監督・脚本:アーノルド=ファンク
音楽:山田耕筰
出演:大和光子(原節子)、大和輝雄(小杉勇)、光子の父(早川雪洲)、ゲルダ(ルート=エヴェラー)、ほか
ドイツ・日本、1937年
時代が時代なんで(なにしろ日中戦争開戦の年)全然期待せずに、原節子さん16歳ってところだけ楽しみに見てたんですけど、展開は冗長だわ、突っ込みどころは多いわ、ラストに至っては
国策ばりばりの酷い映画でした。まぁ、ナチス・ドイツと大日本帝国の合作なんで、
マイナスとマイナスをかけてもマイナスにしかならなかったという…
ドイツに8年間留学していた大和輝雄は恋人で記者でもあるゲルダを連れて日本に帰国するが、留学費用を出してくれた養父の意向に逆らって、その娘の光子との婚約を破棄しようとしていた。輝雄に再会した実の父と養父は西洋文化にかぶれた輝雄の変わりように落胆するが、日本での師のもとで過ごし、実の妹と日本での遊びに触れることで日本の心を取り戻し、実家に帰って父の農業を手伝うようになる。しかし、養父は家族会議を開いて輝雄の意志を通してやろうとするが、輝雄とすれ違うように家を出た光子は絶望のあまり、折しも不気味な蠢動を続ける火山に身を投げようとしていた。後を追った輝雄は婚礼衣装をまとって身を投げようとする光子を止め、改めて婚約を交わす。そして輝雄は日本は狭すぎるという実父の言葉に従い、満州に行って農業に従事するようになるのだった。
つまり、
満州こそ日本の新しき土だというすげぇ結論で落ちをつけました (#ノー_ー)ノ彡┻━┻彡┳━┳彡┻━┻
正直、初っぱなから突っ込みどころが満載でして、いろいろ列挙しますと
・小杉勇が原節子の相手役として大いに不満。背ぇ低いし、髪型変だし、ぶっちゃけ格好良くない。しかも言動も典型的ないいとこのお坊ちゃんで、そのくせお金は全部養父持ちとか酷すぎる
・「東京で待ち合わせ」とか言ってるくせに平気で阪神電鉄とか写すし、そもそも大和家は宮島(広島県!)にあるっぽい描写だし(冒頭で光子が厳島神社の鹿に餌をやるシーンあり)、富士山の麓に住んでるはずの輝雄父に至っては唐突に鎌倉の大仏を拝みに行くし、日本観光名所っぽい描写が前半で続く。しかも大和家は京都か奈良の古都辺りにありそうな描写も続く
・唐突な歌が挿入される。ミュージカルかよ!
・台詞が少なく、情感的な音楽と演技、場合によっては俳優さえ出ずに風景や動植物の描写と音楽だけで繋ぐシーン多すぎ
・おかげでシーンとシーンがぶち切れて、話がわかりづらい(筋は単純だが)
・工場で働いていた輝雄・妹と相撲だの、日本料亭だの、能だのと遊びまくる輝雄と妹。そんな金どっから出した? 養父の金か?
・それを言ったら実家から大和家に急ぐ輝雄、いきなり車の運転とか無茶だし
・ドイツかぶれの輝雄が日本の文化(それも表面的な外国人観光客向けのばかり)に触れて、しかも日本の師匠に諭されて改心とか単純すぎるだろ
・クライマックス、延々と噴火中の火山を登山する光子と輝雄。火砕流とか土石流とかの被害を知ってると、もはやとっくに2人とも死んでてもおかしくないのに、あっさり生きて帰る。途中で輝雄が足を怪我してるのにもかかわらず!!!
・そもそも西日本にそんな活発な火山あったっけ?と思ったら、浅間山だった。しかもリアルタイムで噴火ちう
・16歳の原節子さんに最後、子持ちの役
・そもそも監督が山岳映画のパイオニアで、普通の映画撮ったことなくね?
って感じです。
ゲッベルスが「
我慢できないほど長い」と日記に書いたそうですが、わしもそう思う。特にクライマックスの冗長さは、まず光子の登山(振り袖で!)から始まって追いかける輝雄、さらにさっさと目の前の火口に飛び込みゃいいのに、だらだらと稜線を歩く光子、そのうちに追いつく輝雄と、クライマックスが全てをぶち壊した感満載です。
ほんとに、この映画、原節子16歳で引っかかるような、わしみたいな層にしか売れなさそうです。で、たたき売ってやる(爆
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