲しい」と言ったのを、父親が掘った墓穴を見て「ほら、プールができたよ!」と言うというエピソードがまぁ、そのシーンの色の毒々しさもありまして、なかなかな出来。

前作「赤ひげ」までの大作に比べると小粒ですが、佳作だと思うんですよ。

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生きる

監督:黒澤明
出演:渡辺勘治(志村喬)、小田切とよ(小田切みき)、助役(中村伸郎)、大野係長(藤原釜足)、野口(千秋実)、小原(左卜全)、坂井(田中春男)、渡辺光男(金子信雄)、光男の妻(関京子)、勘治の兄(小堀誠)、その妻(浦辺粂子)、陳情の主婦(菅井きん、三好栄子、本間文子、ほか)、小説家(伊藤雄之助)、ヤクザの親分(宮口精二)、ヤクザの子分(加東大介)、ほか
音楽:早坂文雄
1952年、日本

わし的には黒澤映画ベスト5の一本です(あとは「白痴」「七人の侍」「我が青春に悔いなし」「生きものの記録」。うぉっ、「赤ひげ」が入らん)。この時期の黒澤映画では唯一、三船敏郎さんが出ていませんが、キャストを見てもはまりどころがありません。小品ではないけれど、大作ではない。でも確実に何かが残る傑作です。

特に、わしが一等好きなのは陳情のおばちゃんたちで、市役所に近所のどぶ板を何とかしてと言いに来たのにそこら中、たらい回し、でも最後は「市役所でも何か作れる」ことを求めた主人公によって、公園を作ってもらい、工事中に視察に来れば、傘を差し、その恩で葬式に来、その姿が初見から大好きです。もうね、黒澤映画でおばちゃんがいい映画は外れなしとわしは思いました。「赤ひげ」しかり「どですかでん」しかり。大好きだ、おばちゃんず。特に雨の中、工事を視察する主人公が胃がんを押しての仕事なわけですし、工事中なので足下も不安定なのですよ。そこでよろければ、ブルドーザーをものともせず、ついてきた市役所職員も押しのけて傘を持って走る菅井きんさん演ずるおばちゃんの優しさは何度見ても号泣もんです。

後はやっぱり主役の志村喬さんが不器用なおっさんでいいですな。実の兄には「おまえのような脂性が」とか言われて、途中で小田切とよさんとの関係を「老いらくの恋」とか疑われてますが、まぁ、その口べたなこと、見てていらいらしつつ、でも頑張れと応援したくなる、いとおしさよ。葬式に使われた写真の表情のいいことよ。

傑作です。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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白痴

監督:黒澤明
原作:ドストエフスキー
出演:那須妙子(原節子)、亀田欽司(森雅之)、赤間伝吉(三船敏郎)、大野綾子(久我美子)、大野(志村喬)、大野里子(東山千栄子)、香山睦郎(千秋実)、香山孝子(千石規子)、軽部(左卜全)、香山順平(高堂国典)、香山薫(井上大助)、東畑(柳永二郎)、ほか
音楽:早坂文雄
1951年、日本

原節子さんの那須妙子が好きなもんで、わし的には黒澤映画でいちばん好きな映画です(最高傑作は「七人の侍」当然!)。どこら辺が好きかと言うと、少女(作中で14歳くらいと語りあり)の頃から権力者の囲い者になって、女性として辛酸をなめ尽くしてきたはずの女性ですが、亀田の無垢な思いに触れた妙子は「こんな赤ちゃんみたいな人を不幸せにはできません」と言って、本当は誰よりも亀田を愛している、というか、その魂に触れることで誰よりも癒されたいと思っていただろうに、自分と一緒にいれば亀田を犠牲にしてしまうと思って、敢えて身を引き、亀田には自分の理想の女性と(クライマックスまで)思い込んでいた綾子と結びつけようと画策する自己犠牲なところなんかが原節子さんの高貴さと相まってもろにわし好みなのでした。

なもんで、クライマックス、妙子と綾子という、実に対照的な2人の女性がついに正面切って向かい合うシーンの緊迫感なんかがいちばん好きだったりします。

いいですな。

たんぽこ通信 映画五十音リスト

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静かなる決闘

監督:黒澤明
出演:藤崎恭二(三船敏郎)、藤崎孝之輔(志村喬)、松本美佐緒(三條美紀)、峯岸るい(千石規子)、中田進(植村 謙二郎)、野坂巡査(山口勇)、中田多樹子(中北千枝子)、ほか
原作:菊田一夫
音楽:伊福部昭
1949年、日本

黒澤映画がかかっていると条件反射でどうやったらどれだけ多く見られるか算段してしまうぐらいにはファンのわしですが、実は未だに未見の話が何本かありまして、「素晴らしき日曜日」「続姿三四郎」「醜聞」「まあだだよ」が未だに見てません。で、「静かなる決闘」です。

1944年、藤崎恭二は軍医として南方の野戦病院に勤務していたが、自らの不注意のためもあり、中田進という傷病兵から梅毒を移されてしまう。戦後、日本に帰還した藤崎は父の経営する医院に外科医として勤務し、治療に忙しい日々を送っていたが、6年間も会っていなかった婚約者・松本美佐緒には婚約の破棄を伝えていた。藤崎医院で働く見習い看護婦の峯岸るいは、ふとしたことから父にも元婚約者にも話せないでいる恭二の秘密を知ってしまう。ダンサー上がりで妊娠した途端に男に捨てられ、自棄になっていたるいは聖人君子のような姿勢の恭二が梅毒持ちだということに反発していたが、感染した事情を父に打ち明ける恭二の話を聞き、次第に同情的になり、正看護婦を目指すようになっていく。だが、治療に赴いた警察で中田進と再会した恭二は、彼が治療を素人判断で辞めた上、結婚し、妻も妊娠していると知り、医院に来るように伝えるが…。

話は梅毒感染と衝撃的ですが、展開はわりと淡々と進みます。まぁ、主役が聖人君子みたいな人物なんで無理もありませんが、クライマックス(でいいと思うのですが。ほかに盛り上がりらしい盛り上がりってないし)で、元婚約者の美佐緒が明日、別の男性と結婚すると言って、最後の訪問をした後の晩なんかは、るいさんに激白しちゃう辺りなんかを見ていますと、梅毒にかかった医者だから、婚約者にも触らない(唾液でも感染するため)、女遊びもしないと潔癖さを貫いておりますが、本当は男盛り、やることもやりたいんだよ僕はという人物が見えて、それを父親なんかがちゃんと見抜いているというところなんだろうなぁと思いました。

むしろ徹頭徹尾、聖人ぶりを貫く恭二(最初は軍医殿とか呼ばれてたのに、うち帰ったら恭二なもんで、「Gガン」のキョウジ=カッシュとキャラがかぶって、あんまり集中できなかったのはここだけの話デス。作中で「そんなことはどうでもいい!」とか言われたら、わし、爆笑もんでしたが、それはさすがになかったネ。ただ、キョウジのお父さんはライゾウ=カッシュ博士ですんで、志村喬さんが実写版のカッシュ博士とか連想して燃え萌えして、映画どころでなかったのもここだけの話デス←馬鹿)よりも真の主役はるいさんのような気がするぐらい、彼女の描写が丁寧だと感じました。最初こそ、「あたしなんかどうだっていんですよ〜」とか言って、おなかの子どもも堕胎してほしい(藤崎医院は外科と婦人科という珍しい組み合わせです。恭二が外科で、お父さんが婦人科だって)と言ってたのが、先輩看護婦の「梅毒の薬がたくさん無くなる」から、偶然、恭二がその注射をしていることを知る。当初は恭二が遊びで梅毒にかかったと思って、「病院では聖人面してるくせに」と軽蔑するような目さえ向けていたのが、るいの発言で恭二が梅毒にかかっていることを知ってしまったお父さんが恭二に事情を聞くのを立ち聞きしたところで、恭二自身の不注意もあったけど、責任は別の人物にあったことを知った辺りから、先輩看護婦が辞めちゃったせいもあるんでしょうが、だんだん前向きになって、正看護婦になり、子どもを生み育て、という流れの方が好感持てました。

後で水野晴郎さんの解説を聞いていたら、「酔いどれ天使」という同じコンビ(医者役:志村喬さん、患者のヤクザ役:三船敏郎さん)で撮ったことがあるんですが(あっちはオリジナル)、公開したらお医者さんよりヤクザの方に人気が出ちゃったので、同じようなテーマで撮り直したのがこの映画だそうで。うーん… 「酔いどれ」はタイトルが医者を指すんですけど、歳が歳なもんで、恭二みたいにストイックなキャラじゃなかったせいか、ユーモアさえあったんですけど、恭二は基本、眉間に皺寄せてるキャラなもんで、魅力はあっちのがあるかなぁ。

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