監督・ナレーション:ミッキー=デザキ
見たところ:桜坂劇場
アメリカ、2018年
日系アメリカ人の監督が、ふとしたことで知った旧日本軍の「従軍慰安婦」問題に真っ向から斬り込んだドキュメンタリー映画。左から右から、知ってる奴も知らない人も、さまざまな論客が登場し、インタビューに答え、合間合間に過去のフィルムなども混じった展開はアニメを意識したような大文字の使い方とかで飽きさせません。と思ったら、監督、もともとはYouTuberだそうで、道理で演出がドキュメンタリーっぽくないなぁと感じました。いかにも人目を引きそうな使い方です。
もっとも、わしはタイトル聞いた時に、この言い方は右翼のもので、これからアメリカが「主戦場」とか言ってたのも聞いたことがあったので、「
否定と肯定」みたいな中立を装って実は「慰安婦問題」というのがあるように見せたい否定派の論法に乗っかってんのか、けッ ( ゚д゚)、 と思ったのも否めません。そんな映画だったら見に行く必要はないなぁと思いました。
だいたい沖縄は東京よりも一ヶ月以上、半年くらい公開が遅れるのでこの映画を見た人の感想TLも忘却の彼方に吹っ飛んでおりますし。
それでも行こうと思ったのは文句をつけるのは見てからでもいいかといういつもの理由と、予約していた美容院が予想以上に早く済んだので余裕を持って映画館に行けたからでした。
実際に見てみたら、予想以上に監督の立ち位置がはっきりしており、右派の論法は素早く論破するインタビューが入り、なかなか好感が持てました。
また、最後の結論、「アメリカの戦争に参加したいのか?」は日米安保の流れから持ってきて、鋭く発しており、究極のところは戦争ができる国というのはそういうことなんだよなぁと思いましたけど、そんなことはとっくにわかってるはずのことでした。まぁ、沖縄に住んでると余計、如実に感じることでもありますし。
真冬の水曜デモの様子が写ってましたが、わしも一回だけ行ったけど、あんな感じでした。とても楽しかったです。日本のデモの主催者には爪の垢を煎じて、丼一杯くらいは飲ませたいです。
ただ、3つほど難点をつけたいところがありまして、右派と左派をわりとはっきり分けて、そういう順番で登場させてましたけど、日本会議の前身に所属していて、今も改憲派の小林節を好意的に扱うのはどうかと思います。まぁ、アメリカ人には日本の憲法改憲なんかどうでもいいっちゃどうでもいいのかもしれませんが。
あと、TLでも愚痴りましたが、そして、あれだけ扱いが大きかったくせに公式サイトに唯一名前があがってませんが、日砂恵ケネディを好意的に扱うのもおかしいと思います。だいたい、南京大虐殺の犠牲者が2〜4万とかぬかしてる時点で否定論者じゃないにしても縮小派で、さすがに事件そのものを否定するのは国際的に難しいから犠牲者を矮小するのが主流なんです。そこに乗っかってる女に「解放された」だの「敵はいなくなった」だの言われても何寝言ほざいとんのや呆けな感じです。
ただ、これもTLしましたけど、沖縄タイムス(確か)が辺野古基地建設に反対する右翼の女を好意的に取り上げているのと似ているなと思いました。
要するに転向者に甘いんだよねと。それも右から左への転向者に甘いよねと思います。女だしな。
あと、一瞬しか写らなかったから、それほど監督は重要だと思ってなかったのかもしれませんが、「慰安婦」にされた女性たちに自由はあったかなかったかのコーナーで、全然関係がないと思える解放時(
要するに日本が負けた後)に撮られた「慰安婦」の女性たちの写真は、場違いに思いました。あれ、いちばん右端に写ってた妊婦の方が特集された時に
戦争と女性の人権博物館へ行ったことがあったので、ここで出す写真とちゃうやろうと…
だから、たまたま興味が湧いて「従軍慰安婦」問題を扱った映画を作ることになったし、左派の主張にも共感するけど、別にこの問題にもっと深く関わる気はないんだよという監督の深層意識を見せつけられたようです。後でウヨから突っ込まれないといいネ!
後はまぁまぁ、良質のドキュメンタリーでしたが、当然、ウヨの評判は悪いでしょうなぁ… ( ̄ー ̄)
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