監督:クロード=ランズマン
見たところ:横浜シネマ・ジャック&ベティ
フランス、2001年
絶滅収容所、もしくは強制収容所に押し込められたユダヤ人たちの唯一の武装蜂起の成功が、この映画の主題です。蜂起を主導したソビエト赤軍のユダヤ人将校アレクサンデル=ペチェルスキーはもう亡くなっていますが、蜂起に参加したユダヤ人たちは世界中におり、そのうちの一人、イェフダ=レルネルさんのインタビューがほとんどです。
ソビブルのような武装蜂起が行われなかったのはいくつか条件があります。
まず、主導者が赤軍将校だけでなく、参加者も赤軍の軍人が多く加わっています。つまり、彼らは戦いの専門家であり、武器に習熟していました。
また彼らはユダヤ人でしたが同時にソ連軍の捕虜でもあったので他のユダヤ人に比べると環境の差は歴然としたものがあり、格段に恵まれていました。
これらの条件にプラスして、ドイツ人たちの時間に几帳面なところも有利に働きました。
タイトルは蜂起の時間です。
事前準備として、収容所内に作業所と称した小屋をいくつか建てました。
木こりの作業道具として斧を手に入れました。
蜂起の日時をここに決定したのは子どものメンバーによって、近いうちにナチスがソビブルをなくすという情報を得たからです。今は作業員として生きていられても収容所がなくなれば間違いなく殺されるでしょう。
午後4時にナチスの兵士たちをそれぞれの作業所に呼びます。イェフダさんがいたのは仕立て屋の小屋で、コートの仮縫製を済ませるために巨漢のナチスの兵士がやってきます。イェフダさんは斧でその頭を真っ二つにたたき割りました。
他の小屋でも状況は似たようなもので、1時間後には生きているナチスはいなくなっていました。200人もいるというウクライナ兵にナチスが死んだと呼びかけながら、イェフダさんたちは森に逃げました。
以後、イェフダさんはパルチザンに加わり、ナチスと戦ったそうですが、インタビューは森に着いた途端に眠気に襲われたというところでおしまいです。
前半にイェフダさんがワルシャワで連行され、家族と別れてベラルーシで強制労働に従事させられていたけれど半年で8回も脱走、そのたびに新たな収容所に向かい、最終的にはソビブルに着いたというのは幸運というにはあまりに強運で、彼の生きようとする強い意志と運命みたいなものを感じました。
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